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    誰がスルガ銀行を殺したのか?
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      JUGEMテーマ:経営のヒントとなるニュースを読み解く

       

      自民党の野田聖子総務大臣が25日、ブルームバーグの単独インタビューに答えて現在のアベノミクスの状況に異議を唱え、異次元緩和も2%の物価達成目標も撤回すべきとの意見を表明しました。

       

      2013年1月の政府と日銀による共同声明で定めた物価目標について「数値目標を立てることは誠実のように見える」が、その達成のために「ありとあらゆる異常な手段を使う」のは本末転倒だと指摘。経済が良くなれば結果としてなるものであって、「こだわりすぎてしまうと、本来の経済の活性化が逆に成し遂げられなくなる」と語った。

      野田大臣の指摘通り、アベノミクス最大の政策であった金融緩和政策はすでに丸5年を迎え、世界的に経済が上向き株高になってきたにもかかわらず、未だ当初の2%の物価上昇目標を達成できていません。また、やはり当初の目標だった2020年プライマリーバランスの黒字化もまったく目途がたっていないばかりか、むしろここ数年の国債乱発予算編成によりむしろ遠のいているような印象を受けます。

       

      いっぽうで、金融史上例をみない試みである「異次元の」、そして5年という長期にわたる金融緩和による弊害はじりじりと社会を蝕んでいます。その直撃を受けているのが、金利手数料を生業としてきた銀行業です。

       

      そんななかで、日本経済新聞が「金融庁が日銀に、マイナス金利政策は銀行経営に影響を及ぼしているとの懸念を伝えた」と報じました。金融庁によると、マイナス金利による減益のインバクトは、三菱UFJが1550億円、三井住友は750億〜760億円、みずほは610億円だと言います。 『日本「一発屋」論 バブル・成長信仰・アベノミクス』原真人著 より

       

      これは2016年の話ですが、これ以降のマイナス金利政策により確実に各行の金利手数料による収益は悪化しており、

      今月出そろったメガバンクグループの2017年4―12月期連結業績で傘下銀行の業務純益は、マイナス金利導入前の15年4―12月期と比べ約3割減った。預金金利が低下したが、貸出金利も下がることで利ざやを確保しにくくなっている。​https://newswitch.jp/p/12050​

      という悲惨な結果になっています。

       

      バブル崩壊後に合併につぐ合併を潜り抜けサバイバルしてきた世界的規模を誇るメガバンクでさえこのような状態。ましてや地方銀行をや、です。

       

      私の地元の静岡では以前から非常に銀行間の競争が激しく、アベノミクス金融緩和が始まる前にもメガバンクを含む各銀行が熾烈な金利競争を繰り広げていました。

       

      その中でも突出して業績が良かったのが県内最大の地銀である静岡銀行。「シブ銀」とも呼ばれる堅実経営で優良企業を中心に広く貸し出しを行い、私も以前の会社で「静銀に口座をもつと会社の信用が増す」という理由で、必要のない当座貸越枠をわざわざ作ったことさえあります。

       

      しかし、この静岡銀行でさえ2015年からの当期純利益は右肩下がり。非常に苦しい様子がうかがわれます。

       

      そんな中、スルガ銀行だけは以前から他の銀行とは一線を画する異質な戦略を取ってきました。競争が激しく利益率が低い企業への貸出から住宅ローンなど個人への融資に特化した営業を行ってきたのです。

       

      ここ数年の静岡銀行の企業業績スルガ銀行の企業業績を比較してみるとその結果は明らかです。

       

      直近3年間で静岡銀行は売上こそ増えているものの減益、これに対し、スルガ銀行は売上も利益も右肩上がりで、特に純利益に関してはわずか4年で倍増しています。

       

      しかし、こんな素晴らしい業績が競争の激しい個人向け住宅ローンだけで実現できるはずがありません。

       

      スルガ銀行が提供する人気の固定金利型住宅ローン「フラット35」では返済期間21年以上で融資が9割未満の場合の金利は1.35%。これに対し、ネット銀行などによる最近の貸出では1%を切る商品も少なくありません。当初はブルーオーシャンだったはずの個人向け市場がネット販売の普及とともにレッドオーシャンになってしまっていたのです。

       

      そのような状況の中、個人のみに市場を限定してしまっていたスルガ銀行は、より利益率が高くより貸出金額の多い個人向け融資に営業対象を広げていかざるをえなかったのではないでしょうか。その当然の帰結が、かぼちゃの馬車事件ではないかと感じるのです。

       

      もう数年前になりますが、前述の静岡銀行の担当者がアメリカの飛行機リースを証券化したデリバティブ商品の営業に来て驚いたことがあります。

       

      デリバティブ商品の知識どころか為替の知識さえほとんどない、地元の中小企業担当の若手営業マンがこのような商品を販売しようとしていること自体が驚きでしたが、現在の異常な低金利が続く中、国債買いによる最低の利益確保もできないような状況下では、どの銀行も従来の本業だけでは食べて行けず、高金利のカードローンや有価証券販売に走ったり、自ら株の売買で利ザヤを稼いだりと、慣れない仕事に悪戦苦闘している様子がうかがわれます。

       

      こんな状態が続けば、第二、第三のスルガ銀行が出てこないとは、誰にも断言できないのではないでしょうか?

       

      誰がスルガ銀行を殺したのか? それは5年にわたるアベノミクスだと思います。

      | Yuriko Goto | 日本経済 | 15:55 | - | - |
      「和」を前面に出さなくても、美味しいものは世界に通じる。
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        JUGEMテーマ:経済全般

        シンガポール最大の飲食/ホテル業界の展示会、FHA2018に行ってきました。

         

        40年の歴史をもち2年に1度開催されるアジア最大規模の食品展示会の一つ。国際都市シンガポールらしく70ヵ国以上から4,000以上の出展者を集めて行われており、視察者もアジアのみならず世界各国からやってきます。

         

        会場では実演調理も行われるため、国ごとにグループ分けされたブースのブロックには各国独特の料理の匂いがたちこめてシンガポールにいながらにして世界中の国々を回っているような独特のトリップ感を味わうことができました。

         

        日本からはJETROがまとめ役となって全国各地の名産品が集結。

        WAGYU(和牛)は今や世界の食トレンド最先端でレストランの名前にまで使われるようになりましたが、それに続けと意欲的なメーカーさんや問屋さんたちが熱心に販促に励んでいました。

         

        その中でも、特に黒山の人だかりとなっていたのがここ。

        私の地元、静岡のお茶問屋「おやいず製茶」さんのブースです。​

         

        抹茶はシンガポールでもすでに非常にポピュラーなドリンク(ケーキやアイスクリームなどの食材)になっていてスタバでも販売していますが、日本で現在ブーム真っ最中のほうじ茶ラテや玄米茶ドリンクが知名度がまったくないにもかかわらず大人気。

         

        サンプルを飲んでいた来場者に聞いてみたら、ほうじ茶や玄米茶というお茶は初めて知ったけれど実際に飲んでみたら抹茶より美味しい、と口をそろえて言っていました。

         

        自分自身も業者である彼らが求めているのは「日本」のイメージを追求したコンセプチュアルな食品ではなく、やはり彼らのお客さんに「美味しい」と言って買ってもらえるもの。その意味で「抹茶よりほうじ茶のほうがおいしい」と語っていたのが象徴的だと思いました。

         

        ブースで接客されていた社員さんに聞いたところ、用意した価格表はすべて出てしまったほどの人気。お昼ご飯を食べる時間もないくらい連日ひっきりなしにお客さんがいらしたそうで、改めてすごいなと感心しました。

         

        私も6月からのカフェオープンの際には、ぜひおやいず製茶さんのほうじ茶ドリンクを販売させてもらいたいと思っています。

        | Yuriko Goto | 東南アジアビジネス | 14:54 | - | - |
        インバウンド消費過去最高も、中小企業が本気で輸出を考える時期に。
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          全国百貨店売上でインバウンド消費が過去最高になったというニュースが日経新聞オンラインに掲載されました。

           

          記事によると、3月の全国百貨店売上は5202億円で前年同月比0.1%増。うち約5.6%にあたる290億円が外国人による免税のインバウンド消費で過去最高。化粧品や高額ブランド商品を中心に6か月連続の伸びとなり、前年同月比は約1.5倍の48%増となったそうです。

           

          また富裕層による美術品や宝飾品などの高額消費も増加したということで、全体に非常に景気のいい話に聞こえます。

           

          しかし、気になったのは、売上全体の25%を占める食料品が2%減。また、平均気温の上昇で全体の3割を占める衣料品のスプリングコートやスカーフ、帽子などが好調だったため前年並みに売上が回復したという箇所です。

           

          日本国内で生産を続ける中小の食品製造業者はここ数十年にわたりデフレの波に翻弄され、低利益販売を余儀なくされてきました。その中で生き残りをかけ、高付加価値の商品を開発してパッケージなどにもこだわり、他社の同一商品と差別化を図ってきた業者の最大の販売先が全国の百貨店や高級スーパーだったのです。

           

          これは衣料品も同じで、商店街の専門店が活力を失ってユニクロやしまむらなど郊外型の大型SPA店舗やイオンタウンなどショッピングモールの低〜中価格商品に客を奪われる中、百貨店はこのような店では手に入らない「ちょっと良いもの」を求めてやってくる客層をターゲットに国内中堅ブランドを扱っていました。

           

          ところが、インバウンド消費では国内中小メーカーのこだわり食品は外国人に認知度が低く購買対象になりにくいですし、衣料品も同様。その結果食料品は前年比2%減、好調とわれた衣料品も前年並みにとどまるとふるわない結果となっていますし、日本人の消費のみに限定すればどちらもこの数字以上に減っているのではないかと考えられます。

           

          最大の要因は、団塊世代消費の鈍化と少子化による全体的な消費人口の減少です。

           

          記事の最後は「日本百貨店協会の西田光宏常務理事は「好調な訪日外国人消費は東京オリンピックのある2020年までは続くだろう」との見方を示した。」と締めくくられていますが、では百貨店で商品を販売しているメーカーが2020年以降に生き残っていくにはどうするべきか?

           

          個人的には、ありとあらゆる手段を使って輸出に活路を見出すしかないと思います。

          | Yuriko Goto | 高齢化社会とビジネス | 20:47 | - | - |
          70年代のミュージシャンたちがインドに惹かれた理由が少しわかったこと
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            JUGEMテーマ:スピリチュアル

             

            この週末の3日間、シンガポールの劇場&コンサートホールEsplanadeで「A Tapestry of Sacred Music」という無料イベントが開催されています。

             

            宗教的民族音楽を世界中からキュレーションというなかなか意欲的な試みで、最大の目玉はビザンチン王国の宗教音楽の流れをひくというトルコ人間国宝的なフルート奏者(尺八のような音でしたが)Kudsi Erguner率いるアンサンブルのコンサート。Esplandeのコンサートホールを満員にしての演奏でした。

             

            その他にもチベットの仮面舞踏音楽、韓国のシャーマン音楽、西アフリカの儀式ドラム、シーク教徒による祈りの音楽、中世イタリアのフランシスコ会の聖歌等々、非常にマニアックで滅多に聴けないものが多く、昨晩は夕方から夜遅くまで会場をハシゴしていました。

             

            その中でも一番感銘を受けたのが、インドのベンガル州に古くから伝わる宗教音楽のBaul。

             

            もともとは「狂った」という意味で、修行僧のように楽器以外は何も持たない奏者たちが、村から村を放浪して歌い踊りながら神への賛美を行ったそうです。日本で言えば琵琶奏者のようなものでしょうか。

             

            その現代における第一人者Parvathy BaulがEsplandeのコンコースでパフォーマンス。

             

             

            特にこの「アーノンド」という曲は、Truth in a Joyをテーマにクリシュナとの交歓を表現した歌で、心臓を鷲掴みにして揺さぶられるような演奏に非常に感銘を受け、70年代にビートルズをはじめ多くの欧米のミュージシャンたちが強くインドに惹かれ、インドを聖地として崇めた理由が少しわかった気がしました。

             

            インドのこれから。中国のようにただの経済発展にとどまらず、このようなバックグランドを素地にどんな精神的変革を世界にもたらしてくれるのか、ますます目を離せません。

             

            | Yuriko Goto | インド | 13:54 | - | - |
            第二の仕事人生の要は「何をしないか」
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              JUGEMテーマ:幸せなお金と時間の使い方

               

              昨日の日経ビジネスオンラインに掲載された『あの人はなぜ年齢を重ねても生産的なのか「第二の人生のマネジメント」とは』という記事を読みました。

               

              1年半前に19年間続けた仕事を辞め、昨年からは不定期で専門学校に通っては新たに知識や技術を学びつつ、まったく新しいビジネスを新たに始めた私にとって非常に意義深い記事でした。

               

              ドラッカーは、年齢を重ねるごとに、「何をやらないか」を厳格に決めていました。限られた時間で生産的であるためには、「何をやるか」以上に「何をやらないか」の意思決定が決定的に重要だからです。これも、自分を相対化し、自分という資源の活かし方を知ることで初めてできることです。

               

              筆者がこう述べられているように、第二の人生の仕事とそれ以前の仕事の最大の違いは「使える時間が限られていること」です。

               

              私は今年55歳。平均的な健康寿命75歳である程度仕事の目途をつけようとすると、残された時間はわずか20年。この間に納得できる何事かを成し遂げようと思ったら、無駄にできる時間は一秒もありません。

               

              それをふまえた上で、「何をやらないか」を真剣に考えてみました。

               

              1.不得意なこと

              これまでの仕事人生の中で自分が得意なことも不得意なことも十分理解してきました。そこで、今後は不得意なことをできる限りせず得意なことに集中したいと思います。不得意なことは得意なことに比べて時間がかかるだけでなく無理して続けても良い結果が出ず、ストレスも大きいからです。そうであれば得意なことに集中して不得意なことはまったくしないか、他の人にやってもらうことです。

               

              2.過度なストレスがかかること

              適度なストレスは克己心を養いますが、過度なストレスは健康に悪いだけでなく仕事の能率にも悪影響を及ぼします。私の場合、以前の仕事では移動が多く肉体的のみならず精神的にもかなりのストレスだったため今後はできるだけ移動を少なくし、人間関係でもストレスの少ない仕事をしたいと考えています。

               

              3.ハイリスク・ハイリターンなこと

              高齢になってもいつまでも事業を拡大したいと考える事業意欲旺盛な方がいらっしゃるいっぽう、私を含め多くの一般庶民は老後は心労の種をできるだけ少なくして穏やかに暮らしたいと考えるのが普通です。新しいことへの挑戦は大切ですが、そのためにこれまでの人生で培ってきた大切なもの(家族や蓄えなど)を賭けるリスクは冒せません。ローリターンでも堅実にできる仕事が理想です。

               

              4.配偶者に大きな犠牲を強いること

              第二の人生で最も大切なのは夫婦関係です。第一の人生では子育てやら仕事やらが優先順位の上に来ていたので夫婦もお互いに犠牲を強いられることが多かったですが、今後は配偶者が人生のパートナーとしての重要度を増していきます。お互いの親の介護問題もあり、自分たち自身の健康面でも問題が出てくることも多くなるでしょうから、いざという時には家族のケアに時間を割けるようにしておきたいと思います。

               

              5.人の評価を求めること

              人間の本質として「人から評価されたい」は自然な欲求です。しかし人から認められるために多大な労力を使うより、本当に自分がしたいことだけをする人生の方が最終的には幸せだと思います。上司の評価、同僚の評価、顧客からの評価、友人や知人からの評価とこれまで様々な人々からの評価を求めて仕事に情熱を傾けてきた人でも、第二の人生では自分自身が本当に納得できる仕事を極めた方が意義あるものになると思います。

               

              以上、若い人には物足りなくつまらないと思われるかもしれませんが、人生のさまざまなステージにおいて同じ人間でも肉体的、精神的、心理的な変化により求めるものが違ってくるのだと最近つくづく感じるようになりました。

               

              60代、70代となったらまた考えることも変わってくるのかもしれませんが、ハイデッカーのように体が動かなくなるまでは現役で、できうる限り仕事を続けたいものです。

              | Yuriko Goto | 高齢化社会とビジネス | 21:06 | - | - |
              シンガポールの激安コーヒーバッグはけっこう本格的
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                最近はまっているコーヒーバッグ。

                 

                たまたまいつも買っているコーヒー豆がきれてしまい急場しのぎで近所のスーパーで買ったのですが、意外といけたのでいろいろなメーカーのものを試している最中です。

                 

                このブランドは3パック(1パック20袋入り)セットで$11.2ドル(約920円)なので、1袋あたり15円ちょっとと激安。

                 

                Kopi'Oというのはマレー語で「ブラックコーヒー」で、Only1と書いてあるので砂糖も入っていません。バッグの中には粗挽きのコーヒー豆のみ。

                 

                お湯を注ぐだけですぐコーヒーが飲めます。忙しい朝にはぴったり。

                 

                お味はシンガポールの屋台ホーカーと同じで苦め、香りが強く本格的。酸っぱさはありません。

                 

                私は薄めのコーヒーが好きなので、飲み終わった後ティーバッグみたいにもう一度お湯を注いで飲んだりします。

                 

                ちょっと嵩ばりますが、軽いのでシンガポール土産にも良いと思います。

                | Yuriko Goto | Singapore Food | 19:01 | - | - |
                今こそ問われる直接民主主義の価値
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                  JUGEMテーマ:政治

                   

                  今週月曜日の夜10時頃、シンガポールの国会議員Tan氏(43歳)がMeet-the-Peopleセッション(その地区選出の国会議員が市民と直接話す会)中に若い男に襲撃され軽傷を負う事件が発生しました。

                   

                  動機はまだ不明のようですが、男はすぐに周囲のボランティアらによって取り押さえられ警察に通報。Tan氏は病院で診察を受けた後セッション会場に戻り市民との面接を再開。自分自身を襲撃した男に対しても「問題を抱えていると話していたようでできるだけ今後も彼の力になりたい」と語っているそうです。

                   

                  以前の記事でも書きましたが、シンガポールではこのように一般市民が国会議員に会って直接陳情する機会が確保されています。

                   

                  私が住んでいる地域選出の国会議員にはゴー・チョクトン元首相がいますが、私が直接会って意見を言ったりお願いしたりしたいことがあれば会うことが可能。あらかじめ告知されているMeet-the-Peopleセッションの日に会場に行って列に並べばいいだけなのです。

                   

                  シンガポール国民の多くが政治に満足しているのは、経済成長によって国民生活が豊かになったこと(パン)や、建国記念日のナショナル・パレードを筆頭として無料の娯楽や文化行事が豊富に提供されること(サーカス)に加えて、このセッションによる直接民主主義が非常に大きいと私は考えています。

                   

                  そのため圧倒的多数を誇る与党PAP(People's Action Party)は、過去に数回このような国会議員襲撃事件があったにもかかわらずこのセッションを止めていませんし、今後止めるつもりもないようです。

                   

                  日本でもこのようなシステムがあればいいのに、と常々思っていましたが、最近、史上最年少で市長となった千葉市の熊谷俊人市長(40歳)がツイッターで直接市民と対話する会を定期的に開催していることを知りました。

                   

                  さすがに直接会場があるわけではなくヴァーチャル空間での対話になりますが、誰でも市長に直接意見が言えるのは非常に貴重な機会です。

                   

                  その効果も作用してか、熊谷市長は3期目となる前回の選挙で「過去最高の18万2081票を獲得し、81.3%という圧倒的な得票率」を実現したそう。

                   

                  自国の政治に期待せず選挙にも行かない人々の大半は「どうせ投票しても何も変わらない」という間接政治に絶望している人々だと思います。しかし、政治は私たち市民の日常生活に多大な影響を及ぼすだけでなく、私たちの子どもたちや孫たちの世代にも関わってくるものです。民主主義の根幹である選挙による政治を放棄していいわけがありません。

                   

                  選挙の重要性を取り戻すためにも、私たちが所属する地方自治体や国の政治や自分たちが直面する問題について、私たちを代表して政治を行ってくれている政治家に直接話しそれを政治に反映してもらう直接民主主義の機会がもっともっと増えてほしいと思います。

                  | Yuriko Goto | 日本のこれから | 20:42 | - | - |
                  印僑の時代
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                    JUGEMテーマ:シンガポール

                    シンガポールでインド人人口が増えている事情を前記事でご紹介しましたが、人口増加の一因に家族の移住が挙げられます。

                     

                    若いIT技術者が最初は独身でやってきても、お年頃になるとインドに休暇で里帰りしたついでにお見合い結婚。まず妻がやって来て、次に自分の両親もやってくる。子供が生まれる頃には兄弟も呼び寄せて同居を始め、さらには親戚もやってきてどんどん家族が増えていく...、というようなことが決して珍しくないそうです。

                     

                    華人系の友人に言わせると「インド人は血縁、地縁の結びつきがとても強いから、一人シンガポールにやってくると村中まるごと移住しちゃうのよ」だそう。

                     

                    ある小売店のオーナーも、インド人は本人だけでなく家族全員でお店にやって来ることが多く、1つのものを買うにも家族がそれぞれ違う意見を言うのでまとまらず、数時間接客しても何も買わずに帰ってしまうことが多々あり本当に大変、と嘆いていました。

                     

                    確かにイースト・コースト・パークを散歩していたインド人も家族連れが非常に多かったです。

                     

                    中国人は古くから世界中にチャイナタウンを作り世界に散らばってたくましく生き抜いてきましたが、インド人もやはり同じ歴史をもち、華僑に対して印僑と呼ばれます。インド経済が勃興する中、今後さらにインド人の世界進出が加速しそうな雰囲気です。

                    | Yuriko Goto | シンガポール社会 | 17:54 | - | - |
                    増え続けるシンガポールのインド人
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                      JUGEMテーマ:シンガポール

                       

                      イースト・コースト・パークはチャンギ空港付近から島の南真ん中に位置する植物園ガーデンズ・バイ・ザ・ベイまで続くシンガポール最大の公園です。

                       

                      週末ともなればローラースケートやサイクリング、ジョギングやウォーキングをする人であふれ、公園内に点在するバーベキューピットやキャンプサイトも人気。シーフードレストランやカジュアルレストラン、フードコートもあちこちにあり家族連れや若い人たちで賑わっています。

                       

                      この公園に惹かれて我が家のマンションも徒歩圏内の場所に決めたのですが、ここ数年はあまりにも人が増えてしまったため人混みを避けるようになり、週末の散歩も住宅地から近い公園中心部ではなく、車で空港の近くの周囲に何もないところに行ってから駐車しては歩いていました。

                       

                      たまたま先週末は最寄りのショッピングセンターで買い物のついでだったことと土砂降りの雨の後で人が少なそうだったので、久しぶりに住宅密集地に近い場所を散歩してみました。

                       

                      そこで驚いたのが、インド人の多さ。

                       

                      シンガポール人の人口比率は、華人74.3%、マレー人13.4%、インド人9.1% とインド人はもともと少ない部類。にもかかわらず、公園内で行き交う人の半分近くがインド系なのです。逆に以前は非常に多かった白人の姿がかなり少なくなっています。

                       

                      どうしてしまったのだろうとよく観察してみると、言葉や服装などから判断するにどうもシンガポール生まれのインド系シンガポール人ではなく、インドからやってきた人々のよう。といっても、旅行者ではなく住んでいる様子。

                       

                      一緒に散歩していた夫に聞いてみるとやはり同意見。IT関連企業を筆頭としてシンガポールで働くインド人の数がここ数年非常に増えているといいます。

                       

                      そういえば、先月娘の学校帰りに出会った同級生の一家もインド人でしたし、知り合いの銀行員のシンガポール人女性も最近インド人と婚約したと言っていました。有名どころではシンガポール最大の銀行DBS銀行のCEOもインド人(現在はシンガポールに帰化)。

                       

                      一時はお金持ちの中国人がマンションをはじめあらゆるものを買い漁っている印象が強かったシンガポールですが、現在は静かにインド化が進行している様子です。

                       

                      なぜそうなったのか? 今日の午後お茶をした友人に聞いてみたところ、2005年に締結されたシンガポール/インド間CECA(Comprehensive Economic Cooperation Agreement 包括的経済協力協定)に話が遡るとのこと。

                       

                      この協定、メインの内容は関税の撤廃や二重課税防止、投資保護協定などですが、見逃せない点として二国間の人的交流の促進があります。

                       

                      The cross-border movement of natural persons plays a central role in initiating and supporting trade and investments in goods and services. This chapter enhances trade and investment flows by facilitating easier temporary entry for 4 categories of business persons from India and Singapore:

                      国境をまたぐ人の活動は物およびサービスにおける貿易と投資を開始および促進するための中心的役割を果たす。この条項ではインドとシンガポールの4領域におけるビジネスパーソンの一時入国手続きを簡便にすることによって貿易及び投資の流れを拡張するものである。

                       

                      と、短期滞在や特定業種などのビザ発行を容易にする旨が記されていますが、特に気になるのはインド-シンガポール間の企業内転勤を認めるという項目。シンガポール企業がインドに法人を作ってインド人を雇用すると、容易にシンガポールに転勤させることができるわけです。

                       

                      常にほぼ完全雇用の状態が続いており人手不足に悩むシンガポール企業にとっては願ってもない労働力供給源になりますし、インド政府にとっても中間層が技術先進国シンガポールで働くことにより、これらのホワイトカラー労働者が国に技術を持ち帰ることを期待できます。

                       

                      問題は人気職種を巡ってシンガポール人と外国人間の競争が激化し、シンガポール人の就職機会が奪われること。

                       

                      ここ数年、シンガポール国民からこの点についての不満が高まり、一定の割合でシンガポール人を雇用する義務を雇用者に課すクォーター制の拡充や、外国人への雇用ビザ引き締めなどが行われてきました。そのため日本人や欧米人など外国人がビザを申請しても時間がかかったり取りにくくなっている、という話を聞くようになりましたが、インド人に関してはCECAの手前なかなか表立って規制できていないのが現実のようです。

                       

                      前述の友人によると「もしインド人ホワイトカラーのビザをシンガポールが規制したら、今度はインド政府が建設労働者をシンガポールに出さなくなるでしょう。そうなるとシンガポールの不動産業が立ち行かなくなる。だからインド人は増える一方なのよ」だそう。

                       

                      2024年には中国を抜いて世界最大の人口をもつ国になると言われているインドですが、東南アジアの小国シンガポールの公園でも、そのプレゼンスが無視できないものとなりつつあります。

                      | Yuriko Goto | グローバルビジネスと人材 | 00:28 | - | - |
                      日本の国家公務員給与は本当に高すぎるのか?
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                        JUGEMテーマ:経済全般

                        ■「日本の公務員給与が高すぎる」という偏見に対する私の見解

                        森友学園問題にからみ国税庁長官を退職した佐川氏の退職金が4,999万円と公開され(一般個人の退職金額を公開するのもいかがなものかと思いますが)、高すぎると一部で批判の声が上がっています。

                         

                        また、国家公務員全体の給与が高すぎるという声も根強いのですが、トップ官庁の財務省で2,3位のポジションにある国税庁長官の年収が1,700万円程度が本当に高すぎるのか、森友学園問題や佐川氏の証言内容はまったく別として、私は大いに疑問に思います。その理由を挙げてみます。

                         

                        1.公務員賃金が比較的高いのは男女差が基本的にないから

                        公務員といえば私が学生の頃から、一生働き続けたいと考える女性たちの憧れの職業でした。なぜなら、民間企業と違い基本的に男女差がない男女平等の賃金体系であり、産休制度なども民間企業と比べ格段に女性が優遇されていたからです。

                         

                        このまとめ記事は、日本と海外の平均給与と公務員給与を比べたもので、「公務員 年収 高すぎる」というキーワードでググるとトップに出てきます。各国を比較した上で日本の国家公務員給与は高い、ということになっているのですが、元になっている数字がよくわからず(出典サイトをあたってみても「地球の歩き方」などよくわからないサイトが出てきて数字は確認できません)、OECDの統計数字とはかけ離れています。

                         

                        <まとめ記事の公務員平均年収と国民平均年収> アメリカ合衆国 357万円(国民平均給与額325万円)イギリス 275万円(国民平均給与額240万円)フランス 198万円(国民平均年収180万円)ドイツ連邦共和国 194万円(国民平均年収205万円)

                         

                        <OECDデータの国民平均年間給与額> アメリカ合衆国 60,200ドル(644万円) イギリス 42,800ドル(458万円) フランス 43,000ドル(460万円) ドイツ 46,400ドル(496万円) 日本 39,100ドル(418万円)

                         

                        日本の場合は平均給与が他国と比べて低くなっていますが、これは女性の平均賃金が男性に比べて低く、また女性被雇用者の多くを占める非正規雇用のパートタイマーが平均賃金を押し下げているため。

                         

                        この記事によれば、2014年の男性正規被雇用者の平均賃金は532万円。基本的に公務員には男女差や労働時間が短い非正規雇用(臨時職員を除く)はないわけですから、元となる数字はこれを使わなければおかしいと思います。

                         

                        その上で、この総務省の統計をまとめたこの記事の一般職員の平均給与を見ると557万円で、民間とほぼ変わりません。これは当たり前の結果で、国家公務員の給与は民間と均衡するように人事院が勧告を行うからで、あまりにも高すぎれば引き下げられ、低すぎれば引き上げられるので差がつくわけがないのです。

                         

                        2.東証一部上場企業の役員と比べるとキャリア官僚の報酬は半分以下

                        こちらの記事は、デロイトトーマツが調べた東証一部上場企業の役員報酬額の中央値を紹介しています(2017年)。

                         

                        それによると、会長が5743万円、社長が5435万円、副社長が4399万円、専務が3780万円、常務が3009万円。

                         

                        これに対し、政府発表のこちらの資料では、キャリア国家公務員の最高到達点である事務次官の年収が約2,270万円、次の局長クラスで約1,730万円。会長と事務次官、社長と局長を対比させると、民間に比べると事務次官で半分以下、局長クラスでは1/3以下で常務クラスにも遠く及びません。

                         

                        各省庁のトップも東証一部上場企業トップも、多くは東大や京大という最高学府で机を並べた同期でしょう。その中でも優秀な人ほど国家の将来を担うキャリア官僚としての道を目指したはずです。

                         

                        ところが、30年もするうちに一般企業の道を選んだかつての同窓生たちとこれだけ給与面で差がついてしまうのです。これでも果たしてキャリア国家公務員の給料は高いといえるのでしょうか?

                         

                        また、退職金(一般企業の場合は役員退職慰労金)については最近も廃止している企業も多いですが、役員になる前に一般社員としての退職金はきちんと支払われますし、残している企業(比較的役員報酬が低い企業が多い)では、

                         

                        役員報酬月額×在任年数×功績倍率+功労加算金=役員退職慰労金

                         

                        この公式を使うと(通常の功績倍率は会長・社長が3.0倍、専務2.5倍)、例えば月収300万円(年収3,600万円)で6年間社長を務めた場合、役員退職慰労金が5,400万円と局長クラスの退職金とほぼ同額となり、さらに会長職になればまた慰労金が支払われることになります(前述したように役員になる前の退職金は別勘定です)。

                         

                        佐川氏の約5,000万円の退職金が高いと思うか、と聞かれたら「一般サラリーマンの平均に比べたら若干高い。しかし、彼らと同程度の能力や職歴をもつ一般企業の役員と比べたら非常に低い」と私でしたら答えます。

                         

                        ■公務員の汚職を防ぐには給与を高くするのが最善策

                        アジアの中でも非常に公務員の汚職が少ない国(地域)として認識されているのが香港とシンガポール(アジアでは1位シンガポール、2位日本、3位香港)。その理由は第三者機関による徹底した汚職の摘発によるところが大きいですが、もう一つは国家公務員の給与、特に汚職が可能な立場にあるキャリア官僚などの給与が高いのも挙げられると思います。

                         

                        これは旧イギリス植民地全般にいえることですが、もともと植民地経営にあたる役人には母国から派遣されたイギリス人が多かったため、公務員は給与体系もその他福利厚生も非常に恵まれていることが特徴でした。

                         

                        私が香港に住んでいた中国返還の1997年以前には香港政庁にも多くのイギリス人が勤務していて(ほとんどは返還前にイギリスに帰国しましたが)、民間とはケタが違う高給をはじめ、ヴィクトリア湾を見下ろす高給アパートメントの官舎、子どものイギリス留学費用などさまざまな特権を付与されており、香港人の高級官僚も同じ特権を享受していました。

                         

                        シンガポールはそこまで極端ではないですが、この投稿サイトでもわかるように民間に比べて給与が悪いことは決してなく、中途で民間から公務員になって高給をはんでいる人もいます。また、キャリア官僚では数千万円から億という民間に負けずとも劣らない金額の人も珍しくありません。そのくらいの給料を払わないと優秀な人材を惹きつけられないのです。

                         

                        逆に、アジアの多くの国で公務員の汚職が非常に多いのは、公務員の給料が民間に低すぎるため汚職をしないと(例えば交通違反の切符を切る代わりに賄賂を渡すとか、通関書類の間に札を挟んでおくとか)普通の生活が成り立たないせいだと言われます。彼らにとって、賄賂のお金はアメリカのウェイトレスのチップのようなものなのです。

                         

                        日本では通常の汚職が少ない代わりに非常に長い期間にわたって、公務員の天下りが行われてきました。この天下りによって、役所と強いパイプをもつキャリア官僚たちの民間との賃金格差をある程度埋めることができていたわけです。

                         

                        この制度は正式に廃止されにもかかわらず、実質的には継続されていましたが(前川元文部省事務次官はこの責任をとって辞任)、年金支給年齢が繰り延べられる現在、今後はキャリア官僚たちの天下り以外の再就職先をどう確保していくかが議論されなくてはならない状況になっていると思います。

                         

                        汚職がなくクリーンで、しかも有能な人を公務員として私たちが雇用したければ、当然、そういう人々を惹きつけられるだけの給与や退職金、福利厚生を含めたパッケージが必要なわけで、政治の問題でも公務員が個人攻撃され、プライバシーにかかわる退職金額まで公開され、退職後も再就職先がない、というような職場では誰もそこで働きたいと思いたくなくなります。

                         

                        今後日本の困難な時代を乗り切るために粉骨砕身して国家のために働く公務員(Civil Servant=公民の召使)が安心してその職務に専念できるように、「公務員の給与が高すぎる」などという根拠レスなバッシングはぜひやめてほしいと思います。

                        | Yuriko Goto | グローバルビジネスと人材 | 18:40 | - | - |
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