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    #MeTooムーブメントに見る清教徒的「契約」の概念とグローバリゼーション
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      JUGEMテーマ:国際社会

       

      欧米を席巻中の#MeTooムーブメント。これに異議を唱えるフランスの公開書簡にサインした100人の女性の代表格、大御所女優のカトリーヌ・ドヌーブさんが大バッシングを受けて謝罪しました。

       

      ル・モンド紙に掲載されたこの書簡では、#MeTooムーブメントを「清教徒的な」「魔女狩り」と非難し、レイプは犯罪であると前置きした上で、男性が女性を誘惑したり、しつこく迫ったり、紳士的に男性的攻撃を加える行為は違うとし、男性たちが、女性の膝を触ったり、キスを迫ったりしただけで罰せられ、職を追われていると憤慨します。

       

      また、(ムーブメントは)女性はビクトリア朝のようにただの子どものように守られるべき、という考え方であり、女性が男性と平等な賃金を望むなら地下鉄で痴漢されたことをずっとトラウマと感じるのはおかしい、とします。

       

      一言でまとめると、「フェミニストたちが騒いで男性が女性に寄り付かなくなってしまうと、男性に口説かれたい女性が迷惑する」という趣旨のようです。

       

      ■「合意」がなければ同じ行為を行っても「ハラスメント」になる。

      確かに彼女たちの言い分もわからないではありませんが、書簡の中で決定的に欠落しているのが「合意」という概念です。

       

      レイプや痴漢は言うまでもありませんが、嫌いな男性にしつこくつきまとわれたり、触られたり、キスされたりするのを彼女たちが望んでいるとはとうてい思えません。そのような行為を受けてもよい対象は、あくまでも好意をもっている(将来的に可能性がある場合も含む)男性であり、これについては#MeTooを支持するフェミニストも大半は同意するでしょう。

       

      逆に、そうでない男性にこのような行為をされた場合が「ハラスメント」と呼ばれます。

       

      特に今回の#MeTooの端緒となった映画プロデューサーのウェインスタイン氏の場合は、映画への出演という雇用契約の条件として、その契約とはまったく関係のない性的サービスへの合意を女性たちに強要した(女性側の合意はない)という点で、明らかにハラスメントに当たるのです。

       

      日本でも元記者の男性に対し民事訴訟を起こした詩織さんについて、「男性と2人きりで食事をしてお酒を飲むのは性的行為に対する合意があるとみなされる」という声もあるようですが、こちらもウエインスタイン氏のケースとまったく同じで、彼女は仕事の一部(お酒を含んだ接待も仕事にはつきものです)と考えてお酒を飲んだのに、相手の男性は性的関係を結ぶ「合意」と認識した、というところに問題の本質があると思います。

       

      ■清教徒的「契約」=「合意」と対極に位置するもの

      公開書簡の中でドヌーブさんたちが「清教徒的」という表現を使ったのは、非常に示唆に富んでいます。

       

      清教徒(ピューリタン)はその名前からもわかるように、信仰をpurify(浄化)し、キリスト教の根底である「神との契約」に回帰しようというプロテスタントの人々です。英語で聖書を意味する「Testament」は「Agreement」の同義語であり、英語では「契約」もAgreementですから、「合意」と「契約」は、清教徒にとって神との契約と等しいものになります。

       

      ご存じの通り、アメリカは清教徒が移民して理想郷を作ろうと建国した国ですので、彼らの根底に流れる最も重要な価値観は「契約」=「合意」にあるといっていいでしょう。この思想は法体系や政治、経済のみならず、生活のあらゆる場面にアメリカ的価値観として共有されていると思います。

       

      いっぽうのフランスはカトリックの国。

       

      一般庶民の最大の信仰対象は慈悲深い聖母マリアであり、女性は男性を包みこむ母のような愛をもつことが理想とされるお国柄です。「契約」とか「合意」とかしち面倒くさいことは抜きにして、もっと愛を語ればいいじゃないか、というのがドヌーブさんたちの主張だったと思うのですが、グローバリゼーションが進む現代社会ではその主張は受け入られなかった、という事実が彼女の謝罪につながったのだと思います。

       

      BBCラジオで詩織さんが事件についてインタビューに答えている番組を聴きましたが、彼女の英語を聴く限り、かなり長い期間を英語圏で過ごされた方だと感じました。おそらく彼女の中では清教徒的な「契約」=「合意」は生きていく上で当然のことであり、事件をきっかけに、その価値観に相反する日本のシステムに対して抗議しているのだと思います。

       

      #MeTooムーブメントは一般的には単なる女性問題ととらえられがちですが、その本質は、今後、アメリカの清教徒主義がどこまで世界に浸透していくかの試金石のような気がしてなりません。

      | Yuriko Goto | グローバルビジネスと人材 | 11:44 | - | - |
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