ASIAN NOMAD LIFE

日本、香港、中国で生活・仕事をしてきてシンガポール在住7年目。
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    ネット情報偏重の危険性について
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      ■シンガポールのワーク・ホリデーには日本のトップ5校出身者しか応募できない?
      ある方がネットメディアで、シンガポールのワーク・ホリデー・パス(ワーキングホリデービザのシンガポール版)には東大、京大など、日本のトップ校5校のみしか応募できない、日本の大学は世界水準を満たしていないのであり方を変えるべき、という趣旨の記事を書かれていました。
       
      そんなことはないだろうと思い、シンガポール労働省のHPからメールしてみたところ、半日ほどで返事をもらいました。それによると、以下のサイトにある日本の大学はすべて応募してもよいので、参照するようにとのこと。
       
      http://www.mext.go.jp/english/relatedsites/1303116.htm
      http://www.mext.go.jp/english/relatedsites/1303119.htm
      http://www.mext.go.jp/english/relatedsites/1303136.htm
       
      このリストには、国公立私立、日本のほとんどの四年制大学が入っています。
      もちろん、応募したから全員ビザが下りるわけではありませんが(総数2,000人が上限)、有名大学在校生でなくても、じゅうぶん試してみる価値はあると思います。
       
      この記事を書かれた方の根拠は、シンガポール労働省HPのワーク・ホリデーを説明した
      という記述にあると思うのですが、上記3つの大学ランキングのトップ200位には確かに日本からは5校しか入っていません(ただしExamplesという但し書きがあるので、これ以外はNGとは私は読めませんでしたが)。
       
      ■アジアでのランキングトップのシンガポール国立大学には全体の18%の子供が進学
      こちらは一番目のQS大学ランキングについての英語版Wikiの記述です。これによるとアジアの大学ランキングでは、シンガポール国立大学がトップ、2位が香港大学。10位までに日本の大学は入っていません。
       
      2014年のシンガポールの15~19歳人口は247,337人ですので、平均すると1歳あたり約5万人。いっぽう、シンガポール国立大学の学部生の総数は28,000人。在学年数は3~4年(日本の教育制度と違いシンガポールにはジュニア・カレッジと呼ばれる2年の大学準備過程があるので大学在学期間は3年が最も多い)ですので、在学期間を3年として約9,000人。成績上位の子供からシンガポール国立大学に進学すると考えたら、全体で約18%の進学率となります。
       
      40人学級であれば7人以上がシンガポール国立大学に進学することになり、東大と比べれば門戸は非常に大きく開かれているといえるでしょう(留学生は数に入れていませんし、シンガポールの受験戦争は日本と比べてもはるかに熾烈であることは事実ですが)。
       
      ■世界大学ランキングは「英語で大学教育を受けるなら」という但し書きが必要
      こう考えると、この世界大学ランキング自体を少し疑ってかかったほうがいいと言えると思います。実際、前出のWikiを読んでも、ランキングの選考方法について異議を申し立てている人がけっこういるようです。
       
      その理由は、評価の40%を占めるのが大学関係者への調査によるものであること、また、引用される論文などの数が英語に偏りがちであることなど。
       
      実際、最新のランキングをみても、上位を占めるのは、シンガポール国立大学、香港大学を含め米英カナダ、オーストラリアなど、ほとんどが英語で授業を行っている大学です。30位以内にはスイスの2校とフランスの高等師範学校が入っているくらいで、ドイツではハイデルベルグ大学が49位、中国では清華大学が47位、日本と韓国は東大とソウル国立大学が31位、50位までにロシアやインドの大学は入っていません。
       
      評価の中には教職員の待遇や、大学の財政状況、留学生の数なども入っているのでいちがいに学生の学力の高さを測るものとは言えないのですが、実際には、このランキングは英語で大学教育を受けるとしたらどの大学がよいか、という指標くらいに考えておいたほうが実情に即していると思います。
       
      研究者になってより多くの研究者と交流を深め、最新の研究成果をアップデートするのであれば英語で討論できるくらいの英語力は必要ですし、実際に英語は世界共通語になっているのですが、以前の記事にも書いたように、通常のビジネスの世界でそこまでの英語力は求められませんし、ランキング上位に入っていないからといって、日本の大学での教育レベルが低い、という結論にはならないと思います。
       
      この方がおっしゃりたかった「もっと日本の大学の卒業生は寄付をして大学の発展に貢献すべき」という趣旨には賛同しますが、だからといって日本の大学の卒業生が国際社会で低く見られていると卑下する必要はないのではないでしょうか。
       
      ■ネットに書かれていないことはウソ?
      これで思い出したのが、以前、私がシンガポールの住宅政策の記事を書いたときにある方から「シンガポール政府からはHDB住宅(シンガポールの公営住宅)の購入はできないのにウソを書いた」と指摘されたことです。
       
      たまたまこの記事を書く直前に知人が中古HDB住宅を政府が運営する公団から購入した話を聞いていたため「新築と中古を買うことができる」と書いたのですが、この方は「例外を書くのは間違い」と執拗に主張されました(実際には、後で友人に聞いたり、他のケースを思い出したりして中古HDBを政府から買ったケースが私の直接知っているだけでも4件もありましたので、決して例外ではありませんでしたが)。
       
      この方の論拠はおそらく政府HPにこのようなケースに関する情報が掲載されていないことだと思うのですが、ネットにすべての情報が書かれているとは当然、限りません。シンガポール政府のHPは日本のお役所に比べてずいぶん丁寧にいろいろな情報が掲載されていることをふまえても、玉石混交のインターネット情報の中でも一定の信頼をおかれている政府HPでさえ、上記のワーキング・ホリデーの資格要件や中古HDBの購入についてのように、実際に直接聞いてみたり、直接体験した知人から聞いた話がHPに書かれていないことであったり、若干違っていたりすることは日常茶飯事なのです。
       
      ■ネット情報も含めていろいろな情報を組み合わせることが大切
      同様のことは仕事の現場でもときどき起こります。
       
      仕事で20代、30代のスタッフに何かを質問したとき、返答がちょっと違うなと思い「どうしてそう思うの?」と聞くと「ネットにそう書いてあったから」と返ってくることがときどきあります。確かに一面では間違ってないのですが、別の観点から見ると明らかにおかしい。しかも、実際に仕事の現場で起きていることとまったく正反対であることさえあります。
       
      なぜ彼らがそう思い込んでしまうかというと、最大の原因はネット情報を表層の部分ですくいとるだけで全体像が見えるものと勘違いしてしまっているからではないかと思います。
       
      私はネットネイティブ世代ではありませんが、パソコン通信でパソコンマニアたちの怪しい情報がチャットで流れている頃からネットの世界をかじっていました。その経験から、基本的に「ネット上で流通する情報には信用できないものも多い」と考えています。また、役所などへは疑問点があれば電話やメールですぐに直接聞くようにしています(そのために税金を払っているわけですから)。ネット情報も必ずいくつかのサイトを見て内容に齟齬がないかを確認しますし、新聞や本でも情報を集めます。また、直接知っている人からの口頭での情報は多くの場合、最も信頼性が高いと思っています。
       
      以前は政府の統計や白書の多くは印刷物を自分で購入するか日比谷図書館に行かなければ閲覧できませんでした。現在では役所の情報を含めありとあらゆる情報がネットで公表されていますので便利になったとは思いますが、最も有効な情報の集め方は、その問題に対してのプロフェッショナルに直接聞く、それもできれば複数の人に聞くことです(プロのジャーナリストの多くが毎日複数の新聞を読むのも同じ考え方だと思います)。
       
      ■情報をどう集め使うかの教育が必要。
      情報ソースは多ければ多いほどいい、そして情報元(ソース)に近ければ近いほどより信頼性が高まる、一つだけでなくいろいろな見方からの情報があればなおよい、と思います。そしてそれらの情報を分析・判断して導き出される結論も、人によって違ったり、同じ人であっても状況や時間によって変わったりしても当然、おかしくないと思います。
       
      ネット情報だけですべて解決できると過信してしまったり、その情報を頼りに一面的なものの見方に固執してしまうのは物事の本質を見誤ることにもなりかねません。ネットで情報が簡単に瞬時に入手できるようになった時代だからこそ、もう一度情報の集め方や情報を使った判断の方法を、学校や職場で教え直していく必要があると思っています。
       
      | 後藤百合子 | 情報 | 12:32 | - | - |
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