ASIAN NOMAD LIFE

日本、香港、中国で生活・仕事をしてきてシンガポール在住7年目。
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    イスラム女性ファッション市場への高級ブランド進出は女性の抑圧か?
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      AFP通信によるとフランスのローランス・ロシニョル家族担当相が、イスラム教徒女性のヒジャブ着用(頭に巻くスカーフ)について「奴隷制を支持していた黒人」にたとえ、辞任を求める署名運動が高まるなど批判が集まっています。

      これまでもDKNYやマンゴなどをはじめ、欧米の有名ブランドがイスラム教徒向けのヒジャブのコレクションを発表していましたが、今回はイタリアの高級ブランド、ドルチェ&ガッバーナがヒジャブを含むフルラインのコレクションを発表、イスラム女性向けの高級オンラインショップで販売を開始しました。

      自身もアクセントのスカーフ遣いがとてもお洒落なロシニョル氏は、欧米のファッション業界が伝統的なイスラム女性のファッション市場に雪崩を打って参入するのが面白くない、という仏ファッション界の一部の流れに与しているようです。

      ■成長する巨大イスラム女性ファッションマーケット
      しかし、欧米高級ブランドのイスラム市場の開拓は今に始まったことではありません。

      こちらは2012年のJETROのアラブ首長国連邦のファッション市場についてのレポートですが、以前から、UAEの女性たちはアバヤと呼ばれる目以外の部分をすっぽり覆う黒い布の下は、一般の欧米女性と同じようにさまざまなブランドの服を着ているのがふつうでしたし、世界のトレンドに合わせて、ヴィトンやグッチなどの高級ブランドはもちろん、H&Mやフォーエバー21などのファストファッションも人気だといいます。(さらに付け加えれば、アバヤに使われる黒い布にもこだわる女性は多く、「ジェットブラック」と呼ばれる漆黒の黒が表現できる日本の染色技術に対する人気が高いため、アバヤ用の広幅生地の輸出量は先細りの日本の繊維業界の中でも一定のウエイトを占めています)

      欧州白人向け市場が頭打ちになり、中国巨大市場開拓も一巡した中、原油価格が下がったとはいえまだまだ底力がある中東のオイルマネーと、若年人口が今後増え続ける世界のイスラム女性マーケットはファッション業界を惹きつけます。これまではアバヤの中にしか需要がなかったものを、ヒジャブをはじめ「見せる」ファッション化していけば市場はさらに広がることは間違いなく、BBCによればイスラム女性向けのファッション市場は、ヒジャブだけでも2020年までに3270億ドル(37.6兆円)まで拡大するという予測もあるようです。

      前述のJETROレポートによれば、アラブ首長国連邦女性の靴、鞄、服、アクセサリーの衣料関連支出の1人あたり月平均は3,621ディルハムで、日本円にするとおよそ11万円。この前途有望な巨大マーケットをファッション業界が見逃すわけがありません。

      ■ファッションは女性の個性の表現
      いっぽうの、消費者であるイスラム女性の視点から見たファッションはどうなのでしょうか?

      イスラム女性は教義により、髪をヒジャブで隠し、体の線が出ないように全身をゆったりとした布で覆うことが義務づけられてきました。ロシニョル氏の発言が問題になっているフランスでは、イスラム教徒の学生にヒジャブ着用を禁止していることがイスラム教徒の間で不評であり、イギリスでも病院の看護婦のヒジャブ禁止がイスラム教徒の中で問題とされています。

      こう聞くとイスラム男性からの不満のように思えてしまうかもしれませんが、実はイスラム女性でもイスラム教の教えに従い、自分のアイデンティティを保つためにヒジャブをはじめとする伝統的な服装をしたいという声は決して小さくありません。私が住んでいるシンガポールではヒジャブをせずTシャツにGパン姿のイスラム女性も珍しくありませんが、逆に、子供の頃から伝統的な服装を好み、その姿のほうが自分にとって自然で安心するという人もとても多いのです。

      そのような人々にとって、これまでお洒落をするということは、自分の好きな生地を購入して地元の仕立屋さんで仕立ててもらうということでしかありませんでした。しかし、現在では、さまざまなイスラム女性向けファッションの既製服が買えるようになりつつあります。

      女性にとってのファッションは自分自身を魅力的に見せるだけでなく、自分のアイデンティティを表現する最大の方法です。髪を隠さなければならないためヘアスタイルに凝ることができず、肌の露出もできない(しない)イスラム女性にとって、これまでアバヤに隠されて同性にしか見せることができなかった自分の個性を外側でも表現でき、また、トレンドを取り入れ、選択の幅が広がる既製服の充実は、イスラム女性がさらに表現の自由を獲得することであっても、抑圧されることではないはずです。

      ■増えるイスラム人口と働くイスラム女性
      日本をはじめ先進国の人口増加が頭打ちになり、少子高齢化が大きな問題となる中、今後、世界で大きく人口を増やすのはイスラム教徒と言われており、2050年までには2010年の21億7000万人から29億2000万人に増え、世界の人口に占める割合は3割近くになるそうです。そしてまた、2050年にはイスラム教徒人口はキリスト教徒人口とほぼ同じになるといわれています。

      イスラム教徒自身も変わってきています。

      従来は専業主婦がほとんどであったイスラム女性の中でも働く女性が増え、経済力と発言力をもつようになってきています。そんな彼女たちが伝統を守りながらもファッションで自己表現をし、社会への発信力を強めていくことは、イスラムが女性にとって抑圧的だとする欧米のフェミニストたちにも、むしろ歓迎されるべきことなのではないでしょうか。
      | 後藤百合子 | 現代社会の女性と宗教 | 19:29 | - | - |
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