ASIAN NOMAD LIFE

日本、香港、中国で生活・仕事をしてきてシンガポール在住8年目。
個人情報をめぐるFacebookの姿勢の根底にあるもの
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    Facebookの個人情報流出事件が混乱を極めています。

     

    当初は5,000万人と見積もられていた流出個人データが、本日の報道によると8,700万人まで拡大。ザッカーバーグCEOが11日に開かれる米議会の公聴会に証人として出席することも決定しています。

     

    なぜこれほどまでに事が大きくなってしまったのか?

     

    その理由はFacebook社という会社がもつDNAのせいであり、今回の事件は起こるべくして起こったような気がします。

     

    というのも3月のほぼ1か月、Facebookの子会社であるInstagramに新しくアカウントを作り、実験的にある商品の販促をしてみたところ、個人情報をふんだんに分析して使っている様子が見てとれたのです。

     

    Facebookでも同じですが、InstagramではまずFacebookの友達やスマホに登録されている連絡先をマッチングさせて、フォローするアカウントを勧めてきます。同時に、アップした写真や個人情報に基づいてと推測しますが、世界中のありとあらゆる国からフォローすべきアカウントを探し出しこちらのアカウントも拡散していくのです。

     

    勧められたりフォローされたのはたいていは私が販促しようと考えていた商品と関連したアカウントでしたが、何がヒットしたのか、一日中ひっきりなしに自分のセルフィ―をアップするアメリカの小学生や、上半身の筋肉を見せびらかす20代男性と思われるアカウント、ロシア語びっしりで何が書いてあるのかさっぱりわからないアカウントなど、なぜこのような人たちにフォローされるのかまったく不明なものも少なくありませんでした。

     

    映画『ソーシャルネットワーク』では、ザッカーバーグCEOがFacebookのアイディアを思いついたハーバード大学時代のことが描かれています。

     

    Facebookの原型は女子学生を比較して好きな方を選ぶという単純な人気投票サイトでした。しかしこの時点で女子学生の写真はハッキングで盗んだものですし、たちまち人気になったこのサイトを利用した男子学生たちも彼女たちの顔にとどまらず、性格や生活などについて言いたい放題。この頃からすでにザッカーバーグCEOの頭の中には「プライバシー」などという感覚はなかったようです。

     

    他の企業はどうでしょうか?

     

    Amazonも確かに過去の購入履歴を元にさまざまな商品を販促してきますが、ある商品のレビューを書いてもその内容を分析して関連した商品の情報を取り出している様子はみえません。

     

    Googleとなるとさらに徹底しており、無料の販促ソフトを使っている際に自社の広告利用を控えめに勧めることはあっても、それ以外の個人情報を使っている形跡はまったくありませんし(私はメールや写真ストレージを含めGoogleのヘビーユーザーです)、むしろ利用者の便宜を図って他社のサービスへ関連付ける機能が非常に多いことによく驚かされます。

     

    その技術力とデータ蓄積力をもってしたらAmazonやGoogleがFacebook社よりもっと露骨にセールスプロモーションをしてきても不思議ではないのですが、3社の中でFacebook社だけにこの傾向が非常に強いのです(LINEはほとんど使っていないのでわかりませんが)。

     

    学生が軽いノリで他の学生の噂話をしそれを臆面もなくサイトで拡散してしまう。

     

    これがFacebook社の出自であり個人情報に対する姿勢であったわけですが、そのDNAは残念ながら現在に至るまで脈々と受け継がれてきたようです。

     

    ただ、現実にはこのようなノリやつながり方が大好きな人たちが多いのも事実。彼らが自分自身の個人情報というものに対しどこまで流出を許容できるかが今後のFacebook社の行く手を左右する気がします。

    | 後藤百合子 | 世界経済 | 22:54 | - | - |
    米ハイテク株は買い時か?
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      Facebook社の個人情報漏洩問題に端を発し、米ナスダックの優良企業株価が大きく下落しています。

       

      特に火元のFacebookとGoogleのアルファベットは下げ幅が大きく、Facebookは今年1月の最高値と比べると20%以上の下落、アルファベットも約15%下がっています。

       

      アップルはけっこう株の値動きが激しい企業なので、現在の下げ幅は平常運転と言える範囲かもしれませんが、ここ数年、ずっと右肩上がりを続けてきたAmazonもいったんお休みという感じ。

       

      しかし、おもしろいのはこれだけ下げても、どの企業も最長で半年前くらいの株価までしか下がってないんですね(Facebookを除き)。それだけ短期間で大幅に値上がりしてきたわけです。

       

      しかもテクノロジー企業なので、製造業などと違って投資の実態が非常にわかりにくい。今、持っている機械や工場を売却したらいくらになるのか、という目に見える資産から企業価値を測る計算が非常に難しいからです。

       

      ソフトウェア開発はやたらとお金がかかりますが、それを使ったサービスが世の中に受け入れられてグローバルスタンダードになってしまえば莫大な利益が期待できます。しかし、世界中のユーザーが満足するサービスを提供し続け、ライバルに水をあけ続けるためにはさらに資本投下してソフトウェア開発をしなければならず、永遠にこのイタチごっこが終わりません。

       

      このためこれらの米ハイテク企業4巨頭は、アップルを除き、株主に配当せずに利益をすべて開発投資に回してしまっているのです(米株式に詳しい方には常識ですが、最初知ったとき目が点になりました。アップルと同程度の社歴をもつマイクロソフトは普通に配当しています)。


      配当がないといういうことは、株主の保有目的はキャピタルゲイン、つまり株価が上がることに尽きます。そのため上げ幅も下げ幅も大きくなるのでしょうが、この異常な高騰がどこで止まるのかは誰にもわかりませんし、まだまだ適正価格になっていないと指摘する人もいます(仮想通貨と違って投機でないのは現実にお金を生む事業があることですが、その事業の将来評価で意見が分かれるようです)。

       

      株式についてはもうそろそろ下げ始めるだろう、という悲観論も出始めているいっぽう、株式市場と密接な関係がある不動産市場は世界的にまだまだ勢いがあり、底堅い経済成長が続く東南アジアから南アジアの金融センターであるシンガポールでは、市場は不安定だが強気の姿勢を崩さない、というところがメインストリームのようです。

       

      去年の今頃は朝鮮半島問題が世界経済最大の不安要因でしたが、今年はハイテク株の動向から目が離せない展開になっていきそうです。

      | 後藤百合子 | 世界経済 | 19:05 | - | - |
      米、鉄鋼及びアルミニウム関税措置に対する各国の対応状況
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        JUGEMテーマ:国際社会

        JETRO調査によると、米国への鉄鋼及びアルミニウム輸出上位国は下記の通り。

         

         

        上記表内にあって今回、執行猶予措置の対象とならなかった国の対応は下記の通り。

         

        <ロシア>

        WTOへの提訴と報復措置を検討。今回の鉄鋼への関税措置では少なくとも20憶ドル以上の被害を被る可能性と指摘。それに応じた対抗措置を取る予定。http://txbiz.tv-tokyo.co.jp/txn/news_txn/post_151915/

         

        <中国>

        報復措置として約30憶ドル128品目の米国からの輸入製品への課税、鉄鋼管、生鮮果物及びワインに15%、豚肉と再生アルミニウムに25%を発表。https://www.ft.com/content/c0ec2832-2e44-11e8-9b4b-bc4b9f08f381

        また、WTO提訴を予定。http://www.xinhuanet.com/english/2018-03/23/c_137059651.htm

         

        <トルコ>

        もともと価格が安いため大きな影響なく、逆にリラ下落で競争力が増し、米国でのシェアを増やせる可能性もある。

        https://www.reuters.com/article/us-usa-trade-trump-turkey/turkish-steelmaker-considers-u-s-expansion-after-tariff-increase-idUSKCN1GE1EQ

        対USDトルコリラ為替チャート https://jp.investing.com/currencies/usd-try

         

        <台湾>

        今月18日から交渉団を米国に派遣して例外措置を求めていたが、台湾出荷製品の一部に中国製の疑いありと指摘される。例外措置を受けるための交渉継続。http://focustaiwan.tw/news/aeco/201803240005.aspx

         

        <インド>

        今月13日にWTO加盟24か国の官僚をニューデリーに集めて非公式協議。インドの鉄鋼及びアルミニウムの米国輸出は合計15億ドル程度とたいした額ではないが、これが薬品等の先例になる可能性があると政府関係者は憂慮。ただし、まだWTO提訴に踏み切るところまでいかず「安全保障面で重要な国」認定をめざしたほうがいいという意見の官僚も。https://www.ft.com/content/8627370a-2818-11e8-b27e-cc62a39d57a0

         

        <アラブ首長国連邦>

        関税措置は米国の自動車産業に悪影響を与えると指摘。影響を最小限に抑えるよう政府が米政府と交渉を進めており、今後もアルミニウムの輸出と例外措置の交渉は継続。https://www.thenational.ae/world/the-americas/uae-expected-to-quietly-mitigate-impact-from-trump-s-new-aluminium-and-steel-tariffs-1.711689

         

        <バーレーン>

        米国の高名な法律事務所と契約して米政府に対しロビー活動を開始。中東の安全保障問題も交渉カードに。https://www.al-monitor.com/pulse/originals/2018/03/bahrain-lobby-against-trump-aluminum-tariffs.html

         

        <カタール>

        不明

         

        <南アフリカ共和国>

        例外措置への要請拒否について遺憾及び、米政府との交渉継続を表明。http://www.xinhuanet.com/english/2018-03/24/c_137061084.htm

         

        <ベネズエラ>

        不明。ただし、この10年でベネズエラボリバルはUSドルに対し約1/10に下落。http://www.xe.com/ja/currencycharts/?from=VEF&to=USD&view=10Y

         

        <日本>

        今回の措置発行を受けての公式な外務大臣談話はなし(3/9のみ「遺憾」「今後適切に対応」とコメント)。http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/danwa/d_gaimu.html

         

        中国による知的財産権の侵害を理由にする制裁措置については、麻生太郎財務相は、内容を精査するとともに「米国の動向を注視する」と語った。河野外相は「米国の懸念は日本も共有するところがある」としながら「世界貿易機関(WTO)に反する措置にならないよう注視する」と述べた。世耕経産相は一般論と断った上で、技術情報の開示要求や知財侵害などの市場わい曲的措置は「日本にとって深刻な懸念だ」と指摘した。 3/23付日経新聞

        | 後藤百合子 | 世界経済 | 12:23 | - | - |
        暮らしたいのは「生活の質」と「幸福度」が高く、生活コストが低い国
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          JUGEMテーマ:幸せなお金と時間の使い方

          <フランクフルトの欧州中央銀行広場>

           

          幸福度生活コストと、世界の都市や国のランキングをご紹介してきましたが、本日は「生活の質」のお話。

           

          マーサー 2018年世界生活環境調査(Quality of Living Survey)‐都市ランキング 」は、やはり国際企業が駐在員の諸手当や待遇などを決める際に利用している調査で、調査対象項目は下記の通りになります。

           

          1. 政治・社会環境(政情、治安、法秩序等)

          2. 経済環境(現地通貨の交換規制、銀行サービス等)

          3. 社会文化環境(メディアの利用、検閲、個人の自由の制限等)

          4. 健康・衛生(医療サービス、伝染病、下水道設備、廃棄物処理、大気汚染等)

          5. 学校および教育(水準、およびインターナショナルスクールの有無等)

          6. 公共サービスおよび交通(電気、水道、公共交通機関、交通渋滞等)

          7. レクリエーション(レストラン、劇場、映画館、スポーツ・レジャー施設等)

          8. 消費財(食料/日常消費財の調達状況、自動車等)

          9. 住宅(住宅、家電、家具、住居維持サービス関連等)

          10. 自然環境(気候、自然災害の記録)

           

          安全で衛生的、環境が良くて、住宅や教育、病院、交通機関などのインフラが整っていて、政治的にも安定。つまり、人なら誰しも「住みたい」と思えるような都市です。

           

          さっそくですが、上位10都市の順位は下記の通り。

           

          1 ウィーン (オーストリア)

          2 チューリッヒ (スイス)

          3 オークランド (ニュージーランド)

          4 ミュンヘン (ドイツ)

          5 バンクーバー (カナダ)

          6 デュッセルドルフ (ドイツ)

          7 フランクフルト (ドイツ)

          8 ジュネーブ (スイス)

          9 コペンハーゲン (デンマーク)

          10 バーゼル (スイス)

          10 シドニー (オーストラリア)

           

          非常に興味深いのは、ウィーン、チューリッヒ、ミュンヘン、デュッセルドルフ、フランクフルト、ジュネーブ、バーゼルとドイツ語圏(またはドイツ文化の影響を受けている)の都市と、オークランド、バンクーバー、シドニーとアメリカ合衆国を除く環太平洋の英語圏の都市で9割と、ほぼすべてを占めていること。

           

          10位圏外をみていくと、シンガポール25位、サンフランシスコ30位、ボストン35位、ホノルル 36位、シアトル 44位、ニューヨーク 45位、そして犯罪率が高いロサンゼルスは64位。東アジア圏は、日本が東京 50位、神戸 50位、横浜 55位、大阪 59位、名古屋 64位。韓国・中国圏は、香港71位、ソウル79位、台北84位、上海103位、北京119位となっていて、やはり幸福度調査と似たような順位です。

           

          幸福度調査の考察で私が行った大まかなグループ分け順位と違うのは、自然環境が厳しいせいか中東の国々は相対的に順位が低くなっているのと、南米の国々が犯罪率の高さや交通、環境などのインフラ面からアジア発展途上国並みになっているところ。

           

          その国で生まれ育った人にとってはたいして気にならなくても、駐在員にはこたえるということかもしれません。

           

          以下は、この3調査で入手できたデータを表にまとめたものです。

           

           

          スイスやコペンハーゲンなど生活の質が高い都市は生活費も高いですが(ヨーロッパでは生活費は駐在員も一般の国民もあまり変わらないと思いますが、シンガポールは前回も書いたように駐在員と国民の生活費はまったく違います)、同じ上位に入っていながらもドイツやオーストリアは、他の北欧諸国やスイスと比べても比較的生活コストは安いです。

           

          最近は随分高くなってしまったとはいえ、カナダやオセアニア2国も物価は北ヨーロッパやアメリカの大都市に比べるとまだまだ生活コストが低く、人種差別も比較的少ないため移民先として人気が高い国。英語圏ながらアジア人など有色人種の人口に占める割合が高く、住み心地が良いようです。

           

          「衣食足りて礼節を知る」ではないですが、いろいろな国を見ていると、まず産業の発展があってある程度社会的なマネーストックができると、社会インフラや文化・教育などへお金が流れていきます。

           

          しかし、そのような社会的資産を維持・発展させていくには継続的に一定の資金が必要になりますので、どの国も知恵を絞ってさらなる産業振興策を考えたり、海外から資本や移民を受け入れたりしながら、自国民の進むべき方向性を探っているのだと思います。

           

          そんな政策や国民の意思決定が正しいかどうかは、この3調査を継続的にみていくことによってある程度検証可能ではないでしょうか。

          | 後藤百合子 | 世界経済 | 13:12 | - | - |
          人は多きに流れる。〜 マラッカで都市化を実感
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            JUGEMテーマ:国際社会

            2005年版の『国連世界都市化予測』報告(UN World Urbanization Prospects)によれば、20世紀は世界人口の急速な都市化を見た時代であった。1900年に2億2000万人(世界総人口の13%)だった都市人口は、1950年には7億3200万人(世界総人口の29%)に、2005年には32億人となり、世界人口の49%が都市に住むようになっている。同じ報告書によれば、2030年には都市人口は世界人口の60%(49億人)となっていると予測されている。 −−Wikipediaより

             

            昨日も一日中、マラッカのあちこちをうろついて、深夜近くにシンガポールに戻りました。

             

            一昨日と同じく、マラッカ市内は新しくできたビルやショッピングモールだらけで、数年前にぽつぽつでき始めたときには夫と「こんなとこにこんなに作っちゃって大丈夫かね?」と言い合っていた街から少し離れたモールにもテナントがちゃんと入っていて、改めてマラッカの都市化の進行状況がわかりました。

             

            Wikiによると、マラッカの2014年失業率は0.9%。2.1%のシンガポールもあっと驚く低失業率で、最大の産業である観光を含むサービス業と並んで製造業(マラッカは食品製造業の集積地としても有名)も高成長しています。

             

            これだけ失業率が低い=職がたくさんある、という状況ですと当然、あちこちから人が集まってきます。

             

            2000年から2017年までのマレーシア全体の人口増加率は2327万人→3192万人で37%増(すごい)なのに比べて、マラッカは63万人→91万人と44%増(もっとすごい)なので全国平均を20%近く上回っています。

             

            伝統的に外国人や外国資本を受け入れてきた実績も相まって、経済は順調(海岸近くは中国系ディベロッパーが埋め立てして不動産開発中)。

             

            2014年の州への投資総額44億リンギット(約1188億円)のうち4割にあたる18億リンギット(約486億円)が海外からの投資だそうで、州政府も余剰資金が潤沢。国に貸し付けもしています。

             

            外国から投資を呼び込む→仕事が増える→他の地域から人が集まる→増えた人のために不動産やサービス業などに投資が行われる、という好循環はまるでミニ・シンガポールのよう。

             

            冒頭の国連世界都市化予測のように、今後、ますます都市化が進んでいくであろうマラッカを歩きながら、水は低きに流れるけど、人は多きに流れるものであるな、と実感したのでした。

            | 後藤百合子 | 世界経済 | 23:43 | - | - |
            ブランド価値の意味、10年後。
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              JUGEMテーマ:ビジネス

              今年はけっこう長かった旧正月休みがやっと終わって学校が始まったと思ったら、小3の娘があるものに憑りつかれてしまいました。

               

              それは「光るスニーカー」。お休み中に同級生の1人が上海旅行をした際に買ってきたという、LED電球つきで歩くたびにぴかぴか光るスニーカーです。

               

              どうしてもこれが欲しくなってしまった娘は「そんなもの買いにわざわざ上海まで行くわけないじゃん」と母に一蹴されたのにもめげず、あちこちで聞きまくって市場調査を開始。シンガポールでも近所のショッピングモールの靴屋に行けば買えるという話を別の友人から聞き出してきて、先週末、晴れてモールに入っているあるブランド靴店に行きました。

               

              ところが、お目当ての靴のお値段は$89(約7,000円)。手持ちは$50(約4,000円)のみ(お年玉の残りは強制的に貯金させられた)。これでは買えないということであきらめるかと思ったら、今度はしつこくシンガポールの裏原宿、Bugisでも買えると誰かが言ってたと主張。あまりにうるさいので根負けしてごちゃごちゃのショッピングモールに行ってみたら、確かに$45(約3,600円)で売ってました。もちろん値切って$40で購入。結果的にブランド店の半額以下で購入できたことになります。

               

              品質はどちらもほぼ同じ。メイド・イン・チャイナで、何回かチャージするうちにどうせどちらも壊れるでしょう(数回で壊れたらもちろんクレームつけに店に行きます)。で、その頃には娘もだいぶ飽きていると思うので、元は取れている。

               

              娘にとって大事なのは「光る」という機能であり、ブランドというイメージではない。ブランド品のほうが光る機能が強いかといえば、若干はあるかもしれないけれど、たいした違いはない。

               

              いろいろ考えるだに、やはり倍以上のお金を払ってブランド品を買う必要はないな、という結論に至りました(すでに購入はしているので考えただけですが)。

               

              閑話休題。

               

              もう20年以上前の話になりますが、香港で仕事をしていた頃、深圳のある縫製工場に行ったことがあります。

               

              この工場にはいくつかのラインがあり、当時、1つのラインではユニクロがビジネスモデルとした香港の低価格カジュアルブランド、ジョルダーノのポロシャツ、隣のラインでは米高級カジュアルA社のポロシャツを縫製していました。

               

              同じ工場ですから、若干のスキルの違いはあれ、ミシンを踏んでいる工員さんも管理する社員も同じ。生地や付属品などの材料もメーカー支給品を除けば工場手配ですから、やはり若干の品質の違いはあってもたいして変わらない。ポロシャツですからデザインの違いもほぼなし。ですから工場出荷価格はほぼ同じです。

               

              しかし末端の小売価格は下手をすると10倍近く違います。

               

              この値段の違いは何か?

               

              やはりブランドでしょう。同じポロシャツでも胸に入っているロゴマークによって、それを見る人の喚起するイメージが違う。そのためだけに、メーカーは巨額の広告費を使ってブランドイメージを作り上げ、コストに見合った価格を商品につけるのです。

               

              Apple社の「Apple」は世界で一番価値あるブランドと言われますが、i-phoneをはじめとする商品コンセプトや性能、機能に優れる以外に、やはり「Apple」という言葉から連想される若々しさ、先進性、自由、高品質、偏見のなさ、などなどのイメージは、商品そのものというより、Apple社がこれまで費やしてきた広告費とその広告によるところが大きいと考えます。

               

              現在もSNSを開くとApple社の広告は頻繁に目に入りますが、同じくらいの量でサムソンや他の中国メーカーのスマホ広告も入ってきます。しかも私のようなおばさんと違い、娘の世代が一番よく開くSNSは動画サイトであり、ここでは広告よりもコンテンツを提供するYouTuberの映像のほうが視聴者の購買行動に影響を与えます。

               

              実際、今回の光るスニーカーを買う前も、娘は一日中パソコンの前に陣取っていろいろな光るスニーカーを履いたYouTuberの動画を見比べていました。この時点で「こういうデザインがほしい」というイメージは出来上がっていたのではないかと思います。

               

              これまでのビジネスの定石は、絶対に他社がマネできない機能をもつ「オンリーワン」商品(サービスを含む)を作るか、多少似た商品があったとしても大量の広告でブランドイメージを作って「ナンバーワン」商品にするか、どちらかが正しいとされてきました。前者では販売価格の優位性、後者ではシェア確保による販売数の優位性が期待できました。

               

              しかし、SNSがここまで普及し(いっぽうでこれまでブランドイメージ確立に多大な貢献をしてきた既成メディアが凋落し)、YouTuberをはじめとする多様な価値観の人々が商品価値を決定する時代になると、このような定石が通用しなくなってきています。

               

              これからの時代、ブランドと価格の相関関係、もっといえばブランド価値そのものの概念も進化していくのではないかという予感がしています。10年後が楽しみです。

              | 後藤百合子 | 世界経済 | 10:00 | - | - |
              インダストリー4.0時代のグローバルスタンダードは「性急」
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                本日のブルームバーグニュース日本語版Tweetで、こんなビデオが流れてきました。

                 

                インタビューを受けているのはウーバーCEO。

                 

                今後の交通手段変化のポイントについて「自動運転、電気自動車、シェア」を挙げた後、「万能の自動運転車が完成するのはまだ先の話」とすぐには実現不可能と強調。そして語る今後の目標は、18か月以内に自動運転車を導入(テストではなく公道に)。試行錯誤を重ね、5年後には完璧な自動運転車を完成するというものです。

                 

                自動車メーカーでもないウーバーがここまで自信をもって自動運転を語るのもすごいと思いましたが、何より驚いたのは「まだまだ先になる」という時間がたった5年後だったということです。

                 

                この計画、今年1月に米展示会でトヨタがAmazonやウーバーなどと自動運転で提携すると発表しているようですので、日本企業も積極的に関与しているはずなのですが、人手不足が深刻で問題山積の運輸業界をはじめ国内でいつ頃から自動運転が本格的に導入できるのか、という話題は日本ではほとんど出てきていません。

                 

                2015年の政府発表では、2020年代前半にドライバーつきの自動運転システムを市場化、同後半には完全自動運転システムの市場化を目指すとしているようですが、もしこのペースが変わらないとしたら、ウーバー(=米企業)に5年の遅れをとります。その間には単なる自動運転車を超える技術が出てきていることでしょう。

                 

                昨年はテスラがオーストラリアで世界最大のリチウム電池蓄電設備を100日で完成させる(もしできなかったら建設費をすべて負担する)と豪語し、実際にそれをやってのけました。この例からもわかるように、技術革新の凄まじい競争に打ち克つためには、とにかくスピード、開発も意思決定も実際の生産も、とにかくこれまで以上のスピード感で進めていくことが最重要課題です。

                 

                もしそれをしなければ、すぐに技術は時代遅れになり、誰もその会社の商品もサービスも買ってくれなくなることでしょう。

                 

                シンガポールをはじめ外国人ビジネスマンと話していてよく愚痴られるのは、とにかく日本企業は意思決定が遅い、という話です。本社へのお伺いなど社内の根回しに時間がかかる大企業のみならず、中小企業でもせっかちなワンマン社長がすぐに決めてすぐに動く会社以外は、たいてい「じっくり考えてから」と意思決定に腰が重いのは共通の特徴。考えている間に死んでしまう会社も決して少なくありません。

                 

                いつの時代も技術の進歩は産業構造を変えてきましたが、特にインダストリー4.0の時代に突入した現代では、スピードを制する者がビジネスを制するといっても過言ではないと私は考えます。

                 

                「急いては事を仕損じる」が長く文化の中に根づいてきた日本ですが、「見る前に跳ぶ」くらいの性急さを性急に身につけることこそ、現在の日本のビジネスマンに絶対に必要なことであると思います。

                | 後藤百合子 | 世界経済 | 17:00 | - | - |
                中国メーカーの追い込みでEV時代はもうそこに。
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                  JUGEMテーマ:ビジネス

                  昨日の午後、家の近所でみかけたこのUBERの車、100%電気自動車と書いてあります。

                   

                  メーカーは中国西安にあるBYD社。車業界には詳しくないので初めて聞きましたが、Wikiで調べるとリチウム電池製造で世界第3位、携帯電話用では世界一のシェアを誇るそうで、あのウォーレン・バフェットも出資しているそうです。ダイムラーとEVを共同開発・販売していて、2016年には10万台を出荷。商用に強く、沖縄と京都ではこのメーカーの電気バスも導入されているそうです。

                   

                  おりしもシンガポール政府が先週発表した2018年予算では、来年からの炭素ガス税導入が発表されました。もともと非常にガソリンや車の維持費が高いのに加え、さらにガソリン値上がりとなると庶民としては悩みどころ。

                   

                  シンガポールではCOE(Certificate of Entitlement)という車所有証明書の権利をオークションで売買する制度があり、新車には自動的に10年間有効の証明書がついてきます。我が家では8年前に6年の証明書残存期間つき中古車(=4年落ちの中古車。日産サニーですが約450万円しました!)を購入。10年たったところで証明書を5年更新したので、あと3年でこの車を手放さなければなりません(売ることはできないので、いったん廃車にして業者が海外へ輸出します)。

                   

                  2年前には「もしかしてEVが安くなってたら、次はそれかもね」と半信半疑で夫と言っていたのですが、その可能性がかなり高まったと感じています。

                   

                  この記事によると、中国メーカーはEV分野で躍進しているけれど、国内市場を開放していないので中国製EVが日本に入ってくるにはまだまだ、と言われているようですが、東南アジア地域は日本車シェアが非常に高く、ブランド力もある土地柄。いっぽうで、中国との関係も非常も非常に緊密で関税障壁も低くなっています。

                   

                  ここにBYDのような中国EVメーカーが大増産でコストを圧縮して参入してきたらどうなるか?

                   

                  EVは「電気自動車」という名前でも、通常のエンジン自動車とは似て非なもので、どちらかというと家電に近いといいます。安全の問題がありますから資本力のない弱小メーカーが膨大なフィールド試験データを蓄積するにはまだまだ時間がかかるのでしょうが、このBYDのように海外メーカと提携したり、ボルボやダイムラーを買収した吉利社のように海外メーカ買収によりノウハウを入手したメーカは比較的簡単に海外市場への参入が可能になるのではないかと思います。

                   

                  中国2大ブランドによるシェア自転車はここ半年ほどですっかりシンガポールのインフラになってしまいましたが、一昨日は観光地のマリーナ・ベイで電動スクーターのレンタルショップができているのをみかけました(1か月前にはありませんでした)。

                   

                  十年一日どころか、最近は2,3年でこれまでの当たり前と信じていたことがすっかり変わってしまうような変化の速さを感じます。

                   

                  我が家が現在の車を手放す3年後、ひょっとしたらシェア自転車のように近所の駐車場でシェアEVを借りる時代になっているのかもしれません。

                  | 後藤百合子 | 世界経済 | 18:29 | - | - |
                  『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』が中国でヒットしなかった理由
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                    JUGEMテーマ:経済全般

                     

                    先月中旬公開になった『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』が中国でまったくヒットせず、打ち切りにする映画館が続出しているそうです(中国では今年1月5日から公開)。

                     

                    Forbesの記事によると、中国では公開1週間後の12日にはスクリーン占有率が2.6%という前代未聞の苦戦となり、シンガポールのテレビニュースでも取り上げられました(シンガポールでは公開1か月が過ぎた現在でも、ほとんどの映画館で上映されています)。

                     

                    『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』は、北米では公開から10日間で3億6500万ドル(約413.2億円)、北米以外でも3億8030万ドル(約430.6億円)の興行収入があったと発表されており、世界的には決して悪い成績ではありません。しかし、中国に限っては、配給元のディズニーが、大規模な宣伝や上海ディズニーリゾートでのイベントなど大々的なマーケティング・キャンペーンを行ったにもかかわらず惨敗。ある調査によると「公開された最初の週末の興行収入は推定2870万ドル(約32億円)。トップに立ったのは中国のコメディー映画の7870万ドルだった」と、低予算のコメディー映画にも遠く及ばなかったようです。

                     

                    「最後のジェダイ」はなぜ中国で受け入れられないのか? 対照的に、一昨年の12月に世界公開され、中国以外ではまったくヒットせず赤字に終わった超大作映画『グレートウォール』(『HERO』のチャン・イーモウが監督、ハイウッド・スター、マット・ダイモン主演。香港の人気スター、アンディ・ラウをキャスティングするなど1億5千万USドルの巨額製作費をかけて製作された米中合作映画)と比較しながら考えてみたいと思います。

                     

                    1)映像が地味

                    最新作の「最後のジェダイ」は、最初から最後までひたすらレジスタンス軍が劣勢で逃げ回る、という他のエピソードに比べてもストーリー的に地味な設定。映像は全体が暗いトーンで、派手な戦闘シーンも比較的少ない感じがしました。主要人物たちもほとんど着たきりスズメで、衣装的にもあまり目を引くシーンがありません。

                     

                    これに対し『グレートウォール』は、巨額の製作費をかけただけあってエキストラの数も数万人といわれ、戦闘シーンの迫力が凄まじいのに加えて、衣装も鎧兜などに赤や青など原色の目を引く色が使われています。とにかく派手。中国人が好きな、大きくて、カラフルで、ぴかぴかしている。衣装は常に新品のようで、リアリズムの片鱗も感じさせません。

                     

                    中国で「最後のジェダイ」の興行成績が振るわなかったのは、公開1週間後に同じハリウッド映画の『ジュマンジ』が公開され客を奪われたからとも分析されていますが、『ジュマンジ』はジャングルが舞台で、色とりどりの動物やアクションが売りの映画。アイキャッチという点では、こちらのほうが「最後のジェダイ」に勝っています。

                     

                    やはり、中国人の共感を得るためには、くたびれた衣装や陰鬱な映像は難しいと感じました。

                     

                    2)中国人が出演していない

                    最近はハリウッド製作映画も中国市場を意識し、中国人俳優をキャスティングするケースが増えてきているそうですが、「最後のジェダイ」では主要登場人物に中国人俳優の登用はなし。

                     

                    アジア系女性が姉妹役で2人出演してはいるものの、2人ともベトナム系。しかも、大活躍する妹役のローズはビジュアル的にいまひとつ(熱演もさることながら、とてもきれいな声と英語の発音の持主で私はファンになりました)。

                     

                    『グレートウォール』では、主演こそハリウッド俳優マット・デイモンですが、中国系俳優が圧倒的多数を占めており、マット・デイモンも作中ではいま一つ影が薄く、中国以外での惨敗につながったと言われます

                     

                    やはり、中国人は自分たちの同胞がヒーローやヒロインとして活躍してくれないとストーリーにシンパシーをもてないのではないかと思いますが、逆に、白人の俳優を主役級に何人も起用しなければ北米はじめ世界的な興行成功は見込めない、と考えると、これからのハリウッド映画のキャスティングは本当に難しいと思います。

                     

                    3)勧善懲悪がはっきりしていない

                    『グレートウォール』は、怪物群から国を守るために戦う軍(と傭兵のマット・デイモン)という、敵と味方が非常にわかり易いストーリーで、お約束通り正義の味方の軍が最後に勝利を収めて終わります。

                     

                    対する「最後のジェダイ」では、悪の帝国vsレジスタンス軍という基本的な構図はあるものの、悪の帝国のリーダーを殺した主人公の1人が迷った末に帝国の次の支配者になってしまったり、レジスタンス軍は敗退に敗退を重ねて、ヒーローが次々と死んでしまったりと、「正義は必ず勝つ」という単純な勧善懲悪の論理が機能していません。

                     

                    『スター・ウォーズ』も最初の三部作までは勧善懲悪セオリーがはっきりしていましたが、ソ連崩壊後はアメリカ自身が仮想敵国を失い、『スターウォーズ』シリーズも徐々に単純な勧善懲悪映画から家族の物語に変容していきます。今回も親子や姉妹の感情のやり取りが描かれ、物質的に豊かになり、成熟した社会で最大の問題の一つとなった家族の問題が主要テーマとなっているのです。

                     

                    中国は豊かになったとはいえ、まだまだ成長の真っただ中にある国。文芸映画で家族が描かれることはあっても、娯楽大作に期待されるものはやはり観終わった後にカタルシスを感じられる「正義は必ず勝つ」ストーリーなのだと思います。

                     

                    世界的にヒットしているとはいえ、興行収入(ビジネスの成果)を考えると中国市場での惨敗は今後の『スター・ウォーズ』シリーズの成り行きに影響を与えかねません。

                     

                    ファンの1人として、次回作が中国でも商業的成功を収められ、同時に世界中の『スター・ウォーズ』ファンを満足させてくれるものになるよう期待しています。

                    | 後藤百合子 | 世界経済 | 16:41 | - | - |
                    強気相場はこれからだ?
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                      JUGEMテーマ:経済全般

                      先週、シンガポール最大の銀行DBSの金融セミナーに行ってきました。

                       

                      テーマはずばり、「The Bull Ain't Done」(強気相場はこれからだ)。

                       

                      「Bull markets are born on pessimism and they grow on skepticism, mature on optimism, and die on euphoria. (強気相場は悲観主義の中で生まれ、懐疑主義の中で育ち、楽観主義の中で成熟し、多幸感の中で死ぬ)」という投資家ジョン・テンプルトンの言葉が紹介され、2017年には「こんな値上がり一辺倒の相場で本当に大丈夫か?」という懸念をよそに株式相場の急上昇を体験した市場参加者は、2018年には「まだまだいける」という気運が高まる楽観主義ステージに移行しつつあり、リーマンショック以降、すでに9年間続いている上昇相場が当面続く、という見通しが示されました。

                       

                      実際にセミナー受講中に行われた参加者アンケートでも、楽観主義が最も多く、次いで懐疑主義、多幸感という順位になり、景気や金融市場というのは、このような市場参加者のムードが動かしているのだなと実感させられます。

                       

                      DBSはシンガポール政府系の銀行だけあって投機的性格は比較的低く、参加者も中高年の堅実で保守的なタイプが多いと感じましたが、世界中のこのような人々が「まだまだこれから」と株式市場に資金を投入すれば、実際に今年は強気派がマジョリティを占める年になるでしょう。

                       

                      一方で気になったのは、現在のアメリカを中心とする好景気の中身です。

                       

                      セミナーの中で2006年と2017年の上場株時価総額の順位トップ5社が紹介されましたが、

                      2006年 1.エクソンモービル 2.ジェネラル・エレクトリック 3.マイクロソフト 4.ブリティッシュ・ペトロル 5.Citiグループ

                      2017年 1.アップル 2.グーグル 3.マイクロソフト 4.アマゾン 5.フェイスブック

                      と、10年余という短期間にマイクロソフトを除いてすべて入れ替わっています。

                       

                      経済を牽引する企業プレーヤーが、石油や電気、伝統金融といった産業革命以降経済を支えてきた産業から、ものの見事に個人向けサービスを主要事業とするIT産業にとって替わられたのがよくわかります(マイクロソフトだけはその中間のためこの順位を保っていると考えられます)。

                       

                      このような状況下で、まだまだ経済全体に占める雇用のパイが大きい従来産業、石油をはじめとする一次産業や二次産業の製造業、さらには流通や金融などの三次産業がこれからどうなっていくのか? その一例として紹介されたのが、ホールフーズのレシートです。

                       

                      昨年8/24と8/28にホールフーズでまったく同じアイテムを5点買ったところ、たった4日間の間に最終支払額は8.5%も少なくなっていました。アマゾンがこの間にホールフーズの買収作業を終え、新価格を導入した結果です。

                       

                      アメリカに次ぐGDPをもつ中国市場でも同じことが言えます。

                       

                      昨年11月11日の独身者の日に2兆円を売り上げたネット販売の二巨頭、アリババとテンセントは、SNS、ネット販売から自転車シェアまで、個人をメインターゲットに中国という巨大マーケットで急成長しつつあります。

                       

                      アリババは昨年70億ドル(7,770億円)、テンセントは先週50億ドル(5,550億円)の社債を発行して話題になりましたが、中国でもアメリカと同じく、お金の流れは従来産業から個人向けIT企業の側へのシフトが進行中と言えるでしょう。

                       

                      このような状況下で、個人消費者を直接ターゲットにする巨大IT企業が、アマゾン哲学にならって「自社と消費者の利益拡大」を追求していけば、当然、従来産業に従事する会社やその従業員の利益の縮小という結果になるはずです。「好況で株高になっても一般庶民の生活は苦しくなる」状況が今後、さらに世界的に加速する可能性は否定できません。

                       

                      シンガポールでは先月から電気自動車のシェアリング実験が始まりました。一昨日、路上でそのうちの1台をみかけましたが、マイカーに混じって違和感なく走行していました。シェアリング自転車と同じ感覚で車をシェアする日がもうすぐそこまで来ています。この潮流がこれからの景気や私たちの生活にどのような影響をもたらすのか、見極めが必要だと思います。

                       

                      最後にもうひとつ。話題のビットコインについては「Keep away(近づくな)」の一言でした。私もまったく同感です。

                      | 後藤百合子 | 世界経済 | 11:56 | - | - |
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