ASIAN NOMAD LIFE

日本、香港、中国で生活・仕事をしてきてシンガポール在住8年目。
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    誰がスルガ銀行を殺したのか?
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      JUGEMテーマ:経営のヒントとなるニュースを読み解く

       

      自民党の野田聖子総務大臣が25日、ブルームバーグの単独インタビューに答えて現在のアベノミクスの状況に異議を唱え、異次元緩和も2%の物価達成目標も撤回すべきとの意見を表明しました。

       

      2013年1月の政府と日銀による共同声明で定めた物価目標について「数値目標を立てることは誠実のように見える」が、その達成のために「ありとあらゆる異常な手段を使う」のは本末転倒だと指摘。経済が良くなれば結果としてなるものであって、「こだわりすぎてしまうと、本来の経済の活性化が逆に成し遂げられなくなる」と語った。

      野田大臣の指摘通り、アベノミクス最大の政策であった金融緩和政策はすでに丸5年を迎え、世界的に経済が上向き株高になってきたにもかかわらず、未だ当初の2%の物価上昇目標を達成できていません。また、やはり当初の目標だった2020年プライマリーバランスの黒字化もまったく目途がたっていないばかりか、むしろここ数年の国債乱発予算編成によりむしろ遠のいているような印象を受けます。

       

      いっぽうで、金融史上例をみない試みである「異次元の」、そして5年という長期にわたる金融緩和による弊害はじりじりと社会を蝕んでいます。その直撃を受けているのが、金利手数料を生業としてきた銀行業です。

       

      そんななかで、日本経済新聞が「金融庁が日銀に、マイナス金利政策は銀行経営に影響を及ぼしているとの懸念を伝えた」と報じました。金融庁によると、マイナス金利による減益のインバクトは、三菱UFJが1550億円、三井住友は750億〜760億円、みずほは610億円だと言います。 『日本「一発屋」論 バブル・成長信仰・アベノミクス』原真人著 より

       

      これは2016年の話ですが、これ以降のマイナス金利政策により確実に各行の金利手数料による収益は悪化しており、

      今月出そろったメガバンクグループの2017年4―12月期連結業績で傘下銀行の業務純益は、マイナス金利導入前の15年4―12月期と比べ約3割減った。預金金利が低下したが、貸出金利も下がることで利ざやを確保しにくくなっている。​https://newswitch.jp/p/12050​

      という悲惨な結果になっています。

       

      バブル崩壊後に合併につぐ合併を潜り抜けサバイバルしてきた世界的規模を誇るメガバンクでさえこのような状態。ましてや地方銀行をや、です。

       

      私の地元の静岡では以前から非常に銀行間の競争が激しく、アベノミクス金融緩和が始まる前にもメガバンクを含む各銀行が熾烈な金利競争を繰り広げていました。

       

      その中でも突出して業績が良かったのが県内最大の地銀である静岡銀行。「シブ銀」とも呼ばれる堅実経営で優良企業を中心に広く貸し出しを行い、私も以前の会社で「静銀に口座をもつと会社の信用が増す」という理由で、必要のない当座貸越枠をわざわざ作ったことさえあります。

       

      しかし、この静岡銀行でさえ2015年からの当期純利益は右肩下がり。非常に苦しい様子がうかがわれます。

       

      そんな中、スルガ銀行だけは以前から他の銀行とは一線を画する異質な戦略を取ってきました。競争が激しく利益率が低い企業への貸出から住宅ローンなど個人への融資に特化した営業を行ってきたのです。

       

      ここ数年の静岡銀行の企業業績スルガ銀行の企業業績を比較してみるとその結果は明らかです。

       

      直近3年間で静岡銀行は売上こそ増えているものの減益、これに対し、スルガ銀行は売上も利益も右肩上がりで、特に純利益に関してはわずか4年で倍増しています。

       

      しかし、こんな素晴らしい業績が競争の激しい個人向け住宅ローンだけで実現できるはずがありません。

       

      スルガ銀行が提供する人気の固定金利型住宅ローン「フラット35」では返済期間21年以上で融資が9割未満の場合の金利は1.35%。これに対し、ネット銀行などによる最近の貸出では1%を切る商品も少なくありません。当初はブルーオーシャンだったはずの個人向け市場がネット販売の普及とともにレッドオーシャンになってしまっていたのです。

       

      そのような状況の中、個人のみに市場を限定してしまっていたスルガ銀行は、より利益率が高くより貸出金額の多い個人向け融資に営業対象を広げていかざるをえなかったのではないでしょうか。その当然の帰結が、かぼちゃの馬車事件ではないかと感じるのです。

       

      もう数年前になりますが、前述の静岡銀行の担当者がアメリカの飛行機リースを証券化したデリバティブ商品の営業に来て驚いたことがあります。

       

      デリバティブ商品の知識どころか為替の知識さえほとんどない、地元の中小企業担当の若手営業マンがこのような商品を販売しようとしていること自体が驚きでしたが、現在の異常な低金利が続く中、国債買いによる最低の利益確保もできないような状況下では、どの銀行も従来の本業だけでは食べて行けず、高金利のカードローンや有価証券販売に走ったり、自ら株の売買で利ザヤを稼いだりと、慣れない仕事に悪戦苦闘している様子がうかがわれます。

       

      こんな状態が続けば、第二、第三のスルガ銀行が出てこないとは、誰にも断言できないのではないでしょうか?

       

      誰がスルガ銀行を殺したのか? それは5年にわたるアベノミクスだと思います。

      | 後藤百合子 | 日本経済 | 15:55 | - | - |
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