ASIAN NOMAD LIFE

日本、香港、中国で生活・仕事をしてきてシンガポール在住8年目。
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納税回避に我慢できなくなってきたEU諸国
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    JUGEMテーマ:国際社会

    i-phone7の発表で世界から注目を集めるアップル。このところ低迷していた株価も若干持ち直し(昨日また下がっていますが)、ここ数日はナスダック指数を引き上げるなど米国株式市場にも貢献しています。

     

    時価総額が2位のグーグル(アルファベット)と約400億ドル、3位マイクロソフトとは1000億ドル以上の差をつけてダントツ世界一の大企業アップル社ですが、これもまた巨額の純利益の源泉となってきた本業以外の財務活動に現在、黄信号が灯っています。先月、EUがアップルのアイルランドでの事業に対し130億ユーロ(約1.5兆円)の巨額の追徴税を命じたのです。

     

    EUコミッショナーのマーガレッテ・ベステガー氏はこのインタビューで、ドイツ、フランス、スペインなどEU諸国での売り上げすべてをアップルはアイルランドのペーパーカンパニーで申告している、その理由はアイルランドの法人税率が12.5%と圧倒的に低いからであり(ちなみにフランス34.43%、ドイツ30.18%、スペイン25%)、納税回避目的であることは明白、と語っています。

     

    確かに、売り上げが発生した国で納税するというのは税務の常識であり、EU側の言い分はわかりますが、アイルランドは2010年の財政破綻以降、この極端な低税率を武器にアップルをはじめグーグルやフェイスブックなどの米企業を誘致し経済再生を図ってきた実績があり、もしこの判決に従ってこれらの企業が国外に出てしまったら国家として死活問題となりますので、即座にEUに提訴しました。しかし、判決次第では、EUのみならずアメリカ企業の業績にも甚大な影響は避けられないでしょう。

     

    同じく、多国籍企業の納税問題については、2日、オーストリアのケルン首相が「スタバなどの多国籍企業の納税額は屋台より少ない」と批判しました。ここでも名前が挙がっているのは、やはりスターバックスやアマゾンというアメリカの巨大企業です。

     

    いっぽう、英ガーディアン紙によると、7日、デンマーク税務大臣が一部のパナマ文書購入に対し9百万クローネ(約1億4千万円)を支払う予定であることを公表しました。まだ支払いは実行されていないようですが、関係する全文書を入手の暁には、パナマのモサック・フォンセカ法律事務所を通じて税逃れをした、数百人のデンマーク人についての脱税調査を行うとされます。

     

    政府がパナマ文書に関する情報を直接購入するのはこれが初めてということですが、ヨーロッパ各国政府に同様の動きが広がっており、企業ばかりか個人の海外への資産フライトにも非常に神経質になっている様子がうかがわれます。

     

    ドイツやイタリアなど代表的なEU諸国は、日本と同じく少子高齢化により社会保障コストが増大しているのに加え(フランスは出生率が回復していますがそれにかかるコストはまた膨大なものになっています)、中東や北アフリカ諸国からの難民の受け入れコストや頻発するテロに対抗する安全対策費用など、国家負担が年々重くのしかかってきています。表向きはテクニカルな納税地問題に聞こえますが、実際には「アメリカ覇権主義の結果起こった問題の尻拭いをさせられているのに、さらに米国企業の利益を上げるために利用されているだけなのか」という本音が透けてみえるような気がします。

     

    ブロック自由経済、通貨統合という歴史的な実験に踏み切ったEU諸国ですが、ギリシャ経済危機問題やイギリス離脱問題のみならず、根本的にそのシステム、のみならず存在理由自体が見直される時期に来ているのかもしれません。

     

    | 後藤百合子 | グローバルビジネスと人材 | 12:03 | - | - |
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