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ASIAN NOMAD LIFE2019.02.22 Friday
ドンキの海外販売拡大で日本のデフレ価格もアジア輸出へ
日経ビジネスオンライン2/20付の記事「ドンキがバンコク初出店、「日本飽き」に抗う3つの秘策」を読みました。
記事によると、シンガポールにここ2年ほどで3店舗を矢継ぎ早にオープンさせたドン・キホーテの運営会社、パン・パシフィック・ホールディングスのシンガポール法人が、バンコクに試金石となる1号店をオープン。シンガポール店と同じく、日用品などの日本製品を数多く取り揃える他、生鮮食品にも力を入れるといいます。
バンコクではすでに日本から小売り店の出店が一巡して飽きられてしまい、「本物の日本製品」というだけでは順調な販売が見こめない状況の中で、ドンキは、
1.店内調理 2.商品価格 3.出店形態
の3点で他の日系小売りとの差別化を図り、シェア拡大を狙っているそう。
と、特に2.の価格戦略には相当な力を入れている模様。これはシンガポールでも同様です。
その最たるものが野菜や冷蔵品などの生鮮食品。
まだシンガポールに移住してきたばかりの頃。シンガポールの日本人駐在員家庭御用達の高級スーパー明治屋に入ってみたら、ごく普通の納豆3パックセットの値段が、当時の為替レートで600円ほどでした。びっくり仰天してそそくさと退散したのを覚えています。
数カ月前に行ったドンキでは、それとほぼ同じものが200円台でした。「これなら買える」(買いませんでしたが)というのが私の率直な感想。
いっぽう、このドンキの価格破壊攻勢の余波で倒産に追い込まれたのが、2015年に鳴り物入りでオープンした巨大日本食マーケットEmporium Shokuhinです。
まだFacebookページが残っていたのでご覧いただけるとわかると思いますが、広大な店内では菓子類や調味料、ドリンク類はもちろん、ブランド和牛やソーセージなどのブランド加工肉、生け簀スペースにはやはり直輸入の高級魚介類、そして刺身や寿司などの生鮮加工食品等々、これでもかというくらい「本物の」日本食品が販売されていました。
しかし商品価格は推して知るべし。マリーナベイ地域の一等地でしたので、家賃負担も相当なものだったと推察されます。日本人客というよりローカルのシンガポール人がメインターゲットだったはずですが、いくら裕福なシンガポール人が多いとはいえ、日本人と違って「どうしても新鮮なタラバガニが食べたい」とか「今夜は絶対に松坂牛のすき焼きでないといや」という人たちがどれだけいたか…。
案の定、ドンキ2号店オープンの数か月後に倒産。相当な額の家賃が未払いになっているようで、現在もこのスペースはテナントが入らず無人になったままです。
さすがにブランド力のある老舗の明治屋はそこまで追い込まれていないようですが、一定の割合で日本人客もドンキに流れているのは間違いありません。
いっぽう、競合は日系小売りだけではありません。
ここのところ急速に数を増やしているシンガポール最大のスーパーマーケット・チェーンFair PriceのFinessという中〜高所得者層にターゲットを絞った店舗では、オーガニック野菜コーナーと並んで日本の野菜や果物を扱うコーナーがあり、日本直輸入の調味料や加工食品などの品揃えもなかなかのものです。
この店の商品価格も以前は明治屋よりちょっと安いか同程度だったのが、ドンキ進出後は少しずつ価格を下げてきており、私でも買える価格にだいぶ近づいてきました。さらに最近では、あちこちのショッピンターに日本の食品を扱う小規模な小売店が増えてきており、それぞれ独自ルートを通じて輸入した商品を販売しているため、ここでも価格競争が起こっています。
要するにシンガポールではドンキが起爆剤となって、日本商品が高級品カテゴリーから手軽に買える日用品カテゴリーに移り、日本商品のデフレ化が進んでいるのです。(この傾向にはドンキに先立つこと数年前にシンガポールに進出し、現在も着々と店舗数を増やしつつあるダイソーも一役買っています)
少子高齢化により国内市場が縮小。ただでさえ販売量下落に四苦八苦しているのに加え、デフレによる小売店からの値下げ圧力に耐え続け、何とか現状を打しようと活路を海外販売に求めてきたメーカーや流通業者にとって、ドンキが口火を切って始めたデフレ価格の海外輸出は、販売量拡大の見返りに利益の圧迫を意味する、非常に危険な諸刃の剣になるかもしれません。 2018.04.29 Sunday
「和」を前面に出さなくても、美味しいものは世界に通じる。
JUGEMテーマ:経済全般 シンガポール最大の飲食/ホテル業界の展示会、FHA2018に行ってきました。
40年の歴史をもち2年に1度開催されるアジア最大規模の食品展示会の一つ。国際都市シンガポールらしく70ヵ国以上から4,000以上の出展者を集めて行われており、視察者もアジアのみならず世界各国からやってきます。
会場では実演調理も行われるため、国ごとにグループ分けされたブースのブロックには各国独特の料理の匂いがたちこめてシンガポールにいながらにして世界中の国々を回っているような独特のトリップ感を味わうことができました。
日本からはJETROがまとめ役となって全国各地の名産品が集結。 WAGYU(和牛)は今や世界の食トレンド最先端でレストランの名前にまで使われるようになりましたが、それに続けと意欲的なメーカーさんや問屋さんたちが熱心に販促に励んでいました。
その中でも、特に黒山の人だかりとなっていたのがここ。 私の地元、静岡のお茶問屋「おやいず製茶」さんのブースです。
抹茶はシンガポールでもすでに非常にポピュラーなドリンク(ケーキやアイスクリームなどの食材)になっていてスタバでも販売していますが、日本で現在ブーム真っ最中のほうじ茶ラテや玄米茶ドリンクが知名度がまったくないにもかかわらず大人気。
サンプルを飲んでいた来場者に聞いてみたら、ほうじ茶や玄米茶というお茶は初めて知ったけれど実際に飲んでみたら抹茶より美味しい、と口をそろえて言っていました。
自分自身も業者である彼らが求めているのは「日本」のイメージを追求したコンセプチュアルな食品ではなく、やはり彼らのお客さんに「美味しい」と言って買ってもらえるもの。その意味で「抹茶よりほうじ茶のほうがおいしい」と語っていたのが象徴的だと思いました。
ブースで接客されていた社員さんに聞いたところ、用意した価格表はすべて出てしまったほどの人気。お昼ご飯を食べる時間もないくらい連日ひっきりなしにお客さんがいらしたそうで、改めてすごいなと感心しました。
私も6月からのカフェオープンの際には、ぜひおやいず製茶さんのほうじ茶ドリンクを販売させてもらいたいと思っています。 2018.01.30 Tuesday
真冬でも沖縄にアジア系外国人観光客が絶えない理由
JUGEMテーマ:沖縄
先週、3か月ぶりに日本の拠点にしている沖縄に滞在してきました。
昨年末からJetStarがシンガポール-那覇間の直行便が就航したので初めて使ってみたところ、深夜便にもかかわらず往路は満席、復路も8割方席が埋まっていて大盛況。一昨年まではこの時期に羽田‐那覇便をよく利用していましたが、オフシーズンで空席が目立っていたことを思い出し、その違いに驚かされました。
早朝に那覇到着。久しぶりに街に出て国際通りを歩いてみました。今冬の沖縄は雨が多いと聞いていましたが、当日もどしゃ降り。にもかかわらず、牧志公設市場2Fの食堂はアジア系外国人観光客でいっぱい。付近のアーケード街では開いたばかりのドラッグストアや土産物店で中国語をはじめ色々な外国語が飛び交っていました。
この時期の沖縄は全体的にどんよりと曇りがちで雨も多く、ビーチは風が強くてとても泳ぐどころではありません。沖縄のシンボル、エメラルドグリーンの海や突き抜けるような青い空にもめったにお目にかかれません。
そのため日本人が(修学旅行客を除き)ほとんど観光に訪れないため、冬の間は宿泊施設や飲食店など長期閉店するケースも多かったのですが、増加し続けるアジア系外国人観光客によって少しずつ変わっているようです。
なぜ冬の沖縄がこれほど外国人客に人気があるのか? 実際にアジア系外国人観光客に聞いた話を踏まえながら考察してみました。
1.一番近くて気軽な日本 とにかくアジアの大都市から近くてアクセスがよいことがポイントです。
台北‐那覇 約1時間20分、釜山‐那覇 約2時間、ソウル‐那覇 約2時間20分、上海‐那覇 約2時間20分、香港‐那覇 約2時間30分、そして一番遠いシンガポール‐那覇でも約5時間。これに対し東京‐那覇は3時間、北海道‐那覇は4時間かかりますので、日本人が沖縄に行くより、東アジアの外国人が沖縄に行くほうが近いことになります。
特に台北とソウルからはほぼ毎日、1日8便も那覇直行便があってアクセスが非常によくなっていますし、離島観光のハブである那覇よりさらに南の石垣空港からですと香港まで2時間、台北までは1時間弱(ただし冬季の便数は限定)と、時間的には首都圏の方が伊豆に遊びに行くような感覚です。
また、アジア地域では近場はLCCメインになっていますので航空運賃も安く、今回私が利用したJetStarのシンガポール‐那覇往復の航空運賃は日本円にしてわずか2万7千円ほどでした(帰りの便で隣になった沖縄の女子2人組は、キャンペーン利用で往復2万円しなかったと言っていました)。この価格は、同じ時期のJAL羽田‐那覇便とほぼ同じです。
私が最近よく利用していた香港エクスプレスの香港‐石垣便は繁忙期でも往復で2万円前後ですので、時間だけでなく値段的にもリーゾナブルで、日本が好きで東京や北海道に行きたけれど予算オーバーという庶民でも気軽に行ける場所になっているのです。
2.内地に比べて暖かい(適度に涼しい) 沖縄の冬は、最も寒い時期でも平均で最低気温15度、最高気温20度と、東京の桜の頃のような気温。昼はニット1枚、夜でもフリース1枚重ね着すればこと足ります。
しかし、内地ではそうはいきません。韓国や中国北部の人であれば別ですが、台湾や香港、シンガポール人などはほとんど防寒用の冬服を持っていませんし、雪に憧れがあってもたいてい1度日本の本格的な冬を体験すると「もう、こんなに寒いのはこりごり」となります(我が家の娘は「寒い」という言葉を知らず、真冬の東京に連れていったときには肌を刺すような冷気が「痛い」としきりに言っていました)。スキーやスノースポーツが大好きという人を除けば、彼らにとって冬の日本の気候は苦痛なのです。
それを考えると、沖縄の冬は暖かくて過ごし易いですし、湿気に慣れている東南アジア人には雨が多いのも苦になりません。また、シンガポール人など赤道直下からくる人にとっては、「涼しさ」を感じられる避暑地なのです。
逆に、ソウルや釜山など韓国の人たちからしたら避寒地になります。韓国随一のリゾート済州島でも冬は普通に寒いですから、「冬でも暖かい(涼しい)日本」の沖縄は北国の人々にも人気なのではないでしょうか。
3.品質のよい日本製品が安価で手に入る 沖縄のドラッグストアで爆買いをしているのは、ほぼ100%台湾人です。
ユンケルやアリナミンなどの精力剤や風邪薬、化粧品などを両手いっぱいに持ちきれないほど抱えて歩いている姿はよくみかけますし、彼らが去った後にドラッグストアに行って買い物をしようとしたら、棚ががらがらで何もなかったという経験は私にもあります(台湾から頻繁に出ている大型客船ツアーでは航空機より荷物が多く持ち込めるので、さらに爆買いに力が入るようです)。
あまりにたくさん買うので一度不思議に思って、レジに並んでいた若い女性に理由を尋ねたところ「台湾でも買えるけどここで買ったほうが安いし、まがい物がないので安心できる」と答えてくれました。
反対に、日本人観光客に人気の沖縄限定の食べ物はそれほど人気がありません。沖縄そばは台湾や東南アジアのものとさして変わりませんし、豚の耳や豚足も見慣れています。沖縄県がずいぶん昔から積極的に販促してきたおかげで、シンガポールでは沖縄産もずくが普通のスーパーで売っているくらいです。
アジア系観光客にアピールするのは、自分たちの文化に近い沖縄特有の物産より、あくまでも「日本製」。日本だったらどこでも買えるような商品を普通に売っているショッピングモールで買い物するのが彼らのスタイルです。
4.交通が便利 アジアのリゾート地にはときどき行きますが、自然が美しく田舎ののんびりした生活を満喫できるリゾートに辿り着くまでには、とにかく時間がかかります。
例えばタイのパタヤビーチの島に行く場合。前日にバンコックで一泊して、朝からタクシーでバスターミナルまで行って長距離バスに揺られ、到着してからさらにフェリーを待って島まで。バンコック市内は渋滞がひどく時間が読めないため早めに出発しなければならず、往復で丸2日みる必要があります。
車で行けるマレーシアでも同じ。シンガポールとマレーシアのイミグレーションの混雑を避けるために日の出前に出発。数時間ドライブしてフェリー・ターミナルに到着した後は、1日1,2便しかないフェリーをひたすら待ちます。
これに対して沖縄では、那覇空港に降り立ったら空港直結のモノレールでものの10分で繁華街に出られますし、そのままレンタカーを借りてリゾートへ直行しても1〜2時間あれば着きます。離島行きの定期船も頻繁に出ていますし、宮古島に至っては離島まで橋を渡って車で行けるという便利さ。日本のインフラの底力をみせつけられます。
最近は外国人による車の事故が増えて問題になっているようですが、裏を返せば彼らが安心して外国で車が運転できる、と考えているわけで(シンガポールを除く東南アジア諸国ではとても自分で運転する気にはなれません)、やはり便利なことには間違いないのです。
5.日本の田舎は清潔で快適 建設ブーム真っただ中の那覇市内中心部はビルが立ち並ぶ都会ですが、ちょっと郊外に行けばそこは空が広い昔ながらの日本の田舎。沖縄を訪れるアジア系観光客の大部分は都市住民だと思われますが、首都圏住民が週末に伊豆や長野に遊びに行くように、人口過密な都市を脱出して息抜きするにはぴったりの土地です(余談ですが、日本人にとって田舎と温泉は不可分ですが、外国人、特にアジア人は温泉に対する思い入れがほとんどなく、むしろ大浴場は苦痛という人が多いので温泉地はさほど好まれません)。
しかも、アジアの田舎は汚くさびれているのが普通で、そこそこの宿に泊まっても、部屋全体がカビ臭く、水回りには汚れがたまっていて、虫はあちこちから侵入してくるので夜眠れない、などという状態は覚悟しなければいけません。
それに比べると沖縄は日本なのでどこに行っても清潔で快適。都市住民でもすんなり受け容れられる環境が整っています。空港でシンガポール人一家としばらく話をしたところ、「特に観光も何もしなかったけど、どこに行っても清潔で人が少なく、涼しくて、本当にリフレッシュできた」と満足そうにしていました(この一家は、東京、京都、大阪、北海道などすでに何度も日本旅行をしているリピーターでした。シンガポールでは最近このような日本リピーター客が激増しています)。
ーーー
このようにアジア系外国人を惹きつけてやまない沖縄ですが、たった一つ欠けているのは中国本土の中国人。チャーターや台湾、香港経由で来る旅行客もいないことはありませんが、絶対数としてはまだまだ多くありません。
まだ上海便、北京便ともに直行便の数が非常に限られているためこのような状況を維持していますが、いったん彼らがこの沖縄の魅力に気づいたらどういうことになるか、考えただけでも恐ろしくなります。
昨年、ある不動産会社の方と話したところ、やはりすでに目をつけている人はいるようで、中国人向けのリゾートを作るために中国人ブローカーがまとまった土地を探し回っていると言っていました。
外国人観光客が増えて沖縄経済に貢献してくれることは嬉しいですが、一方で、昔ながらの人が少なくのんびりした沖縄も残ってほしいと思うと、少し複雑な心境になります。 2017.03.29 Wednesday
ベトナム投資に新展開
JUGEMテーマ:経営のヒントとなるニュースを読み解く シンガポールを代表する不動産ディベロッパーのCapitalandが、ベトナムでの居住用不動産開発を促進する(年内最高で2,500戸)と発表しました。
また、居住用不動産のみならず、サービスアパートメント、オフィス、商業施設など、ベトナムでの不動産開発に今後も注力していく予定であり、ベトナム市場はシンガポール、マレーシアに次いで第3の規模のマーケットになっています。
こちらはJETROのリポートですが、ベトナムでの人口ボーナス期は2041年まで続くと予測されています。(日本は2005年にすでに終了。シンガポールは2028年、中国は2034年、インドは2060年)
アジア地域でのビル建設ラッシュ及びそれにかかわる資金需要は、最低でも2030年までは拡大の一途をたどると言われており、欧米+日本の先進国で長らく停滞してきた経済も、アジア地域経済の牽引により息を吹き返しつつあります。AIIB参加国が70ヵ国までに増えた背景には、世界経済における中国の台頭という側面だけでなく、アジアを中心にした旺盛なインフラ資金需要があり、そこに参入機会を狙う国々が加入しているという現実をも見逃すべきでないと思います。
もちろん、お金だけでなく人の移動も盛んです。我が家の近所にもここ数年で驚くほどの数のベトナム料理屋ができ、ベトナム雑貨店も出現しています。また、経済だけでなくNPOレベルでのシンガポール/ベトナムの交流もかなりのスピードで進展しているようです。
お金が動くときには必ず人が動き、ビジネスチャンスが到来することを忘れないようにしたいものです。 |
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