ASIAN NOMAD LIFE

日本、香港、中国で生活・仕事をしてきてシンガポール在住7年目。
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「忖度」で自らの首を締める人々
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    英フィナンシャル・タイムズ紙の社説「Sontakuがつなぐ日本のスキャンダル」が本日の日経電子版に翻訳・転載されました。

     

    この中で筆者は、昨年安倍政権に批判的だったテレビ局のキャスター3人がほぼ同時に降板させられたこと、社をあげてトップの意向に沿った東芝の不正会計、そして現在、安倍政権を揺さぶっている学校土地問題がすべて「忖度」の結果だったのではないかということ、そしてそのような性向が日本人の中に根強くはびこり、さまざまな問題の温床になっているのではないか、と暗に指摘しています。

    多くの意味で、忖度は典型的な責任逃れだ――日本人が自己批判する際のリスト項目で、「集団思考」や「反射的服従」と並び、不正行為の言い訳だ。文化に根ざす説明がわき出る泉で個人の責任を薄めている。

     

    大阪の学校用地取得をめぐるスキャンダルについては、安倍首相があそこまで断言しているのをみる限り、おそらく贈収賄という事件ではないと私は考えます。いっぽう、国民の財産である国有地がただ同然で売られたという事実を鑑みれば、著しく国益を損なう行為であり、それが公務員の首相に対する「忖度」であったとしたら、むしろそのほうがよほど大きな問題だと思います。

     

    というのも、国益を守り、国民の財産を守る立場の公務員が、まったく違う方向を向いて「忖度」し、巧妙に法の網をくぐるような方法でその財産を好きなように扱ったという「公権力の濫用」が発生しているからです。

     

    同じことは「私人」である明恵夫人のもとに5人もの公務員が送り込まれており、明らかに公務ではない講演会に同行したり、学校経営者との連絡業務に携わっていたことにも言えます。難関の公務員試験に合格した方々でしょうから公務員法はよくご存じのはずですが、このように「公務」と「私事」の区別もつけられない(もしくは敢えてつけない)ということであれば、明らかに公務員としての資質を問われなければならないでしょう。

     

    東芝問題も同根です。

     

    最終的に東芝を国が救済するのかどうかはまだわかりませんが、現時点で見る限り、とうてい東芝に再生のチャンスがあるとは思えません。発覚の発端は内部告発にあったようですが、それにしてもあれだけ「企業コンプライアンス」が叫ばれ、「企業とモラル」の関係が大きく取り上げられていたにもかかわらず、数代の社長にわたり社内隅々にまで粉飾決算が横行していたというのです。連結で約19万人いる社員のうちどれだけの方々が数字のねつ造に関わったのかはわかりませんが、少なくとも経営陣や事業部トップクラスの数百人単位ではないことは確かでしょう。

     

    学校土地売却の問題は、もし担当した官僚が「首相のために」と忖度した結果なのであれば、完全に裏目に出ており、今や政権を揺るがす問題にまで発展しています。また、成り行きによっては実際にこの件に関わった公務員の方々が処分を受ける可能性も否定できません。

     

    東芝問題に関しては、社員が「会社のために」粉飾決算に協力した結果、当の会社が消失する、もしくは自分自身が失職する危機に晒されています。株主に対する責任はもとより、もしも公的資金が導入されるということになれば、それは税金ですから、他の多くの国民にも迷惑をかけることになります。

     

    そしてどちらのケースにも恐らく共通するのは、現実に「正しくない」ことを行った方々の目的が、「政府」や「会社」という「組織」のためだったことであり、決して自分自身が利益を得るためではなかったということです(結果としての出世という目的はあったかもしれませんが)。

     

    組織の中で「原理原則に従う」とか「正しいことを行う」とかを主張すると、必ず「世の中っていうものはそんなもんじゃない」とか「青臭い主張をするのはやめろ。今はわからなくてもそのうちわかる」と水を差す人が出てきますが、そういう人たちこそ最も「忖度」の罠に陥りやすいのではないでしょうか。

     

    冒頭のフィナンシャル・タイムズの記者の方の言葉、『不正行為を「個人の責任」ととらない文化』こそ、私たちが改めて対峙し、克服していかなければならないものだと思います。

    | 後藤百合子 | グローバルビジネスと人材 | 14:31 | - | - |
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