ASIAN NOMAD LIFE

日本、香港、中国で生活・仕事をしてきてシンガポール在住8年目。
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若者のディベートにみるダイバーシティ社会
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    7/27〜8/6まで、シンガポールでWorld School Debating Chanpionship 2015というイベントが開催されていました。このイベントは、世界中から集まった14歳から19歳までの若者たちが、国別に分かれて英語でディベートを行うもので、英語が母国語の国からはもちろん、パキスタンやギリシャ、ペルーなど英語が外国語の国からも思春期の青年たちが参加して競いあいます。私は初めて観たのですが、1988年から毎年行われている、歴史ある大会のようです。

    実際の大会は終了していますが、昨日TV放映されたのは準決勝で、カナダとオーストラリアチームの対決でした。テーマは「ISISの問題はアラブ諸国に任せておくべきか?」で、オーストラリアチームは賛成、カナダチームは反対の立場でディベートが開始されました。

    各チームの選手は3名。それぞれ持ち時間8分で、いかに審査員を納得させるかで勝敗が決まります。いかにも優等生な顔つきの選手たちは、オーストラリアチームは全員が白人で男子1人、女子2人、カナダチームは白人の女子1人、インド系の男子1人、中国系の男子1人の構成でした(2名は補欠選手で登場なし)。

    まずは賛成のオーストラリアチームから。男子1人がきれいなクィーンズイングリッシュで機関銃のように話し始めます。その間、女子2人は相手の反論(質問・反論が1度だけ許される)の様子を見ながら、足りない点や問題点などを洗い出して、そこを自分たちの番で補完していきます。「さすが、世界から選ばれてきた頭のいい子たちは違うなー」としみじみ思わされたのですが、反対のカナダチームのトップ、紅一点のローリー・フリンさんが話し始めた途端、会場の空気が一変しました。

    とにかくすごい!の一言。決して大きい体ではないのですが、堂々と意見を主張をする姿はそのあたりの小物政治家よりずっと輝いています。身振り手振りを交えながら「なぜISISのことを自分たちの問題としてとらえなければならないか」を滔々と説明。何よりも印象的だったのは、彼女の相手を真摯に説得しようとする態度(演技?)です。オーストラリアチームが冷静に世界情勢を分析し、どちらかといえば客観的な観点から議論を進めていたのと正反対で、ローリーさんの議論は、「私たちが、自分たちの問題として、いま、ここで」考えること、が重要だと強調します。男子2人も基本的には同じスタンスで鮮やかな主張を展開しましたが、やはりローリーさんの圧倒的な迫力には負けていました。

    結果はカナダの勝利。シンガポールと対決する決勝に進みました(優勝はシンガポールです)。

    2つの国の若者たちの討論を見ていて思ったのは、出身国の違いがこのディベート能力の違いを産んでいるのではないかということです。オーストラリアもカナダも言わずと知れた世界有数の移民大国。ある統計によると、2012年の移民割合は、カナダが26%でオーストラリアが25%。また、トロントやバンクーバーのような大都会では外国生まれの市民が人口の40%以上いるとも言われます。

    しかし、今回のチーム構成を見てもわかるように、オーストラリアは「白豪主義」を長期間とってきた結果、まだまだ白人至上主義が残っており、トップを切ったのも白人男子。逆にカナダは、人種差別がほとんどなくダイバーシティー(多様性)が進んだ国で、出場した3人全員人種が違い、トップは女子でした。

    移民国家とは、住む人の出身国や宗教や信条や道徳規範などが違う社会です。倫理観はもちろん、食べ物も生活習慣も違う人たちが集まって国家を形成しています。その中で国家としてどうしても意思統一が必要な場合、ローリーさんのディベートのように、私たちは違う人間だけれど、しかし、今、ここで、何をなすべきかを自分たちで考えて意見をまとめていこう、という強い意志とリーダーシップが大切なのではないかと思うのです。そして彼女の言葉に納得したやはり国も信条も違う審査員や聴衆たちが、強く彼女に共感したのではないでしょうか。

    本日は準決勝2日目、アジアから選ばれたシンガポールとパキスタンの若者たちが「言論の自由」について討論する予定です。夜のテレビ番組をとても楽しみにしています。
    | 後藤百合子 | グローバルビジネスと人材 | 11:58 | - | - |
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