ASIAN NOMAD LIFE

日本、香港、中国で生活・仕事をしてきてシンガポール在住7年目。
「やり抜く力(グリット)」に関する考察(後編)〜「やり抜く」薬をみんな飲んだなら
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    JUGEMテーマ:幸せなお金と時間の使い方

     

    <前編>はこちら

     

     

    ■「やり抜く力」は脳の機能の働きで決まる?

    「やり抜く力」はどこから出てくるのか、という疑問を再認識させてくれたのが、最近読んだこの本です。

     

    ADHDとアスペルガー両方の発達障害をもち、漫画家、作家、コメンテーター、歌手とマルチに活躍するさかもと未明さんと主治医の共著であるこの本では、さかもとさんがこれまで辿ってこられた人生の成功と挫折を語り、それを主治医の星野医師が医学的に解説する、という形をとっています。

     

    さかもとさんは、まったく勉強しないのに小学校で転校してから中学卒業までは100点しか取ったことがない、という非常に高い知能を生まれつきもった方で、教科書などを映像的にすべて記憶してしまう、教室にいる全員の話していることがすべ耳に入ってしまう、といった自閉症に時折みられるサヴァン症候群の傾向も併せもっています。

     

    「空気が読めず人とのコミュニケーションが苦手」「自分のこだわりにとことんこだわる」というアスペルガー症候群に特徴的な性向と人並み外れた集中力で、漫画家、作家、歌手、ホステス、画家と短期間にプロとして成功するにもかかわらず、一定期間がたつと次の興味対象にすっかり夢中になってしまうのは、多動傾向のADHDの特徴といっていいでしょう。

     

    しかし、さかもとさんは何事にものめり込みすぎる過集中と、周囲の人々とのコミュニケーションが円滑にできないために鬱状態やアルコール依存となり、不治の難病である膠原病を患ってしまいます。その中で救いを求めたのが星野医師との出会いでした。

     

    ■「やる気」を引き出すドーパミン促進剤メチルフェニデート

    星野医師の処方により、さかもとさんはメチルフェニデートという成分が入ったコンサータという薬を服用します。すると、「薬を出していただく前は一日四時間くらいしか起きていられなくて、体が動かなかった。薬を飲んだとたん、体がラクになって元気に動くようになり、意識もはっきりしてきた。脳内の物質がこんなにも体を支配しているなんて、びっくりしました」というほど劇的に症状が改善します。

     

    メチルフェニデートという成分は神経伝達物質ドーパミンの働きを促進する効果をもち、「やる気」や「幸福感」を誘引します。逆にドーパミンが不足するとやる気がなくなったり、無気力になったり、抑うつ状態も引き起こすそうです。

     

    自然にドーパミンを増やすには運動や瞑想などが効果的と言われますが、ドーパミンを持続させる作用で最も効き目が劇的なのは覚せい剤やコカインなどの麻薬だそうです。

     

    実際、メチルフェニデートの一種であるリタリンという薬は、「合法ドラッグ」として使用する人が増えてしまったため、現在は厳しい規制の対象になっています。

     

    覚せい剤が戦時下の日本で特攻隊員に与えられたのは有名な話ですし、コカインはハリウッドスターやウォールストリートのビジネスマンなど、強いプレッシャーに晒される職業の人に常用されることが多いようです。彼らはもともと「やり抜く力」が強かったためにスターや一流のビジネスマンになったのだと思いますが、その集中力ややり抜く力を維持して成功し続けるため、「情熱」や「たゆまぬ努力」を人工的に再現できる麻薬に溺れてしまうのではないでしょうか?

     

    逆に言えば、「やり抜く力」を人生の全期間において維持し続けるのは、大変困難なことと言えるのだと思います。

     

    ■なろうとして、なれない時

    尼崎連続変死事件は、殺人や行方不明など10数人に及ぶ被害者を出した恐ろしい事件でしたが、この本によれば、主犯の故角田容疑者は長年にわたり覚せい剤を常用していたといいます。

     

    角田容疑者が亡くなってしまった現在では、何のために彼女がこのような事をしたのか、どうしてここまで非道な犯罪を続けられたのか、答えられる人はいません。しかし、この事件はある意味、麻薬によって人工的に作り出された「やり抜く力」が強すぎるまま継続すると、通常の人間の想像力を超えた、恐ろしい領域に入ってしまう可能性があるということを示唆しているのではないかと思います。

     

    私が尊敬する上林順一郎牧師(現日本キリスト教団江古田教会牧師)の著作に、『なろうとして、なれない時』という説教集があります。

     

    この本で上林牧師は、どんなにしなくてはいけない、ならなくてはいけない、と思っても、願っても、できない時がある。人間は不完全で弱い存在であるけれど、神様はその、ありのままのあなたを受け入れてくれる、と繰り返し語ります。

     

    「やり抜く力」は確かに大切には違いありません。

     

    しかし、やり抜きたいと思ってもできない、情熱や努力が続かない、といつも嘆いて自己嫌悪に陥ったり、最悪の場合は麻薬にすがってしまったら、自分自身を滅ぼすばかりか、最愛の人たちまで傷つけることになります。

     

    やり抜けないとき、情熱がもてないとき、努力できないとき、そういうときこそ、「人間だから」と開き直り、次にできるようになるまで自分自身を甘やかし、励ましていく力もまた、私たちの人生にとって「成功」以上に大切なものではないでしょうか。

     

    | 後藤百合子 | グローバルビジネスと人材 | 12:37 | - | - |
    「やり抜く力(グリット)」に関する考察(前編)〜成功に並外れた才能は要らない
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      ■生まれついた才能ではなく、「やり抜く力」が決める人生の成功

      話題作『やり抜く力 GRIT(グリット)――人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける 』は、スポーツやビジネスなどでずば抜けた業績を残すには、IQや生まれつきの運動能力ではなく「やり抜く力」が最も重要だ、ということを心理学の分野から証明した著作です。

       

      こちらはTEDで著者のアンジェラ・ダックワース博士が話している映像ですが、上掲の著書のハイライトであり、このプレゼンテーションの中でも語られている一つのエピソードがあります。

       

      それはアメリカの士官候補生が受ける「ビースト」と呼ばれる過酷な訓練の結果、どんな人が脱落するかを追跡した調査結果です。

       

      博士は全国から選りすぐられた1,218名の志願者たちに「グリット」を測定するテストを実施。訓練最終日までに71名の脱落者が出ましたが、グリット・スコアをチェックしてみると脱落者は相対的にスコアが低かったそうです。これはその年だけでなく、翌年も同じでした。逆に、学力、体力、適性など総合評価スコアについては、脱落者と完遂者に差異はほとんど見られなかったといいます。

       

      これ以外にも、リゾート会員権販売会社の営業職の男女を対象にした調査で、グリット・スコアの高い人は半年後にも辞めずに残っており、公立高校2年生対象の調査では、中退せず卒業した生徒のグリット・スコアが相対的に高かったという結果が紹介されています。

       

      さらに、アメリカ人を対象とした大規模調査では、大学院の学位を取得した人は4年生大学卒業の人よりも「やり抜く力」が強く、4年生大学を卒業した人は、学位を取得していない人に比べて「やり抜く力」が強いことがわかったそうです。

       

      つまり、学業や仕事などの成功にはすべて、このグリット、「やり抜く力」が密接に関わっており、生まれつきIQ、体力、容姿などに恵まれて高い評価を受けている人でも、最終的な成功にはグリットの力が必要不可欠だというのです。

       

      ■やり続ければ誰でも成功できる。

      ダックワース博士の理論は、コラムニストのマルコム・グラッドウェル氏が提唱する「100万時間の法則」でも裏打ちされています。

       

      このインタビュー記事でグラッドウェル氏は、1万時間の練習さえすれば誰でもプロになれる、と語ります。「好きこそものの上手なれ」と言いますが、プロスポーツ選手やオリンピック選手が長時間、長期にわたる厳しい練習に耐えて大きな成果を出していくのは常識ですし、上記の調査にもあるように、アメリカの大学や大学院を卒業して学位を取るには大変な勉強量をこなさなければならない、というのは留学経験者からよく聞く話です。

       

      また、経営者として事業の成功をめざすときの絶対条件は「決して途中でやめない」ことです。

       

      新たに始めた事業から途中で撤退してしまったら永遠に成功しませんが、失敗を重ねながらも試行錯誤してあきらめず、最後までやり抜けば、多くの場合成功に至ります。これもある種の「グリット」と言えるでしょう。

       

      ■「やり抜く力」も生まれつき備わった能力では? という疑問

      「人間は自分の持っている能力をほとんど使わずに暮らしている。さまざまな潜在能力があるにもかかわらず、ことごとく生かせていない。自分の能力の限界に挑戦することもなく、適当なところで満足してしまう」

       

      『やり抜く力 GRIT』で著者が紹介するのは、プラグマティズムの哲学者、ウィリアム・ジェームズの言葉です。文字通りに読めば、グリットさえ伸ばせばだれでも潜在能力を引き出せるように聞こえますが、水を差すように次の引用が続きます。

       

      「人間は誰でもはかり知れない能力を持っているが、その能力を存分に生かし切ることができるのは、ごくひとにぎりの並外れた人びとにすぎない」

       

      私自身も20年近い経営者という仕事の中で、いろいろな人を見てきました。

       

      その経験の中で、ダックワース博士の研究を待つまでもなく、伸びる社員というのは、グリットの高い社員、どんなにつらくてもやり抜く力をもっている社員だということが自然に理解できました。

       

      兎と亀のたとえではないですが、IQや学力、適性がそれほど高くなくても、仕事に打ちこみ、失敗しながらもこつこつとすべきことをし続けていると、いつの間にか、当たり前のように以前はできなかった仕事ができるようになっている人がいます。

       

      逆に、とても器用で最初から楽々と仕事をこなせても、途中で飽きてしまったり熱意がなくなり、手を抜くようになってしまう人もいます。その結果、亀社員に次々と抜かれていき、最後には本人が面白くなくなって辞めてしまうケースもありました。まさに、グリットに不可欠な「情熱」と「粘り強さ」が欠落した場合の典型例です。

       

      しかし、彼らも決して最初からそうだったわけではありません。自分でも気づかないうちに、時間の流れとともに「情熱」が失われてしまい、「粘り強さ」もなくなってしまうのです。それを取り戻さなければならない、と頭ではわかっていても、実際にはできない。いっぽう、亀社員はそんなことはまったく考えずに、黙々と「情熱」と「粘り強さ」をもって仕事を続けます。

       

      「仕事を好きと思えるかどうか」という適性の問題も全くないとは言えませんが、このように人によりはっきりと結果が出てくるのを見ていて、「やり抜く力」(当時は「努力できる能力」と呼んでいました)もまた、IQや運動能力と同じく、各人が生まれもったものではないかと強く感じました。 

       

      後編>へ続く。

       

      | 後藤百合子 | グローバルビジネスと人材 | 12:28 | - | - |
      「販売員の接客は超高級店だけ」な時代の到来!?
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        4/22付の日経新聞電子版に、日経新聞とフィナンシャル・タイムズ紙の共同調査結果として、「ロボットと仕事競えますか 日本は5割代替、主要国最大 」という記事が掲載されました。

         

        これまでも今後ロボットやAIに置き換えられると予測される職業に関する記事は散見されましたが、この記事では職種ごとに「置き換え可能」と「置き換え不可能」な業務内容が細かく記述されており非常に具体的です。

         

        また、「日本はロボットの導入余地が主要国の中で最も大きいことが明らかになった。マッキンゼーの試算では自動化が可能な業務の割合は日本が55%で、米国の46%、欧州の47%を上回る。農業や製造業など人手に頼る職業の比重が大きい中国(51%)やインド(52%)をも上回る結果となった。」と、かなりショッキングな調査結果も紹介されています。

         

        今回の共同調査の結果開発されたというツールをさっそく見てみました。さまざまな職種が選べるようになっていますが、現在、人手不足が深刻な職種の一つ「小売販売員」を選んでみると、約半数の48.4%の業務がロボットで代替できるとされています。

         

        <代替できる業務>

        販売その他の取引を処理する

        販売その他の商取引の記録を維持管理する

        販売その他の金融取引の記録を照合する

        製品やサービスのコストを計算する

        営業窓口などの連絡先を用意する

        商品展示台を設置する

        顧客ニーズを判断するために顧客情報や製品情報を収集する

        作業エリアを清掃する

        建物や商品の状態を調べる

        商品や部品を仕入れる

        顧客から商品注文を取る

        販売その他の取引の正確性を評価する

        商品や物資の在庫を購入する

        商品・サービスの配達を手配する

        顧客の信用情報を照合する

         

        <代替できない業務>

        技術的な商品・サービス情報を顧客に説明する

        商品やサービスを販売する

        商品やサービスに関する顧客の質問に答える

        顧客や得意客、ビジターにあいさつする

        製品やサービスの利用について顧客に助言する

        お金を支給したり、クレジットやバウチャーを発行したりする

        消費者に商品の特徴を説明する

        顧客にサービスや製品を推奨する

        安全を確保するために作業エリアを監視する

        製品や資材の在庫を監視する

        販売員を訓練する

        販売のコストや条件を見積もる

        販売活動を監視する

        顧客に金融情報を説明する

        セールス・サポート人員を監督する

        専門知識を維持するために法律や規制を学ぶ

         

        ロボットに置き換わる可能性があるのは、売り上げ処理や記録の維持管理など経理事務的作業、売り場のチェックや作業台の設置など物理的な売り場管理・設営作業、注文受付から発注・納品までの業務処理作業など、顧客との関りがないかほとんどない、バックヤードの仕事が大部分を占めます。

         

        反対に置き換わらないものは、実際に顧客に商品知識を伝えたり、最適と思われる製品を勧めたりという営業業務と、販売員の訓練や監視などのスタッフ管理業務で、どちらも「人に関わる」業務であるのが特徴です。

         

        しかし、例えば、Amazonを見ればわかるように、オンラインショッピングでは商品説明や顧客へ商品を勧める作業がほぼ自動化されていますし、店頭でもQRコードを使って商品説明を行うサービスも今や珍しくありません。また、店頭で販売員が顧客とコミュニケーションをとりながら顧客の欲しい商品を探す、という業務も、Pepperのような対人専門に開発されたロボットを使えば、下手に商品知識のない店員を配置するよりずっと売り上げ効率が高まるでしょう。

         

        もちろん、レジでの会計は自分で行ってもらうことになりますが、これもICタグとスマホ決済を組み合わせれば、自分で商品を袋に入れるだけで何もせずにそのお店を去ることも可能です。

         

        そう考えていくと、「代替できない業務」に分類されている業務もほとんどがロボットに置き換え可能になり、唯一残った「管理・監督」業務も、将来的には複数の店舗を集中管理室で同時に管理する(一部ロボットに監視させる)のも夢物語ではなくなりそうです。

         

        ユニクロを展開するファーストリテイリングは今後AIに集中的に投資していくことを発表しましたが、できるだけコストを下げて商品を販売するためには今後このような取り組みが不可欠になっていくでしょう。また、副次的な効果として「ブラック企業」評価など雇用に関するさまざまな問題も解決できることが期待されます。

         

        先進国の消費の多くは、「必要商品」ではなく「満足消費」です。人は「買う」という行為に対して満足を求めます。そして満足を支える一つの要素は販売員による接客です。

         

        ロボット接客が当たり前になってしまえば、生きている人間が接客をしてくれる店はそれ自体が差別化戦略となり、価格に上乗せできる付加価値をもつサービスとなるかもしれません。

         

        実際に、外食チェーン店などでは、ホールには店長が一人いるだけで、注文はテーブルで客が入力、配膳はコンベアーやパートの女性がカートで運んでくる、などといったお店が珍しくなくなっています。

         

        私たち日本人はずいぶん長い間「お客様は神様」の接客を当たり前と考えてきましたが、ごく一部の高級店でしか「生身の人間が接客してくれる」というサービスが受けられない時代が、もうそこまできているのかもしれません。

        | 後藤百合子 | グローバルビジネスと人材 | 15:29 | - | - |
        Japanブランド海外進出の死角
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          JUGEMテーマ:海外進出

           

           

          先週末のイースター3連休、義父母も一緒にマレーシア有数の観光地、マラッカに家族旅行をしてきました。

           

          マラッカはマレーシアの首都クアラルンプールから約150辧ポルトガル、オランダ、イギリスの植民地として文化的影響を受けた歴史をもち、ペナンと並び華人が多いことでも知られます。フランシスコ・ザビエル教会などエキゾチックな街並みが評価されて2008年にユネスコ文化遺産に指定されて以来、マレーシアを代表する観光地にもなっています。

           

          我が家では6年前に初めてマラッカ旅行をしてからいたく気に入り、年に一度は必ず訪れています。特にマレー半島に古くから住みつく華人が作ったパラナカン文化の華、パラナカン料理が食べたくなると「この週末に行こう!」とさっと車で向かいます。さしずめ東京人が伊豆半島に行くような感覚です。

           

          ■「北海道ベイクドチーズタルト」は日本ブランド?

          マラッカ市街は近年再開発の動きが著しく、毎年訪れるたびに新しいマンションや商業ブロック、ホテルやお店などが雨後のタケノコのようにできています。昔ながらののんびりしたマラッカもよかったのですが、新しくオープンしたお洒落なお店を見てまわるのも楽しみの一つです。

           

          そんなマラッカに今年は新しくチーズタルトのお店が2店オープンしていました。

           

          1店はマラッカ屈指の観光街”ジョンカーストリート”入口のお土産屋さんの店頭に、もう1店はマコタ・パレードという大きなショッピングモールの1Fです。

           

          商品は一種類、一口サイズのチーズタルトのみ。ずらっと並べられたおいしそうなチーズタルトに、「あれ、これってひょっとしたら日本の会社のお菓子じゃない?」と思い至りました。

           

          日本でお洒落なチーズタルト店が全国展開していて話題になっている、という話は数年前から聞いていましたし、「Hokkaido Baked Cheese Tart」と北海道が店の名前についている他、パッケージにも日本語で「ベイクチーズタルト」とあります。特にマコタ・パレードはタミヤやファイテン、エドウィンなど日本のブランドを以前からテナントとして多く迎えていたので、次は食品ブランドも進出か、と嬉しく思ったのです。

           

          ところが、ホテルに戻ってネットで調べてみても、このお店が日本ブランドであることを証明するサイトがみつかりません。逆に、私が「このブランドでは?」と勘違いをしていた日本の本家「BAKE Cheese Tart」はシンガポールやタイには出店しているもののマレーシアには店舗がありません。「Hokkaido Baked Cheese Tart」のホームページを見ても会社情報はまったくありませんし、いったいこの会社の正体は何だろうと訝っていたときに、この記事を見つけました。

           

          ■実はマレーシア企業だった「Hokkaido Baked Cheese Tart」

          記事によると「Hokkaido Baked Cheese Tart」の運営母体はマレーシアのSecret Recipeという会社。

           

          もともとケーキメインのカジュアルフードレストランとしてマ東南アジア全域で展開しており、マレーシア最大のカフェチェーンでもあるそうです。そして「Hokkaido Baked Cheese Tart」の店舗は2016年10月時点ではマレーシアに11店舗、シンガポールに2店舗、インドネシアの1店舗となっていました。

           

          記事中でも商品のみならずパッケージもそっくりなためコピーキャットではないかと疑念を呈していますが、本家の「BAKE」が進出していないマレーシアでの躍進ぶりはすさまじく、現在は46店舗とわずか半年の間に4倍以上に店舗数を拡大。シンガポールでは1店舗増やしたのみですが、インドネシア、ブルネイと、やはり本家が出店していない国に進出した他、タイ、上海にも本家を追うように出店済みです。

           

          そして昨年末にはアジアを飛び出してオセアニアにはばたき、現在はオーストラリアに8店舗、ニュージーランドにも進出予定だそう。まさに飛ぶ鳥を落とす勢いの出店攻勢と言えるでしょう。

           

          オーストラリアのHokkaido Baked Cheese TartのHPによれば、

          Inspired by the distinct cheesy taste of Hokkaido dairy, and using a traditional recipe from Japan’s dairy heartland, it is not surprising that the famed ‘Hokkaido Baked Cheese Tart’ has been a huge hit throughout Asia having successfully launched in Shanghai, Singapore, Indonesia, Brunei, and Malaysia. After tireless taste testing using local ingredients, the Hokkaido Baked Cheese Tart has succeeded in recreating a Hokkaido cheese flavour perfectly.

          北海道酪農独特のチーズの味にインスパイアされ、日本酪農の中心地の伝統的なレシピを使いつつ、高い評価を受けた「Hokkaido Baked Cheese Tart」は上海、シンガポール、インドネシア、ブルネイ、マレーシアとアジア全体で大きな成功をおさめてきました。地場の素材を何とか使おうという地道な努力により、「Hokkaido Baked Cheese Tart」は北海道のチーズのフレーバーを完璧に再現することに成功しました。

          まるで北海道を発祥の地とする本家「BAKE」を挑発するような文章で、コピーキャットにもかかわらず、あまりにも堂々とした態度に逆にあっぱれ感すら感じられます。

           

          ■コピーキャットに先を越された「BAKE」

          この間、本家の「BAKE」も決して指をくわえてライバルの動きを見ていたわけではありません。

           

          日本では有名デパートなどを中心に14店舗しか出店していないいっぽう、現時点で海外店舗は韓国、香港、タイ、シンガポール、台湾、中国に18店舗。着々と海外展開の歩を進めている他、商品の品質保持にもぬかりはなく、上述の記事中でも「BAKE」のほうがチーズが滑らかで美味しい、と高評価を受けています。

           

          しかし、新興国のマーケットでは両者の製品の約20%の価格差は大きく、また、市場シェアやブランド力を比べたら現時点では圧倒的に後発の「Hokkaido Baked Cheese Tart」に成功の軍配は上がるでしょう。

           

          しかも、「Hokkaido Baked Cheese Tart」は「BAKE」がまだ出店していない国々にも積極的に出店していることから、今後、「BAKE」が新たにそれらの国に出店しようとしても、今度は「後発ブランドで高価である」という二重の弱みを克服していかなければならないのです。

           

          そのような状況を総合的に判断すると、今後の「BAKE」の海外展開の要はいかに本家としてのブランドイメージを高め、「Hokkaido Baked Cheese Tart」とは一線を画したオリジナル商品を投入していくかにかかっているのではないかと思われます。

           

          ■海外展開の死角

          これまでも中国に進出したものの、すぐにコピーキャットが現れてあっという間に市場を席捲されてしまい、やむなく撤退したという苦い経験をもつ日本企業は少なくないと思います。

           

          一部の中国企業のように商号や商品をそっくりそのまま模倣するようなただのコピー商法は論外ですが、今回の「Hokkaido Baked Cheese Tart」のような場合は著作権や商標権で取り締まれるような種類のものではなく、マネをされても法的手段に訴えることはまず不可能でしょう。

           

          さらに恐ろしいのは、地元企業であるという強みを活かして短期間のうちに一斉に出店してシェアを押さえ、あたかもコピーのほうが元祖である、というようなイメージを作り上げられてしまうことです。(ブランド名に「Hokkaido」が入っていたりパッケージに日本語が入っていたりすることにより、消費者のブランド信認度は元祖より恐らく高いと思われます)

           

          せっかく苦労して商品やブランド作りを行い、満を持して海外進出を始めた道半ばでこのような被害にあってはたまりません。

           

          それを未然に防止するためには、とにかくスピード感をもった販売戦略をたてて実践すること、もしくはニッチに特化して他社に簡単にマネできない商品や販路を作ること以外にないのではないかと思います。

           

          日本式ビジネスの美徳である「じっくり」「着実に」「堅実に」のモットーが、海外展開では却って足元をすくわれる弱点になりかねない、ということを忘れるべきではないと思います。

          | 後藤百合子 | グローバルビジネスと人材 | 19:38 | - | - |
          日本のフィリピン人家政婦受け入れでシンガポールに余波?
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            ■いよいよ始まった「家事支援外国人受け入れ事業」

            アベノミクスの目玉政策の一つ、「国家戦略特区」に指定された神奈川、東京、大阪などで「家事支援外国人受け入れ事業」、主としてフィリピン人による家政婦派遣事業がいよいよ本格的に始まりました。

             

            最大手のパソナは、1回2時間、月2回の4時間で1万円でこのサービスを売り出すそうです。この価格は、パソナの日本人による家事代行サービス「家ゴトコンセルジュ」の1回2時間1万円と比べると約半額で(税別、税込みの違いはありますが)、今後、事業化に成功すればスタンダードになっていく可能性が高いと思われます。


             

            ■シンガポールのメイド賃金が高騰中

            現在、シンガポールで働く外国人メイド(多くが住み込み家政婦)の数は、237,100人で、うち約7万人の30%がフィリピン人です。

             

            フィリピン人以外には、インドネシア人(数は最も多い)、インド人、ミャンマー人などがいますが、華人系や欧米人の家庭では、英語が通じる、キリスト教徒である、性格が明るい、家事のスタンダードが自分たちと近いなどの理由からフィリピン人メイドは人気で、これまでも引く手あまたでした。(ある日本人主婦に聞いた話ですが、フィリピン人以外のメイドを雇ったところ、料理の味付けが何度教えても口に合わないため自分で作るしかなく、掃除をしてもらってももともとのスタンダードが低いためまったくきれいにならないのでやはり自分でやっていた。何のために雇ったのかわからず、雇っている間非常にストレスがたまったとのことです)

             

            そのため、最低賃金がないシンガポールにおいても、フィリピン人メイドの給料は他国出身メイドよりも比較的高く、フィリピン政府が定めたUSD400以上という政府間取り決めもあって、SGD500ドル(約4万円)以上になっていました。

             

            ところがインドネシアが2015年に自国出身メイドの最低賃金をSGD550ドル(約44,000円)に引き上げたのを契機に、昨年にはフィリピン政府が同じSGD550ドルを要求。また、同時に、雇い主に対しメイドの一時帰国費用に1,100ドルを限度に貸し付けを行わなければならない義務を課しました(帰ってこなければ当然返済されません)。

             

            そして昨日、シンガポールのフィリピン海外労働局がフィリピン人メイドの最低月給を来月1日からSGD570(約45,600円)に引き上げると報道されました。理由は米ドルとシンガポールドルとの為替レートが変わったためと説明されていますが、ニュース番組中では「香港等でフィリピン人メイドへの根強い需要があるため」等とされており、「今後、フィリピン政府はシンガポールへのメイド人材輸出を控えていくのでは」という見方もあるようです。

             

            その背景には日本をはじめとする先進諸国の急激な高齢化により、世界的に家事/介護労働を提供できる人材への需要が高まっており、供給側が強気の交渉に出られる状況になっていることがあるのではないかと思います。例えば、日本ではフィリピン人家政婦の賃金は日本人と同等ですので、外貨をより多く稼ぎたいのであれば、シンガポールより日本で働くほうが有利です。

             

            ■子育ては保育園で、介護人材は外国人労働者へシフト

            シンガポールでは、メイド雇用者には、賃金以外にも外国人労働者雇用税(月額約21,000円)や保険料、契約満了時の帰国飛行機代、年2回の健康診断料料等の支払いが義務付けられており、メイド・エージェンシーに支払う初期費用を別にしてもかなりの額のお金がかかります。

             

            コストや他人と暮らす精神的負担を考えれば、住み込みメイドを雇うより保育園に入れたほうが安くつきますし、ストレスも少ないという理由で、共働きの我が家では子どもが小さいうちは保育園、現在はスチューデント・ケアという私立の学童預かり所に日中子供を預け、週1、2回、家事を手伝ってくれるシンガポール人家政婦さんをお願いしてきました。

             

            シンガポールでもこのように考える家庭は確実に増えており、日本を上回る少子化にも関わらず政府は保育園の数を増やしていますし、私の周囲でもメイド雇用を止める子育て世帯は少なくありません。

             

            逆に、やはり増えているのは高齢者の世帯での介護要員としてメイド雇用をするケースです。街を歩いていても、お年寄りの車いすを押す外国人メイドの姿がここ数年で随分目立つようになってきました。

             

            事情は日本でも同じです。

             

            厚労省が15年に公表した介護人材の需給推計によると、団塊の世代が75歳を超える25年には全国で約38万人の人材不足が生じる。」という報道からもわかるように、今回の事業の核心は、少子高齢化社会で確実に不足する介護要員を外国人家政婦という形で雇用し、うまく機能させられるかどうかにあると思います。

             

            ■世界的な高齢者介護人材の奪い合いに

            他方、この事業にさかのぼること9年前に実施された、インドネシア、フィリピン、ベトナムなどから人材を受け入れ、看護師や介護福祉士などを育成する事業は見事に失敗しています。

             

            時間をかけて育成しても、日本の基準に合わせようとすれば合格者が少ないばかりか、せっかく合格しても定着せず自国に帰ってしまうという結果をふまえ、「今度は国家資格の不要な家政婦で」という思惑が見て取れます。

             

            問題は、先進国ではどこも似たような問題を抱えており、フィリピン人など優位性がある人材は市場ニーズが高く、獲得コストも上昇してきているということです。現在はまだまだ日本の経済力が優位にたっていますが、例えば、今後、中国で高齢化が進み介護人材の奪い合いになっていったとしたら、と考えると恐ろしくなります。

             

            日本における外国人労働者数は、根強い外国人「移民」アレルギーにも関わらず着実に増えており、「厚生労働省の「外国人雇用届け出状況」によると、15年10月末現在の外国人労働者数は約90万8000人に上る。08年に比べほぼ倍増したが、その多くが製造業で働く。」という状況だそうですが、今後は、日本経済を支えるのみならず、日本の社会福祉を支えるためにも外国人労働者の輸入は不可欠になってくるでしょう。

             

            今後激化するであろう、シンガポールをはじめとする同じ問題を抱える国との外国人人材獲得競争に備え、今から対策を講じておく必要もあると思います。

            | 後藤百合子 | グローバルビジネスと人材 | 14:00 | - | - |
            「忖度」で自らの首を締める人々
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              英フィナンシャル・タイムズ紙の社説「Sontakuがつなぐ日本のスキャンダル」が本日の日経電子版に翻訳・転載されました。

               

              この中で筆者は、昨年安倍政権に批判的だったテレビ局のキャスター3人がほぼ同時に降板させられたこと、社をあげてトップの意向に沿った東芝の不正会計、そして現在、安倍政権を揺さぶっている学校土地問題がすべて「忖度」の結果だったのではないかということ、そしてそのような性向が日本人の中に根強くはびこり、さまざまな問題の温床になっているのではないか、と暗に指摘しています。

              多くの意味で、忖度は典型的な責任逃れだ――日本人が自己批判する際のリスト項目で、「集団思考」や「反射的服従」と並び、不正行為の言い訳だ。文化に根ざす説明がわき出る泉で個人の責任を薄めている。

               

              大阪の学校用地取得をめぐるスキャンダルについては、安倍首相があそこまで断言しているのをみる限り、おそらく贈収賄という事件ではないと私は考えます。いっぽう、国民の財産である国有地がただ同然で売られたという事実を鑑みれば、著しく国益を損なう行為であり、それが公務員の首相に対する「忖度」であったとしたら、むしろそのほうがよほど大きな問題だと思います。

               

              というのも、国益を守り、国民の財産を守る立場の公務員が、まったく違う方向を向いて「忖度」し、巧妙に法の網をくぐるような方法でその財産を好きなように扱ったという「公権力の濫用」が発生しているからです。

               

              同じことは「私人」である明恵夫人のもとに5人もの公務員が送り込まれており、明らかに公務ではない講演会に同行したり、学校経営者との連絡業務に携わっていたことにも言えます。難関の公務員試験に合格した方々でしょうから公務員法はよくご存じのはずですが、このように「公務」と「私事」の区別もつけられない(もしくは敢えてつけない)ということであれば、明らかに公務員としての資質を問われなければならないでしょう。

               

              東芝問題も同根です。

               

              最終的に東芝を国が救済するのかどうかはまだわかりませんが、現時点で見る限り、とうてい東芝に再生のチャンスがあるとは思えません。発覚の発端は内部告発にあったようですが、それにしてもあれだけ「企業コンプライアンス」が叫ばれ、「企業とモラル」の関係が大きく取り上げられていたにもかかわらず、数代の社長にわたり社内隅々にまで粉飾決算が横行していたというのです。連結で約19万人いる社員のうちどれだけの方々が数字のねつ造に関わったのかはわかりませんが、少なくとも経営陣や事業部トップクラスの数百人単位ではないことは確かでしょう。

               

              学校土地売却の問題は、もし担当した官僚が「首相のために」と忖度した結果なのであれば、完全に裏目に出ており、今や政権を揺るがす問題にまで発展しています。また、成り行きによっては実際にこの件に関わった公務員の方々が処分を受ける可能性も否定できません。

               

              東芝問題に関しては、社員が「会社のために」粉飾決算に協力した結果、当の会社が消失する、もしくは自分自身が失職する危機に晒されています。株主に対する責任はもとより、もしも公的資金が導入されるということになれば、それは税金ですから、他の多くの国民にも迷惑をかけることになります。

               

              そしてどちらのケースにも恐らく共通するのは、現実に「正しくない」ことを行った方々の目的が、「政府」や「会社」という「組織」のためだったことであり、決して自分自身が利益を得るためではなかったということです(結果としての出世という目的はあったかもしれませんが)。

               

              組織の中で「原理原則に従う」とか「正しいことを行う」とかを主張すると、必ず「世の中っていうものはそんなもんじゃない」とか「青臭い主張をするのはやめろ。今はわからなくてもそのうちわかる」と水を差す人が出てきますが、そういう人たちこそ最も「忖度」の罠に陥りやすいのではないでしょうか。

               

              冒頭のフィナンシャル・タイムズの記者の方の言葉、『不正行為を「個人の責任」ととらない文化』こそ、私たちが改めて対峙し、克服していかなければならないものだと思います。

              | 後藤百合子 | グローバルビジネスと人材 | 14:31 | - | - |
              モディ首相のインドが着実に力を蓄えてきている様子をシンガポールで垣間見る。
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                JUGEMテーマ:経営のヒントとなるニュースを読み解く

                 

                昨日のフォーブス・ジャパンに『「インド人富裕層」の人口爆発 2025年には3300万人突破予測』という記事が掲載されました。

                 

                ちょうど一昨日にUniversal Studio Singaporeで1日、日本からホームステイ中の高校生に付き添い、昨日はリトル・インディアのMustafa Centreでやはり高校生たちの買い物に付き合って肌でこの記事の信ぴょう性を感じました。

                 

                ■北インドからの観光客が増加中

                インド人というといわゆる黒っぽい肌をした人を思い浮かべる方が多いと思いますが、そのような肌のインド民族は南インド出身であることが多く、シンガポールや東南アジアに古くから居住している人も肌が黒い南インド人が圧倒的に多いです。

                 

                これは言葉からもわかります。シンガポールはインド系住民の言語としてタミル語を公用語に指定していますが、Wikipediaで見る限り、タミル語を話す人々はインドでは決して多数派ではありません

                 

                逆に、モディ首相をはじめとする中央から北方のインド出身の人々は、肌の色が比較的薄く(灰色っぽい感じ)、言語もヒンドゥー語などインド・アーリア語系の言葉を話す人が多く、南インドのタミル語圏の人々とは外見だけでなく、言語もまったく違うのです。

                 

                しかも、インド人=英語を話す人々、という一般常識とは違い、(数年前にボンベイ北部に位置するグジャラート州(モディ首相が知事を務めた州)を訪れた経験からすると)輸出など商売をしている人でもどちらかというと英語をあまり話さない人が多く、英語に堪能な南インド人を折衝のために雇っていたりします。

                 

                その理由を取引先の南インド人に聞いたところ、食事(厳格なベジタリアンが多い)や断食など宗教的制約が多いため、外国人と話をしたり、海外に留学や仕事でいったりする機会が少なく、英語を話す必然性があまりないからと言っていました(モディ首相がオバマ前大統領主催の晩さん会で水だけ飲んでいたシーンを思い出します)。

                 

                シンガポール生活の中で出会うインド系シンガポール人以外のインド人もこれまでほとんど南インド人ばかりだったのですが、一昨日のUniversal Studio Singaporeでみかけた幼い子ども連れのインド人家族には圧倒的に北インド人らしい風貌の人が多く、実際、アトラクションの一つで一緒になり、笑顔で話しかけてみたもののあまり英語に堪能でない様子も見受けられ、やはり北の人たちなんだなと感じました。

                 

                つまり、これまでほとんど海外に出ていかなかった北インドの人々が、豊かになり、外国に観光旅行にくる時代になっているのです。

                 

                ■パッケージ印刷が美しいアユールベーダ石鹸

                もう一つ驚かされたのが、現在、日本人女性観光客のシンガポール土産の定番となっているという石鹸です。

                 

                「肌がつるつるになる」と人気らしく、ホームステイ中の高校生が買いたいというのでインド系の食品や日用品を扱う大規模店のMustafa Centreに行きました。お目当ての「medimix」ブランドの石鹸はすぐにみつかり、無事購入したのですが、驚いたのはパッケージの印刷クオリティが非常に高いこと。

                 

                通常、発展途上国の印刷は技術的に問題があることが多く、パッケージを見ただけですぐに、ものが潤沢にある国で作ったものでないことがわかります。しかし、この商品についてはパッケージを見ただけではシンガポール製と遜色がない程の美しさで、製造年月もしっかり定位置に刻印されていました。

                 

                5個入りで1個あたり80円程度と価格もそこそこ、商品レンジも広く、今後ますますシェアを広げていく商品のような気がします。

                 

                また、工業製品のみならず、現在、シンガポールのスーパーでもつい最近までみかけなかったインド産野菜や果物などが徐々に増えてきており、確実に輸出力をつけてきているのがわかります。

                 

                人口的には長く一人っ子政策を続けてきた中国を追い抜く日も近く、国内市場も含め、今後、世界経済の中心としてインド市場が育ってくることは確実でしょう。

                 

                これからのインド経済の台頭に注目していきたいと思います。

                | 後藤百合子 | グローバルビジネスと人材 | 11:46 | - | - |
                子どものプレゼンテーション能力を高める“Show and Tell”授業
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                  JUGEMテーマ:国際社会

                  先週末、日本政府の青年交流プログラムでシンガポールを訪れていたある国立大学の工学部の学生さん2人をホームステイ受け入れしました。

                   

                  ホームステイ受け入れボランティアは日本に住んでいたときからずっと続けていますが、男子学生さんは初めて。子供がなつくかどうか少し心配しましたが、2人とも初めての海外とは思えない流暢な英語で話しかけては遊んでくれ、滞在していたホテルに戻った後には娘が「今度はいつ遊びに来るの?」と聞くくらいまでなついていました。

                   

                  ■内容は素晴らしいのに伝え下手な日本の若者

                  3日間のホームステイも無事終わり、プログラム最終日の昨日、学生さんたちによる総括プレゼンテーションがあるというので、他のホストファミリーと一緒に聞きに行きました。

                   

                  日本、シンガポールの各政府関係者、交流プログラムを行ったシンガポールの大学の学生さんたちなどを招待して行われたプレゼンテーションでは、40人ほどの学生たちがそれぞれ、プログラム中の気づきや、今後のアクションプランなどを紹介。さすが大学生だけあって短期間にしっかりと国家システムや文化などを理解すると同時に、今後、どのようにこの経験を活かしていくかなどがデータや写真と共に英語で説明され、こんな若者たちが頑張ってくれるのなら日本の将来はまだまだ捨てたものじゃないな、と大変心強く思いました。

                   

                  ただ一つだけ残念だったのが、プレゼン能力です。

                   

                  メモを片手に棒読みしてしまったり、強調したいポイントをせっかく大きな声で話しているのにスクリーンのほうを向いたままだったり、会場から質問をもらっても照れ隠しのためか笑ったまま話すのでよく聞き取れなかったり・・・。

                   

                  英語の文法はしっかりしていますし、発音も悪くない。話の構成もきっちり整えられているので、言葉や内容の問題というよりは、「伝える」という技術の未熟さのせいではないかと感じました。

                   

                  ■思わず舌を巻いたシンガポール小学生のプレゼンテーション

                  日本の若者たちのプレゼントは対照的に、思わずうなるほど素晴らしいプレゼンを受けたのは昨年の10月のこと。シンガポールのアート・コンテストで入選した作品を観にいったとき、実際に制作にあたった小学4年生の子供たちからでした。

                   

                  私の娘が通う小学校のあるクラスの作品(個人ではなくクラスごとの制作です)もこのコンテストに入選したため学校から案内があり、家族でシンガポール国立美術館まで観に行ったのですが、そこには生徒たちが大勢詰めていて、観にきた人々に「作品を説明させてください」と自分たちからアピールしていたのです。

                   

                  「環境にやさしい生活方法をどう啓蒙するか」や「他民族国家シンガポールに必要な人々の団結」などかなり高度な概念を、それぞれ5分ほど作品を示しながら、また「自分はこう思う」などと個人的意見も織り交ぜ、こちらの目を見て伝わっているか確認しつつ、堂々と語ってくれました。

                   

                  展示は10校ほどでしたが、このようにいろいろな生徒からプレゼンされたため(ときには1作品何人もの生徒からアプローチもされ!)、決して広くない会場を回りきるのに1時間以上の時間がかかってしまいました。それにしてもたった10年しか生きていない子供たちの見事なプレゼンぶりには、思わず舌を巻かされました。

                   

                  ■プレゼン能力を高める“Show and Tell”教育

                  このように堂々と自分の意見や考えを表現できる子供たちが特別かというと、決してそうではありません。その秘密は教育にあることが最近わかってきました。

                   

                  生徒たちのプレゼン能力を向上させているのは、小学校低学年の英語(つまり国語)の時間に行われる“Show and Tell”というカリキュラムです。

                   

                  例えば、「私の好きなもの」というタイトルの場合、自分の好きなおもちゃを見せながら、どうして手に入れたものなのか、なぜ好きなのか、それを使ってどう楽しんでいるか、などを数分かけて説明します。本番は一度だけですが、家やクラスでリハーサルを何度も行い、いかに効果的に、わかりやすく、「伝える」かという技術を習得していくのです。

                   

                  シンガポール人はふつうに付き合っている分には自己主張の強さをそれほど感じませんが、人前でスピーチしたりプレゼンしたりするのが苦手という人は決して多くありません。それは、子供の頃からこのような授業を通じて、論理的な話の組み立て方や、効果的な伝達方法という技術を学んできているからではないかと思います(幼稚園のカリキュラムに”Show and Tell“を取り入れているところもあるようです)。

                   

                  産業の発展に不可欠なイノベーションは、さまざまな考え方やバックグラウンドをもった人々がそれぞれ異なるアイディアやシステムを共有・蓄積することによって起きていくものであり、個人間の伝達力は必須です。

                   

                  反対に、今回の日本の学生さんたちのように、シンガポールという異文化に触れることによりせっかく素晴らしい経験や気づきを得られても、表現力が未熟だと、相手に感銘を与えたり、共感してもらうことが困難になってしまいます。

                   

                  また、ビジネスでなければまだ「残念」ですみますが、競争社会では大きなマイナスポイントになることは必至。日本のビジネスが現在のグローバル環境の中で一歩遅れをとってしまっているのも、一つはこのあたりに原因があるのではないかと思います。

                   

                  Show and Tell”はもともとは欧米由来の教育法のようですが、ぜひ日本でも小学生のうちから採用してはどうかと思います。シンガポールの小学校では、今年から、日本の伝統的な教育方法の一つである「生徒による掃除」が採用され、親たちに好評です。

                  | 後藤百合子 | グローバルビジネスと人材 | 19:00 | - | - |
                  納税回避に我慢できなくなってきたEU諸国
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                    JUGEMテーマ:国際社会

                    i-phone7の発表で世界から注目を集めるアップル。このところ低迷していた株価も若干持ち直し(昨日また下がっていますが)、ここ数日はナスダック指数を引き上げるなど米国株式市場にも貢献しています。

                     

                    時価総額が2位のグーグル(アルファベット)と約400億ドル、3位マイクロソフトとは1000億ドル以上の差をつけてダントツ世界一の大企業アップル社ですが、これもまた巨額の純利益の源泉となってきた本業以外の財務活動に現在、黄信号が灯っています。先月、EUがアップルのアイルランドでの事業に対し130億ユーロ(約1.5兆円)の巨額の追徴税を命じたのです。

                     

                    EUコミッショナーのマーガレッテ・ベステガー氏はこのインタビューで、ドイツ、フランス、スペインなどEU諸国での売り上げすべてをアップルはアイルランドのペーパーカンパニーで申告している、その理由はアイルランドの法人税率が12.5%と圧倒的に低いからであり(ちなみにフランス34.43%、ドイツ30.18%、スペイン25%)、納税回避目的であることは明白、と語っています。

                     

                    確かに、売り上げが発生した国で納税するというのは税務の常識であり、EU側の言い分はわかりますが、アイルランドは2010年の財政破綻以降、この極端な低税率を武器にアップルをはじめグーグルやフェイスブックなどの米企業を誘致し経済再生を図ってきた実績があり、もしこの判決に従ってこれらの企業が国外に出てしまったら国家として死活問題となりますので、即座にEUに提訴しました。しかし、判決次第では、EUのみならずアメリカ企業の業績にも甚大な影響は避けられないでしょう。

                     

                    同じく、多国籍企業の納税問題については、2日、オーストリアのケルン首相が「スタバなどの多国籍企業の納税額は屋台より少ない」と批判しました。ここでも名前が挙がっているのは、やはりスターバックスやアマゾンというアメリカの巨大企業です。

                     

                    いっぽう、英ガーディアン紙によると、7日、デンマーク税務大臣が一部のパナマ文書購入に対し9百万クローネ(約1億4千万円)を支払う予定であることを公表しました。まだ支払いは実行されていないようですが、関係する全文書を入手の暁には、パナマのモサック・フォンセカ法律事務所を通じて税逃れをした、数百人のデンマーク人についての脱税調査を行うとされます。

                     

                    政府がパナマ文書に関する情報を直接購入するのはこれが初めてということですが、ヨーロッパ各国政府に同様の動きが広がっており、企業ばかりか個人の海外への資産フライトにも非常に神経質になっている様子がうかがわれます。

                     

                    ドイツやイタリアなど代表的なEU諸国は、日本と同じく少子高齢化により社会保障コストが増大しているのに加え(フランスは出生率が回復していますがそれにかかるコストはまた膨大なものになっています)、中東や北アフリカ諸国からの難民の受け入れコストや頻発するテロに対抗する安全対策費用など、国家負担が年々重くのしかかってきています。表向きはテクニカルな納税地問題に聞こえますが、実際には「アメリカ覇権主義の結果起こった問題の尻拭いをさせられているのに、さらに米国企業の利益を上げるために利用されているだけなのか」という本音が透けてみえるような気がします。

                     

                    ブロック自由経済、通貨統合という歴史的な実験に踏み切ったEU諸国ですが、ギリシャ経済危機問題やイギリス離脱問題のみならず、根本的にそのシステム、のみならず存在理由自体が見直される時期に来ているのかもしれません。

                     

                    | 後藤百合子 | グローバルビジネスと人材 | 12:03 | - | - |
                    AI時代をサバイバルするための家庭教育を考える。
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                      ■20年以内に確実にやってくるAI時代

                      日経ビジネスオンラインのソフトバンク、孫正義社長のインタビューを読んで興味が沸き、「日経ビジネス 8月8日・15日号」も買って読んでみました。

                       

                      特に興味深かったのは英半導体メーカー、アーム買収の意図について。「まだ言いたくない。どうせ信じてもらえないし」と口を濁しつつも孫さんが語るのは、世界中のありとあらゆる場所にCPUが配備され、通信網につながってデータがやり取りされて蓄積され、また個々の人間やロボットにつながり、それを統合するAI(人口知能)がシステムをコントロールし、自ら考えながら進化して世界をデザインしていく・・・。まさに映画「マトリックス」の世界です。

                       

                      ただ、「マトリックス」と違うのは、孫さんがその世界をダークなものではなく、人間を幸福にするシステムとして構築したいと強調していること。いみじくも孫さんは「20年後にはアームのCPUが1兆個、地球上にばらまかれる」と語っていますが、その時彼は80歳。おそらくそのくらいのタイムスパンである程度の完成を見るように、スケジュールを組んで全体を構想しているのではないかと推察しました。

                       

                      ■人間でなければできない仕事がどんどんなくなっていく・・・

                      8月16日、米フォード自動車が、2021年までにハンドルやアクセルのない完全自動運転車の量産を開始すると発表しました。

                       

                      この分野ではフォードのみならず、トヨタやメルセデス他、各国の自動車メーカーが巨額の資金をつぎ込み、熾烈な開発競争を繰り広げていきますが、フォードCEOは「自動運転車のインパクトはフォードが100年前に始めたベルトコンベヤーによる自動車の大量生産に匹敵する。この変化の一部は我々がリードする」と、この技術が単なるイノベーションではなく、自動車製造のコンセプトそのものを変革するものだと強い意気込みをみせています。

                       

                      そして、この技術が晴れて完成したあかつきには何が起こるのでしょうか?

                       

                      まず、タクシー運転手が職を失うでしょう。次は長距離トラック運転手の番になります。バスや電車の運転手も不要になっていくかもしれません。しばらくの期間は法律で人間が同乗していないと運転できないよう規制できるかもしれませんが、人間が関与してもしなくても事故率が変わらないことが証明されれば、法改正して無人運転を認めざるをえなくなるでしょう。これにより、世界中で恐ろしい数の失業者が出てくるはずです。

                       

                      こちらは、ダイヤモンドオンラインに掲載された、今後、AIの発展によって機械が人間にとって代わり、人間から奪われていくだろう仕事の一覧です。上述のドライバーはもちろん、小売店販売員、一般事務員、軽作業や工事現場の作業者など、一般にあまり専門的なスキルがなくてもできると考えられている職業から、会計士、通関士、保険販売代理人、上級公務員など、専門知識が必須で高度な職業訓練が必要とされている職業まで、これではいったい20年後の人間は何をしたらいいのだろう? と考えこんでしまう内容です。

                       

                      ■羽生三冠もいつかはAIに敗れる。

                      来年春、天才棋士羽生三冠が、トーナメントで勝ち残ったコンピュータソフトと対戦する可能性が高まってきました。

                       

                      孫さんは囲碁で7手先を読むといっていますが、羽生三冠クラスの棋士になるとふつうでも20〜30手、変化を含めるなど場合によっては200〜300手も読むといいます。昔、まだ羽生三冠が天才中学生と一部でもてはやされていた頃、日曜日にNHKでオンエアされる将棋対戦をよく見ていたのですが、当時の彼の将棋の特徴は、相手の手を読みに読んだうえで、誰にも理解できないような唐突な手を打ってくるところにありました(一度など、解説をつとめていた加藤一二三棋士がその手のあまりのわからなさに狼狽して、解説譜面をぐちゃぐちゃにしてしまうというハプニングが起こったことがありました)。

                       

                      しかし、当時を振り返って羽生三冠が語っているのは、「若いころはよくわからなかったのでとにかく読むしかなかった」という言葉だそうです。つまり、唐突な手は唐突でも何でもなく、すべてを読みこんだうえでの最良の手だったのです。

                       

                      今年、勝ち残ってきたソフトは、昨年の優勝者、山崎八段に2勝しているそうです。羽生三冠はまったく違うレベルの棋士ですので、まだソフトとの勝負に勝つ可能性は高いと思っていますが、ソフトが羽生三冠の思考パターンを学習し、孫さんのいう「ディープ・ラーニング」によって自己進化を遂げていけば、いつか羽生三冠が敗れる日が必ずやってくるでしょう。それは、人間があくまでも肉体に囚われた有限なものであるのに対し、AIは制限がない、どこまでも進化していける可能性を本質的にもっているからです。

                       

                      ■機械に本来備わっていない身体と感情を豊かにする体験教育

                      20年後、現在7歳の我が家の娘は27歳になっているはずです。

                       

                      彼女が27歳になったとき、どんな職業に就いているのか(どんな職業があるのか)見当もつきませんが、現在、その年ごろの一般的な女性が就いている職業のおそらく半分くらいは、上のリストに入ってしまっています。大学受験のためにクラスメートと競争するどころか、彼女の年齢の子供たちは、これからAIとも競争していかなければならないのです。

                       

                      私は、その時代を生き残るために必要な技術は、決して詰め込み式の知識教育ではないと思っています。自分自身はかなりの時間とお金をかけて外国語やビジネスの知識を学んできましたが、娘の時代にはそんなことをせずとも、自動翻訳機が瞬時に働いて言葉の障壁がなくなり、同様に、専門的な技術や法律の知識も、自分であちこち調べなくとも、コンピュータが一瞬のうちに最良の解を提示してくれるでしょう。

                       

                      その中でAIと差別化するためにできることが何かといえば、私は、体験に基づく身体性と感情の発達を促すことではないかと思います。

                       

                      機械が機械である限り、有限な肉体をもつ人間とは根本的に違います。また、感情は肉体をもつことによって派生してくるものです。AIの「知」が絶対にもちえないもの、それは体を動かして何かを創造したり体験したりする喜び、他者とかかわることによって生じる喜怒哀楽の表出と他者との感情の交流ではないでしょうか。そして、それを得るためには、学校や塾で先生の話をただ聞いたり、コンピュータの前に座って知識を広げているだけではなく、外に出て、実際に自然や人間に積極的に出会っていくことこそが必要なのだと思います。

                       

                      PEPPER君はかなりの皮肉屋だそうですが、人間の細かい感情の機微や、身体に直結する感情の起伏などは、どんなに頑張っても2,30年といった短いスパンでロボットに学習させるのは私は無理だと思います。社会の中でAIにとって代わられるのではなく、AIを自分自身の幸福追及に利用していくだけの逞しさと知力をもつ人間に育ってもらうために、これから具体的に、娘にどんな教育を与えていったらいいのか、真剣に考えなくてはいけないと思っています。

                      | 後藤百合子 | グローバルビジネスと人材 | 18:49 | - | - |
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