ASIAN NOMAD LIFE

日本、香港、中国で生活・仕事をしてきてシンガポール在住8年目。
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    映画『レディ・バード』〜 ミレニアムな青春
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      JUGEMテーマ:近日公開!映画

       

      受賞は逃したものの、今年アカデミー賞5部門にノミネートされた映画『レディ・バード』を観てきました。

       

      長期間にわたりアメリカの批評家たちが100%の賛辞を送っていたという前評判だけあって、一言で言って「いい映画」。観終わった後、爽やかな感動に包まれながら映画館を出ることができる(たくさん笑えてほんの少し泣ける)、近年、なかなか珍しい1本です。

       

      以下、いくつか感想を書いてみたいと思います。

       

      ■みんな「いい子」のアメリカのミレニアム世代

      主人公レディ・バードの大学進学を巡る母親との対立がストーリーの1つの柱ですが、母娘喧嘩はけっこう激しいものの、主人公が家出したり非行に走ったりという極端な行動に出ることはありません。反抗といっても、せいぜい3ドルの雑誌万引きや先生の車にいたずらする程度。基本的にみんな「いい子」です。

       

      70年代後半から80年代にかけて青春時代を過ごした私たちの世代では、ドラッグや犯罪、妊娠・中絶・売春、暴力や自殺といったテーマが青春映画にはつきものでした。それに比べるとミレニアム世代は随分おとなしくていい子になったものだなと思います。

       

      また、人種差別や貧困といったテーマもなく(白人中流家庭の物語ですが、先生や生徒に有色人種が普通に混在していて主人公の養子の兄はヒスパニック)子どもたちの深刻な対立もありません。

       

      思春期特有の多少のとんがりはあっても、基本的にまったりとしたみんな「いい子」の中でストーリーが進んでいくので、いい意味でドラマ性はありません。

       

      ■アメリカ中流階級の凋落

      前述のようにストーリーは大学進学をめぐる母娘の対立を軸に進んでいくのですが、背景にあるのはお金の問題。

       

      レディ・バードの父はサラリーマン、母は看護婦の共働き。兄もすでに独立していているにもかかわらず、東海岸の私立大学進学のお金を工面できないから学費の安い地元(カリフォルニア州サクラメント)のコミュニティ・カレッジ(ここでも厳しいと母は嘆きます)に行くよう娘の説得を続けます。

       

      最終的に彼女はNYの大学に合格して母と対立したまま進学しますが、入学に際して父に保証人になってもらい学費ローンを組みます。

       

      これも私が80年代の大学生時代に実際にアメリカ人たちから聞いた話ですが、当時は中流階級であれば、親が学費を出して生活費はアルバイトで自分で稼ぐ、が一般的でした。つまり、学費も生活費もローンを組んだりしなくても払える程度の額だったということです。

       

      日本でもここ数十年で大学の学費が高騰しましたが、アメリカではさらにひどく、私立有名大学では、年間学費だけで500万円近くかかる所も少なくないようです。アメリカでは中流階級に生まれたら借金なしで大学にも入学できない状況が普通になっているのです。

       

      また、父親のリストラ問題も親子の会話に上りますが、中流階級ホワイトカラーの雇用が不安定であり、中高年では働きたくてもなかなか仕事をみつけられないという厳しい現状も描かれます。

       

      ■シアーシャ・ローナンすごすぎ

      レディ・バードを演じる女優、23歳のシアーシャ・ローナン。みずみずしい新人女優かと思ったら、子役時代からずっと演じ続けているベテラン女優でした。

       

      さらに驚いたのは、以前ブログ記事を書いたこともある映画『ハンナ』の主役だったこと。『ハンナ』は好きな映画の一つで4回以上観ましたが、この映画を観ている最中も観終わった後も、同一人物とはまったく気がつきませんでした。

       

      レディ・バードの演技では、背の高いティーンエージャーにありがちなちょっと猫背な感じの姿勢が非常に特徴的で、もともとこういう姿勢の人かと思っていました。しかし、『ハンナ』では超人的な運動能力をもつ少女スパイの役でしたので、背筋が伸びているのはもちろん、役によって歩き方や走り方、動作が全く違うのです。

       

      表情や喋り方だけでなく、細かい仕草まで全然別人になってしまう、すごすぎる女優だと感じました。

       

      すごい女優といえば、『ハンナ』で共演したケイト・ブランシェットや、碧眼が彼女とそっくりのティルダ・スウィントンなどがぱっと浮かびますが、シアーシャ・ローナン、23歳にしてすでにこのクラスに比肩する技術力を身につけています。

       

       

      日本では公開が6月とまだ先のようですが、決して観て損はしない映画だと思います。

      | 後藤百合子 | ライフマネージメント | 15:38 | - | - |
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