一定期間更新がないため広告を表示しています
ASIAN NOMAD LIFE2021.10.25 Monday
保阪正康さん、あなたは間違っています。日本国憲法を読んでください。
文春オンラインで眞子さんの結婚についてジャーナリストの保阪正康さんが書かれた記事を読んだ。 頭に血が上った。 記事の主旨はこれまでマスコミが何度も繰り返し騒ぎ、何の罪もない若いカップルを批判してきたことと同じである。 小室さん親子は金にルーズである。 しかし「開かれた皇室」とはいえ、皇族には世間一般と同じ自由な恋愛が許されるわけではない。ご降嫁されても天皇のご親戚であり、その配偶者の職業や暮らしのことで皇室のイメージを悪くする事態があってはなるまい。 保阪氏は昭和史研究の大家である。 戦前、戦中の昭和天皇がいかに軍部に、ひいては国民に利用され、追いつめられていったか知悉している方である。昭和天皇は最期まで戦争責任の問題を問われ続け、苦しみながら贖罪の植樹を続けた。 戦後、昭和天皇は人間宣言を行い、天皇は「日本国民の総意に基づき」「日本国の象徴」となった。(私は天皇を日本の象徴とは思っていないので、きっと日本国民ではないのだろう) しかし、皇室典範を読めばわかるが、戦前と同じく、天皇及び皇族には自分の意志で何かを決定したり、実行したりする力は与えられていない。すべてにおいて皇族2人を含む総理大臣や国会議長や最高裁判所長などで構成される皇室会議の承認が必要だ。 さらに言えば、皇族には日本国民なら全員がもっている住民票がない。選挙権も被選挙権もない。パスポートもない(なので眞子さんは小室さんと結婚して一般人になってもパスポート発行まで出国を待たなければならない)。 皇族としての公務を行うことが義務づけられているので職業選択の自由もない。住みたいところに引っ越すこともできない(居住・移転の自由)。皇族の務めである宗教行事を行わなくてはいけないので信教の自由もない。 つまり、皇族制度(=天皇制)は、明らかに日本国憲法の要であるさまざまな「国民の権利」を侵害しているのである。天皇を頂点とする皇族は、日本国の象徴であるのに、日本国民に認められている権利は与えられない。 日本国憲法第二十四条にはこうある。 婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。 保阪先生ともあろうお方が、この条項を知らないわけがあるまいし、「皇族には世間一般と同じ自由な恋愛が許されるわけではない」などと宣うからには、皇族に生まれたからには、基本的人権を否定されてもしかるべきだと考えられているのだとしか判断のしようがない。 これが、遊びたい盛りの高校生の頃から文句ひとつ言わず粛々と公務をこなしてきた、「皇族の鑑」とも呼ぶべき眞子さんに浴びせる言葉だろうか? 何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。又、犯罪に因る処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない。 あえて形容するなら、これは日本国憲法第十八条に述べられている「奴隷的拘束」であろう。 眞子さんの結婚については秋篠宮が「日本国憲法で保証されている婚姻の自由」という言葉を使って彼女の気持ちを尊重する、と一度だけおっしゃっていたが、それ以外に眞子さんの結婚に関して天皇(皇族)制度と憲法に関連する議論がまったくなされないことに驚きを禁じえない。そして保阪氏のこの発言である。 明日、眞子さんと小室さんが結婚される。 万難を排してこの日を無事に迎える若いお二人の愛と勇気を心から讃え、祝福の言葉を贈りたい。 2021.09.04 Saturday
人を幸せにしないシステムから全力脱出した眞子さん
眞子さんと小室クンの結婚が決まった。
椰子の実が1年以上かかって漂着するくらい日本から遠く離れた南洋の小島でこのニュースを聞いた私は小躍りした。
「振り切り勝ちだね、眞子ちゃんおめでとう! 会ったことないけど、おばさんは周囲から結婚を猛反対されてた姪っ子がついに親を説得できたみたいで心から嬉しいよ」
■皇室を離れるために全力で王子にしがみついた眞子さん 振り返ればこの2年近く、コロナのおかげで帰国もままならず、「私がこれまで納めた税金全額返せ!」とはらわたが煮えくり返ったアベノマスク事件以降は意識して日本の状況に疎くなるようにしていた。
結果、首相になった菅元官房長官の辛気臭い顔を見る機会もほぼなく、清々しい気分で暮らしていた私ではあるが、唯一の例外は、眞子さんと小室クン関連のニュース。
おばさんの余計な心配とはいえ、ひょっとしてひょっとしたらひょっとしたはずみにロミオとジュリエットのような悲恋劇に終わってしまったらどうしようと、どきどきはらはらしながら見守っていたのだ。
小室クンがニューヨークで学生生活に入っても、これまでと変わらず淡々と公務をこなす眞子さん。周囲の大騒ぎをよそに当人たちは黙して多くを語らず、代わりに父の秋篠宮や母の紀子さんや妹の佳子さんまでが折りにふれて(結婚を)否定したり肯定したり。仲睦まじくみえた家族の関係が大きく揺れ動いている様子が垣間見えた。
最近は、小室母の元婚約者からもこれといって新しい話は出てこなかったけれど、小室さん不在中に何度かマスコミの前に姿を現して話題を提供してくれたのは小室母の方。
新しい発見は、 「お母さん、けっこうセンスいいわ」 だった。
お母さんといっても私より若干年下。盛りを過ぎたとはいえまだまだ女現役である。年相応のお肌やスタイルは脇に置いておくとして、あのセンスでああいうシンプルな服をすっと着こなしていたら、若かりし頃はさぞかし目立ったんじゃないだろうか? 夫亡き後も恋人が複数できたり、小室クンが今どき珍しい強度マザコンなのもよくわかる気がする。
眞子さんはマザコン小室クンをこの母からも奪い取ったのだ。
ちょっと話がそれてしまったが、何を言いたいかというと、経緯を見守っていた私にわかったのは、ついに結婚にこぎつけた今回の大立ち回りの主役は、小室クンでもなく二人の愛でもなく、皇室という「イエ」を離れるために体を張って戦った眞子さんその人だったのだろう、ということだ。
だから「眞子さん、小室クン、おめでとう」ではなく、シンプルに「眞子さん、おめでとう」。
まだまだ若い小室クンには眞子さんとではなく違う未来もあったとは思うけれど、お母さんから全力で育てられた後は、眞子さんにも全力でしがみつかれ、捕捉されてしまったのだ。そして結婚内定。
もう逃げられない。あきらめなさい。
■「こんな人たちに私の一生を捧げるの?」という心の声が聞こえる。 そもそも婚約内定後に小室家の借金問題が暴露されてハチの巣をつついたような大騒ぎになった頃も、世間は小室さんの「玉の輿」婚であると素直に信じていた。私も同じだ。
が、時間の経過とともに秋篠宮や紀子妃、そして眞子さん本人の談話がぽつぽつと出てくるにあたり、実はどうも逆じゃないかと思えるようになってきた。
小室クンが眞子さんを好きなのはわかる。
でも、これだけ日本でぼこぼこにされた後、太平洋の対岸のさらに向こうのニューヨークで、(プレッシャーを背負った苦学生とはいえ)自由な生活を再び手にし、弁護士試験さえパスすれば、たとえ眞子さんと結婚できずとも、あのルックスであの人当りでしかも有名人。決して暗い将来は待っていないだろう、と思われる。
いっぽうの眞子さんはどうだろうか?
一世代上の女性たちを見れば、このまま皇室に留まった場合、自分自身にこれからどういう未来が待っているかはだいたい想像がつく。
民間に嫁いで穏やかに暮らしている元皇族といえばサーヤ、元紀宮がいらっしゃるが、36歳と晩婚で子宝には恵まれなかった。20代半ばにはマスコミの結婚報道が過熱しあまりの騒ぎに本人がやめてほしいと異例の要請をしたが、確かにあの状況では決まるものも決まらないだろうと私も思ったものだ。
案の定、それからご結婚までの道のりは長かった。
伯父にあたる現天皇陛下の浩宮時代のご結婚も困難も極めた。
20代には次から次へとお妃候補の噂が浮上すれど断られ続け、キャリア一筋だった雅子妃を拝み倒して結婚したのが33歳。しかし雅子妃は現在の眞子さん騒動とは比較にならないほどの激烈なバッシングを受けてノックダウン。それでも決死の覚悟で体外受精をし愛子さんが産まれるも、今度は男を産まないと非難の嵐。
現皇室中で、世間スタンダードの「幸せな結婚」を手にしたのは眞子さんのご両親くらいだろう。それでも結婚前には紀子さんを貶めるようなさまざまな噂が巷に流れたものだし、雅子妃バッシングが一息ついた今は猛烈な紀子妃バッシングが起きている。
そんな中、眞子さんは皇室人手不足の影響からか、若干16歳から単独公務を始めたという。
平成天皇の初孫だけあって幼い頃から注目を集めてきた眞子さんは年齢以上に落ち着いて大人びている。それもそのはず、彼女は叔母の紀宮や伯母の雅子妃そして母の紀子妃がマスコミや国民からどういう仕打ちを受けてきたか、一番身近でじっくり見てきたのである。
そして自分の番。
小室家スキャンダルにマスコミや国民は大喜び。結婚なんてとんでもない、と大合唱はもちろんのこと、1億5千万円の税金を使うのだから反対する権利がある、とまるで自分がそのお金を出すような口ぶり。この方々は、これまで皇室の中に閉じ込められて眞子さんがどれほどの不自由を強いられてきたか、そしてどれだけの公務を真摯にこなしてきたか、まったくわかっていないどころか、わかろうとさえしないで、天皇家の主人気どりなのである。
天皇家のメンバーは公務員でも奴隷でもないからね。
ましてや昨今は皇室人手不足がますます逼迫し、女性宮家の創設案まで現実味を帯びてきた。バッシングに負けこの結婚をあきらめて、安倍元首相じゃないけれど、自分の一生をこんな人たちのために捧げるの? と眞子さんが絶望したくなってもおかしくないだろう。
眞子さんがこの状況から脱出するためには、極めて運よく捕まえた、類まれなる鈍感力を誇る小室クンと結婚する以外に道はないのだ。
■人を幸せにしないシステム、皇室 今、得意満面で眞子さんと小室クンを叩いている人たちに聞いてみたいことがある。
皇族って苗字ないの知ってる? 皇族って住民票がないって知ってる? 皇族には選挙権も被選挙権もないの知ってる?
つまり、皇室に生まれてしまった人には(嫁いでしまった人にも)、日本国民が当然のこととして享受している基本的人権も、そして民主主義国家の最重要権利である選挙権もないのである。 (その割に相続税は払わされているらしい)
これって差別じゃないですか?
あの極左文学者の中野重治も戦後書いた小説の中で主人公にこう語らせている。
昭和天皇は最期まで戦争中、「天皇陛下バンザイ」と叫んで死んでいった夥しい数の人のことを忘れなかった。その人たちを記憶にとどめるために樹を植え続けた。
平成天皇は敗戦後に廃止されかねなかった天皇家という「イエ」を護るために皇室の存在意義を熟考し、美智子妃と二人三脚で被災地をくまなく訪ね、世界の戦場で亡くなった兵士たちの鎮魂を祈っては、戦後の皇室を再構築した。
そして令和。
今上天皇時代の最大の特徴は、皇嗣家である秋篠宮家と一体であるということだろう。皇太子不在かつ病弱な皇后という現状では、重要な公務を分担できるのは弟の秋篠宮と紀子妃しかいない。そして次世代の皇嗣は秋篠宮長男である。
そんな状況下で、もしも今回のチャンスを逃したら、眞子さんは永遠に皇室の中に閉じこめられ、皇室という「イエ」の一員として、それを守るための一兵卒として、一生を捧げなければならない可能性がとても高かったのだ。しかも皇室に留まるかぎり、トルネードのようにいつ発生するか予測不能の世間からのバッシングからも永遠に逃れられない。
だから、眞子さんが世間並みの幸福という切符を手に入れるたぶん最後のチャンスが、小室クンだったんだと思う。
■女系天皇も女系宮家もなくていい。 こういう諸々がしっかり頭の中に入っていた眞子さんはあらゆる困難に立ち向かい、初志貫徹してぎりぎりセーフでアメリカ行きを決め、皇室離脱のチャンスをものにした。
次は佳子さんと愛子さんの番だ。
二人がもし今回の眞子さんのようなバッシングに遭ったらと考えると、今からおばさんはいてもたってもいられない気持ちになる。どんな若い女性にもそう願うように、自分の生まれや運命に悩みながら、それでも前進していこうとしている彼女らの前途を、静かに見守り幸福を願っていたい。眞子さんのような酷いバッシングを受けず、愛する人と出会い穏やかな生活を送れますようにと祈ってやまない。
この気持ちは娘をもつ親である今上天皇や秋篠宮も同じだろう。
決して間違えてはいけないのは、彼女たちは自ら進んで注目を浴びる道を選んだ有名人とは違い、たまたま皇室に生まれてしまっただけの女性たちなのだ。
皇嗣に生まれてついてしまった悠仁さんもお気の毒だとは思う。けれどこれはすでに法律で決まっていて、法律が変わらない限り彼に皇室を出る権利は与えられない。逆に佳子さんや愛子さんには、結婚をせずに皇室にとどまる自由も、結婚をして住民票も苗字も選挙権ももつ普通の女性になる自由が、今のところはまだ保証されているのだ。
だから私は、女性天皇も女系宮家もなくていいと思っている。
人を幸福にしない天皇家というシステムをこれからどうしていったらよいか、当事者である現天皇陛下と秋篠宮氏はよくよく考えられていることだろう。しかし彼らに決定権はない。
個人的には、現在、大方の日本人が自分の「イエ」がいつか消滅してしまうのはやむをえないと考えているように、天皇陛下も秋篠宮も考えていらっしゃるのではないかと推察している。
何といっても天皇家は私たち日本国民の象徴、代表であるのだから。
2021.08.30 Monday
孫さん、あなたのビジョンをもう一度見せてください。
■絵に描いたような悪徳会社:ディディ アリババに次ぐ史上2番目の規模の大型IPOと呼ばれて今年6月30日にニューヨーク株式市場に上場した中国配車サービスのディディ(滴滴出行)。
一時は18.01ドルの最高値をつけたものの、翌週7月4日には個人データの収集と利用に重要な違反があったと中国当局が発表して同社のアプリのアプリストアからの削除を命じたため株価が大暴落。現在は8ドル前後と低迷を続けている。 (禁止されたのは新規ユーザーのアプリダウンロードのみで既存顧客は引き続きサービス利用可能)
最初にこのニュースを聞いたときは、アリババやテンセントと同じく共産党内部の権力闘争で習近平が生き残るためのみせしめのためかと思ったのだが、先週のニューヨークタイムズの記事を読む限りではどうも違うらしい。
というか、このディディという会社、かなりとんでもない会社のようなのだ。
どのくらいとんでもないかというと、
・ライバルを潰すためなら社員を使って平気でウソの予約を入れまくって営業妨害し、 ・最大のライバルだったウーバーのドライバーには「ウーバーが中国から撤退することになったからうちで働くように」とウソのメッセージで引き抜きにかかり、 ・ウーバーが撤退を余儀なくされると丸抱えでそのビジネスを買い取ってドライバーや技術を手に入れ、 ・ドライバーによる暴行殺人事件が連続して起きたにもかかわらず再発防止に真剣に取り組まず、 ・被害を受けそうになった女性がカスタマーサービスに電話をかけても真面目に対応する気配を見せず、 ・安全を担保する法令も無視して守らず、ドライバーが警察に捕まるとドライバー個人に罪をなすりつける、
と、この記事の情報が正しいとすれば、まさに絵に描いたような悪徳企業なのである。
それでもディディがここまで成長してこれたのは、配車サービス分野で中国政府が外資に代わる中国企業を育てたいと考え、たいていのことには目をつぶってきたからとニューヨークタイムズ紙は書いている。
ただしその我慢もここにきて限界になった、ということらしい。
■インドの有名スタートアップ、オヨもご同類 ここまで読んできて、はて、どこかで聞いた話だよなー、と考えていたら思い出した。 そう、こちらもインドで急成長してきたホテルチェーンのオヨ(Oyo)。
やはりニューヨークタイムズの昨年のこの記事によると、
2013年に若干19歳の学生だったアガルワル氏が設立したオヨは短期間で急成長。またたく間に世界80カ国に120万室以上の客室を擁し、2万人以上の従業員を抱える一大ホテルチェーンにのしあがった。
しかし、その実態はというと、宿泊業許可を得ていないホテルや民泊レベルの客室を提供して、摘発されると警察や役人に賄賂をつかませ、ホテルホーナーにはなんだかんだ理由をつけて支払いをできる限り遅らせ、やっと支払ったかと思うといろいろ理由をつけて差し引いた金額しか渡さず、元従業員からは「組織風土が有害」とまで言われるレベル。
この記事が発表された2020年1月の時点ですでに、セコイア・キャピタルとライトスピード・ベンチャー・パートナーズという大口出資者でアメリカ有数のベンチャーキャピタルが出資を縮小しているが、その後ホテル業界を直撃したコロナ禍でさらにダメージ拡大。
さらに別の記事によると、今年7月には借り入れにより債務の返済を行うという自転車操業に陥っている模様。 (記事中ではマイクロソフト社が500万ドルを出資と大きく扱っているが、5億5千万円なんてマイクロソフトからしたら塵のような金額でとても本気で出資しているとは思えず、単なるおつきあいだろうと推察する)。
現在はといえば、お膝元のインドではホテルオーナー離れが急速に進み、日本や中南米事業からも実質的に撤退した他、従業員も数千人単位で解雇しているそうだ。
というわけで、オヨもディディにも負けず劣らずこれまでの悪行が身に報い、の結末を迎えそうな予感いっぱいの会社である。
■孫さん、その投資先は本当に大丈夫ですか? さて、上記2つの悪徳会社に共通するのは何だろうか?
答えは、孫正義率いるビジョン・ファンドはじめソフトバンクグループが巨額の投資をしているということ。ざっと調べたところでは、ディディには1兆円以上、オヨにも2千億円近くを出資しているとされている(合弁事業も入れるとオヨにはもっとつぎこんでいそうだが)。
やはりソフトバンクが1兆円以上の投資(支援も入れると2兆円以上)をした米ウィーワーク社が犯罪的経営者(と呼んでもいいと思えるほどの悪辣さ)アダム・ニューマン氏の経営により、企業価値470億ドルから2019年にはわずか80億円ドル(8,800憶円)の評価となり、それ以降も赤字を垂れ流し続けている現状を見ると、このままいけばディディやオヨも投資額を回収できるのは難しい状況であり、最悪のケースでは倒産もありうるのではないかと邪推してしまう。
この現実を見る限りでは、孫さんやソフトバンクが投資先の選定にあたり、企業のコンプライアンスや経営者の資質も含めた詳細な調査を行っているとはとても思えない。
TikTokを擁するバイトダンスがアメリカの標的になったり、アリババグループのジャック・マーが行方不明になっていたりと、ソフトバンクグループが大規模出資している会社や経営者に暗い影が落ちている現在、特に中国では、ただ成長しているから、利益が出そうだからという理由だけでやみくもに投資するのは非常に危険だろう。(孫さん自身も先月時点で中国への投資は当分見合わせと発言している)
彼が20代の頃から尊敬するビジョナリー経営者として孫さんの動向を見続けてきただけに、今のソフトバンク投資のビジョンなきビジョンを見ていると慙愧に耐えない。
孫さん、その投資先は本当に大丈夫ですか? その投資で世界は良い方向に変わりますか?
もう一度原点に戻って、孫さんの描くビジョンを見せてほしい。 2021.01.05 Tuesday
アリババ創業者ジャック・マー氏失踪事件の背後にあるもの。
アリババの創業者ジャック・マー氏が失踪したそうだ。 「そうだ」というのは、 10月後半に公の場に姿を現した後消息がまったく聞かれなかったにもかかわらず、 2ヶ月以上が経過した昨日になって一斉に世界のメディアが報道したからだ。
いま振り返れば、コロナ禍のまっ最中に超大型案件と期待されていたアリババグループ傘下のフィンテック企業アントの上場が、昨年11月直前にキャンセルされた時も様子がおかしかった。すでに新株入手の払込まで済ませたという人々に払い戻しまでしての上場中止という前例のない事態で、しかも総責任者であるマー氏の事情説明さえなかった。
それが昨日になってやっとウォールストリートジャーナル紙がこんな記事を発表。
おそらく金融関係者は早くから事情を知った上で、共産党政府を恐れて記事にすることができなかったのだろう。とすれば、マー氏の失踪にしても業界内では周知の事実で、昨日になって何らかの中国政府の許可をとりつけて記事にしたと考えるのが自然だ。
おりしも2021年の米株式市場開始直前。昨日のNY株式市場のアリババグループ株価は、昨年末と比較して2.1%安の227.85ドルとなった。
世界的に影響力を持つ実業家の失踪という事実にとどまらず、それをマスコミが報道するタイミングまでコントロールされる国、それが中国だ。
この顛末を見ていて既視感を感じたのは、2018年9月に中国 eコマース2位の JD 創業者劉強東氏がアメリカ出張中にわいせつ行為を働いたとして逮捕された事件。
劉氏は2015年に米留学中に知り合った19歳年下の女性(中国では「ミルクティーの妹」という愛称で親しまれ、可憐なルックスながらJDのファッション部門を率いる剛腕経営者でもある)と結婚したばかりだった。
案の定、わずか16時間後に釈放。その後も有罪になったという話は聞いていない。
しかし、会社の業績と同じく右肩上りで上昇していた株価は以前の最高値の半分以下に落ち込んだ。それから2年が経過した現在では当時の価格の4倍以上をつけており、この暴落と暴騰により莫大な利益を手中に収めた投資家が存在しているのは明らかだ。
同年7月には一代にして海南航空を中心としたコングロマリットを築き上げ、世界で170番目に大きい企業集団にまで成長させた HNA グループ総裁王健氏が出張中のフランスで事故死。 仕事で滞在していたはずなのに、なぜかプロヴァンス地方の鄙びた村に向かい、写真を撮ろうとして登った15 mの高さの岩から落ちて死亡と言う不可解な事故だった。
この事件後、海南島は中国観光の目玉スポットとして開発が加速し、混迷が続く香港の代替地として金融・貿易機能を担う経済特区に指定されるなど、さらなる経済成長が見込まれている。
昨年11月には、過去に中国最大の私企業に挙げられたこともある河北民企大午農牧グループの創業者の孫大午氏が家族や幹部20人以上とともに逮捕され、会社は政府が没収。
孫氏は長く人権派の弁護士らを支援しており、地元の人々の福利厚生のために会社の利益を還元してきた篤志家だった。これらの活動が共産党の逆鱗に触れたため、以前にも逮捕歴があり競合する国営農場との小競り合いが続いていたという。
この他にも習近平のコロナ対策を批判した不動産王の任志強が逮捕され禁固18年の判決を受けたり、ITを中核に南京福中グル―プを築き上げた楊宗義氏も逮捕されたりと、いちいち挙げていけばきりがないほど、大成功を収めた起業家たちが一夜のうちに全てを失う事態が中国では続いている。
一般的に彼らのような実業家たちは、政治的に党の方針に反したためその地位や富を剥奪されたと考えられているが、その一方で彼らが失脚した後に巨万の富を得る機会が一部の人々に与えられてきたという事実も見逃せない。
「 中国で大成功した実業家は共産党幹部の鴨にすぎない。 太るだけ太らせた後にフォアグラを食べるのは彼らだ」という主旨の文章を読んだことがある。
中国株式や中国市場に投資している方々は特に、センセーショナルな政治劇の裏でこれらの起業家たちが築き上げてきた富の行方も注視していく必要があるだろう。
| Yuriko Goto | - | 18:48 | - | - |
2021.01.02 Saturday
書評:”The Practice" オーディブル版 ~ クリエイティブな仕事をしたい人のための45か条
amzonオーディブルを始めた。
記念すべき第一冊目はSeth Gordin著”The Practice"。
英語の本にしたのには理由がある。
日本語の本と違い、英語の本を読むには時間と忍耐力が必要だ。
わからない単語は辞書で調べなければならない。Kindle本だと単語が内臓辞書に直結しているので多少は速いけれど、それでも本文から辞書に跳ぶことで思考の流れがいったん中断される。元の文脈に戻るまでに時間がかかる。そのためのエネルギーも必要だ。
まだ語彙力が少なくて日本語の本が自在に読めていなかった、でも大人が読む本を読みたくてしかたなかった自分の小学校高学年や中学生の頃はどうだったかというと、もちろん辞書は引いたけれど、知らない語句が出てきてもけっこう飛ばし読みをしていた。テレビやラジオでも同じ。
つまりオーディブルは(英語ネイティブでない人たちにとって)そういうものだと考えればいいのではないか?
母語の日本語と違い、ほとんどの人にとって外国語の本は100%意味が正確に把握できるわけではない。また、テレビやラジオと同じで100%それに集中できるわけではないので聞き逃すところも出てくる。
でも、何かをしながら(私の場合は1日1万歩を目標にしているウォーキング)聴くことができるし、テレビやラジオと違い気になったり理解できなかったと感じた個所を何回も聴き直せる。
何より良いのは、自分で読むのと違って途中で投げ出すことなく最後まで読み上げてくれるところだ。つまり、苦行のような忍耐をしなくても、100%完璧にわからなくても、とにかく英語の本を読み終えることができるのがオーディブルの最大の利点といっていいと思う。
Podcastもそのあたりの感覚は同じ。そもそもこの本を購入した動機もこのPodcastの番組だった。 Design Matters with Debbie Millman: Seth Godin on Apple Podcasts
このインタビューによれば、ゴーディンさんのブログのポストはすでに7,500記事にのぼるそうだ。毎日休まず書いたとしても20年以上続けているわけで、驚異的な持続力というしかない。
クリエイティブワークに限らず何事にも通じる黄金律ではあるが、効果が出るまであきらめずに続けること(ブログでもPodcastでも初期の読者や視聴者はせいぜい5人とゴーディンさんは断言する)は成功の鉄則だ。
歴史上どんな高名な野球選手でも打率は3割代。つまり6割以上は失敗している。逆に言えば3割のヒットを打つためにはヒットしない6割の打席に立たなければいけない。成功者とそうでない人の違いは(アメリカの大新聞で作品を発表している漫画家に喩えて)この6割にあるのだ。
この本の副題の「Shipping Creative Work(クリエイティブな仕事を発表すること)」にあるように、本書のテーマはブロガーや、ユーチューバーや、デザイナー、漫画家等々、クリエイティブな仕事をしたいと考えている無名な人たちが、それで生計をたてるためには何をしたら良いかというアイディアとヒントを提供してくれる。
ゴーディンさんはマーケティング本の著作家及びセミナー講師として世界的な名声を博しているが(すでに著作が20冊もありその多くが邦訳されている)、世界的ベストセラー作家の彼が必要だと言う読者はたったの1万人。
これだけの固定ファン(読者やセミナー受講者)がいれば生計がたてられる。万人受けする必要はない。だから、自分の仕事にとって重要だと考えることを批判を恐れずに追及しろ、というのがこの本の最初から最後まで一貫する彼の主張だ。
私のような弱小ブロガーにとっては誠に有難い啓示である。
さらに彼が繰り返し説くのは、決してクオリティを落とすな、ということ。
クオリティを落とさず自分の作品を作っていくには、良いクライアントをみつけること。良いクライアントは要求が厳しいので自分の仕事のレベルを引き上げてくれ、さらにその仕事に対する報酬も高い。クラウドワークで時給3ドルの仕事を発注するクライアントの仕事をしていたら、いつまでたっても自分の仕事のレベルは時給3ドルにとどまるしかないだろう。
どちらを選ぶかはその人の決断による。
その他にも多くの示唆や気づきを与えてくれる本だった。前出のPodcastのホスト、Debbieさんはamazonの2つのアカウントを使って2冊分を購入し、メモのハイライトを全体を23%したという。
彼女が特に感銘を受けたというある章「45 ways we sacrifice our work to our fear(恐れを克服するための45か条)」には、「他人がそれを発展させることができるような作品は発表するな」「インスピレーションを得たときにだけ仕事をしろ」「完璧主義と質を混同しろ」「最先端の知識からは一歩遅れろ」など、少し違った角度からのアドバイスも大量に含まれていて考えさせられる。
新年のこの時期は1年の計画をたてるとき。私の今年の目標にはオーディブルでもっとたくさんの英語の本を読むことも入れた。約5時間半で聴き終えられるこの本は、新年の目標をたてる際の良い参考書になるだろう。 |
+ PR
+ SELECTED ENTRIES
+ CATEGORIES
+ ARCHIVES
+ MOBILE
+ PROFILE
|
(C) 2024 ブログ JUGEM Some Rights Reserved.
|
PAGE TOP |