ASIAN NOMAD LIFE

日本、香港、中国で生活・仕事をしてきてシンガポール在住7年目。
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トヨタ社長「成長より継続」こそ、これからの日本の経営哲学
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    10月29日付ロイターニュースに『トヨタ社長、「最大」より「最高」に将来性・自動運転に自信』という記事が掲載されました。

    この記事によると、豊田社長は取材に応え、今後も数値目標を設定せず、規模よりクオリティを追求する経営方針を貫くという趣旨の発言をされました。

    [東京 29日 ロイター] - トヨタ自動車の豊田章男社長は28日、東京モーターショーの会場で記者団に対し、「Biggest(最大)になるより、世の中からGreatest(最高)と言っていただくほうが将来性があると言い続けている」と語り、「規模を語らない」トップであり続けることを強調した。

    言うまでもありませんが、トヨタ自動車グループは世界最大の自動車メーカーであり、今年3月の連結決算では最終利益が2兆円を超えた初めての日本企業となりました。また、過去10年では売上高を47%も拡大して27.2兆円と、30兆円に迫る勢いとなっています。今年度の日本国の税収が約54兆円ですのでその半分となり、いかにその規模が大きいかがわかると思います。

    そんなメガ企業トヨタの豊田社長をして「規模の追求はしない」と言わしめるのは、いったいなぜでしょうか?


    その秘密をとくカギは、豊田社長が深く尊敬し、学んでいるという伊那食品工業の塚越寛会長が提唱する「年輪経営」にあるのではないかと思います。

    塚越会長はマスコミにはめったに登場されないのでご存じない方も多いかと思いますが、中小企業経営者の中ではカリスマ的な人気を誇ります。経営危機に陥っていた寒天製造会社の伊那食品工業の経営を任されて以来、「いい会社を作りましょう」の社是と「急成長は敵」の社訓のもと、48年間増収増益という驚異的な記録を作られ、無借金経営を貫かれてきました。

    そんな塚越会長の薫陶を受けられていることがはっきりわかるのが、今年5月の豊田社長の決算報告です。

    振り返ってみますと、2009年6月に社長に就任して以降、数多くの試練に直面してまいりました。会社として、社長として、やりたいことができない大変辛く、くやしい思いをしてまいりましたが、逆に言えば、多くを学ばせていただいた期間だったと思います。

    急成長しても、急降下すれば多くの方にご迷惑をおかけする。
    「持続的な成長」が、最も重要だということも学びました。

    かつて、台数が急増し、会社が急成長した裏側では、会社の成長スピードに人材育成が追いつかず、従業員や、関係者の皆様の頑張りに依存した無理な拡大を重ねていました。リーマン・ショックによる赤字転落や、大規模リコール問題もそうした中で起きたものだと思います。

    木の幹に例えれば、ある時期に急激に「年輪」が拡大したことで、幹全体の力が弱まり、折れやすくなっていたのだと思います。

    この4年間、関係する皆様のご協力をいただきながら懸命に努力を続けたことにより、経営体質は確実に強くなりました。日本においても税金を納めることができる状態となり、文字どおり「持続的成長」のスタートラインから一歩踏み出すことができると感じています。

    「持続的成長」とは、どのような局面でも、1年1年着実に「年輪」を刻んでいくことです。トヨタは創業以来、買収による拡大ではなく、1台1台の積み重ねでこれまで成長してきました。そして、今、世界販売1,000万台という大きな変化点を迎えています。


    前例もお手本もない、誰も経験したことがない未知の世界で成長し続けるためには、人材育成と同じスピードで年輪を重ねていく、身の丈を超えた無理な拡大は絶対にしないという「覚悟」が必要だと思っております。

    トヨタ自動車ホームページより


    就任直後、「トヨタのプリンスが全アメリカ国民の前で謝った!」と言われた2010年の豊田社長のアメリカ議会公聴会での謝罪という試練を乗り越え、企業の存在意義を真剣に考えたとき、豊田社長が行きついた先が「年輪経営」だったのではないかと思うのです。

    じゃんじゃん投資して、どんどん儲けて、ボーナスや昇給で社員にも大盤振る舞いをすれば一瞬はバラ色の幸せに浸れるかもしれません。しかし、経営環境は常に動きますし、人生と同じく、会社もいい時ばかりではありません。特に業績のいい時こそ、しっかりと気を引き締めて最悪のときに備えることこそ経営者の仕事。「成長」より「持続」することこそが、企業が社会的責任を果たし、雇用を守るための最大の目標であるはずです。豊田社長の言葉は、まさにそのことをおっしゃっているのだと思います。

    「永続こそ企業の最大価値」と帯に書かれている塚越会長のこのご著書は、8年前、私がこれからの会社経営をどうしていくか悩んでいたとき、経営者仲間たちと訪れた伊那食品工業本社工場の売店で購入し大変なショックを受けた一冊です。


    経営者のみならず、人生の大半を会社で働く会社員の方々にもぜひ読んでいただきたい本です。
    | 後藤百合子 | 企業経営 | 18:57 | - | - |
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