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ASIAN NOMAD LIFE2016.01.31 Sunday
100年企業のつくり方 -- 時代の変化に耐える「信用力」の重み
JUGEMテーマ:ビジネス
私が経営している会社は、今年、創立100周年を迎えました。年明けから1か月、お客様や仕入先様などこれまでお世話になってきた方々に御礼のご挨拶にお伺いしたり、御礼のお手紙やメールをお送りしたりしているのですが、みなさんから口々に「なかなかできないことだ」とおっしゃっていただきます。 確かに100年同じ会社を続けていくというのは、いくら自分ひとりが強く願っても決してできないことですし、また、一企業の力ではどうにもならない社会情勢の変化、時代の流れというものもあります。我が社も例外ではなく、100年という長い時間の中ではその時々で経営危機に陥り、倒産や廃業と隣り合わせの転機が何度もありました。 それでも何とか企業として本業を守り、生き残ってくることができたのは、ひとえに「信用」の一言に尽きるのではないかと思っています。 ■何度も訪れた経営危機を救ってくれた「信用力」 創業者の曾祖父から数えて、私は4世代目の社長になります。あえて「世代」というのは、1世代に何人も経営者が替わった時期があったからです。2世代目は、世界大恐慌で始まった昭和初期から第二次世界大戦の激動の時代に事業を続けた私の祖父母の世代。祖父、大叔父、祖母と社長は3人でしたが、実質的な経営者は他にも親戚筋でおり、今振り返るとこの大変な時代に、一族の多くの人たちが苦労して事業を守ってきたことがわかります。 しかし、もちろんいくら本人たちが踏ん張っても、世間や周囲の人々に見捨てられてしまったら、事業を続け、会社を守ってくることはできなかったでしょう。 例えば、海軍の軍需工場として軍靴の靴紐を作っていたのが戦後立ち行かなくなり、本社工場を買ってもらった紡績大手の会社や、売却前にほんの少しの機械と満州から戻った工場長と数人の工員さんだけで事業を引き継いだ祖母から製品を買ってくださった大阪の問屋さんなど、大叔父や祖母を信用して力を貸してくださった多くの方々の存在があったからこそ、100年という時間を生き抜くことができたのではないかと思うのです。 1998年に私が役員として入社したときも、表面上は売上も利益も上がり、一見、事業は好調に見えましたが、背後では日本企業の中国生産シフトによる空洞化が急速に進行しており、数年後には毎年激減していく売り上げと債務の返済に苦しむことになります。しかし、この窮地でも「後藤さんだったら」と手を差し伸べ、知恵を貸し、製品を買ってあげようと申し出てくださるありがたいお客様方が事業を支えてくださいました。もちろん、この「後藤さん」は私個人を指すものではなく、創業者から父まで、この会社に関わってきた人々が営々と培ってきた「信用力」そのものだと思うのです。 ■「信用」とは何か では、「信用力」とは何でしょうか? 月並みですが、嘘をつかない、約束を守る、礼儀を尽くす、といった人間として当然守るべきことが守られているかどうか、という一点に尽きるのではないかと思います。 「嘘をつかない」ですが、過去も現在も、たびたび問題になる企業モラルの問題があります。利益を伸ばそうと思うとついつい誘惑に負け、規格と違うものを売ってコストを抑えようとしたり、あるお客様だけにしか販売しないと約束していた商品が少し売れると、競合他社にも売りたくなったりする誘惑が出てきます。これの誘惑に打ち克って愚直に商売をすることは信用に直結します。 「約束を守る」は「嘘をつかない」にも通じますが、お客様への納期や仕様を守るのはもちろん、仕入先様への支払いや社員に対する約束(就業規則)なども含め、会社として行った約束をきちんと果たしていく、ということが単なるビジネスだけではなく、会社そのものの評判にも関わってくるのです。 「礼儀を尽くす」は私が一案大切にしている父の教えですが、中でも「お世話になった方が引退しても決してないがしろにしない」は肝に銘じています。現役時代、どんなに立派な肩書をもっていても、サラリーマンが定年退職して「ただの人」になってしまうととたんに冷淡になるのが世の常です。しかし、例えどんな境遇になられても、お世話になった方々には最後まで礼を尽くしなさいと父から言われ、私も実行しています。また、このような気持ちを持ち続けることで、逆に何でも自分ひとりの力で成し遂げてきた、というような馬鹿な思い上がりを防ぐ効果もあると思います。 このように、信用の力というのは、決して自分1人の力で一朝一夕にできるわけではなく、企業の歴史の中で少しずつ育まれ、熟成し、DNAのように受け継がれてくるものだと思います。そして、その伝達に成功した企業こそが、また次の世代に残せる事業を継続できるのではないでしょうか。 |
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