ASIAN NOMAD LIFE

日本、香港、中国で生活・仕事をしてきてシンガポール在住8年目。
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    日本のデフレ状態をH&M子供服の値段で知る。
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      JUGEMテーマ:経済全般

      来週末から日本に帰国するにあたり、小3の娘の服をH&Mのネット通販で買うことにしました。

       

      もちろんシンガポールでも同じものは買えるのですが、こちらから持っていくと荷物になりますし、まとめて新しく買うことによりくたびれた服を捨ててワードローブを新調できます。去年は途中立ち寄った香港でまとめ買いをして「さすが消費税がない国はシンガポールより若干安いわ」と思ったものですが、サイズ感もわかったので今年はすべて日本のネット通販にしたところ、驚くほど日本の価格が安いことに気がつきました。

       

      比べてみたのは、10種類以上のバリエーションがあってシンガポールでも人気の「ジャージーノースリーブワンピース」。

      日本で買うと内税で599円。消費税8%ですので、商品価格はわずか556円です。

       

      これを各国のウェブサイトで比べてみると価格はばらばら。(税込み価格()内は日本円、消費税率、日本円での商品価格の順)

       

      シンガポール $8.95(737円)7% 689円

      香港 $49.9(702円) 0% 702円

       

      香港は安いと思っていましたが、消費税分を控除すると商品価格はシンガポールより高くなっています。不動産価格が高く販売経費がかかりますから、当然かもしれません。

       

      他のアジアの国々もみてみました。

       

      台湾 $199(736円) 5% 701円

      韓国 W9000(900円) 10% 818円

      中国 ¥39.9(690円) 17% 590円

      マレーシア RM24.9(692円) 6% 653円

      タイ B199(685円) 7% 640円

       

      なぜか台湾は香港、シンガポールと同じくらい高く、韓国は断トツでアジア一の高さ

       

      中国、マレーシア、タイでは税込み価格はほぼ横並びですが、やはり日本より高い。賃金を考えると中〜高級品の位置づけだと思います。また、消費税分を引くと中国の商品価格はだいぶ安くなっています。それでも日本より高い。

       

      一般的に世界の物価を比較するときに引き合いに出されるのは「ビッグマック価格」ですが、食品の場合、国によって農産物価格が違うためあまり参考にならないケースもあります。その点、ファストファッションの衣料品は生産コストはすべて同じですし、海上運賃も世界中それほど変わらないので、価格設定のキーになるのはその国の人々の購買力&販売コストに絞られてきます。

       

      そして上記の結果をみる限り、アジア主要国で一番物価が安いのは日本ということになります(アジアで人気のユニクロや無印良品もアジア各国では基本、日本国内よりかなり高い価格設定です)。

       

      アジア人観光客が買い物天国の日本をめざすのは当然ですが、このようなブランドと価格競争していかなければならない日本国内メーカーの利益が出ない→従業員の給料が上がらない→購買力が下がってさらにデフレに、というデフレ・スパイラルが解消されていないどころか、さらに悪化している現状にも目を向けざるをえません。

       

      もう一つ気がついたのは、欧米では日本並みの低価格だということ

       

      米国 $4.99(550円) ※州により税率異なり決済時に付加  550円

      スウェーデン Kr49.9(633円) 12% 565円

       

      恐らく世界最大の市場であろう米国とH&M発祥の地であるスウェーデンでは、日本と商品価格がほぼ同じ。

       

      しかし、これらの国ではGDPも順調に伸びており、特にスウェーデンは2015年4.52%、2016年3.24%、2017年2.4%と非常に高い成長率をキープしています。つまり、物価も賃金も下がっていくデフレ・スパイラルとは無縁な経済状況であるということです。当然、この成長にはH&Mの企業業績も寄与しているでしょう。

       

      「日本にはユニクロがあるじゃないか?」とおっしゃる方もいるかもしれませんが、スウェーデンの人口は990万人。日本の人口の10分の1以下で、H&Mの売上はユニクロの1.4倍。

       

      また、この表を見るとわかりますが、アパレル業界4位以下には米国企業が多数入っており、日本の約2.6倍の人口をもつ米国企業の売上合計は約3倍。順位を下げればこの差はさらに広がっていくでしょう。

       

      結論を言うと、日本の経済低迷最大の問題は、ユニクロやMUJIのような世界で稼げるブランドが人口規模に比して非常に少ないということではないでしょうか?

       

      私はアベノミクス第三の矢はここにこそ的を当てるものと考えていましたが、そうでなかったことが明確になった現在、早急に経済対策の抜本的見直しが必要だと思います。

      | 後藤百合子 | 高齢化社会とビジネス | 12:43 | - | - |
      インバウンド消費過去最高も、中小企業が本気で輸出を考える時期に。
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        全国百貨店売上でインバウンド消費が過去最高になったというニュースが日経新聞オンラインに掲載されました。

         

        記事によると、3月の全国百貨店売上は5202億円で前年同月比0.1%増。うち約5.6%にあたる290億円が外国人による免税のインバウンド消費で過去最高。化粧品や高額ブランド商品を中心に6か月連続の伸びとなり、前年同月比は約1.5倍の48%増となったそうです。

         

        また富裕層による美術品や宝飾品などの高額消費も増加したということで、全体に非常に景気のいい話に聞こえます。

         

        しかし、気になったのは、売上全体の25%を占める食料品が2%減。また、平均気温の上昇で全体の3割を占める衣料品のスプリングコートやスカーフ、帽子などが好調だったため前年並みに売上が回復したという箇所です。

         

        日本国内で生産を続ける中小の食品製造業者はここ数十年にわたりデフレの波に翻弄され、低利益販売を余儀なくされてきました。その中で生き残りをかけ、高付加価値の商品を開発してパッケージなどにもこだわり、他社の同一商品と差別化を図ってきた業者の最大の販売先が全国の百貨店や高級スーパーだったのです。

         

        これは衣料品も同じで、商店街の専門店が活力を失ってユニクロやしまむらなど郊外型の大型SPA店舗やイオンタウンなどショッピングモールの低〜中価格商品に客を奪われる中、百貨店はこのような店では手に入らない「ちょっと良いもの」を求めてやってくる客層をターゲットに国内中堅ブランドを扱っていました。

         

        ところが、インバウンド消費では国内中小メーカーのこだわり食品は外国人に認知度が低く購買対象になりにくいですし、衣料品も同様。その結果食料品は前年比2%減、好調とわれた衣料品も前年並みにとどまるとふるわない結果となっていますし、日本人の消費のみに限定すればどちらもこの数字以上に減っているのではないかと考えられます。

         

        最大の要因は、団塊世代消費の鈍化と少子化による全体的な消費人口の減少です。

         

        記事の最後は「日本百貨店協会の西田光宏常務理事は「好調な訪日外国人消費は東京オリンピックのある2020年までは続くだろう」との見方を示した。」と締めくくられていますが、では百貨店で商品を販売しているメーカーが2020年以降に生き残っていくにはどうするべきか?

         

        個人的には、ありとあらゆる手段を使って輸出に活路を見出すしかないと思います。

        | 後藤百合子 | 高齢化社会とビジネス | 20:47 | - | - |
        第二の仕事人生の要は「何をしないか」
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          JUGEMテーマ:幸せなお金と時間の使い方

           

          昨日の日経ビジネスオンラインに掲載された『あの人はなぜ年齢を重ねても生産的なのか「第二の人生のマネジメント」とは』という記事を読みました。

           

          1年半前に19年間続けた仕事を辞め、昨年からは不定期で専門学校に通っては新たに知識や技術を学びつつ、まったく新しいビジネスを新たに始めた私にとって非常に意義深い記事でした。

           

          ドラッカーは、年齢を重ねるごとに、「何をやらないか」を厳格に決めていました。限られた時間で生産的であるためには、「何をやるか」以上に「何をやらないか」の意思決定が決定的に重要だからです。これも、自分を相対化し、自分という資源の活かし方を知ることで初めてできることです。

           

          筆者がこう述べられているように、第二の人生の仕事とそれ以前の仕事の最大の違いは「使える時間が限られていること」です。

           

          私は今年55歳。平均的な健康寿命75歳である程度仕事の目途をつけようとすると、残された時間はわずか20年。この間に納得できる何事かを成し遂げようと思ったら、無駄にできる時間は一秒もありません。

           

          それをふまえた上で、「何をやらないか」を真剣に考えてみました。

           

          1.不得意なこと

          これまでの仕事人生の中で自分が得意なことも不得意なことも十分理解してきました。そこで、今後は不得意なことをできる限りせず得意なことに集中したいと思います。不得意なことは得意なことに比べて時間がかかるだけでなく無理して続けても良い結果が出ず、ストレスも大きいからです。そうであれば得意なことに集中して不得意なことはまったくしないか、他の人にやってもらうことです。

           

          2.過度なストレスがかかること

          適度なストレスは克己心を養いますが、過度なストレスは健康に悪いだけでなく仕事の能率にも悪影響を及ぼします。私の場合、以前の仕事では移動が多く肉体的のみならず精神的にもかなりのストレスだったため今後はできるだけ移動を少なくし、人間関係でもストレスの少ない仕事をしたいと考えています。

           

          3.ハイリスク・ハイリターンなこと

          高齢になってもいつまでも事業を拡大したいと考える事業意欲旺盛な方がいらっしゃるいっぽう、私を含め多くの一般庶民は老後は心労の種をできるだけ少なくして穏やかに暮らしたいと考えるのが普通です。新しいことへの挑戦は大切ですが、そのためにこれまでの人生で培ってきた大切なもの(家族や蓄えなど)を賭けるリスクは冒せません。ローリターンでも堅実にできる仕事が理想です。

           

          4.配偶者に大きな犠牲を強いること

          第二の人生で最も大切なのは夫婦関係です。第一の人生では子育てやら仕事やらが優先順位の上に来ていたので夫婦もお互いに犠牲を強いられることが多かったですが、今後は配偶者が人生のパートナーとしての重要度を増していきます。お互いの親の介護問題もあり、自分たち自身の健康面でも問題が出てくることも多くなるでしょうから、いざという時には家族のケアに時間を割けるようにしておきたいと思います。

           

          5.人の評価を求めること

          人間の本質として「人から評価されたい」は自然な欲求です。しかし人から認められるために多大な労力を使うより、本当に自分がしたいことだけをする人生の方が最終的には幸せだと思います。上司の評価、同僚の評価、顧客からの評価、友人や知人からの評価とこれまで様々な人々からの評価を求めて仕事に情熱を傾けてきた人でも、第二の人生では自分自身が本当に納得できる仕事を極めた方が意義あるものになると思います。

           

          以上、若い人には物足りなくつまらないと思われるかもしれませんが、人生のさまざまなステージにおいて同じ人間でも肉体的、精神的、心理的な変化により求めるものが違ってくるのだと最近つくづく感じるようになりました。

           

          60代、70代となったらまた考えることも変わってくるのかもしれませんが、ハイデッカーのように体が動かなくなるまでは現役で、できうる限り仕事を続けたいものです。

          | 後藤百合子 | 高齢化社会とビジネス | 21:06 | - | - |
          おばさんの味方、マークス&スペンサーにぜひ頑張ってもらいたい。
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            JUGEMテーマ:ビジネス

            今週、仕事で立ち寄ったビルにたまたまマークス&スペンサーがあり、20年以上ぶりに買い物をしました。

             

            マークス&スペンサ―は、1894年にイギリスで創業された小売店。扱い商品は衣料と食品のみなので百貨店とは言えないのですが、プライベートブランドの品揃えが豊富で、アジアではイギリスの植民地だったシンガポールやマレーシア、香港などにかなりの数の店舗をもっています。

             

            私も香港に住んでいた1990年代後半には、お茶やお菓子などイギリスの食品が買えるのでときどき利用していました。が、衣料品はあまりにおばさん臭く、まだアラサーだった私の目にはまったく魅力が感じられませんでした。

             

            しかし、現在の私は50代半ば。押しも押されぬ立派なおばさんです。

             

            ビルを通り抜けようと下着売り場を横切ったら、そろそろ買わなくちゃと思っていたセット売りパンツが目に入りました。立ち止まって見てみると、色柄、タイプ、サイズがやたらと豊富で(おばさん仕様の大きなパンツはもちろんハイレグやブラジルカット、Tバックまでタイプだけで10種類近く。サイズはSから3Lくらいまでありました)値段も5枚組2,500円程度と手頃。一度試してみようと1パック購入しました。

             

            結果は大正解。

             

            ユニクロ下着の場合、サイズは同じでも若い女性たちと同じカッティングではおばさん体型にフィットしないため、無理に着用してもどこか快適さに欠けます。その点、マークス&スペンサーはさすが100年以上にわたりおばさんを相手にしてきただけあり、ユニクロと同じミディアムタイプのパンツでも履き心地がまったく違うのです。

             

            まだ下着のパンツ以外は試したことがありませんが、恐らくスカートやアウターのパンツなどもいけるのではと期待。そのうちまた、買い物してみようと思います。

             

            ファストファッションブランド全盛の現在。若い女性たちは選択肢が増えていいかもしれませんが、日本では百貨店の平場がファストファッション店舗になったり、ショッピングモールの専門店がいつの間にか消えてしまったり、おばさんファッションは(しまむらを除き)絶滅の危機に瀕しています。

             

            マークス&スペンサ―も今年になり、中国ではネットモールも含めてすべての事業から撤退し、香港とマカオの店舗もアラブ資本のフランチャイジーに売却されることが発表されました。

             

            シンガポールではブティック・テイストの店を増やすなどコンセプトの転換も測っているようですが、少子高齢化がアジア先進国のデフォルトとなっている以上、おばさん御用達という基本線は死守したうえでぜひ頑張ってほしいと思います。

            | 後藤百合子 | 高齢化社会とビジネス | 11:30 | - | - |
            仕事人生50年時代、区切りの50歳を考える。
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              JUGEMテーマ:幸せなお金と時間の使い方

               

              40代半ばから50歳にかけて、男性の多くが仕事人生25年の区切りを迎えます。

               

              女性は以前は結婚・出産によるブランクでそこまでの年数はなかったのが普通でしたが、男女雇用機会均等法以降の世代では男性同様、勤続25年の節目を迎える人も増えてきました。

               

              そんな女性の一人の友人が今週、出張の合間に無理矢理時間を作ってシンガポールの我が家を訪ねてくれました。

               

              業界の第一人者で各方面から引っ張りだこの彼女は、ちょうど今年勤続25年で50歳。これまでの仕事人生で現在が一番忙しいと言います。そしてこれからの仕事をどうするか、真剣に考えているとのこと。

               

              去年久しぶりに再会した、今年55歳になる大学時代の親友で、研究者として第一線をずっと走り続けてきた友人もやはり、数年前に働き方を変えたと言っていました。同じく私もちょうど50歳になったばかりの時期に社長を辞める決意をしています。

               

              男性の場合、50歳前後になれば会社員としての人生がだいぶみえてくる時期だとは思いますが、まだまだ子供の教育費用や家のローンに追われていて自分の働き方を変えようという気持ちになる方は少ないかもしれません。しかし女性の場合、子どもがいるいないにかかわらず(独身だったり既婚でも子どもがいない場合、私が知る限りこの年齢の働く女性はほとんど住宅ローンを払い終えている人が多いです)、50歳という年齢は人生の大きな節目になります。

               

              その最大の契機は女性の更年期であると私は思います。

               

              50歳前後の数年間、女性の体は大きく変わります。仕事をしている女性の場合、更年期障害がひどくて何もできなくなってしまう方は少ないですが、それでも自分の体や生理が大きく変化するのはわかります。ホルモンバランスが変わると精神的にも大きな変化が起こります。そして、これからの人生を仕事も含めて考え直す絶好のチャンスになるのです。

               

              男性は経済的な問題や、体内ホルモンが女性のように激変しないため50歳の節目を何気なく通過してしまいがちですが、今後、ほとんどの人が75歳までの「前期高齢者」の間は働き続けるのが当たり前になります。その場合、50歳はちょうど仕事人生の折り返し地点であり、後半戦の仕事や働き方について真剣に考えるべき時期と言えるでしょう。

               

              女性のみならず男性もすべからく、仕事人生50年時代の50歳を仕事について再考すべき重要な節目とし、ゆっくり考える時間をもつべきではないでしょうか。

              | 後藤百合子 | 高齢化社会とビジネス | 13:11 | - | - |
              副業からホームビジネスへ〜100年ライフのセカンド・キャリア
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                JUGEMテーマ:ビジネス

                 

                政府が推進する働き方改革の一環として、副業解禁に向けて厚生労働省がガイドラインを作成し、来年度には周知させていく方針だそうです。

                 

                一般的に副業というと、フリーターをしながらブロガーやユーチューバーなどでインフルエンサーに、給料は低いが体力には自信という若いサラリーマンが所得を増やすための夜や休日のアルバイト、中堅会社員が貯めたお金で株式投資、賃貸不動産経営、などというイメージを思い浮かべられる方が多いかもしれませんが、私は定年後を考え始めた40代後半から50代の経験豊富なサラリーマンや、子育ても終わり短時間のパートだけではまだ時間が余ってしまう、というベテラン主婦女性こそ真剣に考え実行すべき働き方だと思っています。

                 

                というのも、年齢や経験を積めば積むほど自分の得手不得手や能力が自覚できるようになっていますし、無理をせず自然体で働くコツは習得済み、さらに長年の仕事や家事経験によって、いろいろなスキルが自分の中に蓄積されているからです。

                 

                高齢化社会を背景に、定年後の再雇用は65歳まで義務づけられましたが、年金給付時期は年々後倒しになっていますし、給付金額も今後は低下していくことが予想されています。逆に健康保険料などの自己負担率は増えていく傾向にありますので、65歳を過ぎても不足分を自分の稼ぎで補う工夫が必要です。それには、サラリーマンやパートといった企業頼みの所得だけではなく、自分の裁量で働き、自分自身のスキルとやる気で稼ぐことができる副業→ホームビジネスが最適だと思うのです。

                 

                このThe Balance/Small Businessというサイトには、アメリカでホームビジネスを本業にしていくための情報が満載されています。

                 

                もともと企業年金や健康保険の恩恵を受ける人が少なく貯蓄率も低い米国では、解雇されたり定年になったりしても、できるだけ働き続けたい(働き続ける必要がある)人が少なくありません。そのため、オフィスなどを借りずに自宅で始められるスモールビジネスが人気なのです(ある記事ではあのAppleもホームビジネスから始まったと紹介されています)。

                 

                16 Best Part-Time Businesses" という記事では、多少の資本かスキルさえあれば明日からでも始められるビジネスを紹介。

                (季節性のあるもの)

                1.ボート、足漕ぎ船、カヤック、自転車、ダイビング用品のレンタル(購入はオフシーズンに)

                2.臨時の食品屋台

                3.草刈りや庭の剪定(雪かきなどの仕事につながる)

                4.自動水やりシステムの設置とメンテナンス

                5.ローカルツアー・ガイド

                6.簡易民宿

                7.スキーやカヤックなどのインストラクター

                8.ハロウィーン・コスチューム制作請負

                9.税務申告代理

                (通年性のもの)

                1.ヘアカット、掃除、家庭教師、犬の美容師、不動産管理など

                2.インテリアデザイン、庭デザインなどデザイン関係

                3.イラスト、陶器、ジュエリー作製など

                4.コンサルティング・サービス

                5.公証人、法律、税務、会計、設計、医療サービスなど

                6.家具職人、タイル職人などの職人系

                7.エイボン、タッパウェアなどのダイレクト販売

                 

                こちらの記事では、履歴書代筆サービス、バーチャル・コールセンター、栄養指導者など、新旧とりまぜた101のホームビジネス副業アイディアを紹介。

                 

                問題はこのようなアイディアがビジネスとして本当に成立するかどうかですが、あくまでも副業ですから、すぐに生活費を稼げるようにならずとも少しずつ時間をかけて成長させていくことが可能です。

                 

                また、1つでは十分食べていけるだけの収入にならないとしても、いくつかを掛け持ちして真面目に続けていれば2,3年中にはそこそこ稼げるビジネスが出てくるはずです(私もこれまでいろいろなビジネスに挑戦してきましたが、新しい事業を始めてそれなりの結果を出すには最低でもこのくらいの時間が必要です)。

                 

                つまり、まだ退職まで時間的に余裕があり、試行錯誤を繰り返しながら自分にぴったりのビジネスをみつけるための期間と別の収入源がある人にこそ、ホームビジネスの起業が最適なのです。

                 

                とにかくできる限り勤めている会社に残って給料をもらう、というのも一つの選択肢ではあると思いますが、小さいとはいえど自分がオーナーのビジネスをもち、もしかしたら大化けして大会社になってしまうかもしれないという夢をもって、100年ライフのセカンド・キャリアを考えてみるのも効果的なリスク対策だと思います。

                | 後藤百合子 | 高齢化社会とビジネス | 17:08 | - | - |
                企業投資動向にみるお金の行方
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                  JUGEMテーマ:ビジネス

                   

                  西暦の正月に関してはカウントダウン以外ほとんどお祝いムードがないシンガポールでは、本日から通常の日常が始まりました。

                   

                  そんな中で年末にかけてたびたびニュースになり気になっていたのが日本の銀行に関する話題。

                   

                  メガバンク3行が合計で3万人以上分の業務量削減により今後人員を縮小。また、業務にかかる手数料を上げていくなど、根本的な収益体制の見直しを行っていくことを相次いで発表しました。

                   

                  マイナス金利政策の影響を受けて銀行の収益性が悪化している現状は否めませんが、最大の事業である企業の設備投資は歴史的な水準のはずでは? と疑問を感じて調べてみました。

                   

                  こちらに、日本政策銀行の資本金10億円以上の企業に対する設備投資計画の調査が掲載されていますが、その概要をダウンロードして読んでみると、設備投資大幅増の影に微妙なニュアンスの違いが見えてきます。

                   

                  例えば、製造業の投資動機で最も高いのが「維持・補修」で28.1%。1990年から一貫してこの項目が増加していて、2015,16,17年の3年だけをみても大きく伸びています。逆に「能力の増強」は大幅減。「新製品・製品高度化」「研究開発」「合理化・省力化」はほぼ横ばい。

                   

                  一方、海外投資に目を転じると、国内投資が前年比11.2%の伸びに対し14.3%と上回っており、中期的な国内外の供給能力は、6割の企業が海外を強化、国内については6割が維持と回答しています。自動車産業単体では、国内生産拠点の生産能力維持が8割近くを占めるものの、10年後の国内供給能力について26%が縮小という数字も気になります。

                   

                  また、金額ベースでいくと、2010年を境にして全産業で海外設備投資が大幅に増加しており、製造業で2倍強、非製造業では3倍近くになっているのです。

                   

                  日本企業の投資資金の相当の割合は日本の銀行からの融資と考えられますが、せっかく異次元の緩和をしてもお金がこのように大量に海外に流れてしまうのでは、銀行の国内人員は余っても不思議ではありません。実際に、この調査の人材投資の項目では、製造業の63%が「海外展開に必要な国際人材」の育成が重要と回答し、非製造業でも24%が同様の回答をしていますので、設備だけでなく人材も海外に流れるいくことが推測されます。

                   

                  ここ20年以上、中国をはじめアジア各国のいろいろな企業を見てきましたが、製造業・非製造業に関わらず、やはり勢いのある企業は設備投資を行って最新の機械や設備を導入しています。古い設備を大切に維持・補修しながら使い続けるのも悪くはありませんが、長期的な視点に立てば設備投資にお金をかけていない企業は必ず負けます。同じことは人材投資にも言えるでしょう。

                   

                  2018年は世界経済が好調の見通しで、北朝鮮情勢やアラブ諸国のリスクを除けば日本経済もその恩恵を大きく受けると思われますが、このような時こそ、長期的展望をもって日本の産業を強化・育成していく方策を、官民一体となって模索してほしいと願います。

                  | 後藤百合子 | 高齢化社会とビジネス | 16:50 | - | - |
                  高齢者起業の成功率が高い理由
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                    JUGEMテーマ:ビジネス

                    あるメルマガの記事で、TEDで高齢者起業の話をしている方がいるという話を読み、番組を視聴してみました。

                     

                    スピーカーは、Paul Trasner氏という再生生分解パッケージ製造会社のCEO。

                     

                    64歳で勤めていた会社を解雇された後、66歳で自らの会社を立ち上げ、毎年倍々ペースで成長させています。そんなシニア起業家のお手本ともいえるTrasner氏が強調するのは、高齢者起業の成功率が非常に高いという事実です。

                     

                    Forbs誌の"30 under 30"はめざましい活躍をする30歳未満の起業家たちを紹介する看板特集の一つですが、Trasner氏がこれに対抗する標語として掲げるのは"70 over 70"。「70歳以上の起業家の成功率は70%以上」。(それ以下の年代では成功率が28%)

                     

                    なぜ高齢者起業の成功率はこれほど高いのか?

                     

                    番組の中でTrasner氏は自身の成功の秘訣を、40年以上にわたる経験の中で、ネットワーク、評判、技術などの蓄積があったからと語っていますが、私はさらにもう2点の成功要因があると思います。

                     

                    1つは、失敗の経験数。

                    1つは、仕事に対する哲学の深さ。

                     

                    仕事には失敗がつきものですが、若い世代が失敗を恐れずチャレンジするのと正反対に、高齢者世代はこれまでの失敗から学んだ経験を活かして新しい仕事にチャレンジします。「こうすれば失敗する」という経験値が高いので、それだけ失敗のリスクが低減するのです。

                     

                    もう1つは、「いかに社会に貢献するか」という仕事哲学です。

                     

                    Trasner氏はパッケージ業界で長く働いてこられましたが、大量のゴミを作り出す仕事にずっと疑問を感じており、孫の代に貢献できる仕事を、と考えて再生生分解パッケージという仕事を選んだといいます。同じ仕事をしても若い世代であれば単なる思いつき起業に過ぎないかもしれませんが、40年以上この業界で働いてきたTrasner氏の選択は重みが違います。

                     

                    また、ここでは語られていませんが、恐らく同様のアイディアで失敗してきた会社も相当数みてこられたことでしょう。それらの経験すべてを包括して語られる哲学は、ビジネスの相手に深い感銘と安心感を与えるはずです。

                     

                    日本では2042年に65歳以上の高齢者人数がピークを迎え、3,878万人となると言われていますが、米国では2050年に2倍以上の8,400万人となるそうです。これからますます多くの人々が長寿の恩恵を受ける中、Trasner氏のような方々をロールモデルとして、高齢者起業が活発化することにより、社会がより活性化するのではないでしょうか。

                    | 後藤百合子 | 高齢化社会とビジネス | 13:43 | - | - |
                    書評:「ライフ・シフト」〜100年生きる時代を乗り切るには?
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                      JUGEMテーマ:経済全般

                       

                      ■100年間生き抜かなければならない時代

                      国連の推計によれば、2050年までに、日本の100歳以上人口は100万人を突破する見込みだ。(中略)2007年に日本で生まれた子どもの半分は、107年以上生きることが予想される。いまこの文章を読んでいる50歳未満の日本人は、100年以上生きる時代、すなわち100年ライフを過ごすつもりでいたほうがいい。

                       

                      日本語版への序文に書かれたこの一文は、まさにショッキング以外の何物でもありません。

                       

                      現在の日本では、40代、50代サラリーマンで、親の世代のように60歳で定年退職し、その後は年金で余生をじゅうぶん暮らせると考えている人は、一部の恵まれた方々を除きほぼ皆無だとは思いますが、それでもファイナンシャルプランナーなどが推奨する「貯蓄して投資して老後資金を!」という記事のほとんどでは、65歳まで再雇用で働いた後は厚生年金を主軸に、それまでに貯めたり投資した老後資金を食いつぶして80代程度まで生きていくという前提となっています。

                       

                      その非常に楽観的な人生設計を冒頭でこの一文が突き崩します。まさに「100歳まで自己責任で生き抜かなければならない時代」に私たちは差しかかっているのです。

                       

                      ■逃げ切り世代のジャックと、ライフ・シフトの潮目で瀬戸際に立たされるジミー

                      本書では、1945年生まれのジャック、1971年生まれのジミー、1998年生まれのジェーンという3人のモデルケースが描かれます。

                       

                      子育てや友人、地域コミュニティの付き合いなどを一手に引き受ける専業主婦のジルと子どものモデル家庭をもつジャックは、教育→仕事→引退という3ステージの人生を全うし、62歳で引退。70歳で亡くなります。最終所得の30%をカバーする公的年金と企業年金を受け取り、不足分は貯蓄から補充。引退後の収入のソースは3つあり、引退してから死亡するまでの期間が短かったこともあり、お金の心配は全くありません。

                       

                      これに対し、今後の先進国では確実に公的年金は先細り。日本では特に、1960年に公的年金受給者1人に対し、勤労世代10人が国民年金を支払っていたのに対し、2050年には受給者7人に対し、勤労世代10人と予測されます。単純に考えれば、公的年金は60年代の1/7の水準に落ち込むということです。

                       

                      企業年金も同様に、増える受給者に対処できません。1987年にイギリス企業年金加入者は810万人でしたが、2011年には290万人に、アメリカでは企業の確定給付型年金を利用できる人の割合は、1983年には全体の62%だったのに対し、2013年には17%だそうです。

                       

                      この年金給付の減少が1971年生まれのジミーを直撃します。

                       

                      政府努力(増税や保険料のアップ)により公的年金により最終所得の10%をかろうじて確保するものの、企業年金はほとんど期待できません。さらに追い打ちをかけるように、引退してからの寿命が延びます。

                       

                      ジャックは42年間の勤労期間に対して8年間しか引退機関がありませんが、ジミーは65歳まで働いたとしても、勤労期間が44年に対して引退期間が20年と、ほぼ2対1の割合になります。その分を自己資金で賄う必要がでてきますが、著者の試算によると、最終所得の50%を維持するための勤労期間の必要貯蓄率は17.2%にもなります(老後資金のみ)。これは大部分の会社員には現実的にはほぼ不可能な数字といえるでしょう。

                       

                      この影響を1971年生まれのジミーは直接受けることになります。大学卒業後IT企業に就職し、グローバル化の波により失業するも再就職をした後70歳まで仕事を続けますが、給料は先細り、貯蓄も残りの引退生活を過ごすには十分ではありません。

                       

                      そこで、著者はジミーの人生の3ステージに0.5ステージをプラスした3.5ステージの人生を想定します。55歳のジミーは勤めている会社を辞めて大学での講師の職を得ます。給料は下がりますが、70代になっても仕事を続けられるため貯金を取り崩さなくてはいけない期間が減り、プライベートの時間も増えるので仕事と家庭のバランスもとれるようになります。また、別の選択肢としてパートタイムのコンサルタントやまったくITとは関係ない、小規模なお店のマネージャーの仕事も提示されます。これらの仕事のメリットは、教育に再投資する期間や金銭が必要なく、かつ、長期間働けるというものです。

                       

                      もう一方で、ジミーが4ステージの人生を選んだ場合の可能性も描かれます。45歳のジミーは自身のスキルが時代遅れになってしまっているのを実感し、1年間にわたり余暇の時間を犠牲にしてスキルを磨くための講習に参加します。この間、妻との関係も再構築し健康への投資も始めます。インドが本社の会社に再就職して仕事をしながらさらにスキルを磨くための勉強も怠りません。

                       

                      そして5年後、50歳になったジミーはさらに高いスキルを求めて勉強を続け、65歳時には高度なスキルをもつ国際的プロジェクトマネージャーとして自立しています。仕事の評価は高く、70代後半になってもまだ仕事の依頼があり、77歳まで働くことになります。(これ以外に起業の可能性も描かれますが、失敗した場合も「ポートフォリオワーカー」として自立して稼いで行ける可能性は高いとしています)


                      ■白紙から始まる人生設計を構築するジェーン

                      これに対して、1998年生まれのジェーンは100年以上生きる可能性が高いため、最初から教育→仕事→引退という人生を前提にできず(65歳で引退するためには所得の25%を貯蓄し続けなければならない)、また、これだけの長期間、連続して働くことは精神的、肉体的にもムリがあるため、見えない資産である人間関係や、自身の健康を再構築したりする期間が必要になります。

                       

                      さらに今後、AIやロボットの台頭により中スキルの仕事が消滅していくことにより、自身の仕事のスキルアップを図る再教育の期間も必要となるのです。この前提では、3ステージは想定できず、最低でも4ステージ、または5ステージの人生を生きなければならない可能性が示唆されます。

                       

                      そんな世代のジェーンが5ステージを送るとして想定された人生の大学卒業後のステージで選ぶのは「エクスプローラー(探検者)」と呼ばれる状態です。ラテンアメリカを旅し、スペイン語を学んだ後、お祭りの屋台でビジネスを学び、組織作りや予算管理の基礎を学び、人的ネットワークも構築していきます。そして20代後半には起業してイベント会社を立ち上げ、クラウドファンディングで資金を調達してビジネスを軌道に乗せ、世界中を飛び回る生活を送ります。

                       

                      30代半ばにジェーンの活躍をみた有名な食品会社にヘッドハンティングされ、順調に出世。ビジネスの知識や専門技能を磨く一方、セミナーを受講してネットワークを広げ、ブログを更新したり、記事を書いたり、講演をしたりして自分自身の価値アップにも余念がありません。

                       

                      そして結婚。37歳で長女を、2年後に長男を出産し、45歳で大企業を退職。しばらく主婦業をしますが、次の可能性を求めて48歳で人材採用コンサルタント業を始め、60歳でまたもやヘッドハンティングされて大手企業の取締役に。再び超過酷なビジネス世界で生きることになります。

                       

                      70歳になったジェーンは改めて人生を再構築する決心をして、仕事をやめ、夫と旅に出てリフレッシュ。NGOや企業取締役、公的仕事など3つの仕事をかけもちする「ポートフォリオワーカー」となり、85歳でやっと引退します。また、別の可能性として著者は、ジェーンが古巣の食品業界に戻り、以前よりも低い役職で若い人たちと仕事をする選択もありうるとしています。

                       

                      ■「若々しさ」「遊び」「探検心」「るつぼの体験」

                      ジェーンの世代にこれからどのような社会的変化が起こるのか、著者自身も認めているように、未知の部分のほうが大きいでしょう。

                       

                      しかし、最も悲観的に描かれるジミー世代の問題は、今、まさに2017年の私たちに突き付けられている切実な人生の選択の問題です。

                       

                      この箇所を読みながら、ジミーの4.0の選択をすでに実践している人が私の知人にいることに思い当りました。

                      (もちろんすべての人が実践できるわけでなく、3.5の人生のほうが現実的であるということは本書でも述べられています。それについてはまた、改めて書きたいと思っています)

                       

                      奇しくも2人ともアメリカ人。

                       

                      1人目は結婚してすぐ、日本で職を得た私の夫の上司だった人です。彼は非常に優秀で、大学卒業後米IT企業に勤務。めきめきと頭角を現し、30代初めで日本支社の営業兼業務部長として厚待遇で赴任し、業績を伸ばします。ところが40歳になるころ本社が業績不振により買収されることになり退職。短期間で法律の修士号を取得してITに関する法律の専門家となり、現在は世界各地で講演やコンサルティング業務を行う、インディペントワーカーとして引っ張りだこの人材になりました。現在は50代半ばですが、業界では高名な専門家としての地位を獲得しています。

                       

                      もう1人は、30代初めから20年以上の付き合いになる私の友人。彼はアジア学を専攻して大学を卒業後、台湾に留学して完璧な中国語を身につけ、台湾と香港で証券会社のアナリストの職を得、イギリスのプライベートバンクにやはり厚待遇でヘッドハンティングされ、中国企業専門の辣腕アナリストとして活躍します。ロンドン郊外に豪邸を求めて、子ども2人をびっくりするほど高額な学費のパブリックスクールに通わせていましたが、出張、出張の過酷な生活に限界を感じたためか、数年前にアメリカに戻って自分自身で投資を行いながら生活をしていました。しかし、リーマンショックと中国の株暴落が重なり、資金が枯渇。2年前に起死回生でまったく違う仕事の研修プログラムを受講し、現在はやはりインディペントワーカーとして新しい仕事を軌道に乗せているところです。また同じく友人である台湾人の妻も、夫の転機を機に中国語講師の仕事を本格的に始め、高校や大学で教える充実した日々を送っています。

                       

                      彼らの例を見てもわかるように、ジミーやジェーンの人生は遠い将来に起こることではなく、すでに間近に迫っている私たちの世代の出来事です。

                       

                      これらの転機を乗り切るために必要なのは、「若々しさ」「遊び」「探検心」「るつぼの体験」であると著者は言います。40代半ばから後半になれば、まだまだ出世競争の真っただ中にある人を除き、大半のサラリーマンはこれからの自分の会社員人生の先が見通せるようになってくると思います。その時にこそ、若いときの遊びの感覚や探究心を取り戻し、新しいことにチャレンジする気概が求められるのではないでしょうか? その際に非常に役立つのが、いろいろな国や年齢や職業の人たちと一緒に働いたり遊んだりした「るつぼの体験」であるのだと思います。

                       

                      ■「80歳まで働く」のは当たり前だった。

                      最後に、本書で一番印象的だった一文をご紹介します。

                       

                      興味深いのは、歴史を振り返ると、比較的最近まで引退年齢がもっと高かったという点だ。1984年のイギリスでは、65歳以上の男性の8%しか職をもっていなかったが、約1世紀前の1881年には、この割合が73%に達していた。1880年のアメリカでは、80歳の人の半分近くがなんらかの職をもっていて、65歳〜74歳の80%がなんらかの形で雇用されていた。

                       

                      「80歳まで働けというのか!?」と年金政策を批判する声もあるようですが(私は別の意味で日本政府の年金政策を批判していますが)、実は「働けるうちは働く」のがごく最近まで世界では当たり前だったのです。また、いっぽうで、働けるだけの健康や、職場や、それを支えてくれる家庭があるということは、人間にとって根源的な幸せの要素ではないでしょうか?

                       

                      「働く」ことの意味を改めて考えるという意味でも、本書は素晴らしい本であると思います。

                      | 後藤百合子 | 高齢化社会とビジネス | 19:27 | - | - |
                      新たなビジネスモデルが続々登場するシンガポールのネットビジネス
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                        JUGEMテーマ:ビジネス

                         

                        ■いつ行っても閉まっているジュエリーショップ

                        数か月前シンガポールの自宅近所の、お店は数軒あるものの比較的静かな通りに、1軒の素敵なアンティークのジュエリーショップができました。

                         

                        「オープンしました」と書けないのは、このお店、いつ行っても閉まっているのです。看板もなし。

                         

                        しょっちゅうこの店の前を通るのですが、朝行っても、午後行っても、夜行っても開いていない。でもガラス張りなので中は見えます。お店の中にはうっとりするようなアンティークのアクセサリーや絵などがセンスよくディスプレイされていて、作業台のようなものもあります。

                         

                        何度か覗いているうちに夫が小さな表示を見つけ、この店が予約制で事前にアポイントメントを取らなければ入れないことがわかりました。表示に書かれていたウェブサイトコンタクト先を確認して連絡を取り、先日、やっとお店に入ることができました。

                         

                        見立て通り、近くで見るアンティークアクセサリーはすべてパラナカン(マレー半島に古くから住み着いている華僑の文化)独特のモチーフや材料がふんだんに使われており、美しいのはもちろんのこと、現在ではもう作ることのできない工芸品ばかり。夫におねだりして翡翠とダイヤモンドをあしらった小さなイヤリングを買ってもらうことにしましたが、デザインはアールヌーボーで100年は経っているということでした。

                         

                        それにしても、せっかく実店舗があるのにあえて開けない、というのは初めて知ったビジネスモデルです。オーナーの30代と思われる女性に聞くと、昼間はウェブサイトの問い合わせの返信をしたり商談をしたり、配達をしたりするのに忙しく、ウェブサイトやインスタグラムのページを作成したり、アンティーク商品の修理をしたりの作業はほとんど深夜とのこと。

                         

                        恐らく常に店を開けておくための人件費やスタッフ教育コスト、それに割かれる自分の時間を考えると、合わないと考えたのではないでしょうか。主として倉庫兼作業場として使用されているようでした。

                         

                        実際、店に置いてある商品にはまったく値段がついておらず、聞くとコンピュータのデータベースに入っている値段をみて教えてくれる、といった調子で、店舗として機能していないのは明らかでした。(ちなみにいくつか聞いた価格は、品質と希少性を考えると驚くほどリーゾナブル!)

                         

                        ■服飾商品の40%がネット販売に

                        ある業界関係者から聞いた話ですが、現在、シンガポールの服飾関連商品の売り上げは、すでに約40%がオンライン販売になっているそうです。

                         

                        ファストファッションはまだまだ店舗依存率が高いため店舗数も増えていますが、上に紹介したショップのように特に嗜好性が高い商品を扱う店ついては、圧倒的にネットのほうが効率がよく、また、そこまではいかないけれど一定の顧客を掴んでいるローカルブランドも、実店舗を運営しながらも着実にネットでの売り上げを増やしているといいます(それなりの知名度を誇るローカル人気ブランドやセレクトショップも多店舗戦略を採用しているところはほとんどありません)。

                         

                        ただでさえ家賃が異常に高い(東京の約22.5倍くらいの感覚です)のに加え、どうしても集客範囲が限られてくる実店舗よりも、マーケティングさえ確立できれば、シンガポールにとどまらず東南アジア各国、英語でサイトを構築することにより世界中の国々、中国語で中国や香港・台湾などからも集客できる可能性も高いのです。

                         

                        昨年度、日本のインターネット広告費が初めて1兆円を超えたのが話題になりましたが、日本と同じく、従来は新聞、雑誌、テレビなど既存の広告メディアを基本としていたシンガポールのマーケティングも、日本以上のスピードでオンラインマーケティングにシフトしつつあります。

                         

                        ■シニア起業は若年層にはできない手間ヒマかかる商品で勝負

                        こちらもやはりネット起業したのが、すでに還暦を超えた夫の従姉。

                         

                        50代初めに長く勤めた職場をリタイアして自宅で母親の介護をしていたのですが、先日、とある(シンガポールにしては)大規模なファッション・マーケットでいきなり声をかけてきたお洒落な女性がいて、それが彼女でした。

                         

                        昨年春に彼女の母親が亡くなるまでは、介護の傍ら動物愛護団体から引き取ってきた猫や犬を何頭も自宅で世話しており、いかにも「主婦」という感じでしたので、流行色の細身のパンツとシャツをすっきり着こなした女性に声をかけられてもすぐには気づきませんでした。今やすっかりキャリアウーマンの風貌です。

                         

                        そんな彼女が選んだのは、シンガポールでブームの兆しがみえるCold Brew Coffeeという水出しコーヒー

                         

                        抽出に16時間以上かかるというほど、とにかく手間暇がかかり、とても大量生産には向きませんが、彼女はリタイアの身ですので時間はたっぷりありますし、自宅を作業場にしているそうなので家賃を払う必要がありません。ネットショップの他、法人営業もしているそうですが、営業関係はパートナーに任せているようです。

                         

                        彼女のようなシニア起業では、まず、当面の生活費や運転資金を稼ぐために無理な仕事をしなくていいこと、これまでの経験からある程度ビジネスの目途も見当がつきやすいため短兵急に利益を求めなくてもいいこと、大手や既存の企業には難しいニッチな市場で手間ヒマかけた商品を作ることができることなど、ビジネスをスタートする上で優位性を確保できるメリットがたくさんあると痛切に感じました。

                         

                        ■ネットで新しいビジネスモデル展開へ

                        シンガポールは国土が東京23区程度の都市国家であり、起業に必要な環境がよく整えられているため、テスト的な多様なビジネスを始めることが可能です。

                         

                        もちろん、スタートアップの9割は失敗に終わるという通説にもれず、現れては消えていくビジネスも決して少なくありませんが、特にネットビジネスでは、低いコストで実験的なマーケティングができるという意味で、今後の日本でのビジネスモデルを考えるうえで参考になることが多いように思えます。

                         

                        店舗があるのに予約でしか開けないジュエリーショップ、シニア女性が起業したネット限定のコーヒー飲料店など、まだまだ日本ではなじみの薄いビジネス形態が今後どう成長していくのか、楽しみに見守りたいと思います。

                        | 後藤百合子 | 高齢化社会とビジネス | 00:13 | - | - |
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