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ASIAN NOMAD LIFE2018.09.27 Thursday
IT弱者を救え! リタイア・シニアに幅を広げるシンガポールのリカレント教育
JUGEMテーマ:シンガポール ※シンガポール東地区の生涯学習センター。勤労者向け各職業訓練学校が入居している他、就労相談なども行っている。
人生100年時代を迎えた今日、国民に広く職業学習の機会を提供し、生涯現役で働くためのスキルアップ教育を目的に巨額の予算を投じて始まったシンガポールのSkillsFutureプログラムが、ここに来て新たな展開をみせています。(ちょうど1年前にこのプログラムについては詳しくご紹介したのでこちらの記事をご参照ください)
それは「Seniors for Smart Nation」というプログラム。
主として50歳以上の国民を対象に、スマホやタブレットの活用法を教えてIT弱者になりがちな高齢者のITスキルをレベルアップしようという試みです。
通常のSkillsFutureプログラムは写真の生涯学習センター内のコースをはじめ、各種学校のコースがほとんどですが、こちらはCC(コミュニティーセンター)というシンガポール全土にネットワークをもつ公民館で開催されるので受講の敷居が低く、約30時間の履修で日常生活に必要な一通りのITスキルを身につけることができます。
コース詳細はこちらのページからダウンロードできますが、WeChat、Instagram、Facebook、WhatsApp(シンガポールでよく利用されているLINEのようなSNS)の使い方に始まり、ネットショッピング、オンラインバンキング、キャッシュレスペイメントの他、シェア自転車やグーグルマップの使い方まで庶民の日常生活に必須のアプリの操作方法を教えてくれます。
中でも特に重要だと思われるのが、SingPassというオンライン住民サービスIDの使用方法を教えてくれる講座。
NRIC(National Registration Identity Card)はシンガポール住民であれば必ず所持を義務付けられる身分証明書(日本でいうマイナンバーカード)ですが、最近はこれに加えてSingPassというオンラインIDも公共サービスを受けたり納税などの際に必要になってきています。
例えば、私は今年55歳になったのでNRICの更新が必要になりましたが、オンラインで更新申し込みをするようにという通知が郵送されてきた後、SingPassを使用して自分で政府サイトにアクセスしてから必要事項を入力し、写真やパスポートコピーなどを添付しました。5年ごとに更新している再入国許可の申請も同様。すべてSingPassを使ったオンライン手続きで、出入国の際に必要な許可証は自分でサイトからダウンロードしてプリントアウトします。
以前なら使い方が分からなければ直接、移民局などに行って聞いたり、窓口で申請したりすることができたのですが、最近はこのような窓口サービスがどんどんなくなっており(オンライン・ターミナルはCCなどに設置されており、24時間アクセスできるところもあります)、「やり方がよくわからないから窓口で聞いてみよう」という方法がとれなくなっているのです。ちなみに通知書には問い合わせ先の電話番号さえ書いてありません。
つまり、IT弱者のままでいるということは、イコール通常の市民生活が営めないということ。そんな人たちをすくい上げて国としてIT化を推進しようというのがこのプログラムの目的であり、そこに国民全員に付与される年間500ドル(約4万円)のSkillsFutureプログラムのクレジットが使えるということでインセンティブも与えているのです(このポイントは使わないと自動的に消滅してしまうので、「もったいないから使おう」と考えて実際にプログラムを受講する国民が年々増加中です)。
そもそもは優秀な外国人労働力に負けないスキルを国民に身につけさせようという就労支援目的で始まったSkillsFutureプログラムが、IT弱者のシニア教育に裾野を広げてきた中、今後どんな展開をみせていくのか、たいへん注目しています。 |
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