ASIAN NOMAD LIFE

日本、香港、中国で生活・仕事をしてきてシンガポール在住7年目。
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AI時代をサバイバルするための家庭教育を考える。
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    ■20年以内に確実にやってくるAI時代

    日経ビジネスオンラインのソフトバンク、孫正義社長のインタビューを読んで興味が沸き、「日経ビジネス 8月8日・15日号」も買って読んでみました。

     

    特に興味深かったのは英半導体メーカー、アーム買収の意図について。「まだ言いたくない。どうせ信じてもらえないし」と口を濁しつつも孫さんが語るのは、世界中のありとあらゆる場所にCPUが配備され、通信網につながってデータがやり取りされて蓄積され、また個々の人間やロボットにつながり、それを統合するAI(人口知能)がシステムをコントロールし、自ら考えながら進化して世界をデザインしていく・・・。まさに映画「マトリックス」の世界です。

     

    ただ、「マトリックス」と違うのは、孫さんがその世界をダークなものではなく、人間を幸福にするシステムとして構築したいと強調していること。いみじくも孫さんは「20年後にはアームのCPUが1兆個、地球上にばらまかれる」と語っていますが、その時彼は80歳。おそらくそのくらいのタイムスパンである程度の完成を見るように、スケジュールを組んで全体を構想しているのではないかと推察しました。

     

    ■人間でなければできない仕事がどんどんなくなっていく・・・

    8月16日、米フォード自動車が、2021年までにハンドルやアクセルのない完全自動運転車の量産を開始すると発表しました。

     

    この分野ではフォードのみならず、トヨタやメルセデス他、各国の自動車メーカーが巨額の資金をつぎ込み、熾烈な開発競争を繰り広げていきますが、フォードCEOは「自動運転車のインパクトはフォードが100年前に始めたベルトコンベヤーによる自動車の大量生産に匹敵する。この変化の一部は我々がリードする」と、この技術が単なるイノベーションではなく、自動車製造のコンセプトそのものを変革するものだと強い意気込みをみせています。

     

    そして、この技術が晴れて完成したあかつきには何が起こるのでしょうか?

     

    まず、タクシー運転手が職を失うでしょう。次は長距離トラック運転手の番になります。バスや電車の運転手も不要になっていくかもしれません。しばらくの期間は法律で人間が同乗していないと運転できないよう規制できるかもしれませんが、人間が関与してもしなくても事故率が変わらないことが証明されれば、法改正して無人運転を認めざるをえなくなるでしょう。これにより、世界中で恐ろしい数の失業者が出てくるはずです。

     

    こちらは、ダイヤモンドオンラインに掲載された、今後、AIの発展によって機械が人間にとって代わり、人間から奪われていくだろう仕事の一覧です。上述のドライバーはもちろん、小売店販売員、一般事務員、軽作業や工事現場の作業者など、一般にあまり専門的なスキルがなくてもできると考えられている職業から、会計士、通関士、保険販売代理人、上級公務員など、専門知識が必須で高度な職業訓練が必要とされている職業まで、これではいったい20年後の人間は何をしたらいいのだろう? と考えこんでしまう内容です。

     

    ■羽生三冠もいつかはAIに敗れる。

    来年春、天才棋士羽生三冠が、トーナメントで勝ち残ったコンピュータソフトと対戦する可能性が高まってきました。

     

    孫さんは囲碁で7手先を読むといっていますが、羽生三冠クラスの棋士になるとふつうでも20〜30手、変化を含めるなど場合によっては200〜300手も読むといいます。昔、まだ羽生三冠が天才中学生と一部でもてはやされていた頃、日曜日にNHKでオンエアされる将棋対戦をよく見ていたのですが、当時の彼の将棋の特徴は、相手の手を読みに読んだうえで、誰にも理解できないような唐突な手を打ってくるところにありました(一度など、解説をつとめていた加藤一二三棋士がその手のあまりのわからなさに狼狽して、解説譜面をぐちゃぐちゃにしてしまうというハプニングが起こったことがありました)。

     

    しかし、当時を振り返って羽生三冠が語っているのは、「若いころはよくわからなかったのでとにかく読むしかなかった」という言葉だそうです。つまり、唐突な手は唐突でも何でもなく、すべてを読みこんだうえでの最良の手だったのです。

     

    今年、勝ち残ってきたソフトは、昨年の優勝者、山崎八段に2勝しているそうです。羽生三冠はまったく違うレベルの棋士ですので、まだソフトとの勝負に勝つ可能性は高いと思っていますが、ソフトが羽生三冠の思考パターンを学習し、孫さんのいう「ディープ・ラーニング」によって自己進化を遂げていけば、いつか羽生三冠が敗れる日が必ずやってくるでしょう。それは、人間があくまでも肉体に囚われた有限なものであるのに対し、AIは制限がない、どこまでも進化していける可能性を本質的にもっているからです。

     

    ■機械に本来備わっていない身体と感情を豊かにする体験教育

    20年後、現在7歳の我が家の娘は27歳になっているはずです。

     

    彼女が27歳になったとき、どんな職業に就いているのか(どんな職業があるのか)見当もつきませんが、現在、その年ごろの一般的な女性が就いている職業のおそらく半分くらいは、上のリストに入ってしまっています。大学受験のためにクラスメートと競争するどころか、彼女の年齢の子供たちは、これからAIとも競争していかなければならないのです。

     

    私は、その時代を生き残るために必要な技術は、決して詰め込み式の知識教育ではないと思っています。自分自身はかなりの時間とお金をかけて外国語やビジネスの知識を学んできましたが、娘の時代にはそんなことをせずとも、自動翻訳機が瞬時に働いて言葉の障壁がなくなり、同様に、専門的な技術や法律の知識も、自分であちこち調べなくとも、コンピュータが一瞬のうちに最良の解を提示してくれるでしょう。

     

    その中でAIと差別化するためにできることが何かといえば、私は、体験に基づく身体性と感情の発達を促すことではないかと思います。

     

    機械が機械である限り、有限な肉体をもつ人間とは根本的に違います。また、感情は肉体をもつことによって派生してくるものです。AIの「知」が絶対にもちえないもの、それは体を動かして何かを創造したり体験したりする喜び、他者とかかわることによって生じる喜怒哀楽の表出と他者との感情の交流ではないでしょうか。そして、それを得るためには、学校や塾で先生の話をただ聞いたり、コンピュータの前に座って知識を広げているだけではなく、外に出て、実際に自然や人間に積極的に出会っていくことこそが必要なのだと思います。

     

    PEPPER君はかなりの皮肉屋だそうですが、人間の細かい感情の機微や、身体に直結する感情の起伏などは、どんなに頑張っても2,30年といった短いスパンでロボットに学習させるのは私は無理だと思います。社会の中でAIにとって代わられるのではなく、AIを自分自身の幸福追及に利用していくだけの逞しさと知力をもつ人間に育ってもらうために、これから具体的に、娘にどんな教育を与えていったらいいのか、真剣に考えなくてはいけないと思っています。

    | 後藤百合子 | グローバルビジネスと人材 | 18:49 | - | - |
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