ASIAN NOMAD LIFE

日本、香港、中国で生活・仕事をしてきてシンガポール在住7年目。
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    日本のフィリピン人家政婦受け入れでシンガポールに余波?
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      JUGEMテーマ:経営のヒントとなるニュースを読み解く

       

      ■いよいよ始まった「家事支援外国人受け入れ事業」

      アベノミクスの目玉政策の一つ、「国家戦略特区」に指定された神奈川、東京、大阪などで「家事支援外国人受け入れ事業」、主としてフィリピン人による家政婦派遣事業がいよいよ本格的に始まりました。

       

      最大手のパソナは、1回2時間、月2回の4時間で1万円でこのサービスを売り出すそうです。この価格は、パソナの日本人による家事代行サービス「家ゴトコンセルジュ」の1回2時間1万円と比べると約半額で(税別、税込みの違いはありますが)、今後、事業化に成功すればスタンダードになっていく可能性が高いと思われます。


       

      ■シンガポールのメイド賃金が高騰中

      現在、シンガポールで働く外国人メイド(多くが住み込み家政婦)の数は、237,100人で、うち約7万人の30%がフィリピン人です。

       

      フィリピン人以外には、インドネシア人(数は最も多い)、インド人、ミャンマー人などがいますが、華人系や欧米人の家庭では、英語が通じる、キリスト教徒である、性格が明るい、家事のスタンダードが自分たちと近いなどの理由からフィリピン人メイドは人気で、これまでも引く手あまたでした。(ある日本人主婦に聞いた話ですが、フィリピン人以外のメイドを雇ったところ、料理の味付けが何度教えても口に合わないため自分で作るしかなく、掃除をしてもらってももともとのスタンダードが低いためまったくきれいにならないのでやはり自分でやっていた。何のために雇ったのかわからず、雇っている間非常にストレスがたまったとのことです)

       

      そのため、最低賃金がないシンガポールにおいても、フィリピン人メイドの給料は他国出身メイドよりも比較的高く、フィリピン政府が定めたUSD400以上という政府間取り決めもあって、SGD500ドル(約4万円)以上になっていました。

       

      ところがインドネシアが2015年に自国出身メイドの最低賃金をSGD550ドル(約44,000円)に引き上げたのを契機に、昨年にはフィリピン政府が同じSGD550ドルを要求。また、同時に、雇い主に対しメイドの一時帰国費用に1,100ドルを限度に貸し付けを行わなければならない義務を課しました(帰ってこなければ当然返済されません)。

       

      そして昨日、シンガポールのフィリピン海外労働局がフィリピン人メイドの最低月給を来月1日からSGD570(約45,600円)に引き上げると報道されました。理由は米ドルとシンガポールドルとの為替レートが変わったためと説明されていますが、ニュース番組中では「香港等でフィリピン人メイドへの根強い需要があるため」等とされており、「今後、フィリピン政府はシンガポールへのメイド人材輸出を控えていくのでは」という見方もあるようです。

       

      その背景には日本をはじめとする先進諸国の急激な高齢化により、世界的に家事/介護労働を提供できる人材への需要が高まっており、供給側が強気の交渉に出られる状況になっていることがあるのではないかと思います。例えば、日本ではフィリピン人家政婦の賃金は日本人と同等ですので、外貨をより多く稼ぎたいのであれば、シンガポールより日本で働くほうが有利です。

       

      ■子育ては保育園で、介護人材は外国人労働者へシフト

      シンガポールでは、メイド雇用者には、賃金以外にも外国人労働者雇用税(月額約21,000円)や保険料、契約満了時の帰国飛行機代、年2回の健康診断料料等の支払いが義務付けられており、メイド・エージェンシーに支払う初期費用を別にしてもかなりの額のお金がかかります。

       

      コストや他人と暮らす精神的負担を考えれば、住み込みメイドを雇うより保育園に入れたほうが安くつきますし、ストレスも少ないという理由で、共働きの我が家では子どもが小さいうちは保育園、現在はスチューデント・ケアという私立の学童預かり所に日中子供を預け、週1、2回、家事を手伝ってくれるシンガポール人家政婦さんをお願いしてきました。

       

      シンガポールでもこのように考える家庭は確実に増えており、日本を上回る少子化にも関わらず政府は保育園の数を増やしていますし、私の周囲でもメイド雇用を止める子育て世帯は少なくありません。

       

      逆に、やはり増えているのは高齢者の世帯での介護要員としてメイド雇用をするケースです。街を歩いていても、お年寄りの車いすを押す外国人メイドの姿がここ数年で随分目立つようになってきました。

       

      事情は日本でも同じです。

       

      厚労省が15年に公表した介護人材の需給推計によると、団塊の世代が75歳を超える25年には全国で約38万人の人材不足が生じる。」という報道からもわかるように、今回の事業の核心は、少子高齢化社会で確実に不足する介護要員を外国人家政婦という形で雇用し、うまく機能させられるかどうかにあると思います。

       

      ■世界的な高齢者介護人材の奪い合いに

      他方、この事業にさかのぼること9年前に実施された、インドネシア、フィリピン、ベトナムなどから人材を受け入れ、看護師や介護福祉士などを育成する事業は見事に失敗しています。

       

      時間をかけて育成しても、日本の基準に合わせようとすれば合格者が少ないばかりか、せっかく合格しても定着せず自国に帰ってしまうという結果をふまえ、「今度は国家資格の不要な家政婦で」という思惑が見て取れます。

       

      問題は、先進国ではどこも似たような問題を抱えており、フィリピン人など優位性がある人材は市場ニーズが高く、獲得コストも上昇してきているということです。現在はまだまだ日本の経済力が優位にたっていますが、例えば、今後、中国で高齢化が進み介護人材の奪い合いになっていったとしたら、と考えると恐ろしくなります。

       

      日本における外国人労働者数は、根強い外国人「移民」アレルギーにも関わらず着実に増えており、「厚生労働省の「外国人雇用届け出状況」によると、15年10月末現在の外国人労働者数は約90万8000人に上る。08年に比べほぼ倍増したが、その多くが製造業で働く。」という状況だそうですが、今後は、日本経済を支えるのみならず、日本の社会福祉を支えるためにも外国人労働者の輸入は不可欠になってくるでしょう。

       

      今後激化するであろう、シンガポールをはじめとする同じ問題を抱える国との外国人人材獲得競争に備え、今から対策を講じておく必要もあると思います。

      | 後藤百合子 | グローバルビジネスと人材 | 14:00 | - | - |
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