ASIAN NOMAD LIFE

日本、香港、中国で生活・仕事をしてきてシンガポール在住8年目。
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商家に伝わる「始末」の知恵
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    ■「ごちそうさん」のめ以子も体験した「始末」の意味
    昨年度ヒットしたNHK朝ドラ「ごちそうさん」で、大阪の夫の実家で暮らすことになったヒロインめ以子がめざめるのが「始末な料理」。この「始末」という言葉があまり聞きなれない、という声もあったようですが、関西に限らず、昔からの商家で生まれ育った方々の中には身近に感じられた方も多かったのではないかと思います。 

    私自身も明治生まれの祖母から「始末にしなさい」と言われ続けて育ちました。祖母の「始末」の意味とは、日々の生活ではできるだけつつましく質素にして倹約し、大きな出費が必要なときに備える。あるいはムダなことにはお金を使わず、必要なところには思い切ってお金を使うというものだったと思います。「あの人は始末だから」という言葉は祖母の最大の賛辞でした。

    日々の倹約でいうと、たとえば祖母は一度鼻をかんだティッシュペーパーをエプロンのポケットに入れて持ち歩き、何度も使ってから捨てていました。下着や靴下なども薄くなってくると自分で継ぎを当てて着ていました。どうしても着られなくなると雑巾にして使いました。

    高額なものはもちろんですが、どんなものでも必ず値段交渉をし、デパートで傘1本買うときもまず安くならないか聞いていました。(関西では珍しくないようですが関東地域ではデパートで値切る習慣はありません) また、「借金は嫌い」が口癖で、月賦は絶対に利用せずどんなに高額なものでも現金で買っていました。

    タクシーにはめったに乗らず路線バスを利用してあちこち出かけていました。また、食卓に一汁三菜の食事が出ると「こんなにたくさんおかずがある家は他所にはないので感謝して食べなさい」といつも孫に諭していました。

    ■「始末な人」のお金の使い方
    私の実家(祖母の婚家)も祖母の実家も明治時代から商売をしていましたので、蔵のある大きな家に住んでいました。祖母は体型の問題もあり、よそ行きの服はすべてお仕立てでしたし、旅行が好きで国内はもとより、成田空港ができる前から海外旅行にもたびたび行っていましたので、周囲からは「お金持ちの奥さん」という目で見られていたと思います。

    しかし実際には20代で3人の子供を抱えて夫に先立たれ、戦後は倒産寸前だった家業をゼロから立て直した経験から、お金の苦労は人一倍していたはずでした。それでも祖母の「始末」に悲壮さはいっさい感じられず、逆に「始末」な生活を楽しんでいる余裕さえ感じられたのです。

    いっぽうでお金を使うときは「使いっぷりがよい」の一言に尽きました。1年に1度新調するお仕立ての洋服には外国製の高価な生地を買い求めていましたし、靴やバッグ、宝石など身につけるものも量より質を重視して修理しながら長く使っていました。孫たちが成人すると、毛皮や貴金属などかなり高級なものを買い与えてくれました。また、息子や娘たちが家を建てるときには相当な額を援助していました。

    いっぽう資産運用にも積極的でした。個人の投資家に出資し、ずいぶん資金を増やした反面、相当額の損失を被ったこともあったようです。それでも決してその投資家を非難したりしませんでした。そして70代後半で亡くなった時には当時としてはかなり大きな額の遺産を子供たちに残しました。

    ■会社も個人もキーワードは「始末」で
    こんな祖母に育てられた私は曽祖父の代からの会社を継いで経営するようになり、祖母の口癖だった「始末」を身をもって経験することになります。

    会社が利益を出す鉄則は売り上げは大きく、コストは小さくです。その差が利益として残ります。「使えるものは大事に手入れをしてできるだけ長く使う」「無駄な買い物はしないで内部留保を増やす」ことが必要です。逆に、設備や人材などには思い切って投資しなければなりませんし、そこにけちけちしていたら将来が先細りです。そして万が一そのような将来への投資で失敗したとしても、いちいちくよくよしていたら次の投資ができなくなってしまいます。

    やはり、「始末」というのは古くからの商人の知恵なのだな、と感心するとともに、この知恵はめ以子のように個人の生活にもじゅうぶん活かせるのではないかと思いました。

    すべてに倹約ばかりを目的にすると息が詰まりますが、「倹約」ではなく「始末」に言葉を置き換え、将来の投資のための節約と思えば質素な生活を送っていてもずいぶん気持ちの持ち方が変わってくると思います。

    お金を使うときも、ただだらだらと使うのではなく、メリハリをつけて使うときには使う、必要のないものには使わない、というルールを作ること。時間と同じくお金も若いうちからきちんと管理する習慣をつけると、40代、50代になったときに大きな差が出てくるのではないでしょうか。

    そのキーワードとしてぜひ「始末」という言葉を多くの人に使ってほしいと思います。
    | 後藤百合子 | 商家の知恵 | 17:59 | - | - |
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