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ASIAN NOMAD LIFE2014.07.04 Friday
「100年安心年金」崩壊でもバラ色の老後へ!
■団塊の世代が年金受給年齢に! いよいよ始まった超高齢化社会。
団塊世代のピーク、日本で最も多い人口をもつ昭和24年生まれ(1949年)の方々が今年、65歳になります。この方々を含む昭和22年〜24年生まれの団塊の世代の合計人数は2009年時点で約664万人に上り、今年中に全員が公的年金を受給できる資格を取得することになるのです。 2014年6月の日本の人口は1億2700万人。うち65歳以上人口は3,200万人で全体の25%を超えました。15歳以上の生産年齢人口は1億1,000万人となっていますが、昨年度調査の有業者率は58%ですので働いている人を6,400万人とすると、ちょうど年金受給者1人に対し現役2人が支えるという構造になっています。 金額的には年金受給者1人あたりの受給平均額約20万円を、働く人1人で10万円ずつ負担することになります。自分の生活だけでも精一杯なのに、どこからどう見てもこれはちょっと無理ですよね。そこで税金を年金会計に入れたり、年金積立金を運用してその運用益を使っているのです(もちろん年金の保険料そのものもずっと上がり続けています)。 今年は5年に一度の年金検証の年にあたり、6月初旬に政府の検証結果が公表されました。しかし、あまりにも現実からかけ離れた楽観的な数字に専門家から批判が続出しており、今後、厚生年金の支払い増加によって積立金を取り崩していけばあと20年以内にも枯渇してしまうのではないか、という厳しい見方もあるようです。 国民年金積立金の運用実績は平成24年度こそ株高の恩恵で11兆円強ありましたが、13年から24年度までの10年で合計25兆しかありませんので、実際には平均年間2.5兆、1.9%の運用益ということになります。定期預金の利息がよくて0.1%程度の時代ですから、この運用益でもまずまず頑張っているといってもいいでしょう。 しかし、政府の楽観試算では今後の運用益が最も低くて3.9%です。現在の残高が128兆円ですので、3.9%の運用益で約5兆円ですが、これまで通り1.9%の運用益でしたら2.4兆円にしかなりません。 ちなみにシンガポールの年金制度(ただし日本と違い自己積み立て方式で、自分がかけた金額が公団住宅購入資金や年金として還付されるもの。政府が管理・運用している)ではここ数年間の運用利回りが10%近くになっていて、テマセック・グループというヘッジファンドさながらの政府系投資会社の辣腕運用は世界的にも有名です。おかげで国庫資金も潤沢なため、現在、健康保険制度改革(政府の補助を大幅に増額)が議論されているくらいですが、それでも国民への運用益還元率は4%にすぎません。 いっぽう、世界でも最大規模のボリュームをもつ我が国の年金積立金運用の半分以上は日本国債に当てられており、長期金利は0.55%。残りの半分と合計で3.9%の運用益をだすためには、その他の債権や株で毎年、7%以上の利益を出さなければいけません。株や債券に投資したことがある人なら、これがどれだけ大変な数字かおわかりになると思います。 また、65歳以上人口はこれからもどんどん増え続ける予測なのとは逆に、65歳未満の人口は非常に速いスピードで減少しており、若い世代がとても「100年安心」と思えるような体をなしていないことは、誰から見ても明らかなのではないでしょうか。 ■年金受給を前提に老後計画をたてて本当にいいの? こんな現状ですから、私たち国民が将来、いったいどれだけ年金をもらえるのだろうかと知りたくなるのは当然のことです。 すでに受給が始まって何年にもなる人は別にしても、受給が始まったばかりの方や、10年後、20年後、30年後に受け取る予定(とされている)の人たちが、現在と同じ水準でずっと受給できる可能性を素直に信じられるのでしょうか?(何かの原因で出生率や税収が飛躍的に増えるとか、老年人口が劇的に減少するとかの確信があれば別ですが)。 上に書いてきたようにざっくりと現状をみただけでも、私には悲観的な未来しか想像できません。 ですので、新聞や雑誌などで「年金は20万円給付だけれど、バラ色の老後を送るためにはあと月6万円必要。これをプラスできるように30代から自己年金を積み立てよう」などという記事をみつけると、「いったい誰がこんな計算を信用できるのだろう?」と首をひねってしまいます。 これはバブル最盛期にまだ20代だった私が「どんどん土地や株を買って財テクしよう!」とファイナンシャルプランナーをはじめ多くの専門家と言われる人たちが声高に叫んでいるのを聞いて感じた違和感と似ている気がします。バブルは崩壊し、ファイナンシャルプランナーや銀行や証券会社の薦めるままにたくさんの株や土地を買い、挙句の果てに倒産したり自己破産した会社や人たちを何人も知っていますが、誰も代わりに責任を取ってくれなかったのは言わずもがなです。 ■年金ゼロでもバラ色の老後を送るために。 これから日本が突き進んでいく超少子高齢化社会はこれまで世界のどの国も直面したことがない、未曽有の事態です。すでに65歳以上の高齢者が4人に1人という現実でさえ、これまでの歴史になかったことですし、WHOの統計では日本の平均寿命は世界一、60歳以上人口の割合も世界一(日本32%で2位のドイツと5%も違います!)、合計特殊出生率は179位で、日本より低い国はボスニア・ヘルツェゴビナ、ポルトガル、韓国、シンガポールの4か国しかありません。 また、死亡最大年齢(平均寿命ではなく最も多い死亡年齢)は男性86歳、女性91歳ですので、自分自身の老後を考える場合は少し余裕をみて、男性なら90歳、女性なら95歳まで「生きてしまう」可能性を覚悟しなければならないでしょう。 先進国や中進国の多くもこれから少子高齢化社会に入ろうとしていく中で、先陣を切って進む日本はある意味モルモットとして世界中から注目されているのです。 しかし、この深刻な社会問題について、政府は国民を守るために真剣に取り組んでいるようにはどうしても思えません。報告書を読む限り、年金についても何とか数字上で帳尻を合わせて取り繕い、問題を先送りしているようにしか見えないのです。そんな中、この超異常事態を一人一人が乗り切っていくには自助努力、自衛策を早いうちから準備しておくしかないのではないでしょうか。 年金ゼロでもバラ色の老後を送ることができるように、とにかく若いうちから、すでにあまり若くない人は1日も早く、公的年金を当てにせず(もしも受給できたとしても現在の水準からはだいぶ少ない金額になるでしょうから「もらえたら儲けもの」くらいに考えておけば腹はたちません)、自分の力で乗り切っていける老後のための一歩を踏み出すことが重要だと思います。 |
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