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    男性の育児休暇には、休暇中の給与の全額補助を
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      23日の日経新聞に男性育休促進へ助成金、という記事が掲載されていました。

      この記事によると、厚生労働省は企業向けの男性の育児休暇取得の促進のため、出産から8週間以内に5日以上の育休を取得した男性社員がいる企業に1人目は30万円、2人〜5人目には15万円を助成する制度を新設するそうです。

      私は男性の育休取得促進にむけて国として対策をとっていくという方向性には大いに賛同します。子供が生まれてまもなく、夜泣きや授乳など妻が一番大事なときに夫が休暇をとって育児に専念することにより、妻の精神的・身体的な負担が低減するとともに、その後の夫の子育て参加への意識も大きく変わると思うからです。

      ただし「会社に助成金」「生後8週間以内」という点に若干のひっかりを感じました。

      ■男性の育休中は5日間まで給与の全額補償を
      つい最近、私の会社でも初めて男性が5日間の育児休暇を取得しました。

      仕事が忙しかったので本人も最初は遠慮していたのですが、「遊びで休むわけではないのだから、1日中育児をしてきちんと働いてきなさい」と説得したのです。その結果、5日後には「がんばって育児してきました」と目を輝かせながら仕事に戻ってきてくれました。

      しかし、問題はお給料です。申請すれば育児休業給付金が67%支給されますが、1/3はカットとなります。例えば、額面が30万円、月20日勤務の人であれば、その差額は約25,000円(税金も減りますので実際にはもう若干少なくなりますが)。出産、育児とただでさえ出費が多い時期に、夫がこれだけの収入減になるのであれば育休取得を躊躇する人が多くなるのは当然です。わが社の場合はこの差額分を私のポケットマネーで捻出しましたが、少し大きい会社となればなかなか難しいのではないかと思います。

      まずは本人に、男性の場合5日間までは、育児休業給付金を全額支給という制度のほうが望ましいと私は思います。(シンガポールでは6日間まで男性の育児休暇が全額政府負担です)

      ■生後半年間まで取得できる期間の延長を
      もう一つ、わが社の社員の場合、子供が超未熟児で生まれたため、3か月近く入院していました。この間、彼は足しげく病院に通ってはいましたが、もしも8週間以内ということであれば、仮に育休を取ったとしても実際の育児はできなかったはずです。最近は医療技術の進歩により、このようなケースが周囲にもけっこうあります。

      また、男性が育休取得をためらう大きな理由の一つは、職場に迷惑をかけるからというものです。特に、年度末や繁忙期などであれば一層、遠慮して取りにくくなるでしょう。周囲がカバーすれば1人くらい休んでも何とか仕事が回る時期を選べるという意味で、8週間に限定せず、ある程度時期に余裕をもたせ、半年以内の取得ということにしたらどうでしょうか? 

      ダイキン工業をはじめ、女性の6か月後の職場復帰を推奨している企業も増えてきており、育児休業給付金も6か月後には50%に下がりますので、このタイミングで男性が育休を取って、夫婦が協力しあって子育てする体制を整えるという意味でも、生後半年までの取得期間の延長には意味があると思います。

      ■女性の育児休暇取得にこそ会社への支援を
      以前の記事にも書きましたが、中小企業の経営者が頭を悩ませているのは、男性の育休よりもむしろ女性の育休のほうです。

      限られた人員の中で貴重な戦力が長期間育休を取り、その間の人員補充もままならないなか、仕事のしわ寄せは同僚の女性たちを直撃します。そんな状況で、女性が安心して育休を取って子育てに専念し、周囲も温かく見守れるよう、補充人員採用の支援や、育休期間中の他の社員への手当てとする財源作りのための助成など、もっと行政ができることは多くあるのではないでしょうか。

      ただ男性の育休を奨励するために企業に多額の助成金を支給するより、より具体的で実効性のある施策をさらに検討してほしいと切に願います。
      | Yuriko Goto | ワークライフバランス | 19:58 | - | - |
      作家・佐藤愛子の霊界交流
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        JUGEMテーマ:スピリチュアル
        この連休中、久しぶりに佐藤愛子さんのエッセイをまとめて読みました。
         
        佐藤さんのエッセイはとにかく面白いので途中でなかなかやめられず、すぐに1冊読み終わってしまうのですが、3冊読んだ中でとくに印象深かったのがこちらです。
         

         
        この本では、佐藤さん自身の霊体験がいくつも紹介されています。さばさばきっぱり、極上のユーモアを交えながら世の中の出来事をすぱっと切る他のエッセイとはまったく違い、美輪明宏さんや江原啓介さん、私はまったく存じ上げませんでしたが、広く尊敬されている霊能者の方々などが登場して、佐藤さんといろいろな霊との交流をしていきます。
         
        そもそも、私はまったく霊や霊界というものを感じたことがなく、興味も感じません。それどころか、できれば一生、霊の世界とは関わりにはなりたくないと思っています。今回、このエッセイを読んでますますその思いを強くしました。
         

         人間は「霊体質」という体質の人と、そうでない体質の人に二分されるという。冥途のお客は何かしらそれなりのわけがあってこの世へきているのだが、いくらうろうろしていても霊体質でない人にはそれが見えない(感じない)。しかし霊体質の人にはすぐにそれが見えるから、幽霊さわぎが起こる。いくら「出た!」「出た!」と騒がれても霊体質でない人には何も見えないから、「あのひとはヘンな人よ」、「どうかしてる」、「また始まった」、などとバカにする。霊体質の人としては、いくらバカにされても、実際に「いた」のだから「見えた」のだから、どうしようもないという具合に循環し、「見える派」はだんだん何もいわなくなる。いうならば日陰者になったような心境になるのだ。

         
        この本を読み進めば進むほど、つくづく自分が霊体質でなくてよかったと思いました。
         
        岐阜の町営住宅で毎晩、合戦を繰り返す戦国時代の霊たち、佐藤さんの北海道の別荘でいろいろないたずらをする霊たち(江原啓介さんはこの件をきっかけにして佐藤さんと知り合い、佐藤さんの推薦でマスメディアにメジャーデビューしたようです)、狐霊にとりつかれて精神を病んでしまった女性教師、旅先で出会ったさまざまな地縛霊たち・・・・・。さまざまな霊との交流が描かれますが、この本のクライマックスは、江原さんの助けを借りて、佐藤さんが長年の友人、作家の故遠藤周作さんと交流する場面です。
         
        佐藤さんと遠藤さんは、どちらか先に亡くなったほうが死後の世界があるかどうか教えに来る、という約束をしていたそうですが、約束とおり、遠藤さんの死後7か月ほどしてから佐藤さんの書斎に現れ、ユーモアたっぷりに霊界はあり「だいたい君のいった通りだった」と告げるのです。さらに場面は変わり、遠藤周作さん、開高健さん、有吉佐和子さん、川上宗薫と4人の亡くなった作家たちの酒宴が始まります。
         

         聞いているうちに正直、羨ましくなってきた。この世では「死」は不吉、不幸、悲劇である。だが、あの世には不吉も不幸もないのだ。遠藤さんは、「すごくいいところへ来ている」といい、更に「ぼくの人格が高いからね」と言い足した。「人の役にも立ってきた。たくさんの寄付もしたしね」とどこまでも冗談めかしていうところが、生前の遠藤さんそのままだ。
         私が羨ましいと思ったその波長が届いたのか、遠藤さんは、
        「君はまだまだここへ来られないよ。資格がないからな」
         といい、開高、有吉両人も口々に、
        「ざまァみろ!」
         といっている。そう聞くとますます羨ましくなって早く死んで仲間入りをしたいと思う。
        (中略)
         開高さんはそのうち、気がついて、
        「でもなんで、佐藤愛子が我々の話を聞いているんだ? 佐藤は死んだのか?」
         と訊いた。すると遠藤さん曰く、
        「死んじゃいない、死んじゃいない。そういうことをする女なんだ。知らなかったのか、魔女なんだ」
         そしてつけ加えたという。
        「生きてても、ノゾキ見できるのだ」
         生きても死んでもどこまでもふざけた男だ。しかしふざけながら天国まで真直ぐに行けたということは、この世で病弱に苦しみつつ克服の努力をし、人の悲苦に人一倍の思いやりを持ち、愛に満ち、そうして死を受け容れる覚悟ができていたためだろう。私はそう確信する。

         
        狐に憑かれてしまうのはごめんですが、こんな交流があるのならば、霊の世界はぜひあってほしいと思うのは私だけではないと思います。そして佐藤さんもまた、「いやそんな意味づけよりも、何よりも私が得たものは死を恐れ悲しむ気持ちがなくなったことである。勇んで死を迎えようという気持ちになったことである。」と勇気づけられるのです。
         
        人間であれば死にたくない、死を恐れる気持ちは誰でももっています。しかし、人間は必ず死ぬ運命にあることも事実です。いつ死に直面してもそれまでの自分の人生に後悔するこことなく、「いろいろあったけど、よい人生だった」と周囲の人々に感謝してあちらの世界(というものが本当にあるのかどうか私にはやはりわかりませんが)に行けることこそ、人生最大の幸せではないかと思うのです。
         
        佐藤さんは自分自身の父、昭和初期に少年小説の大御所だった佐藤紅緑の霊ともたびたび交流していたようです。
         

         最後に父が現れたのは二年ばかり前になる。そのとき、父はこういった。
        「国の政治が大きく乱れることを告げに来た」
         と。そうして、
        「日本はおしまいだ。今に大変なことになるから、よく心得ておくように」
         といい、
        「今の日本は芸者みたいなものだ。政治不信どころか、政治がおかしくなっている。茶番だ。茶番だ」
         といったという。そして私に、
        「賢く生きるように知恵を使いなさい。言葉をもって語って行きなさい。間違った判断をしないように」
         そういって立ち去った。

         
        日本がおしまいかどうかは私にはわかりませんが、少子高齢化や社会保障、外交政策など、日本が抱えている深刻な問題が山積しているのは紛れもない事実です。その中で「知恵を使う、言葉を語る、間違った判断をしない」という紅緑さんの霊の言葉は胸に突き刺さりました。
         
        最後にもう一つご紹介。霊の世界から人間界をみた珍しい映画。
         
          
        ただのホラー映画とは違い、心理的な追い詰められ感が本当に怖いです。
        ニコール・キッドマンが美しすぎるのも恐怖をあおります。
        | Yuriko Goto | 書評 | 11:33 | - | - |
        首相にも元首相にも国民が直接会って陳情できるシンガポール
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          JUGEMテーマ:シンガポール
          同じマンションに住んでいる70代後半のおばあさんの最近の自慢話は、ゴー・チョク・トン前首相から5年の滞在ビザをもらったことです。

          香港で生まれ育ち、パスポートも香港。インドネシア華僑と結婚したものの未亡人となり、一人息子の教育のためシンガポールに移住しました、息子はシンガポールに帰化したのですが、今は仕事の関係で香港に住んでおり、彼女は一人暮らしです。
           
          東南アジアではこのように各国を転々とする華人は少なくありません。不思議なのはシンガポールに20年以上住んでいるにもかかわらず永住ビザをもっていないこと。このため、彼女は3か月に1度ずつマレーシアに行っては観光ビザを更新していました。お金に不自由なく、健康で、マンションの住民など周囲も親切にしてくれるので日常生活にも困らないものの、唯一このビザの問題だけはいつも不満をもらしていました。
           
          そんな彼女がついに行動に出たのは、先月のこと。ゴー・チョク・トン元首相の「Meet-the-People」セッションに参加したのです。
           
          Meet-the-People」セッションとは、住民が直接、国会議員に会って陳情できる機会で、決められた場所に行って手続きをすれば誰でも参加できます。ゴー・チョク・トン元首相は選挙区のある公団住宅の1室で、毎週水曜日夜8時から深夜までこのセッションを開いています。
           
          おばあさんはシンガポール国籍ではなく有権者でもないのですが、直接元首相に会って「滞在ビザがほしい」とお願いし、いったんは「息子さんがいるのなら香港に戻ったほうがいいんじゃない?」と切り返されたものの、「シンガポールが好きだからここで暮らしたい」と粘って5年の滞在ビザを発行してもらったと、得意げに語りました。

                    

          写真は、元首相の20141211日のFacebook投稿。セッションはこんな感じで行われ、この日は主に公団住宅に関する44件の陳情があったそうです。
           
          驚くのは、現役の首相のリー・シェンロンも他の国会議員たちと同じようにこのセッションを開いていることです。この記事によると、2012年に首相が直接、陳情されたケースは2,800件。1/3強が住宅関連で最も多く、次の14%が経済支援、それに続くのがビザ関連、交通・駐車場関連、教育関連だったそうです。また、2%に満たないものの医療費問題の陳情もあり、リー首相は「医療費については国民が気にかけており、今後も注視していきたい」と語っています。
           
          超過密スケジュールにもかかわらず、律儀に市民に直接会い続けることを、リー首相は「シンガポール独自の民主主義」として、外国人記者たちに下記のように語っています。
           

          "You must have policies which are in the interest of the people and you must also show to the people that you actually care for them," he added. "You have to work with them at the ground as well as at the policy level."
          One way is through the Meet-the-People session (MPS), where MPs meet and help residents facing problems, and through constituency activities. As a result, residents know MPs, who are able to hold the ground.
          市民に関心の高い政策を打ち出すだけでなく、市民のことを真摯に考えていることを示すこと。また、それを市民とともに実践すること。
          その一つの方法が「Meet-the-People」セッションで、国会議員が選挙区での活動の一環として住民と会い、抱えている問題の解決に協力することにより、住民は議員への理解を深め、議員も選挙区の基盤を固められるのです。

           

          今回の選挙戦でも、与党PAPPeople's Action Party)は、しきりに「我々ほど人々に耳を傾けてきた政党はない」と主張していますが、私の目から見てもシンガポール政府は国民の意見を聞き、それを政策に反映するのに実に熱心だと思います。その結果、何も知らない人が見たら独裁ともとれるような、長期政権の維持につながったのではないでしょうか。
           
          選挙では野党が市民から批判が多い政府与党の政策、移民、教育、低所得層への手当て問題などをついてきていますが、与党PAPがどこまで議席を守れるか、もしくはいったん失った議席を奪回できるかはひとえに、長年培ってきた与党と国民との信頼関係をどこまで守れきれるかにかかっていると思います。選挙結果が非常に楽しみです。
          | Yuriko Goto | シンガポール社会 | 08:00 | - | - |
          「義務投票」制度のシンガポールにみる国民の政治意識
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            JUGEMテーマ:シンガポール
            現在、選挙戦真っ只中のシンガポール 
            シンガポール建国50周年記念行事も一息ついた825日、ここぞのタイミングとばかり、リー・シェン・ロン首相がが国会を解散、国を挙げての選挙戦に入りました。前回の選挙で歴史的敗北(といっても87議席中6議席を失っただけですが)を喫した与党PAPPeople’s Action Party)がどこまで議席を守れるかが注目されています。
             
            前回の選挙時にはまだシンガポールの政治の仕組みも各政党の主張もよくわかっていなかったのですが、4年あまりが経過した現在では、私も毎日テレビやネットで選挙選のニュースや各治家の演説を毎日、非常に興味深く聞いています。
             
            投票日は911日の金曜日。当日は国民の祝日となり、約250万人のシンガポール国民が投票を行います。2011年選挙時の投票率は93.18%。投票に行けない海外在住者などを除き、21歳以上の国民のほぼ全員が投票します。それは、投票が国民の「義務」だからです。
             
            選挙に行かないと選挙人名簿から抹消
            シンガポールの「義務投票」制度では、選挙に行かないとその人の名前は選挙人名簿から抹消されます。海外在住(一部の国では在外選挙もあり)、出張、旅行、病気などでたまたま投票できなかった人は、パスポートの記録など選挙に行けなかった証拠を政府に提出し、再び選挙人名簿に登録し直してもらいます。私の夫も日本で暮らしていたときには、選挙のたびにこれを行っていました。
             
            正当な理由なく投票しなかった人については、罰金5ドルとか50ドルとかを払って再登録してもらうというネット情報もあるようですが、政府はいっさいこのような情報を公開していませんので真偽のほどは定かでありません。友人・知人に聞いてもそもそも「投票しない」ことが前提として頭にないので、知らないという人ばかり。1回でも投票に行かないと、下手をしたら永遠に投票できない可能性さえ否定できないのです。
             
            ”compulsory voting(義務投票)の意味
            では、シンガポール国民は法律で決まっているので仕方なく、しぶしぶ選挙に行っているのでしょうか? 私にはまったくそうは見えません。それを説明する鍵が、"compulsory voting"という言葉にあるのではないかと思います。
             
            Voting is compulsory for all eligible citizens.(投票はすべての有権者にとっての義務です)
             
            この言葉は、投票を促す政府広報ですが、そもそも“compulsory”という英語は、同じく「義務」と訳される“mandatory”とは若干、ニュアンスが違います。このサイトの用例を見てもわかるとおり、“mandatory”が「逃れられない」という意味合いが強いのに比べ、"compulsory”は強制ではあるが、行う人にもメリットがある重要な事柄という印象を受けます。その最たる例が“compulsory education”(義務教育)でしょう。

            このような意味を理解した上で投票をしているので、シンガポール人には選挙を「いやなこと、面倒くさいこと」と考える人が少ないのではないかと感じるのです。

             
            ■生活と政治が不可分のシンガポール選挙
            選挙戦中、毎日数十か所で開かれる議員たちの演説には大勢の人々が集まります、支持政党のボランティアをする人や、Facebookで支持政党への投票を呼びかける人も私の友人・知人の中に多くいますし、テレビやラジオでは、連日、候補者たちの演説を何時間も放送します。
             
            自然、公約や演説の内容も外交や安全保障、産業振興のみならず、保険、年金、教育、子育て支援、税制改革など具体的に数字をあげた予算や政策に直結するものが多く、「選挙結果が自分の生活に直接影響する」と考えている人が大部分です。この政治と生活の近さこそ、シンガポール選挙の特徴ではないかと思えます。
             
            そして、ここまで候補者も国民も真剣になれるのは、やはり「国民全員で選んだ代表」という意識があるからではないかと思うのです。
             
            ■日本でも「義務投票」の検討を
            投票が国民の義務となっている国は、シンガポールだけではありません。オーストラリアをはじめ、ルクセンブルグ、タイ、ブラジル、アルゼンチンなど世界10か国以上あります(罰則がどこまで厳格かは国により違うようですが)。
             
            投票率が高ければ高いほど、民主主義の精度が上がることは間違いありませんし、それだけ国の政策決定に国民が真剣になるのは当然でしょう(給料から天引きされるより、自分で税金を申告して支払うほうが税に対する意識が上がるのと同じ理屈です)。

            日本では私が知る限り、「義務投票」制度は議論されたこともないですが、
            18歳まで選挙権を拡大した今だからこそ、今後間違いなくやってくる厳しい日本の将来を見据え、有権者全員がしっかりと自分の国政考えるという意味で、「義務投票」制度導入をぜひ検討してほしいと思います。
            | Yuriko Goto | シンガポール社会 | 15:00 | - | - |
            ヨーロッパ人に学ぶ、本当に贅沢な休暇の過ごしかたとは?
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              今年の夏休み、日本から訪ねてくれた友人夫妻と、マレーシア、ティオマン島のリゾートに行ってきました。
               
              シンガポールは国土が東京23区程度の非常に狭い国なので、旅行=海外旅行です。中でも車で簡単に行けるマレーシアは手軽な週末旅行先。シンガポールに近いリゾートは、東京から伊豆に遊びに行くような感覚です。また、ティオマン島へのフェリー乗り場があるタンジョン・ガモック港は、首都クアラルンプールからもシンガポールからもちょうど同じくらいの距離で、シンガポールからはもちろん、クアラルンプール経由でも世界各国からの観光客が訪れます。
               
              今年5月にティオマン島に1泊旅行をして美しい海とサンゴ礁に魅了され、今回は2回目。前回は少し大きめのリゾートで中国人団体観光客が多く騒がしかったので、こじんまりしたリゾートを選びました。
               
              ■何もしない休暇を楽しむヨーロッパ人
              このリゾートで3日間を過ごして驚いたのは、フランス人が非常に多かったこと。オーナーの話では、フランス人が宿泊客の70%、それ以外の国も含めると約90%がヨーロッパ人で、オーナー自身も当初はこんなにヨーロッパ人ばかりになるとは思っていなかったとか。
               
              リゾートにはテレビがなく、音楽もかかっていません。Wi-Fi接続もロビーのみ。お土産を売るショップもなく、シュノーケルセットをレンタルする小屋があるくらい。近くの村へは20分ほど歩けば行けますが、大半の人は出かけることもなく、リゾートのプライベートビーチで泳いだり、本を読んだりして過ごすか、コテージの部屋でくつろいでいました。ちょうどピーク期で満室状態だったにもかかわらず、リゾート全体がとにかく静か、という印象を受けました。
               
              また、リゾートとはいえ建物や装飾はシンプルでかなり質素。宿泊代は若干高めなものの、食事はリーゾナブルな値段でボリュームたっぷり。ここでのんびり過ごす分にはほとんどお金を使わずにすみました。実際、2部屋続きのコテージの隣の部屋にはイギリス人のゲイカップルが宿泊していましたが、夕食のときも見かけませんでしたので、何か部屋に持ちこみで食べていたのかもしれません。東南アジアのいろいろなリゾートに行きましたが、ここまで宿泊客が何もしないリゾートというのは初めて見ました。
               
              ■子供のうちから「何もしない」贅沢を覚える。
              このリゾートのもう一つの特徴は、家族連れが多いこと。どの部屋にもダブルベッドの他に子供用の2段ベッドがあり、小さい子供たちからティーンエージャーまで、たくさんの子供たちが何もないリゾートライフを満喫していました。
               
              6歳になったばかりの我が家の娘も、初日の晩、さっそく同じ年頃のフランス人の子供たちをみつけて遊び仲間に。翌日、シュノーケリングツアーで子供たちの家族と一緒になったので(このツアーだけは宿泊パッケージ込のため半数くらいの人が利用していました)聞いてみたところ、シンガポールに駐在している夫婦と、訪ねてきた妹夫婦の家族だそう。4人の子供たち+我が家の娘は、いっしょに泳いだり、砂遊びをしたり、最終日はあいにくの雨だったため、ロビーで絵を描いたりして遊んでいました。
               
              テレビなし、ゲームなし、You tubeなし、ショッピングもなしだったのですが、ふだんシンガポールでどっぷりこれらに使っている娘も、裸足で砂浜を走り回り、本当に楽しそうでした。何もしないことこそが贅沢であることを、子供の頃からヨーロッパ人は教えられているのだなと、この子供たちの姿を見て改めて思いました。
               
              ■「ふなばしアンデルセン公園」にみる日本でも変わってきている休暇の過ごし方
              少し前になりますが、世界最大級の旅行口コミサイト、トリップアドバイザーの「2015日本のテーマパーク」ランキング3位に船橋市の「ふなばしアンデルセン公園」が選ばれて話題になりました。
               
              トップ2は言わずと知れた東京ディズニーランドと東京ディズニーシー、4位にはユニバーサル・スタジオ・ジャパン、5位には富士急ハイランドがランクインする中、全国的にはまったく無名のこの公園が選ばれたのです。関係者からも「信じられない」という声が上がるほど意外なランクインだったそうですが、日本人の休日の過ごし方も少しずつ変わってきているのではないかと感じました。
               
              ふなばしアンデルセン公園は公営だけあって、入場料が大人900円、小中学生は200円、幼児は100円と格安です。広い敷地内には、アスレチックコースあり、水遊び広場あり、版画や染織りなどの体験プログラムあり、童話の読み聞かせプログラムありと、追加料金なしで子供たちがのびのびと1日遊べるアトラクションが多数取り揃えられています。乗馬やミニカー、ボートなど、有料のアトラクションもありますが、こちらも100~300円と手ごろ。
               
              有名テーマパークで炎天下、長蛇の列に並び、駐車料金や食事代、おみやげ代などを入れて111万円以上も使うことを考えたら、ふなばしアンデルセン公園ではほとんどお金を使わず1日めいっぱい遊べます。こんな休日を過ごす人が着実に増えていることを示すベンチマークが、今回のランクインだったのではないでしょうか。
               
              ■子供も大人も、時間を気にせずゆっくり過ごせる贅沢を。
              昨年の夏休み、我が家の娘は東京で1週間を過ごしました。お台場の観覧車やスカイツリー、お祭りなど、子供が喜びそうないろいろな観光名所に連れていったのですが、娘が一番喜んだのは何と「木場公園」。ここの無料の水遊び広場に毎日のように行きたがったのです(実際、3日連続で行きました)。
               
              1年たった今でも娘が口にするのはこの広場のこと。今年の夏、去年の夏を思うにつけ、時間を気にせず、思いきり同年齢の子供たちと遊ぶことのできるひとときこそ、子供にとってかけがえのない思い出になるのではないかと思います。
               
              いっぽうの大人も、大枚をはたいて行楽にでかけ、渋滞や行列に耐えて家族サービスをし、リフレッシュするどころか仕事に戻るとほっとするようなお休みより、観光もグルメもなく、何もしないでゆっくりできるようなバケーションスタイルで過ごす人が確実に増えている気がします。近年のキャンプ人気もこんなトレンドを象徴しているのではないでしょうか。
               
              もうすぐシルバーウィークが始まりますが、日本の休日は年々増加しており、有給休暇の取得も国をあげて取得率を上げるためのPRが行われています(10月は年次有給休暇取得促進月間)。しかし、手取り収入はなかなか上がらず、生活は苦しくなっているのに休みだけが増え、「今度の休みはどうしよう・・・」とため息をついている家庭も多いと思います。
               
              日常生活では時間に追われ、ネット情報にふり回され、洪水のように流れてくる広告で要らないものもつい欲しくなってしまうような豊かな時代に生きている私たちだからこそ、もう一度、ヨーロッパ人に見習い、本当に贅沢な休暇の過ごし方を考え直すときに来ているのではないかと感じます。
              | Yuriko Goto | ワークライフバランス | 19:07 | - | - |
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