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ASIAN NOMAD LIFE2018.03.31 Saturday
映画評:『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』〜苦難の時に非ポピュリストを選んだ英国
JUGEMテーマ:政治
『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』(原題:Darkest Hour)を観てきました。
舞台は1940年5月のロンドン。ヒトラー率いるドイツ軍がヨーロッパ諸国を次々と侵攻していく傍らで、イギリスはドイツ軍に対して抗戦するか、もしくはイタリアを通じて和平交渉に入り独立国としての立場を失うかの瀬戸際に立たれています。
戦況が悪化する中チェンバレン首相が失脚。
新首相に選出されたチャーチルはこのとき65歳。
「イギリスの独立を守るために不退転の決意で戦う」というチャーチルに対し、政敵は自己満足のために無辜の若者たちをみすみす戦場で死なせるつもりかとドイツ同盟国のイタリアとの和平を迫り、自らの秘書からさえも考え方についていけないと非難される体たらく。チャーチル自身も犠牲になった兵士たちを思って深く傷つき、悩む日々を送ります。
ドイツ軍の攻撃により無数の難民たちが故郷を追われて彷徨う中、フランス指導者たちは「すべてコントロールされている」と胸を張り、イギリスの議員たちは危機的状況の中でも政局に明け暮れ、「見たくないものは見ない」ポピュリストのディシジョン・メーカーたちはひたすら決定を後延ばしにし、その場しのぎの対応に終始し続けるのです。
その中でチャーチルはその言動や行動によりあちこちで軋轢を生じながらも、自らの信念を意固地に守り続けて議会や国王、そして国民の信頼を勝ち得ていきます。
全編を通して、映画はチャーチルが演説原稿を起草し推敲するシーンで進められていきますが、正直なところチャーチルは決して演説がうまいわけではありません。最後のシーンの演説の実録を聞いても、滑舌が悪くドラマチックな要素はまったくありません(映画ではもう少しマシですが)。
むしろ原稿を棒読みしているような口調、事実や数字を細かく読みあげる癖、関係代名詞を多用して次の文章につなげていくようなレトリックを多用した演説は、声のトーンや口調を巧妙に変え続け直接強く聴衆の心情に訴えかけるヒトラーの演説に比べると、あまりの違いに驚かされます(チャーチルはポピュリストとしてのヒトラーを非常に嫌悪したようで、ヒトラーの演説放送を消す場面も登場します)。
チャーチルが首相になる前、決して国民に高い人気がある政治家でなかったのも頷けるのです。
この映画を観て理解できるのは、恐らくイギリスが平和な時代であったなら、チャーチルが首相になることはなかったであろうこと。そして、国家が決定的に困難な時代を迎えたとき、ヒトラーのようなポピュリストを選ぶのか、チャーチルのようなアンチ・ポピュリストを選ぶのか、もしくは政局に身をやつして何も決められない、決めないリーダーを選ぶのか、私たちにはこの3つの選択肢しかないということではないかと思います。 2018.03.30 Friday
シンガポールの屋台が衛生的な理由
JUGEMテーマ:ビジネス シンガポールではホーカーという屋台の他、カジュアルレストランでも壁がなく開放的な設計の店が多いのが特徴です。
一年中夏なのでこのようなデザインは理にかなっているのですが、衛生面で二の足を踏んでしまう外国人や観光客もいると聞きます。
逆に、シンガポールでは一年中夏なのにもかかわらず、ほとんど食中毒のニュースを耳にしたことがありません(以前住んでいた香港では最低でも年数回は食中毒が発生していました)。あまりに多くてニュースにもならないのかとずっと思っていたのですが、最近、食品衛生責任者講習をシンガポールで受けてその理由がよくわかりました。
実は私は昨年、日本でも食品衛生責任者講習を受けています。
食中毒の種類や防止方法など、講義の内容はほぼ同じですが、違うのは下記の通り。
1.日本では講習受講だけで免許をもらえるが、シンガポールではテストがある。 2.日本は保健所の立ち入り検査は問題が発生しない限り基本的にないが(開業時を除く)シンガポールは定期的にある。 3.シンガポールの検査項目は具体的で、非常に厳しい罰則がある。
1.は文字通りそのまま。日本の講習は1日でしたが(シンガポールは2日)、学生さんなどの中にはほとんど寝たきりの人もいました。
2.も同様。検査はポイント制で減点ポイントが多いほど評価ランクが下がっていきます。飲食店では検査後の営業許可証と一体化した評価ランク表示が義務づけられており、写真のようにレジ横などに貼ってあります。写真の店のような「A」評価は食べ物を出すところでは珍しく(飲み物屋さんは多いです)、検査が非常にシビアであることがわかります。
3.の検査項目は減点法+シンガポール政府十八番の罰金です。例えば、営業許可証を提示してないと罰金200ドル、従業員の服が汚れていたら減点4+罰金300ドル、調理済の食品をカバーなしで放置しておくと減点4+罰金300ドル、調理済みの食品を素手で触ると減点6+罰金400ドル、施設内で虫や害虫がみつかると減点6+罰金400ドルなどなど。トイレの衛生状態に関する項目も少なくありません。
12か月以内に減点が12点以上になると、2週間の営業停止処分に。ということはたとえば、ゴキブリやハエが2回みつかると営業停止になるということです。どうりで熱帯気候にはつきものの害虫を滅多にみないわけです。
このように非常に厳しいスタンダードが課されているため、飲食店は害虫やネズミ駆除業者との定期契約が普通だそう。特に政府管理下の公営ホーカーでは施設全体が契約しており、トイレ掃除や食器類の片付けも屋台の調理人が直接行うことはないため、人を介して感染する食中毒は逆に少なくなるだろうと感じました。
シンガポール観光の際は、このライセンスを目安にぜひ屋台も楽しんでいただけるといいと思います。 2018.03.29 Thursday
米ハイテク株は買い時か?
JUGEMテーマ:経営のヒントとなるニュースを読み解く Facebook社の個人情報漏洩問題に端を発し、米ナスダックの優良企業株価が大きく下落しています。
特に火元のFacebookとGoogleのアルファベットは下げ幅が大きく、Facebookは今年1月の最高値と比べると20%以上の下落、アルファベットも約15%下がっています。
アップルはけっこう株の値動きが激しい企業なので、現在の下げ幅は平常運転と言える範囲かもしれませんが、ここ数年、ずっと右肩上がりを続けてきたAmazonもいったんお休みという感じ。
しかし、おもしろいのはこれだけ下げても、どの企業も最長で半年前くらいの株価までしか下がってないんですね(Facebookを除き)。それだけ短期間で大幅に値上がりしてきたわけです。
しかもテクノロジー企業なので、製造業などと違って投資の実態が非常にわかりにくい。今、持っている機械や工場を売却したらいくらになるのか、という目に見える資産から企業価値を測る計算が非常に難しいからです。
ソフトウェア開発はやたらとお金がかかりますが、それを使ったサービスが世の中に受け入れられてグローバルスタンダードになってしまえば莫大な利益が期待できます。しかし、世界中のユーザーが満足するサービスを提供し続け、ライバルに水をあけ続けるためにはさらに資本投下してソフトウェア開発をしなければならず、永遠にこのイタチごっこが終わりません。
このためこれらの米ハイテク企業4巨頭は、アップルを除き、株主に配当せずに利益をすべて開発投資に回してしまっているのです(米株式に詳しい方には常識ですが、最初知ったとき目が点になりました。アップルと同程度の社歴をもつマイクロソフトは普通に配当しています)。
株式についてはもうそろそろ下げ始めるだろう、という悲観論も出始めているいっぽう、株式市場と密接な関係がある不動産市場は世界的にまだまだ勢いがあり、底堅い経済成長が続く東南アジアから南アジアの金融センターであるシンガポールでは、市場は不安定だが強気の姿勢を崩さない、というところがメインストリームのようです。
去年の今頃は朝鮮半島問題が世界経済最大の不安要因でしたが、今年はハイテク株の動向から目が離せない展開になっていきそうです。 2018.03.28 Wednesday
「プライバシー」が過去の遺物になった時代のこれから
Facebookの個人情報漏洩事件が、深刻な状況に陥っています。
シンガポールでも先週、国会の委員会でFacebookのアジア太平洋地域の副社長が追求され規約違反を認めました。
本日はイギリス議会委員会にマーク・ザッカーバーグCEOが出席しない旨を表明しましたが、Brexitの投票の際にもFacebookの個人データが悪用された疑いや、データ流出先の英ケンブリッジ・アナリティカ社の従業員の不審死情報まで飛び交う始末。米連邦取引委員会(FTC)関係者によると、同社に最高2兆ドル(210兆円)という天文学的な数字の罰金が科される恐れもあるそうです。
これだけ問題になり、騒がれる「個人情報」ですが、いったい私たちどこまで「個人情報」=プライバシーを守ることができるのでしょうか?
1980年代後半、在日韓国朝鮮人の方々だけが指紋押捺を強制される制度が問題となり、私の友人たちがよく反対デモに参加していました。私も「指紋を強制されるなんて」と当時は憤っていましたが、1990年代になって香港に住むようになったら、外国人である自分自身だけでなく香港人も全員指紋押捺が義務であることがわかりました(シンガポールも同様)。
さらに2000年代になって入出国を自動ゲートでするようになってから日本でも指紋を登録して使用していますし、現在通っているシンガポールの専門学校では、校舎に出入りするたび指紋で時間管理をされています。
マイナンバーも同じ。日本ではまだマイナンバーに抵抗がある方が多いようですが、制度導入からすでに30年近くたっている香港やシンガポールでは何をするにもすべてマイナンバー(シンガポールでは「IC」と呼ばれています)が必要で、納税や銀行口座はもちろん映画のチケット1枚買うにもこの番号をリクエストされるので、極端に言えばマイナンバーなしでは普通の日常生活が送れません。
さすがに公園でレンタサイクルを借りる際、ICカードを預けなければいけないと言われたときには驚きましたが、一事が万事この調子。万が一この番号を盗まれてそこに紐づけられた情報を入手されたらどうなるかと考えるとそら恐ろしくなります。
SNSで公開している情報はある意味自分から公にしているわけで、個人的にはある程度までなら他人にその情報がわたっても仕方がない側面はあるかもしれないと思っています。
しかし例えば、位置情報や顔認識システムでいつどこに誰と行ったのかの情報、Eコマースサイトではアマゾンやチケットサイトでいつ何をどれだけ買ったかという情報、金融関係では納税や銀行口座や投資口座の情報などが誰かに悪用されたとしたら、最悪の場合、個人の人生が破滅する可能性も無きにしも非ずという危惧をもちます。
悪いことを考えてお金もうけをしようとする人はいつの世にもいます。
コンピュータ・ウィルスと同じく、個人情報=プライバシーはもう守ることはできない、という前提にたった上で、今後、どのようにそれを悪用されずに守っていくかを考え、国際的なシステムや法律を整備していく必要があるのではないでしょうか。 2018.03.27 Tuesday
シンガポールの巨大コミュニティー・センター
JUGEMテーマ:シンガポール 昨日の記事で図書館でのアート・ワークショップについて書きましたが、本日はその図書館があるタンパニース・コミュニティー・センターについてお話ししたいと思います。
このセンターは2017年8月にできたばかりの巨大統合型地域コミュニティー施設。もともとスタジアムがあった場所をリノベーションし、ありとあらゆる住民のニーズに応える設計になっています。概略は下記の通り。
・スポーツ施設 サッカー場(5,000席)、スイミング・プール(6個)、多目的体育館(1,500席)、テニスコート、フットサルコート、ホッケー場、ジョギングコース他 ・文化施設 公共サービス窓口(公団など12政府機関)、公共図書館(6F建て)、映画・コンサートホール(400席)、児童公園、エコ・ガーデン、総合ギャラリー、キッチン・スタジオ、会議室他 ・医療・介護施設 ヘルス・センター、家族向けクリニック、デイ・ケア・センター他 ・その他 催事場、バーベキューピット、フードコート、スーパーマーケット、ショッピングモール、飲食店街、ボーリング場(30レーン)、ロッククライミング練習場、学習塾、バレエ教室、音楽教室他
オープン初日には10万人の地域住民が来場。
あまりにも色々な施設がありすぎて、また、ワークショップを含め至る所で面白そうな催しが開催されており、半日ほどいましたが、とてもすべて見ることはできませんでした。
こちらの記事では、シンガポール人と日本人など外国人駐在員の日常生活が全く違う事実をご紹介しましたが、家族で週末を過ごす娯楽施設も同様。
同じ巨大施設でも、観光客や駐在員に人気のマリーナ・ベイ・サンズのようなカジノや高級店が軒を並べる巨大施設には、仕事で必要な場合を除いて一般のシンガポール庶民が頻繁に訪れることはまずありません。
逆にこのような政府が運営する施設では、あまりお金を使わずに家族で一日遊べるため、堅実なシンガポール市民に大変な人気が高いのです。
今後シンガポール政府はこのような統合型の地域センターを徐々に増やしていく予定だそう。
日本でも今後少子高齢化が急速に進行していく中、地域中核都市に住民を集中させて都市計画を推進していく際には、このような統合型のコミュニティー・センターをぜひ併設して街作りをしてほしいと思います。 2018.03.26 Monday
シンガポール的継続ボランティア育成方法
JUGEMテーマ:幸せなお金と時間の使い方 昨日の日曜日は午後からシンガポール東部地域の図書館で行われたワークショップのボランティアをしてきました。
ワークショップのタイトルは「自分の絵本を作ってみよう」。
シンガポール・アート・ミュージアム(SAM)とシンガポール国立図書館の初コラボ・プログラムで、幼稚園から小学生の子供たちが15人ほど参加。私もSAMのワークショップ・ボランティアとして、事前の材料準備とアーティストのサポートのお手伝いをしてきました。
写真は、幼稚園年長組の女の子が作った絵本をアーティストが製本しているところ。あまりにも見事な出来上がりに息を飲みましたが、彼女に限らずとにかく子供たちがみんな個性的で才能豊か。
身体に麻痺障がいのある男の子も1人参加しており、車椅子に寄りかかりながら、毛糸とフェルトを使って立体的なヒーローが登場する楽しい絵本を作って見せてくれました。
さて、話は変わりますが、シンガポールではボランティア活動が非常に盛んです。
私がSAMのボランティアに登録したのは1年ほど前。これまで不定期で、アーティストの展示準備や、今回のようなワークショップのお手伝いをしてきましたが、「今週末手伝ってほしいんだけど」というような急なボランティア募集が多いのにもかかわらず、いつも必ずそこそこの人数のボランティアが集まります。
中でも多いのがアジア系の外国人とシンガポール人の学生さん(欧米人や日本人ボランティアには展示案内ガイドボランティアが人気で、サポート・ボランティアはほとんどいません)。
どうしてなんだろうと不思議に思っていたのですが、外国人ボランティアの1人に聞いてみたところ謎が解けました。永住ビザや市民権申請をしたとき、ボランティア歴がポイントになるそうなのです。
学生さんも同じ。高校生は大学入学時にボランティア歴が加味され、技術系短大でも自分の専門に関係のある機関でのボランティア歴は単位の一部として認められるとのこと。
言われてみたら、活動終了時には必ずSAMの担当者がやってきて、名前とICというマイナンバー、実際にボランティアした時間を書かせられます。どのくらいの時間何のボランティア活動をしたかが客観的に記録に残るようになっているのです。
そういえば、子供の小学校入学の際も、希望する学校で親が規定時間以上のボランティア活動したことがあるのも入学可否を決定する条件の一つでした(シンガポールは入学を希望すればどの小学校でも応募でき、人気の高い学校は競争率も高くなります)。
私の友人たちが多く参加しているのは「コミュニティー・センター/コミュニティー・クラブ(C.C.)」と呼ばれてシンガポール中どこにでもある公民館ボランティアで、施設の運営やプログラムサポートからチャリティー、選出議員とタイアップした地域コミュニティーへの働きかけなど、さまざまな活動をしています。
そして、ボランティア活動を続けているとご褒美として、政府から表彰されたり、人気のある政府プログラムに優先的に参加できたりと、いう機会もあるようです。
個人的には楽しんでボランティアしているだけなのですが、やはりこのようなインセンティブがあることを知っていると「ひょっとしたらいつか何かいいことあるかも」という希望もわきますし、もっと頑張って時間を増やしてみたり、他のボランティアもやってみようかな、という気にもなります。
社会に貢献したいという純粋な気持ちで始めるボランティアでも、シンガポールのように「いい事をしてるとそのうちご褒美もあるかもしれないよ」と誰もが思えるようになると、継続の大きな力になるのではないでしょうか。 2018.03.25 Sunday
米、鉄鋼及びアルミニウム関税措置に対する各国の対応状況
JUGEMテーマ:国際社会 JETRO調査によると、米国への鉄鋼及びアルミニウム輸出上位国は下記の通り。
上記表内にあって今回、執行猶予措置の対象とならなかった国の対応は下記の通り。
<ロシア> WTOへの提訴と報復措置を検討。今回の鉄鋼への関税措置では少なくとも20憶ドル以上の被害を被る可能性と指摘。それに応じた対抗措置を取る予定。http://txbiz.tv-tokyo.co.jp/txn/news_txn/post_151915/
<中国> 報復措置として約30憶ドル128品目の米国からの輸入製品への課税、鉄鋼管、生鮮果物及びワインに15%、豚肉と再生アルミニウムに25%を発表。https://www.ft.com/content/c0ec2832-2e44-11e8-9b4b-bc4b9f08f381 また、WTO提訴を予定。http://www.xinhuanet.com/english/2018-03/23/c_137059651.htm
<トルコ> もともと価格が安いため大きな影響なく、逆にリラ下落で競争力が増し、米国でのシェアを増やせる可能性もある。 https://www.reuters.com/article/us-usa-trade-trump-turkey/turkish-steelmaker-considers-u-s-expansion-after-tariff-increase-idUSKCN1GE1EQ 対USDトルコリラ為替チャート https://jp.investing.com/currencies/usd-try
<台湾> 今月18日から交渉団を米国に派遣して例外措置を求めていたが、台湾出荷製品の一部に中国製の疑いありと指摘される。例外措置を受けるための交渉継続。http://focustaiwan.tw/news/aeco/201803240005.aspx
<インド> 今月13日にWTO加盟24か国の官僚をニューデリーに集めて非公式協議。インドの鉄鋼及びアルミニウムの米国輸出は合計15億ドル程度とたいした額ではないが、これが薬品等の先例になる可能性があると政府関係者は憂慮。ただし、まだWTO提訴に踏み切るところまでいかず「安全保障面で重要な国」認定をめざしたほうがいいという意見の官僚も。https://www.ft.com/content/8627370a-2818-11e8-b27e-cc62a39d57a0
<アラブ首長国連邦> 関税措置は米国の自動車産業に悪影響を与えると指摘。影響を最小限に抑えるよう政府が米政府と交渉を進めており、今後もアルミニウムの輸出と例外措置の交渉は継続。https://www.thenational.ae/world/the-americas/uae-expected-to-quietly-mitigate-impact-from-trump-s-new-aluminium-and-steel-tariffs-1.711689
<バーレーン> 米国の高名な法律事務所と契約して米政府に対しロビー活動を開始。中東の安全保障問題も交渉カードに。https://www.al-monitor.com/pulse/originals/2018/03/bahrain-lobby-against-trump-aluminum-tariffs.html
<カタール> 不明
<南アフリカ共和国> 例外措置への要請拒否について遺憾及び、米政府との交渉継続を表明。http://www.xinhuanet.com/english/2018-03/24/c_137061084.htm
<ベネズエラ> 不明。ただし、この10年でベネズエラボリバルはUSドルに対し約1/10に下落。http://www.xe.com/ja/currencycharts/?from=VEF&to=USD&view=10Y
<日本> 今回の措置発行を受けての公式な外務大臣談話はなし(3/9のみ「遺憾」「今後適切に対応」とコメント)。http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/danwa/d_gaimu.html
2018.03.24 Saturday
日本政府は米国関税措置に対し早急な対抗措置を!
昨日、アメリカ政府は鉄鋼とアルミニウムに対する関税を、日本と中国に対して各25%と10%の追加関税を課す「前代未聞の」輸入制限措置を開始しました。
これに先立ち、アメリカのトランプ大統領は安倍晋三首相を名指しし「米国をうまく利用してきた、とほくそ笑んでいる」と非難したそうです。
また、ユーロ諸国、カナダ、メキシコ、オーストラリア、韓国など当初同じ措置を受けるとされていながら今回起期限つきの猶予となった国々については、措置の布告文書の中で、
Our Nation has important security relationships with some countries「我が国と重要な安全保障関係がある国々」
とされており、当然ながら日本はこの中に含まれていません。
日本はアメリカにとって重要な同盟国ではないのですか? 集団的自衛権を認めた安保法はいったい何だったのでしょうか?
この点について、日本政府はぜひアメリカ政府にその真意を問いただしてほしいと思います。
同時に誇りある独立国家として、中国と同じく、断固として米国のこの措置に対抗し、アメリカ産ビーフとオレンジへの追加関税や米国債の売却について早急に検討を始めるべきです。そして、集団的自衛権を認めた安保法を白紙撤回すべきです。
森友問題も非常に重要だとは思いますが、一国民として、ここまで他国を貶めて平然としている米国大統領と米議会には、安倍首相をはじめ日本国政府と国会が断固とした措置を取ることを希望します。 2018.03.24 Saturday
TVで方言解禁! リー・クワンユーイズムから脱却の兆し
JUGEMテーマ:シンガポール
昨日はシンガポールではごくごく一般的な華人系シンガポール人&外国人カップルの我が家の言語環境をご紹介しましたが、本日はシンガポールで話されている中国語のお話です。 シンガポールは様々な人種が集まる他民族国家ですが、最も大きい割合を占めるのが華人系で約75%。続くマレー系、インド系と合わせると全体の97%近くを占めます。
そのため、地上波のテレビでは英語チャンネルの他に中国語チャンネル、マレー語チャンネル、タミル語チャンネルと複数の言語で番組を放送しており、多くのタレントさんや俳優さんが英語チャンネルの他に自分の民族の言語の番組にも出演し、芸達者なバイリンガルぶりをみせてくれます。
また英語チャンネルも含め、音声だけでは内容が理解できない人のために字幕がついている番組も少なくありません。
我が家の小3の娘もテレビが大好きで、英語チャンネルの他、中国語チャンネルをよく観ているのですが、先月の旧正月休みの昼間、娘が観ているシンガポール制作のドラマを横で観ていてびっくりするような事実に気がつきました。
「華語だけじゃなく、広東語と福建語が混じってる!」
ご存じの通り中国はあれだけ広い国ですので、方言が非常にバラエティに富みます。書き言葉はほぼ同じですが発音がまったく違う単語も多く、例えば、中華人民共和国の言語である北京語ベースの「普通話」を話す人と、香港で話されている広東語を話す人がコミュニケーションしても会話が成り立ちません。喩えて言えば、ばりばりの津軽弁と鹿児島弁を話すお年寄り同士が会話するようなもの。
もともとシンガポール華人は中国のあちこちの地方からの移民が集まってできた国で、話す言葉もまちまち。昔からマレー半島華人に多かった福建省出身の福建語を話す人々の他、広東省や香港からの移民の広東語、リー・クワンユーやゴー・チョクトン元首相など中国北方がルーツとされる客家の人々が話す客家語、広東省の北で距離的には広州と福州のほぼ中間に位置する潮州からやってきた潮州人の潮州語など、さまざまな方言が各家庭で話されています。
我が家でも、学校で標準の中国語教育を受けた義母と夫、現在学習中の娘は中国標準の華語を話せますが、義父は学校教育は英語で受けているので、日常会話レベルの福建語しか話せず、華語で私が話しかけても理解できません。
そもそも中国の普通話もこのような方言の混在によるミスコミュニケーションを失くすために共通語として統一された言語で、中華人民共和国が1955年に決定。
漢字を略字にし書きやすくした「簡体字」や、アルファベット表記によるフリガナ「ピンイン」が採用されて全国に広まっていきました。
(台湾は蒋介石の国民党が亡命してから徹底的な北京語の「国語」教育をしたために台湾語の弾圧が行われましたが、中国本土ではそこまで方言の撲滅運動はなかったようです。ただ、学校教育も役所の手続きもすべて普通話で行われるため、新疆地域のウィグル人など少数民族も例外なく普通話を話します)
シンガポールでは建国直後の1966年から英語と自分の民族が話す言葉のバイリンガル教育が始まりましたが、家庭で日常的にマレー語やタミル語を使っているマレー系やインド系の子どもたちと違い、華人系は家庭で使われている方言がばらばらで、学校で教える中国標準の普通語をほぼそのまま取り入れた中国語の「華語」と違うため、なかなか上達しないという問題を抱えていました。
そのため1979年、リー・クワンユー元首相が「スピーク・マンダリン(講華語 ジャン・フアユー、北京語を話そう)・キャンペーン」を開始。方言をやめ、学校はもちろん、職場や商店、さらには家庭でも華語を話すことが推奨され、テレビやラジオはすべて華語に。
広東語の香港映画やテレビ番組などもすべて北京語に吹き替えられ、韓国ドラマさえも北京語になるという徹底ぶり。1990年代にジャッキー・チェンが流暢な北京語で話している映画をシンガポールのテレビで観たときには非常に驚いた記憶があります。
このような状況が40年近く続いてきたため、冒頭に書いたように、テレビから広東語と福建語が聞こえてきたときには、ひょっとして自分の頭がおかしくなったんじゃないかと耳を疑いました。しかし、何回聴き直しても間違いありません。
狐につままれたような気持ちで、翌日義母に「こんなことがあったんですよ」と報告したところ、中国語チャンネルに詳しい義母が、その番組は去年から始まったもので、通常は平日の夜中に30分間だけ放送しているけど、お正月なので特番で1時間放送になって、昨日の昼間に再放送していたんだよ、と笑いながら教えてくれました。
「講華語運動巳経没有了嗎?(スピーク・マンダリン・キャンペーンはもうなくなったの?」と聞くと、やはり笑いながら「なくなってはないけど、リー・クワンユーが亡くなったからそれほど厳しくなくなったんだよ」との返答。
台湾では国民党一党支配脱却後、台湾語が復権されて現在では台湾語のテレビチャンネルさえあると聞きます。
中国本土のみならず世界で標準語となっている「普通話=華語」教育も悪くはありませんが、シンガポールも「Mother Tongue(母語)教育」というからには、シンガポール固有の華人文化保存のためにもこの傾向が続き、それぞれの家庭のバックボーンである方言を次の世代に残してくれればいいなと思います。 2018.03.23 Friday
英語、日本語、中国語が混在する我が家の言語環境
JUGEMテーマ:シンガポール
シンガポールは全人口が561万人。うち344万人がシンガポール国民で、残りが53万人の永住者を含む外国人。外国人割合は、全人口の約4割になります。
また、シンガポール国民といっても外国人が国籍を取得して国民になったケースも少なくないので、私の感覚的にはシンガポール人と外国人が半々。
さらに、もともとシンガポール自体が、華人系、マレー系、インド系、ユーロエシアン系など他民族国家で、共通語の英語以外に、中国語(普通語)、マレー語、タミル語が公用語になっています。
これだけの数の外国人がいると、シンガポール人と外国人の結婚も多く、英語や公用語以外の言語を日常的に使う家庭も少なくありません。
我が家もその典型ですので、どんな言語を使って日常生活をしているのかご紹介いたします。
私:第一言語:日本語(ネイティヴレベル) それ以外:英語(中学生レベル。ビジネス英語は問題なし) 中国語(普通語:日常会話、ビジネス中国語は問題なし。広東語:日常会話がある程度できる。 福建語:話せないが少しだけ聴きとれる)
夫:第一言語:英語(ネイティヴレベル) それ以外:中国語(普通語、福建語、広東語ともに日常会話レベル。読み書きは大学受験時まではできたが、現在はほとんど忘れている) 日本語(日常会話がある程度できる)
娘:第一言語:英語(小3ネイティブレベル) それ以外:日本語(幼稚園レベル。ある程度日常会話ができるが、わからない単語は英語になる) 中国語(普通語、幼稚園レベル。簡単な日常会話と読み書きができるが、強制されないと自分からは話さない)
義父:第一言語:英語(ネイティヴレベル) それ以外:マレー語(日常会話レベル。兄弟と話すときはマレー語) 中国語(福建語のみ日常会話レベル。読み書きはできない)
義母:第一言語:中国語(普通語、福建語ともにネイティブレベル) それ以外:英語(日常会話はだいたいわかるが、返すのは中国語。簡単な英単語が混じることはある)
こんな状況ですので、誰もが一番得意な言語を使いたがります。
例えば、こんな感じ。
私(娘に向かって): 早くご飯食べなさい! 夫: Oh, you even haven’tstarted your dinner yet!? (えー、まだ食べてないの!?) 娘:だってね ー、not hungry yet.(まだお腹空いてないし) 義母:你快一点吃吧!(ほら、早く食べなさいよ) 私(母に向かって):因為她今天吃午飯比較晩、所為現在不餓。(今日、お昼ご飯遅かったんでまだお腹すいてないんですよ) 義父(娘に向かって):Aey, eat now!(ほら、食べなきゃ) 義母(父に向って):不是。(福建語で「ンーシィー」違うのよー) 夫(父に向って):She is still quite full now. (まだお腹いっぱいなんだよ) 私(夫に向かって):もう食べないと思うよ。 Ask your Mom 打包。(パックしてもらうようにお母さんに頼んでよ)
日本語、英語、中国語(北京語と福建語混在)で、誰も全部はわからないけれど、少しずつ理解していて最終的にはみんなわかります。
家庭内に限らず、個人商店で買い物したりするとき、こちらは英語で話しているのに相手は中国語で返してくることもままあり。
個人的にはこんな環境なので、ビジネスで使わなくなってすっかりさび付いた中国語を使う機会があることに感謝しています。 |
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