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    「幸福である」より「幸福になる」ということ
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      ブランコに乗れたら幸せな娘

      2019年の世界幸福度ランキングが発表されました。

      www.huffingtonpost.jp

       

      日本は前年よりさらに順位を落として59位。トップ10は下記の順です。

       

       1.フィンランド

       2.デンマーク

       3.ノルウェー

       4.アイスランド

       5.オランダ

       6.スイス

       7.スウェーデン

       8.ニュージーランド

       9.カナダ

      10・オーストリア

       

      見事に北欧、プロテスタント、そしてアメリカ合衆国を除くカナダ、オセアニアなど移民の国が上位を独占しています。

       

      記事中ではこの順位の理由を、北欧諸国で福祉や教育が手厚いため、と解説していますが、本当にそうでしょうか? 

       

      北欧諸国はとにかく物価が驚くほど高く、年中寒くて、冬は日照時間が極めて短く、陽光ふり注ぐ常夏のシンガポールの気候に慣れきった私からするととても住みやすそうには思えません。

       

      先日も夫と新婚旅行で幸福度世界ナンバーワンのフィンランドを訪れたときのことを話して笑いあったのですが、18年前当時、マクドナルドのセットランチでさえ2,000円以上、ヘルシンキで少し高級なレストランに入ったらアラカルト料理が一皿すべて5,000円以上して2人で固まりました。

       

      いくら福祉政策が手厚く自然が美しいとはいえ、やはりもう少し暖かくて気軽に外食も楽しめるような国に私は住みたいです。

       

      北欧ほどではありませんが、オランダやスイスも北国気候や物価高という点では多かれ少なかれ似たようなものでしょう。

       

      彼らにとっては、幸福度のずっと低い南欧やアジアや南米など「君よ知るや南の国」の方が、生活環境としてはずっと理想的に近いはずだと思います。だから東南アジアの国々には少しでも陽の光に当たろうと、これらの国々から大挙して旅行者がやってくるのです。

       

      タイやインドネシアのバリ島などの人気観光地はいうまでもなく、シンガポールにもやはり、北欧やオランダやスイスからやってきた人々がけっこう住みついています。

       

      8位から10位の国では事情は若干違います。

       

      こちらは気候的にも政治的にも経済的にも安定していてある意味、納得できる結果ですが、いっぽうで、移民によって構成されている国であり、さまざまな文化的背景や価値観をもった人々が共に暮らしていく上で、日常的にいろいろな問題が発生しているであろうことは容易に想像がつきます。

       

      以前にはオーストラリアで「残酷だ」という理由で魚介類を生きたまま売ることを禁止する法律ができ、華人系のアジア移民が反発する、ということもありましたし、つい先日はニュージーランドで白人至上主義者によるテロ事件が発生しました。理想郷の移民国であっても、やはりいろいろな問題は避けて通れないのです。

       

      しかし、彼らはそんな過酷な環境や、問題が頻発する環境の中に暮らしていても自分をたいへん幸福だと思う。それは何故でしょうか?

       

      この記事では、同じ調査結果をこのように分析しています。

       

      例えば、13位のコスタリカは「生まれたからには幸せであるべき」との考えからほとんどの人が「10」と即答。また、6位のオランダは「7」「8」と答える人が多く、「不幸せ」に対して前向きに価値を置いて考えていることが背景にあるという。

       

       確かに「幸せ」も「不幸せ」もあくまでも主観的なもの。

       

      調査では一人あたりGDPや健康寿命などの数値も考慮されているそうですが、そのような要素を除けば、もっとずっと貧しい国々も上位に入ってくるでしょう。お金があるからとか、福祉が充実しているから、というような数値で測れる事実だけでは、とうてい「幸福」の実像には迫れないのではないかと私は思います。

       

      他方、アジアで特徴的なのは、台湾が25位とトップにつけていること。わざわざ「中国の省の一つ」と注をつけられているほど政治的には不安定な国ではありますが、それでもこのように幸福度が高いのは、やはり将来に不安はあるけれど、今、この瞬間を幸せに生きよう、という台湾の人々の決意表明のような気がします。

       

      日本人もシンガポール人も、台湾を旅行した人が「ほっとした」「気が休まった」と一様に口にするのは、そんな台湾の人々の幸福「意識」によるものではないかと思うのです。 

       

      逆に、日本人の幸福度が年々低下傾向にあるのはたいへん残念です。

       

      少子高齢化をはじめいろいろな面で社会がシュリンクしていく中でも、もっともっと人々が自発的に「幸福になる」と思えるような、外部要因に容易に左右されない、精神的な充足感を尊重するような社会になってほしいと思います。

       

      「幸せな人」が増えればその幸福感が伝染し、さらに「幸せな人」を増殖させていく作用があると考えるからです。

       

      私自身の経験でいえば、10年ほど前のある晩秋の朝の始業前、会社の駐車場の落ち葉掃除をしていたとき、心から「幸せだなー」と感じたことがあります。

       

      今日も一日、健康で仕事ができ、家に帰ると私を待っていてくれる家族がいて、今日のご飯の食材を買うお金の心配をすることなく夕飯のメニューを考えられる。これ以上の幸福はないと思いました。

       

      その日一日、私は一日中機嫌よく、いつもより少しだけ同僚たちにも優しくできたことを記憶しています。

       

      あれも欲しい、これもしたいけどかなえられない、と思ってしまったら私も全く幸福ではないかもしれませんが、自分自身が幸福と感じられ、現在置かれた環境に満足できれば、その分だけ周囲の人にも幸福のおすそ分けができ、少しずつ幸福な人の数が増えていくのではないかと思います。 

       

      幸福度の高い国のリストを見て「いつかこんな国に住んでみたい」と想像をめぐらすのも一興ですが、今自分が住んでいる場所で、どうしたら自分も他の人々ももっと幸福になれるのか、改めて考えてみる機会を提供するのもこの調査の目的の一つではないでしょうか。

      | Yuriko Goto | 国際社会 | 08:33 | - | - |
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