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    現在の福祉制度が限界であるという日本の現実を直視し、自助保険制度への移行へ。
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      最近、87才になる義父が眼科で処方してもらってメガネを2組作りました。

       

      政府の補助がついたらしく、2組で払った費用が2ドル(約160円)だったと夫大喜び。その前にも要介護者の義父の杖を数百円で購入した他、昨年から住み込みで義父母の世話をしてもらっているミャンマー人のメイドさんにかかる費用も、彼女が政府主催の介護研修を受けてから1/3程度が補助金でまかなわれるようになりました。

       

      ちょっと前まではこういう仕組みがなかったため、高齢者が処方薬を買うのに物価が安いマレーシアのジョホール・バル―まで毎月出かけるのは当たり前(なぜかマレーシアの薬局では処方箋がなくても処方薬が買える)。

       

      我が家でも毎年恒例のマラッカ旅行の度に、1錠千円近くする義母の関節痛の薬を買ってきていました。現在ではこちらも政府補助がついてマレーシアで買うより全然安くなったため、もう買っていません。

       

      基本的にシンガポールの日常の医療はすべて自費診療です。

       

      風邪をひいてもお腹をこわしても、町医者や私立の病院にかかると100%自費。私立の病院は高額ですが、町医者になると庶民の懐事情がよくわかっていますので、よほどのことがなければレントゲンを撮ったりしませんし(そもそも高価な医療機器をほとんど置いていない)、薬も最低限必要なものしか出さず、患者も「これは要らない」と拒否することも多いので、実際に支払う金額は3割負担の日本で町医者にかかったときとほとんど同じか、むしろ安いくらいです。

       

      医療器械が必要な検査は外注が基本。

       

      私はHRT治療を受けているので、乳がん検査と子宮ガン検査に定期的に行っていますが、近所の婦人科クリニックでするのは内診のみで、超音波やマンモグラフィーは検査専門のセンター(検査技師がいるだけで診断はクリニックの医師)へ。分業が進んでいて、競争も激しいので「今回はここがプロモーションやってて安いから行ってね」と毎回別のセンターを紹介されたりします。

       

      しかし、歯医者だけはどうにもなりません。1本でも差し歯にしようものなら10万円単位で費用がかかります。つい最近も、10年以上前に神経取ったところが炎症を起こしてしまい、その治療だけでやはり10万円ほど支払いました。

       

      なので、できるだけそうならないように、半年に1回の歯科定期検診は欠かしませんし、娘の学校にも歯科医が定期的にやってきて子供たちの歯のチェックをしたり歯磨き指導をしたりしています。

       

      と、ここまでシンガポールの庶民の医療事情を少しだけご紹介しましたが(お金持ちはまた全然違い、ガンの最新治療を受けるためにアメリカの高名な病院に長期入院したりします)、その理由は、日本の医療負担がすでにサステナブルでないレッドゾーンに入っているという話をここのところ立て続けに読んだからです。

       

      https://www.nikkei.com/article/DGXMZO45016470Q9A520C1SHA000/

       

      現在の日本では、国民健康保険で医療費がまかなえず、ほとんどの自治体で税金を投入せざるをえないという現実が厳然としてあります。そしてこの現実は、今年昭和24年生まれが75才を迎えるのに伴い、後期高齢者の数が激増してさらに過酷になっていくことが確実です。

       

      夏の参院選に向けて消費増税取りやめかどうかの議論が高まっていますが、下記の記事で指摘されているように、福祉と税の関係にあまり触れられていないのが気になるところ。もしも消費税が上がらなければ福祉にかかる保険料を上げざるをえず、勤労者世帯ばかりにしわ寄せがくるのは避けられません。

       

      diamond.jp

       

      年金や医療保険などについて、日本とシンガポールの一番の違いは他助なのか自助なのかです。

       

      冒頭に書いたように、現在のシンガポールでは義父母のような高齢者世代(1950年以前生まれ)を「パイオニア・ジェネレーション」と呼び、最近特に医療や介護に関する福祉を手厚く提供するようになりました。

       

      というのも、彼らが働き盛りだった頃にシンガポールは建国したばかりで、現在のようなCPF(セントラル・プロビデント・ファンド/中央将来安心基金)という財形貯蓄と個人年金と個人保険が合体したような制度がまだ確立していなかったため、平均的な世帯が高齢者になってから十分な医療を受けられないという問題が噴出したのです。

       

      さすがにそれはまずいと考えたのか、ここ数年で驚くばかりにこの世代への政府補助が拡大しましたが、その下のMerdeka世代以降(現在60代)はまた違ってきます。というのも、この頃になるとCPF制度が機能するようになり、庶民でもある程度の老後の蓄えができるようになってきたからです。

       

      シンガポールのCPF制度についてはあちこちで書かれていますので詳細は省きますが、政府による強制的な個人預金と覚えておくといいと思います。被雇用者が17%、雇用者が20%を出して、毎月給料の40%近くを積み立てていきます。給料が20万円の人であれば7万円4千円ですから、夫婦2人だったら年間180万円近く積み立てていることになりますから、いかにその額が大きいかわかるでしょう。

       

      このお金がCPFの自分の口座に入金されると、住宅購入資金及び子供の教育資金用口座(普通口座)、年金や老後資金のための口座(特別口座)、医療保険や入院費の口座(医療口座)に自動的に振り分けられ、政府が年利2.5%〜5%程度と民間の金融機関よりかなり高い金利で運用してくれます。

       

      私の場合はシンガポールではアルバイト程度しか働いていないのでスズメの涙ほどのCPF積立金しかありませんが、夫には数十年にわたる積み立てがあるため、現在家族全員分の医療保険は年に1回夫の医療口座から引き出されていますし(入院が必要な大きな病気をした場合、この保険を使うと公立病院の医療費がほぼ無料になります)、2人とも55才を過ぎていますので、一定金額までは引き出しも可能です。

       

      問題はシンガポールも平均寿命が伸び、CPFだけでは老後資金や医療費が不足がちになっていること(男性80.8才、女性85才でともに世界6位)。

       

      このため、例えばガンの化学療法や人工透析などの高額医療については、上記の医療保険に加えてメディシールドという任意保険が用意されたり(41才以上70才まで年額5万円程度と非常に安い)、民間病院で先端医療を受けたかったり差額ベッド代をカバーする政府の承認を受けた民間保険がいろいろと発売されています。

       

      また、前述のMerdeka世代の人々には、病院受診時のディスカウントや医療口座やメディシールドへの補助、来年以降本格的導入が決まっている介護保険「ケアシールド」への補助などのプログラムが用意されています。

       

      さらに最近では、CPFの年金部分を補う年金積立保険が政府系の保険会社をはじめいろいろな保険会社から販売されていて(私も入っています)、「贅沢をせずに節約して将来子供の世話を受けないように資金準備しておけば、きっと子供から感謝されるようになる」というテーマのCMもしきりに流れるようになりました(華人系の伝統として子供が老親の生活費をもつのは当たり前で、我が家の義父母も子ども3人が毎月仕送りをしています)。

       

      シンガポールも先進国の一員として国民に必要不可欠な医療が受けられない事態はさすがに避けていますが、過剰な医療費はいっさい払わないのが建前。後期高齢者にだけは若干やさしいですが、それ以外の世代に対しては「利用できる制度は作っておくから自分で何とかしてね」という姿勢が明白です。

       

      公団住宅購入のための貯金についても、自由意志に任せておくと貯金できない人はいつまでもできないので、強制的に給料から天引きした結果、約90%という驚異的な持ち家率になりました。当然、普通の人が老後住むところがない、という事態も滅多に発生しません。

       

      いっぽう、日本の医療保険や介護保険、年金制度の福祉パッケージは、世界でも有数の手厚く国民に優しい制度だと私は思います。特にシンガポールで歯医者の請求書を見るたびに「日本に住んでいれば…」とがっくり肩を落とします。

       

      数カ月前に帰国したときには数年にわたってガン治療をしている旧友と会って話をしたのですが、医療費はほぼ保険でまかなえ、厚生年金で家賃や生活費が払えて十分やっていける、ということを聞いて、こんな制度がある日本はつくづく素晴らしい国だと思いました。

       

      しかし、この素晴らしい制度もすでに限界に達しています。どこをどう考えても現在の日本の年金制度は「100年安心」ではありませんし、医療費も介護保険費もこのままの制度を維持していったら、若い勤労者世帯が自分たちのために貯蓄する余裕はまったくなくなり、生活は苦しくなる一方です。

       

      これでいいわけがありません。

       

      小さいところでいえば、現在すでに年金受給生活に入っている人でも、高齢者でも一定以上の収入や財産がある方々については年金を段階的にカットしていったり、医療費の自己負担率を上げるなどの対策を取り、医療機器のシェアなど医療におけるコストダウンを推進していくなど、まだまだできることはたくさんあるはずです。

       

      そして、最も重要なのはいつの間にか他助(私が若い頃は「支払った年金保険分は自分がもらえるというのが行政の決まり文句でしたが、その約束は果たされそうにありません)になってしまった社会福祉をできるだけ自助に戻し、そのための制度設計を一から作り直すことが必要ではないかと思います。

       

      www.mrs-lowe.com

       

      以前にこの記事で夫婦ともに日本でかけていた厚生年金は今後どうなるかわからないので計算外。支給されればラッキーと考えて使います」と書きましたが、これは私の偽らざる気持ちです。「ねんきん定期便」によると、2人でこれまでに支払った年金保険料は数千万円ありますが、これをすべて放棄して受給額がゼロ円でもかまいません。

       

      その代わり、今後、日本に居住しても国民年金保険と国民健康保険納付義務を免除していただきたい。自分の生活費や医療費はこれまでの蓄えや自分の保険で何とかしますし、そうでない方はこれまで通り、それが難しい方々には生活保護などで税金を投入していただければいい。その原資となる所得税や消費税を今後もきちんと支払うのは望むところです。

       

      しかし、ただ生きて日本に居住しているだけで支払い義務が発生し、しかも、収入は増えないのに毎年右肩上がりで保険料が上がっていく国民健康保険料や国民年金保険料はまるで人頭税のようで、消費税のように節約しようがなく、所得税と違い収入がなくても払わなくてはいけないので、リタイア世帯にとっては非常に厳しいのです。

       

      私のように「ゼロでもいい」というのは極論かもしれませんが、今後、私のような考えをもつ人々が支払わなくても良い分を支給予定の年金からマイナスしていく、というような制度であればいくらでも作れるはずです。

       

      現在の制度のように、現在の受給者のために毎月の保険料が利用され(受給者の方々も保険料を長年支払ってきたので受給は当然ですが)、自分たちが受給される側になるのは毎年引き延ばされて何年後になるかわからない、そして、いつまで保険料を払い続けなければなくなるのかわからない、では、勤労者世帯もリタイア世代も絶望的な気分になるだけです。

       

      「自助」のためには現在の保険料負担の軽減が大前提です。

       

      上記記事の筆者の方がおっしゃっているように、名目上は「保険料」でありながら実質的には「税」と同様になっている福祉に関わる保険料をどうするか、消費税と一体にして議論してほしいと思います。

      | Yuriko Goto | 老後と年金 | 20:35 | - | - |
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