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    誰も教えてくれなかった「一生懸命残業しても出世できない」事実
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      内閣府が今年発表した『ワーク・ライフ・バランスに関する個人・企業調査』の中におもしろい結果があります。

      残業が多い社員ほど「頑張っている」「責任感が強い」と上司から思われている、というセルフイメージをもっているのですが、実際のところ、会社側は残業や休日出勤をほとんどしない人について「人事評価で考慮しない」が70%以上を占め、かえってマイナス評価よりもプラス評価の割合のほうが高いのです。つまり会社は残業しているからといってその人を評価しないばかりか、残業せずに時間内で仕事を終えられる人をより高く評価しているとも言えるでしょう。

      日本で女性が子育てと仕事を両立できない理由、男性が家事に積極的にかかわれない理由の一番にあげられるのが「労働時間の長さ」ですが、この調査からわかるように、実際には大多数のまともな会社は社員に長時間働いてもらいたいとは考えていません。それはなぜでしょうか?

      ■人間が集中できる時間は決まっている
      まず、人間には集中して仕事をこなせる時間というものがあります。小学校の授業時間が45分、中学・高校では50分、大学で90分と決まっているのは、年齢によって集中できる時間の長さが違うからです。社会人でももちろん、7時間や8時間の勤務時間を休みなしに集中はできませんから、昔は午前と午後に1回ずつおやつタイムがある会社も多かったですし、今も工場などでは仕事の合間にラジオ体操などをしている会社もあります。また、授業時間が多い日に疲れてしまうのと同じように、仕事時間も長くなればなるほど効率は落ちてきます。このように人間の集中力は長時間持続しないものであり、たとえ休息をとったとしても長時間労働になればなるほど集中力が落ち、時間あたりの仕事の質が落ちていくのです。

      しかし、質の悪い働き方しかできないにもかかわらず、会社は時間外労働になれば割増の残業代を払わなければならないですし、そんな状態が恒常化すれば労働監督署の指導が入り、ひどい場合には行政処分を受けます。また社員に万が一のことがあって過労死ということになってしまったら、社会的にも大きなダメージを受けます。まして昨今はすぐに「ブラック企業」と非難を受けかねないのですから、社員に長時間労働させても会社は何もメリットがないどころか、デメリットのほうが大きくなってしまいます。会社としては、社員が集中して効率よく仕事をし、勤務時間内にきちっと仕事を終了させてくれるのが理想なのです。

      ■残業しなくてもどんどん出世していく人たち
      東レで同期トップを切って取締役となり、その後東レ経営研究所の社長となった佐々木常夫さんは時間管理のプロとして現在も活躍されていますが、サラリーマン時代には肝臓病とうつ病を患い入退院を繰り返す妻の代わりに家事一切を引き受け、自閉症の長男を含む子供3人の世話をしながら責任ある仕事を任され、仕事にも家事・育児にも全力で関わった方です。

      毎日会社を出るのは6時。妻と子供たちの世話をするため同僚が仕事をしていても帰らなければならず、朝は早出をしたくても子供たちのお弁当を作ってからの出社ですから8時になってしまいます。休みの日はたまった家事を片付けたり、入退院を繰り返す妻の見舞いや看病で終わってしまったといいます。

      佐々木さんの働き方は朝から晩まで自分の時間を仕事に捧げるモーレツ社員とはほど遠いものでしたが、仕事時間中の集中力はすさまじく、次々と結果を出していきました。そしてその業績により取締役に抜擢されたのです。

      私は個人的に大企業の重役を経験された方々を何人も知っていますが、本業の仕事以外にボランティアや趣味の世界をもっていらっしゃった方がほとんどで、佐々木さんほどではないにしろ、家族との時間もとても大切にされていました。そんな彼らの日常は大企業で出世する社員は家庭も顧みず仕事ばかりしている、というイメージとはまったくかけ離れていました。逆にモーレツ社員の部下の話をされるときなどは「あまり評価していないんだな」ということがはっきりわかりました。

      シンガポールでも同じで、企業や政治のリーダーたちは忙しい中、実にワークライフバランスを重視した生活を送っています。若い人でも保育園の送り迎えを父親がしているケースは珍しくありませんし、男女ともによほどの緊急事態でもないかぎり深夜までの残業などありえません。

      逆に『課長 島耕作』のように仕事に全精力を傾けて猛烈に働いて家庭を顧みず、しかも浮気までしてしまう、というようなストーリーは生理的に受けつけないようで「日本人はなぜこん主人公が好きなのか理解に苦しむ」という感想を聞いたことがあります。また毎日、早朝から深夜まで必死に働いて出世をめざす同僚にセブン・イレブンというあだ名をつけて揶揄するのを聞いたこともありました。彼らにとって「仕事は時間内に終わらせる」が当たり前なのです。

      ■低い日本人の労働生産性
      ひと昔前には「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と世界で絶賛された日本ですが、GDPを頭割りした2012年の労働者一人あたりの生産性はOECD加盟国34か国中21位と決してほめられた水準ではなく、1時間あたりの労働生産性となると4位のアメリカの3分の2程度と先進国の中では最低レベルの結果になっています。

      原因は円安や付加価値の高い商品・サービスへの転換の遅れという指摘もありますが、それよりもまず、長時間労働を根本的に見直さない限り、現在のような低い時間当たり生産性では国際競争にも乗り遅れてしまいます。特に少子高齢化で働き手が急激に減少している中、企業経営者はとにかく社員一人あたりの労働生産性を上げようと必死なのです。

      ■だらだら残業をしない段取りと仕事を断る勇気
      もし自分が長時間残業を当たり前にこなし、効率の悪い働き方をしてと感じているようだったら、人手不足が声高に叫ばれるようになった今こそ逆にチャンスと思い、ぜひ自分の働き方を見直してみましょう。

      だらだら残業が恒常化している職場では、朝からずっと緊張感がなく効率の悪い仕事の仕方が当たり前になっていて生産性が上がらないことが多いです。また、たまに仕事が早く片付いても周りがだらだら残業をしているために一人だけ先に帰りづらく、いっしょに居残りをしてしまったりという人もよく見受けられます。まず、頭が冴えている午前中にできるだけ効率よく仕事を片付けてしまえるよう段取りを考えてから仕事に取りかかり、終業後は周囲を気にせず退社する習慣をつけましょう(冒頭の調査では残業時間が多い人ほど残業をしないで帰りにくいと感じる、という結果がでています)。また、朝は始業ぎりぎりではなく、できるだけ早く出社する努力も必要です。多くの人が来る前に出社していえれば、邪魔されることなく仕事の段取りが組めるからです。

      それでも終わらない量の仕事を与えられそうになったり、当たり前になってしまっている勤務時間外の会議や打ち合わせなどがある場合は、はっきりと断る勇気をもちましょう。若い社員にとにかく大量の仕事を与えてこなさせるのは最近の大企業に多くなってきている風潮だそうですが、もしもそれを断って左遷や降格されるようだったら転職したほうがずっといいです。人生は長いのです。いつまでもそんな働き方ができるわけではありませんし、過労死してしまったら元も子もありません。また、現場レベルではわかってもらえなくても、上のレベルではわかってもらえる可能性もありますので直訴するという手がありますし、労働組合があれば組合に、なければ労働監督署に相談してみる方法もあるでしょう。

      男性も女性も、一生、そして50年以上も働くことが当たり前になってくる時代に私たちは生きています。労働の質と量についても、これまでとはまったく違う価値観の働き方を模索して実践していく必要があると思います。
      | Yuriko Goto | ワークライフバランス | 15:34 | - | - |
      子育てと仕事の両立ってそんなに大変なの? -- こんなにあるワーキングペアレントの強い味方
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        私がまだ母親になる前、先輩ワーキングウーマンたちから

        「仕事と育児の両立って本当に大変よー」
        「責任ある仕事をしながら育児なんて絶対ムリ!」
        「本気で仕事をしたいんだったら子どもがほしいなんて考えないほうがいいわよ!!!」

        と口ぐちに言われました。仕事と育児の両立とはかくも困難なものかと戦々恐々としていたのですが、実際に経験してみたら、想像していたよりぜんぜん楽でした。

        案ずるより産むが易し、という側面もありますが、それよりも家電、サービス、インターネットでのノウハウの蓄積など先輩たちの時代にはなかった社会の仕組みが整ってきたことが大きいと思います。今回はそんな育児中のワーキングペアレントの強い味方をご紹介してみたいと思います。

        ■ルンバと洗濯・乾燥両用機&食洗器は家事時短の最強アイテム
        ちょっとひねったユーモアが秀逸なサブカルママ、ネジ子さんのブログは読み物としてもとても面白いのですが、それ以上に参考になるのが子育て記事。特に「共働き子育て家庭の生活を合理化する」というブログ記事は目からウロコの連続でした。ルンバでお掃除、お洗濯は洗濯・乾燥機でボタン1つ(しかもたたまない!)、お皿洗いは食洗器、そして電気代がエアコンフル稼働の冬場でも15,000円! 

        この他にもネジ子さんのブログでは生協宅配で買い物時間を短縮、役にたつ育児本やグッズの紹介、日々の子育ての知恵など、すぐにマネしたくなる情報が盛りだくさん。彼女のブログからは当分目が離せません。

        ■クックパッドは時短レシピの宝庫
        ひと昔前の女性にとって三度の食事作りは最も時間がかかる家事でしたが、現在ではファストフード店やファミレスが街中にあふれ、スーパーやコンビニでも24時間お弁当が買えるようになりました。もう少しお金をかければ、オーガニック食品など高級デリも簡単に手に入ります。

        こんな時代ですのでワーキングペアレントが食事の支度で悩むことは少ないと思いますが、やはり手作りにこだわりたい場合は、ご存じ日本最大のレシピサイト、クックパッドでありとあらゆる料理が検索できます。

        中でもお薦めは電子レンジ料理とオーブン料理。電子レンジ料理は調理時間が短いだけでなく、鍋やフライパンなどをあまり使わないので洗い物も楽。「電子レンジ」「時短」で検索すると2,500品以上のレシピが出てきます。

        もう一つ電子レンジを活用したいのは、解凍あたため機能。急な仕事や出張が入ったり、疲れて食事の仕事をしたくないとき、普段から少しずつ多めに作って料理を冷凍しておくと電子レンジで解凍するだけで食事の支度がスキップできます。

        オーブン料理は下ごしらえした材料お皿に並べてオーブンに入れるだけで、けっこう本格的なお料理が作れます。さらにフードプロセッサーを買い足せば離乳食も簡単です。

        ■お掃除サービスは自分へのご褒美に
        家政婦さんやお手伝いさんは以前はお金持ち向けのサービスでしたが、近年急速に一般家庭にも広がってきており、20代〜30代女性の約70%が家事代行サービスを、80%がハウスクリーニングサービスを利用したことがある、という統計もあります。業者が増えるにつれて価格も下がってきており、時間あたり2,000円から3,000円前後が現在の相場のようです。

        中でも一番魅力あるのがハウスクリーニング、お掃除サービスでしょう。しかし、子育て真っ最中で一番サービスを利用したい世帯は若いカップルが多いと思いますので、コスト的に定期的利用はちょっと敷居が高いかもしれません。

        そこでお薦めしたいのが年に数回、ボーナスや記念日など、特別な機会に自分たちへのご褒美として利用すること。1回あたりにすると少しお値段は高めになりますが、お試しでまずやってみて、定期サービスにするか、それともやはり特別なときだけか、または水回りだけなど部分的にお願いするかを決めればいいと思います。

        多少家が片付いていなくても気にしない! というおおらかさは必要ですが、やはりプロにぴかぴかに磨いてもらった台所やきれいに整頓されたお部屋は気持ちのいいものです。

        ■おトクなシルバー人材センターの家事サービス
        以前の記事で北陸では高齢者と同居のカップルが子育てや家事を親世代にお願いし、ゆとりのある共働きライフを送っている様子をお伝えしましたが、親世代と同居できないカップルにも強い味方があります。それはシルバー人材センターの 家事支援サービスです。

        お掃除や食事の支度、子供の送り迎えや世話など、登録している高齢者の方々が格安料金で手伝ってくれるのですが、意外と知られていないサービスです。

        公営サービスだけにお値段もぐんと手ごろで、通常は時間1,000円前後ですが、東京では墨田区などは子育て世帯に破格の700円でサービス提供してくれるそうです。お掃除1回2時間1,400円、月4回来てもらっても5,600円ですから気軽に払える支出だと思います。

        また、子育て経験のある方がほとんどですから、いろいろな育児の悩みなども相談できそうですし、これから元気なお年寄りがますます増えていくことを考えるとたいへん期待できると思います。

        ■幅広い選択肢があるシンガポール
        ちょっと本題からはずれますが、私が現在住んでいるシンガポールにはどんなサービスがあるのかご紹介したいと思います。

        シンガポールではインドネシアやミャンマーなどから出稼ぎでやってくる住み込みのメイドさんのお給料が諸経費込で月5〜6万円と手頃で、共働きや介護が必要なお年寄りのいる家庭の多くが雇っています。メイドさんがいると家事や子供の世話などを任せられますから、女性たちは出産後数週間で仕事に復帰できます。

        しかし最近はメイドさんとのトラブルが表面化するケースが増えてきており、住み込みを敬遠する家庭も増えてきました。そこで登場するのが家事サービス。日本の家事代行サービスと同じくらいか、ちょっと安いくらいでさまざまな会社がサービスを提供しています。

        我が家では個人的に近所のアンティ(おばさん)に週2回、お掃除と洗濯をお願いしており、たまに夫婦で出かけるときはベビーシッターもお願いします。60代半ばでまだまだ元気な彼女は家事の合間にいろいろな情報も教えてくれる頼もしい存在。日本でいえばシルバーさんのようなアンティが多数活躍しています。

        しかしやはり一番頼りになるのは夫の両親です。最近は子供も成長してほとんどなくなりましたが、まだ小さい頃には熱を出して保育園で預かってもらえないと必ず両親に面倒を見てもらっていました。ときおり小さい子供の面倒をみるのは両親にとってもよい刺激になったようで、若干認知症のような症状があった義父もだいぶ若返りました。シンガポール政府もこの効果に気がついているようで、同居はしないまでも若いカップルが両親と同じ地域の公団住宅を購入すると補助金を出すなどの政策を打ち出してきています。

        ■大前提は保育園
        ここまでワーキングペアレントをサポートしてくれるいろいろなサービスや商品を見てきましたが、それでも大前提にあるのは保育園です。朝から夕方まで子供を預かってくれる保育サービスがあってこそ、他の補助サービスをプラスしながら安心して仕事も子育ても両立できるのです。

        安倍政権は今年度中に保育所を20万人分、2017年までには40万人分を増やして待機児童をゼロにするという政策を打ち出しているそうですが、一日も早い実現を望みます。
        | Yuriko Goto | 女性の働き方 | 15:28 | - | - |
        高校教育に複式簿記選択科目制を!
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          ■石原元都知事の最大の功績
          石原元東京都知事が在任中に行った政策の中で意外と知られていないのが、一部では絶賛されている東京都会計への複式簿記の導入です。石原元都知事は一橋大学時代に公認会計士を目指していただけのことはあり、税金の無駄遣いをやめて東京都の財政を健全化するには複式簿記導入しかない、と長い準備期間をかけて単式簿記から複式簿記に変えたそうで、本人も「自分の一番いい仕事だった」とこの会計制度改革を評価しています。

          複式簿記は営利団体である会社の会計に広く使用されている会計処理方法で、複式簿記を使って作成される決算書は会社の状態を非常に明確に表してくれますので、「経営者の成績表」とも言われます。

          複式簿記の損益計算書(P/L)、貸借対照表(B/S)、キャッシュフロー計算書(C/F)の3表を使ってさまざまに導き出される数字を見れば、その会社が現在、どんな状況にあるのかが一目でわかり、また、時系列で数年分を見れば経営者がどのような経営をしてきたのかがよくわかります。なぜかというと、複式簿記にはごまかしがきかないからなのです。

          「人類最大の発明の一つ」とも呼ばれる複式簿記はルネッサンス期のイタリアで広まったとされますが、当初の使用目的は使用人にお金をごまかされないためだった、という説もあるくらい完成度が高いシステムです。私自身も経営者になってすぐに日商簿記3級の講座に通いましたが、慣れないうちは表を作るのにたいへん苦労しました。少しでも間違えると数字が合わなくなってしまうのです。

          ■複式簿記を使えばお金のことは何でもわかる
          会計をごまかそうと思っても下手に操作すると必ずおかしいところが出てきますので、税務署が脱税の調査に入るときもまずこの財務諸表を細かく見てから、不審なところのある数字があるとその元となっている総勘定元帳や伝票などを当たり徹底的に調査しておかしいところを洗い出します。複式簿記システムというのはそのくらい厳正さを要求されるものなのです。逆に単式簿記では、金銭の出し入れやその結果としての財産目録だけの内容になってしまうので、多少ごまかされていても気がつかずやり過ごされてしまいます。

          以前、横領事件が起きたある任意団体の会計報告を数年分まとめて見たことがありますが、多くの任意団体の例に漏れず単式簿記を採用しており、これでは横領が見抜けなくても仕方ないなと思いました(実際には監査人が銀行通帳さえ確認しない杜撰な監査しかしておらず、複式簿記でも見抜けるはずはなかったのですが・・・)。

          香港やシンガポールには政府の中に汚職を摘発する専門の独立機関があります。同じ中華系の国民でありながら中国と違い香港やシンガポールに汚職が非常に少なく、クリーンなイメージが強いのはこの機関の働きによるところが大きいのは衆目の一致するところです。

          私の友人にこの香港の廉政公署(ICAC)に勤務するキャリア女性がいるのですが、非常に控えめで無口な女性で、一見するととても敏腕捜査官には見えません。実際の彼女の仕事は映画のアクションスターのように銃をもって犯人と対決するのではなく、毎日オフィスに籠って膨大な数の書類の中から不審な数字をみつけだし、それを検証することです。彼女は会計のプロフェッショナルであり、汚職のような問題も複式簿記会計のシステムがあれば部屋から一歩も出なくても手に取るようにわかってしまうのです。

          ■これからの生活に不可欠な複式簿記の知識
          現在では日本でも国や自治体のほとんどが複式簿記を採用しているようです。私たちはタックスペイヤー(納税者)として国や自治体がどのようにお金を使っているのか、ムダはないのか、成果がどれだけ出ているのかを把握し、選挙やパブリックコメントなどで意見を表明していく責任があると思いますが、それには会計諸表を読めるスキルが必要不可欠です。

          個人の生活では、経済が右肩上がりで年金資金も潤沢だった時代に家計を考える際には収支(損益計算書)だけを見ていればよかったのですが、前回も書いたように収入が定期的に見込まれる現役引退後、20年〜30年以上も生きてしまう可能性が高くなり、少子高齢化で年金も当てにならない時代に生きる私たちには、減価償却(もっている財産の価値が目減りしていくこと)も含めた資産と負債のバランスを知る貸借対照表の知識も必要になってきます。

          さらにこれからの社会では年金を含めた公費による生活保障が大幅に削減されていくことが想定されますので、その時代を生き抜くためには若い頃から始める投資活動も必要になってくるでしょう。「オマハの賢人」と呼ばれて投資の神様と崇められるウォーレン・バフェットが言うように、投資でお金を貯めるために最も重要なのは時間です。できるだけ早くから投資をすればそれが最大の自衛手段になります。そして投資にも求められるのはやはり、投資する企業や国の財務状態を読み解くための知識なのです。

          ■複式簿記を高校の選択科目に!
          このように、これからの非常に不安定な時代を生き抜くためには会計諸表を読む力、つまり複式簿記の知識が必ず必要になってくると思われます。しかし、どういうわけか日本の学校教育ではほんの一部の商業学校を除いてほとんどこの複式簿記を教える学校はありません。

          私は高校卒業以降、微積分やフレミングの法則を仕事やプライベートで一度も使ったことはありませんが、複式簿記の知識は毎日のように使っています。「この知識をもっと早く身につけていたら私の人生はずいぶん違ったものになっただろうな」と思うこともしばしばです。自分の子供にはできるだけ早いうちに学んでほしいと思います。

          簿記3級程度の複式簿記は高校の授業で15〜20時間ほどあれば十分身につく知識ですし、それほど習得が難しいわけではありませんので、これからの高校教育には、ぜひ選択科目の中に入れてほしいと思います。
          | Yuriko Goto | 家計管理 | 15:26 | - | - |
          「100年安心年金」崩壊でもバラ色の老後へ!
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            ■団塊の世代が年金受給年齢に! いよいよ始まった超高齢化社会。
            団塊世代のピーク、日本で最も多い人口をもつ昭和24年生まれ(1949年)の方々が今年、65歳になります。この方々を含む昭和22年〜24年生まれの団塊の世代の合計人数は2009年時点で約664万人に上り、今年中に全員が公的年金を受給できる資格を取得することになるのです。

            2014年6月の日本の人口は1億2700万人。うち65歳以上人口は3,200万人で全体の25%を超えました。15歳以上の生産年齢人口は1億1,000万人となっていますが、昨年度調査の有業者率は58%ですので働いている人を6,400万人とすると、ちょうど年金受給者1人に対し現役2人が支えるという構造になっています。

            金額的には年金受給者1人あたりの受給平均額約20万円を、働く人1人で10万円ずつ負担することになります。自分の生活だけでも精一杯なのに、どこからどう見てもこれはちょっと無理ですよね。そこで税金を年金会計に入れたり、年金積立金を運用してその運用益を使っているのです(もちろん年金の保険料そのものもずっと上がり続けています)。

            今年は5年に一度の年金検証の年にあたり、6月初旬に政府の検証結果が公表されました。しかし、あまりにも現実からかけ離れた楽観的な数字に専門家から批判が続出しており、今後、厚生年金の支払い増加によって積立金を取り崩していけばあと20年以内にも枯渇してしまうのではないか、という厳しい見方もあるようです。

            国民年金積立金の運用実績は平成24年度こそ株高の恩恵で11兆円強ありましたが、13年から24年度までの10年で合計25兆しかありませんので、実際には平均年間2.5兆、1.9%の運用益ということになります。定期預金の利息がよくて0.1%程度の時代ですから、この運用益でもまずまず頑張っているといってもいいでしょう。

            しかし、政府の楽観試算では今後の運用益が最も低くて3.9%です。現在の残高が128兆円ですので、3.9%の運用益で約5兆円ですが、これまで通り1.9%の運用益でしたら2.4兆円にしかなりません。

            ちなみにシンガポールの年金制度(ただし日本と違い自己積み立て方式で、自分がかけた金額が公団住宅購入資金や年金として還付されるもの。政府が管理・運用している)ではここ数年間の運用利回りが10%近くになっていて、テマセック・グループというヘッジファンドさながらの政府系投資会社の辣腕運用は世界的にも有名です。おかげで国庫資金も潤沢なため、現在、健康保険制度改革(政府の補助を大幅に増額)が議論されているくらいですが、それでも国民への運用益還元率は4%にすぎません。

            いっぽう、世界でも最大規模のボリュームをもつ我が国の年金積立金運用の半分以上は日本国債に当てられており、長期金利は0.55%。残りの半分と合計で3.9%の運用益をだすためには、その他の債権や株で毎年、7%以上の利益を出さなければいけません。株や債券に投資したことがある人なら、これがどれだけ大変な数字かおわかりになると思います。

            また、65歳以上人口はこれからもどんどん増え続ける予測なのとは逆に、65歳未満の人口は非常に速いスピードで減少しており、若い世代がとても「100年安心」と思えるような体をなしていないことは、誰から見ても明らかなのではないでしょうか。

            ■年金受給を前提に老後計画をたてて本当にいいの?
            こんな現状ですから、私たち国民が将来、いったいどれだけ年金をもらえるのだろうかと知りたくなるのは当然のことです。

            すでに受給が始まって何年にもなる人は別にしても、受給が始まったばかりの方や、10年後、20年後、30年後に受け取る予定(とされている)の人たちが、現在と同じ水準でずっと受給できる可能性を素直に信じられるのでしょうか?(何かの原因で出生率や税収が飛躍的に増えるとか、老年人口が劇的に減少するとかの確信があれば別ですが)。

            上に書いてきたようにざっくりと現状をみただけでも、私には悲観的な未来しか想像できません。

            ですので、新聞や雑誌などで「年金は20万円給付だけれど、バラ色の老後を送るためにはあと月6万円必要。これをプラスできるように30代から自己年金を積み立てよう」などという記事をみつけると、「いったい誰がこんな計算を信用できるのだろう?」と首をひねってしまいます。

            これはバブル最盛期にまだ20代だった私が「どんどん土地や株を買って財テクしよう!」とファイナンシャルプランナーをはじめ多くの専門家と言われる人たちが声高に叫んでいるのを聞いて感じた違和感と似ている気がします。バブルは崩壊し、ファイナンシャルプランナーや銀行や証券会社の薦めるままにたくさんの株や土地を買い、挙句の果てに倒産したり自己破産した会社や人たちを何人も知っていますが、誰も代わりに責任を取ってくれなかったのは言わずもがなです。

            ■年金ゼロでもバラ色の老後を送るために。
            これから日本が突き進んでいく超少子高齢化社会はこれまで世界のどの国も直面したことがない、未曽有の事態です。すでに65歳以上の高齢者が4人に1人という現実でさえ、これまでの歴史になかったことですし、WHOの統計では日本の平均寿命は世界一、60歳以上人口の割合も世界一(日本32%で2位のドイツと5%も違います!)、合計特殊出生率は179位で、日本より低い国はボスニア・ヘルツェゴビナ、ポルトガル、韓国、シンガポールの4か国しかありません。

            また、死亡最大年齢(平均寿命ではなく最も多い死亡年齢)は男性86歳、女性91歳ですので、自分自身の老後を考える場合は少し余裕をみて、男性なら90歳、女性なら95歳まで「生きてしまう」可能性を覚悟しなければならないでしょう。

            先進国や中進国の多くもこれから少子高齢化社会に入ろうとしていく中で、先陣を切って進む日本はある意味モルモットとして世界中から注目されているのです。

            しかし、この深刻な社会問題について、政府は国民を守るために真剣に取り組んでいるようにはどうしても思えません。報告書を読む限り、年金についても何とか数字上で帳尻を合わせて取り繕い、問題を先送りしているようにしか見えないのです。そんな中、この超異常事態を一人一人が乗り切っていくには自助努力、自衛策を早いうちから準備しておくしかないのではないでしょうか。

            年金ゼロでもバラ色の老後を送ることができるように、とにかく若いうちから、すでにあまり若くない人は1日も早く、公的年金を当てにせず(もしも受給できたとしても現在の水準からはだいぶ少ない金額になるでしょうから「もらえたら儲けもの」くらいに考えておけば腹はたちません)、自分の力で乗り切っていける老後のための一歩を踏み出すことが重要だと思います。
            | Yuriko Goto | 老後と年金 | 14:39 | - | - |
            女が働けば男も幸せになれる。北陸に見る男と女の幸福度
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              ■専業主婦は怠け者!?
              20年近く仕事で北陸に通っていますが、東京や大阪を含む他の地域と比べて非常に違う点があります。それは、取引先の女性の担当者がほとんど辞めない、ということです。

              経験からお話しすると、他の地域で男性の場合、定年退職や死亡を除くと入社5年以上の社員の方の離職率は2割に満たない会社がほとんどです。逆に女性の場合は、転職も含め結婚、子育てなどの理由で9割以上の担当者が辞めていきます。私が入社以来ずっとおつきあいしている女性担当者は北陸以外では両手で数えるほどしかいません(男性は数百人にのぼります)。それだけに、北陸女性の職場定着率は少々異様なくらい高く映るのです。

              もちろん彼女たちがみな独身で出産しないのではありません。

              多くは子供をもつワーキングマザーで(だいたい2〜3人のお子さんがいます)、出産後数か月の育児休暇を取り仕事に復帰。子育ては保育園と同居の祖父母に頼み、話を聞いていると平日の食事の支度も祖父母にお願いしていることも多いようです(祖父母は舅姑の場合と実の両親の場合と両方あります)。

              特に福井では、昔から女性が外に出て働くことが美徳とされてきたため、祖父母世代も積極的に子育てを手伝うのが当たり前。逆に都市圏から結婚でやってきた女性が出産後仕事を辞めて専業主婦になると「あそこの嫁は怠け者」という評判が近所でたってしまう、という話まであるそうです。

              ■正社員が当たり前の北陸女性
              北陸3県の女性就業率が高いというのはデータで実際に示されています。
              図表1

              「25〜44歳の育児をしている女性の都道府県別占有率」(平成24年度総務省統計局)

              全国平均が52.4%強に対し、1位島根(74.8%)、2位山形(72.5%)に続き3位に福井(72.1%)が入り、4位鳥取(71.8%)の次に5位富山(68.3%)、6位石川と続きます。

              また、2002年の就業構造調査(総務省統計局)によると、都道府県別の女性正規雇用就業率は1位福井、2位富山、3位石川、4位山形、5位鳥取となっており、ほぼ就業率とかぶりますが、北陸3県では正社員として働いている人が多いことがわかります。

              一般的に子育てでいったんブランクがあってから正社員で働くのは難しいことから、北陸の女性の多くは出産後も退職せずに正社員のまま働き続ける人が多いと言っていいでしょう。

              ■1人あたり収入が少なくても2人合わせたら負けてない。
              それでは正社員として働く北陸女性の年収はどうでしょうか?

              こちらは転職サイトDODAの2013年度版都道府県別年収統計ですが、1位の神奈川県480万円に比べて、石川県と富山県が401万円で並びそれぞれ28位と29位、福井にいたっては380万円と47都道府県中43位で下から数えたほうが早いくらいです。

              しかし、これを女性の就業率の表とクロスさせてみると違う結果が浮かび上がります。

              神奈川は女性の就業率が最低、ということは、男性に比べて賃金が低い女性が働いていないので1人あたりの平均年収が高くなっていると言えるでしょう。逆に北陸では女性が働くので全体的に年収を押し下げている。

              これを夫婦2人の年収でみた場合、男性は全員働いていると仮定して、福井県は約72%の女性が働いているので、380万円x1.72倍=654万円、神奈川県は約45%の女性が働いているとして480万円x1.45倍=696万円と差は大幅に縮まり、富山になると401万円X1.68倍=674万円とほぼ神奈川に並ぶ水準になります。(男性のみの賃金はもう少し高くなると思われるので、実際には差はもっと縮まるか逆転もあり得ます)

              ■統計には出てこない副収入
              しかも北陸にはこの統計からはわからない恐るべき秘密兵器があります。

              それは副収入です。

              平成17年の農水省の調査によると全世帯に占める農家の割合は全国平均で5.65%。神奈川は0.81%です。逆に福井では13.1%、富山10.7%、石川でも7.5%と農家の数が非常に多く、そのほとんどが兼業農家です

              つまり、サラリーマンとして働く傍ら、家族で農作業をして農業収入がある世帯が一定数存在するということですが、私が聞いた範囲では、販売はしないけれど自分の家で食べる分の米や野菜は作っているという、この統計に入らない世帯も非常に多いのです(しかも福井では冬は麦、夏は米の二毛作が普通に行われています)。

              またもう一つ、北陸の地場産業である繊維業には人の手で行う軽作業の内職仕事がつきもので、この副収入も見逃せません。実際、田んぼの中にぽつんと小さい小屋が建ててあり、引退した祖父母が農作業の合間にその小屋の中で内職をしている、というのはよくある光景です。

              北陸のカップルたちは正社員としての定期収入 + 兼業農家収入(と食糧) + 同居祖父母の内職収入の3本柱で生活がしっかりと支えられているのです。
              | Yuriko Goto | 女性の働き方 | 14:27 | - | - |
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