ASIAN NOMAD LIFE

日本、香港、中国で生活・仕事をしてきてシンガポール在住7年目。
The Straits Timesの「新年に取り入れたい9つのお金の習慣」にみるマネーリテラシー先進国のシンガポール
0

    JUGEMテーマ:幸せなお金と時間の使い方

    ちょっと古いですが、今年2月5日のシンガポール紙「The straits Times」の日曜版にこんな記事が掲載されていました。

     

    新年に取り入れたい9つのお金の習慣というタイトルのこの記事は、「Invest」部門の編集者ローナ・タンさんががお薦めする一般人の投資についてのアドバイス。The Straits Timesはシンガポールでは一番人気の、日本でいうと読売新聞と日経新聞を足して2で割ったような新聞です。

     

    記事の内容を簡単に要約すると以下の通り。

     

    1. 「ポートフォリオを見直す」  基本的に私は「買ったらそのままホールド」だけれど、金融市場は刻々と変化しているので、半年から1年くらいのスパンで持っている金融商品を見直したほうがよい。
     

    2.「長期的な視点で資産形成を考える」 金融資産をもつ期間の長さに比例してリターンも大きくなる。
     

    3.「常にリタイア後を見据える」 優良株、債券、優先株式、投資用不動産、個人年金などリタイア後に向けてバランスよく配置。特に政府年金(CPF)はリスクフリーで年利も非常によいので、追加個人年金も考えたほうがよい。
     

    4.「6か月分の生活費をキャッシュでもつ」 失業など万が一の場合に備え、最低でも6か月、できれば12か月分の生活費はキャッシュでもっておく。
     

    5.「現実的な予算を組む」」 毎日のレシートやクレジットカードの支払いなどからだいたいの毎月の予算を把握しておき、旅行予算ももっておく。リタイア前には住宅ローンをすべて返済しておくことが鉄則なので、6か月ごとに月の予算を見直す・

     

    6.「保険を見直す」 年1回、家族の年齢や健康状態など状況の変化に合わせて入っている保険を見直す。
     

    7.「貯蓄用資金を別口座に移す」 自動引き落としで給料口座から別の貯蓄用口座に引き落とすようにしておく。収入が上がったらこの額も増やす。
     

    8.「消費に注意する」 衝動買いを避け、外食を控え、賢い買い物をする。家族と公園でサイクリングしたり、教会でボランティアしたり、本を読んだりとお金を浪費しない趣味をもつ。
     

    9.「税金の控除を利用する」 個人年金の掛け金など税控除になるものは多いので、きちんと調べて申告する。

     

    添付資料には保険会社別年間保険料額もまとめてあり、情報のクオリティの高さが際立っています。

     

    日本の雑誌やオンライン記事の家計診断などでは、「持ち家と賃借りとどっちが得か」とか「家計節約のために格安スマホを」というような記事が堂々巡りで掲載され、それ以上先に進まないことが多いように見受けられますが、同じ「老後の備え」にしてもシンガポールの一般家庭ではこのようなことまで考えて働き盛りの年齢から投資して資金を確保しています。

     

    また、20年以上前の香港で、引っ越した安アパートの前のテナントだった人(おそらく30代前半の独身女性)宛の銀行預け入れ明細を間違って開けてしまったことがあったのですが、10ヵ国以上の通貨に230万円単位で預金してあるのを見て驚いたことを思い出しました。

     

    日本はこれまで、世界に誇る健康保険制度と年金保険制度をもち、国民一人ひとりが自己責任で備えなくても国が老後のシステムを考えて個人に代わって運用してくれる時代が続いていました。

     

    しかし、そんなパラダイスも今は昔。現在の日本国政府の財政状況を考えると、自分の老後は自分で守る、そのために若いうちから効率よく投資することが不可欠の時代に入っています。

     

    すでにシンガポールと日本ではこれだけの差がついてしまっているのですから、一人ひとりがもっとシビアな目で将来の財務設計をするとともに、メディアも個人投資家レベル向けだけではなく、一般庶民がきちんと老後資金を築いていけるくらいの、実用的かつ平易な投資情報を提供してほしいものです。

     

    私個人としては、(もうとっくに新年過ぎてしまいましたが)あと1週間で新年度を迎えるにあたり、このアドバイスに書かれている項目をぜひ実践してみたいと思います。

    | 後藤百合子 | 老後と年金 | 23:55 | - | - |
    インフレと少子化で目減りする年金。いよいよ導入される「マクロ経済スライド」
    0


      ■物価スライド特例措置を2年で解消
      年金のことをもっと知ろうと日本年金機構のHPを見ていたところ、見慣れない用語をみつけました。「物価スライド」という言葉です。このページには下記のように説明があります。
       
      物価スライド特例措置について

      公的年金の年金額は、物価・賃金の変動に応じて年度ごとに改定されることになっており、平成26年度の改定率は、平成25年の全国消費者物価指数と過去3年間の賃金変動率から、プラス0.3%となりました。
      また、現在の年金は、過去に物価が下落したにもかかわらず年金額を据え置いたことで、本来の水準よりも1.5%高い水準(特例水準)で支払われていることから、平成24年の法律改正で段階的に特例水準を解消することとしています。
      このため、平成26年4月分としてお支払いする年金額から、平成26年度の改定率(プラス0.3%)と特例水準解消分(マイナス1.0%)を合わせ、3月までの額に比べ、マイナス0.7%の改定が行われます。
      ※今回の改定の結果、残る特例水準(0.5%分)の解消は、平成27年4月に実施される予定です。(実際の年金額の改定については、物価・賃金の状況により、決まります。)

      日本年金機構HPより引用


      「物価スライド」という言葉からは、物価上昇(インフレ)に合わせて年金額も上昇するような印象を受けますが、どうもそれだけではないようです。文面をみる限りでは「これまでが特例でデフレのときに本来なら下げなければいけないのが下がっていないので、平成26年と27年の2年に分けて年金を下げます」と読めます。そういえば「年金額が下がった」という声を今年はあちこちで聞きました。

      ■マクロ経済スライドとは何か?
      しかし、この措置が終わったら年金は現在進行しているインフレに合わせて単純に上がっていくのでしょうか? もう少し理解したいと思い厚生労働省のHPを見てみたら、今度は「マクロ経済スライド」という言葉がみつかりました。

      公的年金のスライドには「物価スライド」「マクロ経済スライド」「賃金スライド」の三種類の方式があり、現在の日本の公的年金で採用されているのは「物価スライド」と「マクロ経済スライド」だけだそうです。

      そうなると「物価スライド」はインフレになっても年金額が物価に同調して上がるのでよいとして、「マクロ経済スライド」ではどうなるのでしょうか?
       
      マクロ経済スライドとは、そのときの社会情勢(現役人口の減少や平均余命の伸び)に合わせて、年金の給付水準を自動的に調整する仕組みです。 

      厚生省HPより引用

      このページの説明を読む限り、どうも物価上昇分から一定の料率を引いて年金額を計算するのがマクロ経済スライドのようです。ただ、具体的にどのような計算をするのか説明を読んでもいまひとつわからなかったため、次は厚生労働省に電話をかけて聞いてみました。

      ■インフレかつ年金加入者が減れば減るほど目減りする年金給付金
      以下が担当者の方にうかがった話の要約です。

      平成16年の年金改革で公的年金制度維持のため、マクロ経済スライドを導入した(厚生年金保険法34条および国民年金法16条の2、27条の5)。平成16年以降はほとんどデフレが続いており、本来ならば年金額を下げなければいけなかったが、特例措置で据え置かれた。しかしそれを解消して支給額を引き下げ、2014年はインフレが見込まれるため(IMFによる10月時点の推計では2.66%)、初めてマクロ経済スライドを来年度から導入する見込み。具体的な計算方法は、物価上昇分から、2年度前の年金保険料負担者数を5年度前の負担者数で割った数字を引く(ただしこの計算方法はHP等に掲載されていないため検証はできませんでした)。

      お話を私が理解したところでは、物価が上がった分は上昇率と同じく年金額も上げます、ただしそこから保険料を払っている人が減った分を引きますよ、というものだと思います。実際にどれだけ減るのかは来年になってみなければわかりませんが、インフレになればなるほど、保険料納付者数が減れば減るほど、名目支給額こそ上がりますが、実質的に支給される年金は目減りすることになるのです。

      ■年金目減りに備えるシニア世代に見習おう。
      前回、65歳以上で就業する方々がたいへんな勢いで増えているということをお伝えしました。すでに年金給付が始まっている世代では、マクロ経済スライド導入も視野に入れて今後の生活設計を考えていらっしゃるのではないかと思われます。

      従来のままで公的年金制度を維持するのが不可能なのは火の目をみるより明らかですし、シニア世代の方々が着々と準備を進めているのに見習い、その下の世代でもこれまでの年金給付額や給付率を元にした将来設計をするのではなく、もっとシビアな老後プランをたてていくことが必要になってくるのではないでしょうか。
      | 後藤百合子 | 老後と年金 | 18:32 | - | - |
      65歳以上の就業者が激増中!アベノミクス100万人雇用拡大の実情
      0
        18日に安倍首相が解散総選挙を宣言しましたが、記者会見の内容に少しひっかかった一言がありました。安倍首相は政権発足以来、雇用が100万人以上増えたと述べたのです。(もう一つ賃金が平均2%上がったというコメントもありましたが、消費税が3%上がっているので実質1%の減じゃないかと思わず突っ込みたくなりましたが、これはおいておきます)

        ■第2次安倍内閣成立から134万人も増えた雇用
        総務省統計局の労働力調査によると、2014年9月現在の日本の雇用者数は5,636万人です。うち男性は3,175万人で56.3%を占め、女性は2,461万人で43.7%となっています。第二次安倍内閣は2012年12月末に発足していますので2013年1月の数字と比べてみましたが、当時の雇用者数は5,502万人ですから100万人どころか134万人も増えていることになります。

        ■若年層は41万人増だが非正規社員が約半数
        安倍首相が「高卒就職者への求人が大幅増」とおっしゃっていたので調べてみました。たしかに2012年3月の高校新卒就職者は17万5千人から2014年3月には18万1千人と3.4%増えています。しかし増加数はたかだか6千人程度で、2013年3月と比べると逆に2千人減っていますので、とても雇用全体に影響があるとは思えません。

        いっぽう、2013年1月〜2014年9月までで高校新卒を含む15歳〜24歳までの年齢層では41万人も雇用が増えています。これは全年齢層の増加人数の約3割にあたり、伸び率も9%と非常に高くなっています。若年層の雇用は順調に拡大しているといっていいでしょう。

        しかし問題もあります。雇用が拡大したとはいえ、この年齢層では正社員比率が53%しかなく、残りの47%はアルバイトなどの非正規雇用者なのです。人手不足が叫ばれ、サービス、小売業を中心に若年層の時給がじわじわと上昇していますが、たとえ時間給が上がったとしてもその多くはアルバイトであり、長期的な安定雇用は期待できません。この年齢層のパート・アルバイト社員もまた11万人増と大幅に拡大してしまっているのです。

        ■45歳〜54歳は46万人の増加で女性が躍進
        若年層よりさらに雇用の伸びが大きかったのが、45歳〜54歳の年齢層です。このうち最も伸びが大きかったのは、女性の非正規雇用で18万人の増。パート・アルバイトが8万人増、契約社員が7万人増となっていますが、正社員も5万人増えており、女性だけで26万人も増加しました。

        この年齢層では男性も21万人増加しているのですが、女性とは逆に正社員の伸びが最も大きく13万人も増えています。正規職員/社員の雇用率も91%前後と安定しており、働き盛りの雇用もまだしっかり確保されていることがわかります(ただし正社員比率はほとんど変わっていませんので、非正規雇用の男性もまた増えているのが実情です)。

        ■雇用拡大の過半数は65歳以上。女性の非正規雇用が28万人も増大
        これまで若年層、壮年層をみてきましたが、実はこの期間で最も大きく雇用が拡大したのは、65歳以上の高齢者層です。アベノミクスで拡大した雇用の過半数が65歳以上、というのは非常に示唆に富む結果だと思います。

        2013年に1月に350万人だったこの年齢層の雇用者は2014年9月には422万人になっており、72万人の増加。若年層の2倍近くも伸びています。またこの年齢層は、雇用者全体の7.5%を占めるようになり「働く人の13人に1人は65歳以上」という状態になっているのです。

        さらに詳しくみていきましょう。65歳以上ですので正社員雇用はぐっと下がって25.8%です。伸びているのは圧倒的に非正規雇用で57万人と、増加分の8割を占めています。男女別でみると女性の非正規雇用が107万人で28万人増、男性の非正規雇用が134万人で29万人増と男女ともに大幅に増加しています。いっぽう男性の65歳以上正社員雇用は5万人増で、女性は変化なし。65歳をすぎてもまだまだ元気な男女がパートタイマーやアルバイトとして働き、貴重な労働力となっているといえます。

        ■正社員雇用はほぼ変わらず、シニア世代の非正規社員が大幅増のアベノミクス
        最後に全体をみたいと思います。2013年1月と2014年9月を比較したとき、全体の正規雇用者数はマイナス9万人となっています。25歳〜34歳の女性が12万人の減、55歳〜64歳の男性が16万人の減などとなっており、女性の転職・出産による退職や男性の定年後の転職などが主な理由の誤差の範囲内と考えていいと思います。ただ、全体的に年齢にかかわらず正社員の増加傾向があるなど、正社員雇用を企業が控えている、という印象はありません。

        逆に非正規雇用者は147万人と大幅増。増加した非正規雇用者のうち55%にあたる81万人が55歳以上で、その約7割の57万人が65歳以上です。また、45歳以上の女性の非正規雇用18万人もいれると、この3つの年齢層だけでほぼ100万人が非正規雇用で増えたことになります。

        この数字からみえてくるのは、まだまだ元気な高齢者が、積極的に労働市場に流入して生産・サービス活動に従事している姿です。将来に対する不安から「元気なうちに生活費を稼いで貯蓄しておきたい」という自己防衛本能の表れともいえるかもしれません。また、45歳〜54歳の従来は「年齢的に再就職は難しい」と就職をあきらめていた年齢層の女性たちの間でも、できるだけ働いて老後に備えたいという意識が高まっているといえるでしょう。

        皮肉なことに「老後の備えに働けるうちはとにかく働きたい」という、アベノミクス効果による将来への不安とリスク回避意識こそが、安倍首相のいう「100万人の雇用拡大」の主要な要因ではないかと考えられるのです。もはや庶民にとって「年金を受給しながら悠々自適の引退生活」は手の届かない高嶺の花になりつつあるのではないでしょうか。

        ■働く人の4人に1人は55歳以上。変わらざるをえない働き方
        役職定年などが多い55歳以上を区切りとして、シニア世代の55歳以上の労働人口を総計してみると1,398万人になり、全雇用者の24.8%を占めていることがわかります。いまや日本の労働者の4人に1人は55歳以上、シニア世代は貴重な労働市場の戦力です。

        日本では過労死、長時間労働などが長い間問題になってきましたが、ここまで高齢の労働者が増えるとこれまでのような日本的な働き方は企業がどんなに望んでも継続は難しいと思います。シニア世代の現役期間が延びるにつれ、否応なくワーク・ライフ・バランスの実践が定着してくるのではないかと期待しています。
         
        | 後藤百合子 | 老後と年金 | 18:29 | - | - |
        「100年安心年金」崩壊でもバラ色の老後へ!
        0
          ■団塊の世代が年金受給年齢に! いよいよ始まった超高齢化社会。
          団塊世代のピーク、日本で最も多い人口をもつ昭和24年生まれ(1949年)の方々が今年、65歳になります。この方々を含む昭和22年〜24年生まれの団塊の世代の合計人数は2009年時点で約664万人に上り、今年中に全員が公的年金を受給できる資格を取得することになるのです。

          2014年6月の日本の人口は1億2700万人。うち65歳以上人口は3,200万人で全体の25%を超えました。15歳以上の生産年齢人口は1億1,000万人となっていますが、昨年度調査の有業者率は58%ですので働いている人を6,400万人とすると、ちょうど年金受給者1人に対し現役2人が支えるという構造になっています。

          金額的には年金受給者1人あたりの受給平均額約20万円を、働く人1人で10万円ずつ負担することになります。自分の生活だけでも精一杯なのに、どこからどう見てもこれはちょっと無理ですよね。そこで税金を年金会計に入れたり、年金積立金を運用してその運用益を使っているのです(もちろん年金の保険料そのものもずっと上がり続けています)。

          今年は5年に一度の年金検証の年にあたり、6月初旬に政府の検証結果が公表されました。しかし、あまりにも現実からかけ離れた楽観的な数字に専門家から批判が続出しており、今後、厚生年金の支払い増加によって積立金を取り崩していけばあと20年以内にも枯渇してしまうのではないか、という厳しい見方もあるようです。

          国民年金積立金の運用実績は平成24年度こそ株高の恩恵で11兆円強ありましたが、13年から24年度までの10年で合計25兆しかありませんので、実際には平均年間2.5兆、1.9%の運用益ということになります。定期預金の利息がよくて0.1%程度の時代ですから、この運用益でもまずまず頑張っているといってもいいでしょう。

          しかし、政府の楽観試算では今後の運用益が最も低くて3.9%です。現在の残高が128兆円ですので、3.9%の運用益で約5兆円ですが、これまで通り1.9%の運用益でしたら2.4兆円にしかなりません。

          ちなみにシンガポールの年金制度(ただし日本と違い自己積み立て方式で、自分がかけた金額が公団住宅購入資金や年金として還付されるもの。政府が管理・運用している)ではここ数年間の運用利回りが10%近くになっていて、テマセック・グループというヘッジファンドさながらの政府系投資会社の辣腕運用は世界的にも有名です。おかげで国庫資金も潤沢なため、現在、健康保険制度改革(政府の補助を大幅に増額)が議論されているくらいですが、それでも国民への運用益還元率は4%にすぎません。

          いっぽう、世界でも最大規模のボリュームをもつ我が国の年金積立金運用の半分以上は日本国債に当てられており、長期金利は0.55%。残りの半分と合計で3.9%の運用益をだすためには、その他の債権や株で毎年、7%以上の利益を出さなければいけません。株や債券に投資したことがある人なら、これがどれだけ大変な数字かおわかりになると思います。

          また、65歳以上人口はこれからもどんどん増え続ける予測なのとは逆に、65歳未満の人口は非常に速いスピードで減少しており、若い世代がとても「100年安心」と思えるような体をなしていないことは、誰から見ても明らかなのではないでしょうか。

          ■年金受給を前提に老後計画をたてて本当にいいの?
          こんな現状ですから、私たち国民が将来、いったいどれだけ年金をもらえるのだろうかと知りたくなるのは当然のことです。

          すでに受給が始まって何年にもなる人は別にしても、受給が始まったばかりの方や、10年後、20年後、30年後に受け取る予定(とされている)の人たちが、現在と同じ水準でずっと受給できる可能性を素直に信じられるのでしょうか?(何かの原因で出生率や税収が飛躍的に増えるとか、老年人口が劇的に減少するとかの確信があれば別ですが)。

          上に書いてきたようにざっくりと現状をみただけでも、私には悲観的な未来しか想像できません。

          ですので、新聞や雑誌などで「年金は20万円給付だけれど、バラ色の老後を送るためにはあと月6万円必要。これをプラスできるように30代から自己年金を積み立てよう」などという記事をみつけると、「いったい誰がこんな計算を信用できるのだろう?」と首をひねってしまいます。

          これはバブル最盛期にまだ20代だった私が「どんどん土地や株を買って財テクしよう!」とファイナンシャルプランナーをはじめ多くの専門家と言われる人たちが声高に叫んでいるのを聞いて感じた違和感と似ている気がします。バブルは崩壊し、ファイナンシャルプランナーや銀行や証券会社の薦めるままにたくさんの株や土地を買い、挙句の果てに倒産したり自己破産した会社や人たちを何人も知っていますが、誰も代わりに責任を取ってくれなかったのは言わずもがなです。

          ■年金ゼロでもバラ色の老後を送るために。
          これから日本が突き進んでいく超少子高齢化社会はこれまで世界のどの国も直面したことがない、未曽有の事態です。すでに65歳以上の高齢者が4人に1人という現実でさえ、これまでの歴史になかったことですし、WHOの統計では日本の平均寿命は世界一、60歳以上人口の割合も世界一(日本32%で2位のドイツと5%も違います!)、合計特殊出生率は179位で、日本より低い国はボスニア・ヘルツェゴビナ、ポルトガル、韓国、シンガポールの4か国しかありません。

          また、死亡最大年齢(平均寿命ではなく最も多い死亡年齢)は男性86歳、女性91歳ですので、自分自身の老後を考える場合は少し余裕をみて、男性なら90歳、女性なら95歳まで「生きてしまう」可能性を覚悟しなければならないでしょう。

          先進国や中進国の多くもこれから少子高齢化社会に入ろうとしていく中で、先陣を切って進む日本はある意味モルモットとして世界中から注目されているのです。

          しかし、この深刻な社会問題について、政府は国民を守るために真剣に取り組んでいるようにはどうしても思えません。報告書を読む限り、年金についても何とか数字上で帳尻を合わせて取り繕い、問題を先送りしているようにしか見えないのです。そんな中、この超異常事態を一人一人が乗り切っていくには自助努力、自衛策を早いうちから準備しておくしかないのではないでしょうか。

          年金ゼロでもバラ色の老後を送ることができるように、とにかく若いうちから、すでにあまり若くない人は1日も早く、公的年金を当てにせず(もしも受給できたとしても現在の水準からはだいぶ少ない金額になるでしょうから「もらえたら儲けもの」くらいに考えておけば腹はたちません)、自分の力で乗り切っていける老後のための一歩を踏み出すことが重要だと思います。
          | 後藤百合子 | 老後と年金 | 14:39 | - | - |
                1
          2345678
          9101112131415
          16171819202122
          23242526272829
          30      
          << April 2017 >>
          + PR
          + SELECTED ENTRIES
          + CATEGORIES
          + ARCHIVES
          + MOBILE
          qrcode
          + PROFILE