一定期間更新がないため広告を表示しています
ASIAN NOMAD LIFE2017.11.19 Sunday
シンガポール地下鉄事故頻発で考える交通システムの今後
JUGEMテーマ:ビジネス
シンガポールのMRTが大変なことになっています。
MRT(Mass Rapid Transit 大量高速輸送)は、マニラについで東南アジアで2番目、1987年にシンガポールに導入された地下鉄(一部区間は地上)システムで、毎日、300万人以上の足となっている、バスに次ぐシンガポール市民の足。シンガポール政府が建設し、運営はバス、タクシーなども経営する株式会社のSMRT社とSBSトランジット社に委託されています。
積極的な移民政策により人口が急増するシンガポールにあって、MRTの果たす役割は重要です。物価と比較して非常に抑えられた運賃や、急ピッチで年々増加する路線と駅数、各駅に空港並みのオブジェなど芸術作品を配置するなど、シンガポールの周到な都市計画の中でも、国策として特に力を入れていることがわかります。
ところが、数年前からこのMRTに異変が起きています。遅延が頻発し、乗客が車内に閉じ込められたリ、通勤時間帯に駅に人があふれて身動きできなくなったりという状況が日常茶飯事になりつつあるのです。そんな中、昨年にはメンテナンス職員が電車に轢かれるという死亡事故も発生。
遅延は最初のうちこそ大きく取り上げられましたが、あまりに数が多いため多少の遅延では最近ではニュースにさえならなくなりました。市民のほうも慣れてきたようで「通勤には2時間余裕をもって」などブラックジョークまで飛び出しています。
これを重くみたシンガポール政府は今月、運営会社の社長以下、経営陣を国会に呼んで運輸大臣が延々と説教する(証人喚問ではなく説教をひたすら聞いているだけ)という前代未聞のパフォーマンスまで行いましたが、その成果といえば、先週15日に発生した駅での電車衝突事故。乗客29人が負傷しましたが、この中にはマレーシア人も含まれており、国際問題に発展しかねない状況です。
事故の原因は現在のところ、フランスの軍需産業大手タレス社が納入している信号システムにあると考えられており、真偽のほどは定かではありませんが、頻発する遅延の原因もタレス社が契約を盾にシステムの内容を公開していないからだというSMRT社員の声を伝えるネット情報もあります。
機を同じくして先週、日本でつくばエクスプレスが、電車が20秒早く発車したことに対して謝罪。欧米同様シンガポールでもニュースで大きく報じられました。度重なる地下鉄遅延や事故に相当なストレスを感じているシンガポール市民が、「やっぱり日本製はいい」と再認識したことは間違いありません。
おりしも、マレーシアの首都クアラルンプールとシンガポールを結ぶ高速鉄道の受注会社決定時期が今年末に迫っています。
中国の金にあかせた猛烈な営業活動と採算を度外視した価格の前に、次点の有力候補とされている日本は劣勢に立たされていますが、立て続けに起こるMRT事故から両政府が学んで、ぜひ日本製が採用されてほしいと思います(私の夫は「もし中国が選ばれたら絶対に乗らない」と前々から公言しており、個人的にも日本製を選んでもらわないと困ります)。
いっぽうで、今後の日本経済の行方を考えると決して楽観できないニュースもあります。
ウーバーやシェア自転車などシェアリング・エコノミーがすでに根付いているシンガポールで、来週から電気自動車シェアリングのベータテストが始まることが発表されました。
運営会社BlueSG社は2ドア車80台でテストを開始するとしていますが、年末までには充電ポイントを30か所に設置。3年後の2020年までに電気自動車1,000台、充電ポイントを2,000か所に拡大すると意欲的です。
アジア随一のお金持ち国シンガポールでは、ベンツやBMWなど高級車が街にあふれていますが、高品質で手頃な価格の日本車も根強い人気です。しかし、車はクォーター制で、購入価格は日本の3〜4倍が当たり前。電気自動車のシェアリングが定着すれば、超富裕層はさておき、これまで日本車を購入していた中流層が一気にそちらに流れる可能性も予想されます。
日本の戦後を支えてきた輸送産業は、現在、正念場を迎えていると思います。 |
+ PR
+ SELECTED ENTRIES
+ CATEGORIES
+ ARCHIVES
+ MOBILE
+ PROFILE
|
(C) 2024 ブログ JUGEM Some Rights Reserved.
|
PAGE TOP |