ASIAN NOMAD LIFE

日本、香港、中国で生活・仕事をしてきてシンガポール在住8年目。
子どものプレゼンテーション能力を高める“Show and Tell”授業
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    JUGEMテーマ:国際社会

    先週末、日本政府の青年交流プログラムでシンガポールを訪れていたある国立大学の工学部の学生さん2人をホームステイ受け入れしました。

     

    ホームステイ受け入れボランティアは日本に住んでいたときからずっと続けていますが、男子学生さんは初めて。子供がなつくかどうか少し心配しましたが、2人とも初めての海外とは思えない流暢な英語で話しかけては遊んでくれ、滞在していたホテルに戻った後には娘が「今度はいつ遊びに来るの?」と聞くくらいまでなついていました。

     

    ■内容は素晴らしいのに伝え下手な日本の若者

    3日間のホームステイも無事終わり、プログラム最終日の昨日、学生さんたちによる総括プレゼンテーションがあるというので、他のホストファミリーと一緒に聞きに行きました。

     

    日本、シンガポールの各政府関係者、交流プログラムを行ったシンガポールの大学の学生さんたちなどを招待して行われたプレゼンテーションでは、40人ほどの学生たちがそれぞれ、プログラム中の気づきや、今後のアクションプランなどを紹介。さすが大学生だけあって短期間にしっかりと国家システムや文化などを理解すると同時に、今後、どのようにこの経験を活かしていくかなどがデータや写真と共に英語で説明され、こんな若者たちが頑張ってくれるのなら日本の将来はまだまだ捨てたものじゃないな、と大変心強く思いました。

     

    ただ一つだけ残念だったのが、プレゼン能力です。

     

    メモを片手に棒読みしてしまったり、強調したいポイントをせっかく大きな声で話しているのにスクリーンのほうを向いたままだったり、会場から質問をもらっても照れ隠しのためか笑ったまま話すのでよく聞き取れなかったり・・・。

     

    英語の文法はしっかりしていますし、発音も悪くない。話の構成もきっちり整えられているので、言葉や内容の問題というよりは、「伝える」という技術の未熟さのせいではないかと感じました。

     

    ■思わず舌を巻いたシンガポール小学生のプレゼンテーション

    日本の若者たちのプレゼントは対照的に、思わずうなるほど素晴らしいプレゼンを受けたのは昨年の10月のこと。シンガポールのアート・コンテストで入選した作品を観にいったとき、実際に制作にあたった小学4年生の子供たちからでした。

     

    私の娘が通う小学校のあるクラスの作品(個人ではなくクラスごとの制作です)もこのコンテストに入選したため学校から案内があり、家族でシンガポール国立美術館まで観に行ったのですが、そこには生徒たちが大勢詰めていて、観にきた人々に「作品を説明させてください」と自分たちからアピールしていたのです。

     

    「環境にやさしい生活方法をどう啓蒙するか」や「他民族国家シンガポールに必要な人々の団結」などかなり高度な概念を、それぞれ5分ほど作品を示しながら、また「自分はこう思う」などと個人的意見も織り交ぜ、こちらの目を見て伝わっているか確認しつつ、堂々と語ってくれました。

     

    展示は10校ほどでしたが、このようにいろいろな生徒からプレゼンされたため(ときには1作品何人もの生徒からアプローチもされ!)、決して広くない会場を回りきるのに1時間以上の時間がかかってしまいました。それにしてもたった10年しか生きていない子供たちの見事なプレゼンぶりには、思わず舌を巻かされました。

     

    ■プレゼン能力を高める“Show and Tell”教育

    このように堂々と自分の意見や考えを表現できる子供たちが特別かというと、決してそうではありません。その秘密は教育にあることが最近わかってきました。

     

    生徒たちのプレゼン能力を向上させているのは、小学校低学年の英語(つまり国語)の時間に行われる“Show and Tell”というカリキュラムです。

     

    例えば、「私の好きなもの」というタイトルの場合、自分の好きなおもちゃを見せながら、どうして手に入れたものなのか、なぜ好きなのか、それを使ってどう楽しんでいるか、などを数分かけて説明します。本番は一度だけですが、家やクラスでリハーサルを何度も行い、いかに効果的に、わかりやすく、「伝える」かという技術を習得していくのです。

     

    シンガポール人はふつうに付き合っている分には自己主張の強さをそれほど感じませんが、人前でスピーチしたりプレゼンしたりするのが苦手という人は決して多くありません。それは、子供の頃からこのような授業を通じて、論理的な話の組み立て方や、効果的な伝達方法という技術を学んできているからではないかと思います(幼稚園のカリキュラムに”Show and Tell“を取り入れているところもあるようです)。

     

    産業の発展に不可欠なイノベーションは、さまざまな考え方やバックグラウンドをもった人々がそれぞれ異なるアイディアやシステムを共有・蓄積することによって起きていくものであり、個人間の伝達力は必須です。

     

    反対に、今回の日本の学生さんたちのように、シンガポールという異文化に触れることによりせっかく素晴らしい経験や気づきを得られても、表現力が未熟だと、相手に感銘を与えたり、共感してもらうことが困難になってしまいます。

     

    また、ビジネスでなければまだ「残念」ですみますが、競争社会では大きなマイナスポイントになることは必至。日本のビジネスが現在のグローバル環境の中で一歩遅れをとってしまっているのも、一つはこのあたりに原因があるのではないかと思います。

     

    Show and Tell”はもともとは欧米由来の教育法のようですが、ぜひ日本でも小学生のうちから採用してはどうかと思います。シンガポールの小学校では、今年から、日本の伝統的な教育方法の一つである「生徒による掃除」が採用され、親たちに好評です。

    | 後藤百合子 | グローバルビジネスと人材 | 19:00 | - | - |
    納税回避に我慢できなくなってきたEU諸国
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      JUGEMテーマ:国際社会

      i-phone7の発表で世界から注目を集めるアップル。このところ低迷していた株価も若干持ち直し(昨日また下がっていますが)、ここ数日はナスダック指数を引き上げるなど米国株式市場にも貢献しています。

       

      時価総額が2位のグーグル(アルファベット)と約400億ドル、3位マイクロソフトとは1000億ドル以上の差をつけてダントツ世界一の大企業アップル社ですが、これもまた巨額の純利益の源泉となってきた本業以外の財務活動に現在、黄信号が灯っています。先月、EUがアップルのアイルランドでの事業に対し130億ユーロ(約1.5兆円)の巨額の追徴税を命じたのです。

       

      EUコミッショナーのマーガレッテ・ベステガー氏はこのインタビューで、ドイツ、フランス、スペインなどEU諸国での売り上げすべてをアップルはアイルランドのペーパーカンパニーで申告している、その理由はアイルランドの法人税率が12.5%と圧倒的に低いからであり(ちなみにフランス34.43%、ドイツ30.18%、スペイン25%)、納税回避目的であることは明白、と語っています。

       

      確かに、売り上げが発生した国で納税するというのは税務の常識であり、EU側の言い分はわかりますが、アイルランドは2010年の財政破綻以降、この極端な低税率を武器にアップルをはじめグーグルやフェイスブックなどの米企業を誘致し経済再生を図ってきた実績があり、もしこの判決に従ってこれらの企業が国外に出てしまったら国家として死活問題となりますので、即座にEUに提訴しました。しかし、判決次第では、EUのみならずアメリカ企業の業績にも甚大な影響は避けられないでしょう。

       

      同じく、多国籍企業の納税問題については、2日、オーストリアのケルン首相が「スタバなどの多国籍企業の納税額は屋台より少ない」と批判しました。ここでも名前が挙がっているのは、やはりスターバックスやアマゾンというアメリカの巨大企業です。

       

      いっぽう、英ガーディアン紙によると、7日、デンマーク税務大臣が一部のパナマ文書購入に対し9百万クローネ(約1億4千万円)を支払う予定であることを公表しました。まだ支払いは実行されていないようですが、関係する全文書を入手の暁には、パナマのモサック・フォンセカ法律事務所を通じて税逃れをした、数百人のデンマーク人についての脱税調査を行うとされます。

       

      政府がパナマ文書に関する情報を直接購入するのはこれが初めてということですが、ヨーロッパ各国政府に同様の動きが広がっており、企業ばかりか個人の海外への資産フライトにも非常に神経質になっている様子がうかがわれます。

       

      ドイツやイタリアなど代表的なEU諸国は、日本と同じく少子高齢化により社会保障コストが増大しているのに加え(フランスは出生率が回復していますがそれにかかるコストはまた膨大なものになっています)、中東や北アフリカ諸国からの難民の受け入れコストや頻発するテロに対抗する安全対策費用など、国家負担が年々重くのしかかってきています。表向きはテクニカルな納税地問題に聞こえますが、実際には「アメリカ覇権主義の結果起こった問題の尻拭いをさせられているのに、さらに米国企業の利益を上げるために利用されているだけなのか」という本音が透けてみえるような気がします。

       

      ブロック自由経済、通貨統合という歴史的な実験に踏み切ったEU諸国ですが、ギリシャ経済危機問題やイギリス離脱問題のみならず、根本的にそのシステム、のみならず存在理由自体が見直される時期に来ているのかもしれません。

       

      | 後藤百合子 | グローバルビジネスと人材 | 12:03 | - | - |
      AI時代をサバイバルするための家庭教育を考える。
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        ■20年以内に確実にやってくるAI時代

        日経ビジネスオンラインのソフトバンク、孫正義社長のインタビューを読んで興味が沸き、「日経ビジネス 8月8日・15日号」も買って読んでみました。

         

        特に興味深かったのは英半導体メーカー、アーム買収の意図について。「まだ言いたくない。どうせ信じてもらえないし」と口を濁しつつも孫さんが語るのは、世界中のありとあらゆる場所にCPUが配備され、通信網につながってデータがやり取りされて蓄積され、また個々の人間やロボットにつながり、それを統合するAI(人口知能)がシステムをコントロールし、自ら考えながら進化して世界をデザインしていく・・・。まさに映画「マトリックス」の世界です。

         

        ただ、「マトリックス」と違うのは、孫さんがその世界をダークなものではなく、人間を幸福にするシステムとして構築したいと強調していること。いみじくも孫さんは「20年後にはアームのCPUが1兆個、地球上にばらまかれる」と語っていますが、その時彼は80歳。おそらくそのくらいのタイムスパンである程度の完成を見るように、スケジュールを組んで全体を構想しているのではないかと推察しました。

         

        ■人間でなければできない仕事がどんどんなくなっていく・・・

        8月16日、米フォード自動車が、2021年までにハンドルやアクセルのない完全自動運転車の量産を開始すると発表しました。

         

        この分野ではフォードのみならず、トヨタやメルセデス他、各国の自動車メーカーが巨額の資金をつぎ込み、熾烈な開発競争を繰り広げていきますが、フォードCEOは「自動運転車のインパクトはフォードが100年前に始めたベルトコンベヤーによる自動車の大量生産に匹敵する。この変化の一部は我々がリードする」と、この技術が単なるイノベーションではなく、自動車製造のコンセプトそのものを変革するものだと強い意気込みをみせています。

         

        そして、この技術が晴れて完成したあかつきには何が起こるのでしょうか?

         

        まず、タクシー運転手が職を失うでしょう。次は長距離トラック運転手の番になります。バスや電車の運転手も不要になっていくかもしれません。しばらくの期間は法律で人間が同乗していないと運転できないよう規制できるかもしれませんが、人間が関与してもしなくても事故率が変わらないことが証明されれば、法改正して無人運転を認めざるをえなくなるでしょう。これにより、世界中で恐ろしい数の失業者が出てくるはずです。

         

        こちらは、ダイヤモンドオンラインに掲載された、今後、AIの発展によって機械が人間にとって代わり、人間から奪われていくだろう仕事の一覧です。上述のドライバーはもちろん、小売店販売員、一般事務員、軽作業や工事現場の作業者など、一般にあまり専門的なスキルがなくてもできると考えられている職業から、会計士、通関士、保険販売代理人、上級公務員など、専門知識が必須で高度な職業訓練が必要とされている職業まで、これではいったい20年後の人間は何をしたらいいのだろう? と考えこんでしまう内容です。

         

        ■羽生三冠もいつかはAIに敗れる。

        来年春、天才棋士羽生三冠が、トーナメントで勝ち残ったコンピュータソフトと対戦する可能性が高まってきました。

         

        孫さんは囲碁で7手先を読むといっていますが、羽生三冠クラスの棋士になるとふつうでも20〜30手、変化を含めるなど場合によっては200〜300手も読むといいます。昔、まだ羽生三冠が天才中学生と一部でもてはやされていた頃、日曜日にNHKでオンエアされる将棋対戦をよく見ていたのですが、当時の彼の将棋の特徴は、相手の手を読みに読んだうえで、誰にも理解できないような唐突な手を打ってくるところにありました(一度など、解説をつとめていた加藤一二三棋士がその手のあまりのわからなさに狼狽して、解説譜面をぐちゃぐちゃにしてしまうというハプニングが起こったことがありました)。

         

        しかし、当時を振り返って羽生三冠が語っているのは、「若いころはよくわからなかったのでとにかく読むしかなかった」という言葉だそうです。つまり、唐突な手は唐突でも何でもなく、すべてを読みこんだうえでの最良の手だったのです。

         

        今年、勝ち残ってきたソフトは、昨年の優勝者、山崎八段に2勝しているそうです。羽生三冠はまったく違うレベルの棋士ですので、まだソフトとの勝負に勝つ可能性は高いと思っていますが、ソフトが羽生三冠の思考パターンを学習し、孫さんのいう「ディープ・ラーニング」によって自己進化を遂げていけば、いつか羽生三冠が敗れる日が必ずやってくるでしょう。それは、人間があくまでも肉体に囚われた有限なものであるのに対し、AIは制限がない、どこまでも進化していける可能性を本質的にもっているからです。

         

        ■機械に本来備わっていない身体と感情を豊かにする体験教育

        20年後、現在7歳の我が家の娘は27歳になっているはずです。

         

        彼女が27歳になったとき、どんな職業に就いているのか(どんな職業があるのか)見当もつきませんが、現在、その年ごろの一般的な女性が就いている職業のおそらく半分くらいは、上のリストに入ってしまっています。大学受験のためにクラスメートと競争するどころか、彼女の年齢の子供たちは、これからAIとも競争していかなければならないのです。

         

        私は、その時代を生き残るために必要な技術は、決して詰め込み式の知識教育ではないと思っています。自分自身はかなりの時間とお金をかけて外国語やビジネスの知識を学んできましたが、娘の時代にはそんなことをせずとも、自動翻訳機が瞬時に働いて言葉の障壁がなくなり、同様に、専門的な技術や法律の知識も、自分であちこち調べなくとも、コンピュータが一瞬のうちに最良の解を提示してくれるでしょう。

         

        その中でAIと差別化するためにできることが何かといえば、私は、体験に基づく身体性と感情の発達を促すことではないかと思います。

         

        機械が機械である限り、有限な肉体をもつ人間とは根本的に違います。また、感情は肉体をもつことによって派生してくるものです。AIの「知」が絶対にもちえないもの、それは体を動かして何かを創造したり体験したりする喜び、他者とかかわることによって生じる喜怒哀楽の表出と他者との感情の交流ではないでしょうか。そして、それを得るためには、学校や塾で先生の話をただ聞いたり、コンピュータの前に座って知識を広げているだけではなく、外に出て、実際に自然や人間に積極的に出会っていくことこそが必要なのだと思います。

         

        PEPPER君はかなりの皮肉屋だそうですが、人間の細かい感情の機微や、身体に直結する感情の起伏などは、どんなに頑張っても2,30年といった短いスパンでロボットに学習させるのは私は無理だと思います。社会の中でAIにとって代わられるのではなく、AIを自分自身の幸福追及に利用していくだけの逞しさと知力をもつ人間に育ってもらうために、これから具体的に、娘にどんな教育を与えていったらいいのか、真剣に考えなくてはいけないと思っています。

        | 後藤百合子 | グローバルビジネスと人材 | 18:49 | - | - |
        若者のディベートにみるダイバーシティ社会
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          7/27〜8/6まで、シンガポールでWorld School Debating Chanpionship 2015というイベントが開催されていました。このイベントは、世界中から集まった14歳から19歳までの若者たちが、国別に分かれて英語でディベートを行うもので、英語が母国語の国からはもちろん、パキスタンやギリシャ、ペルーなど英語が外国語の国からも思春期の青年たちが参加して競いあいます。私は初めて観たのですが、1988年から毎年行われている、歴史ある大会のようです。

          実際の大会は終了していますが、昨日TV放映されたのは準決勝で、カナダとオーストラリアチームの対決でした。テーマは「ISISの問題はアラブ諸国に任せておくべきか?」で、オーストラリアチームは賛成、カナダチームは反対の立場でディベートが開始されました。

          各チームの選手は3名。それぞれ持ち時間8分で、いかに審査員を納得させるかで勝敗が決まります。いかにも優等生な顔つきの選手たちは、オーストラリアチームは全員が白人で男子1人、女子2人、カナダチームは白人の女子1人、インド系の男子1人、中国系の男子1人の構成でした(2名は補欠選手で登場なし)。

          まずは賛成のオーストラリアチームから。男子1人がきれいなクィーンズイングリッシュで機関銃のように話し始めます。その間、女子2人は相手の反論(質問・反論が1度だけ許される)の様子を見ながら、足りない点や問題点などを洗い出して、そこを自分たちの番で補完していきます。「さすが、世界から選ばれてきた頭のいい子たちは違うなー」としみじみ思わされたのですが、反対のカナダチームのトップ、紅一点のローリー・フリンさんが話し始めた途端、会場の空気が一変しました。

          とにかくすごい!の一言。決して大きい体ではないのですが、堂々と意見を主張をする姿はそのあたりの小物政治家よりずっと輝いています。身振り手振りを交えながら「なぜISISのことを自分たちの問題としてとらえなければならないか」を滔々と説明。何よりも印象的だったのは、彼女の相手を真摯に説得しようとする態度(演技?)です。オーストラリアチームが冷静に世界情勢を分析し、どちらかといえば客観的な観点から議論を進めていたのと正反対で、ローリーさんの議論は、「私たちが、自分たちの問題として、いま、ここで」考えること、が重要だと強調します。男子2人も基本的には同じスタンスで鮮やかな主張を展開しましたが、やはりローリーさんの圧倒的な迫力には負けていました。

          結果はカナダの勝利。シンガポールと対決する決勝に進みました(優勝はシンガポールです)。

          2つの国の若者たちの討論を見ていて思ったのは、出身国の違いがこのディベート能力の違いを産んでいるのではないかということです。オーストラリアもカナダも言わずと知れた世界有数の移民大国。ある統計によると、2012年の移民割合は、カナダが26%でオーストラリアが25%。また、トロントやバンクーバーのような大都会では外国生まれの市民が人口の40%以上いるとも言われます。

          しかし、今回のチーム構成を見てもわかるように、オーストラリアは「白豪主義」を長期間とってきた結果、まだまだ白人至上主義が残っており、トップを切ったのも白人男子。逆にカナダは、人種差別がほとんどなくダイバーシティー(多様性)が進んだ国で、出場した3人全員人種が違い、トップは女子でした。

          移民国家とは、住む人の出身国や宗教や信条や道徳規範などが違う社会です。倫理観はもちろん、食べ物も生活習慣も違う人たちが集まって国家を形成しています。その中で国家としてどうしても意思統一が必要な場合、ローリーさんのディベートのように、私たちは違う人間だけれど、しかし、今、ここで、何をなすべきかを自分たちで考えて意見をまとめていこう、という強い意志とリーダーシップが大切なのではないかと思うのです。そして彼女の言葉に納得したやはり国も信条も違う審査員や聴衆たちが、強く彼女に共感したのではないでしょうか。

          本日は準決勝2日目、アジアから選ばれたシンガポールとパキスタンの若者たちが「言論の自由」について討論する予定です。夜のテレビ番組をとても楽しみにしています。
          | 後藤百合子 | グローバルビジネスと人材 | 11:58 | - | - |
          「デモに参加すると就職に不利になる」と言われて参加を取りやめる学生は採用されない。
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            デモに参加すると「就活が不利になる」 SNSや掲示板で拡散する話は本当なのか」という記事を読みました。この記事によると、福岡県のある市議の方がブログで「デモ参加者の多くが就活で『不本意な結果』に終わると指摘」され、多くの議論が起きているそうです。

            反対意見のほうが多い模様ですが、私もこの方のブログを拝見し、多くの経営者が考えているであろうのとまったく違うことをおっしゃっているので驚きました。そして、このような意見を真に受けて「デモに行かない」選択をする学生こそ、企業が採用したくない人材であると思ったのです。

            以下、その理由を書いてみます。

            1. 人に言われて簡単に自分の行動を左右される人は、仕事でも同じことをする。

            内容が反政府・親政府にかかわらず、合法かつ反社会的なものでなければ、デモへの参加は自分がもつ信念の表明であり、憲法で保証された権利の行使です。それを他人の言動によって「自分の不利益になるかもしれない」と止めてしまう人は、仕事でも同じことをする可能性が高いと思います。

            こういう人は、会社の方針が「値引きをしない」と決まっていても、お客さんに「どうしても」と言われてしまうと会社に内緒で勝手に値引きしてしまうかもしれません。また、自分に都合が悪くなるような事態が起これば、いろいろな理由をつけて自分の保身だけを考えるでしょう。

            このような人がいると、チームワークが乱れ、関係する部署やお客様からも不満が噴出してきます。結果的に、会社に大変な不利益がもたらされるのです。

            2. 「現状を打開したい」という気持ちがなければ、「カイゼン」も「イノベーション」も生まれない。

            デモに参加しようという行為は、現状に不満があり、それを何とか打破したいと考えた結果だと思います。このような気概は日々の仕事の中で絶対に必要な条件です。

            「現状はこうだけれど、ここを何とかしたい」「こうしたらもっと製品やサービスが良くなるのではないだろうか」と考え、実行に移していくことこそ、仕事や製品の改善や新製品などのイノベーションにつながるのです。

            経営者にとって一番困るのは、「今までこうしていたからこうしています」「先輩にこういわれたからこうしています」と、人から言われたことを鵜呑みにするだけで、自分自身の頭を使って考えずに惰性で仕事をする人です。逆に、「これはおかしい」「ここを変えたい」と思う気持ちをもつ人のみが、仕事を変え、会社の業績を伸ばしてくれる人なのです。

            3. 「自分だけが安泰であればいい」という気持ちをもつ人は、会社を潰し、自分も滅ぶ。

            上司から言われたことを素直に実行する人は、一見、良い組織人、良い社員に見えるかもしれません。しかし、長期的に見れば、ただ唯々諾々と命令に従うだけの人は自分自身の身をも滅ぼしかねません。

            今、問題になっている東芝の粉飾会計にしても、上司から粉飾を指示され(詳しい内容はわかりませんが、一例として部品を実際よりかなり高く関連会社に売り、その分を製品価格に上乗せして買い戻していたことなどから、誰にでもわかる粉飾だったと思います)、自分自身の保身や出世のために素直に従ってきた人は、リストラや失職など、最終的には非常に不幸な結果に終わるでしょう。最悪の場合、法的責任を追及されるケースもありうるのです。

            「ただ上司の命令に従っていたのになぜ?」と思われるかもしれませんが、「ただ従う」行為が会社を潰し、自分をも滅ぼす行為となる可能性があるのです。


            我が社でも、面接時にデモの参加経験はもちろん、政治信条や宗教などを聞くことはありませんが、筆記試験で必ず時事問題について書いてもらいます。ここでも、信条がどうかを問うことはありません。しかし、その問題についてその方がどう考えているか、そして自分自身の生活や行動にどう影響しているのかをきちんと把握しているかどうかを見ているのです。


            また、シンガポールや香港の求人広告では、欲しい人材の条件として「Self-starter」という表現がよく見られます。これは「自分自身で考え、行動に移していける人」という意味です。逆に「上司の命令をそのまま実行してくれる人」や「人の意見に素直に従う人」というような求人には出会ったことがありません。

            「自分自身で考え、行動できる人」。経営者が欲しい人材はこの一言に尽きるのです。

            | 後藤百合子 | グローバルビジネスと人材 | 19:43 | - | - |
            壮大なスケールのインド、スマート・シティ構想とソフトバンクの戦略
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              今月25日、インドのモディ首相が国内100か所の「スマート・シティ」建設計画を発表しました。
               
              626日付のシンガポール紙The Straites Timesによると、インドの都市人口は2050年までに現在の総人口比31%から50%にまで増加することが予測され、スマート・シティ構想は2022年までに既存、新規建設を含めた100都市で、十分な水と電力供給、良好な衛生環境、効率的な公共交通、良好なインターネット環境、女性と子供に安全な環境、手の届く価格の住宅供給などをめざしています。
               
              発表にはインド500都市の代表が参加。1718の国にプロジェクト協力国となってもらい、4,800億ルピー(約9,300億円)を政府が拠出する予定。しかし、ある民間の推定によると全体で1兆USドル規模になるだろうとのこと。あまりのスケールの大きさに一部には「本当に実現可能性はあるのか?」という疑問の声もあるようですが、モディ首相はあくまで強気で「外国資本を呼び込みたい」と投資環境整備にも意欲的です。
               
              この発表に先立つこと3日の22日、ソフトバンクの孫社長がインドのブハルディ社スニル・ミタル会長とニューデリーで記者会見し、もう1社を加えた3社共同でインドで200USドル(約24,600億円)規模の太陽光発電事業を始めると発表しました。
               
              ブルームバーグニュースによると、この事業が軌道にのればモディ政権が掲げる石炭エネルギーへの依存を減らし、太陽エネルギー利用を現在の4.1ギガワットから100ギガワットにまで高めるという計画の20%をまかなうことができるといいます。
               
              さらに同日、モディ首相は、孫社長とミタル会長、さらに日本銀行職員の4者会談の様子をツィートしました。
               

              ブハルディ社のミタル会長は、1976年に兄弟2人とともに自転車製造会社を起業。1995年には通信事業に進出するいっぽう、ウォルマートと組んだ小売業や保険業なども手掛けるなど、一代で巨大コングロマリットを築いた孫さんとよく似たバックグラウンドをもつ人物。興味深いことに、今回のモディ首相のスマート・シティ構想にも「歩行者と自転車に配慮」と謳われています。
               
              インドの携帯電話キャリアではブハルティ社のAirtelが2位のボーダフォンと14ポイント以上の差をつけてシェア約33%を握り、契約者数約2憶3千万人とトップ。こちらはシンガポール・テレコムが32%出資の合弁会社ですが、今後、ソフトバンクが太陽光発電供給のスマートグリッドを武器にインド通信事業参入への可能性も十分にあるのではないかと思います。
               
              今月は、ソフトバンクの後継者とされるアローラ氏への巨額報酬が大きな話題になりましたが、来年にも中国を超えて世界最大の人口大国になる可能性があると言われるインドで、株主承認不要の潤沢な資金を使えるということは、今後のソフトバンクのインド事業展開にとって不可欠な戦略だったのかもしれないと妙に納得しました。
              | 後藤百合子 | グローバルビジネスと人材 | 12:53 | - | - |
              1日15分、3,996円でTOEIC700点のビジネス英語をマスターする方法
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                JUGEMテーマ:海外進出
                最近、私の周囲でも「海外営業でどうしても英語が必要なので、英会話学校に通って必死に勉強している」と嘆くビジネスマンが増えてきました。
                 
                通常の量の仕事をこなしながら何とか時間を捻出して学校に通い、家族との時間や睡眠時間を削ってまで勉強する努力には頭が下がりますが、同時に、もっと時間やお金をかけずに簡単に実践でビジネス英語をマスターできる方法があるのに、と残念に思います。
                 
                ただでさえしなければならないことが山のようにあるビジネスマンが必要に迫られてビジネス英語をマスターしなければならない場合、最低限の時間とコストで、実戦で使えるビジネス英語を使えるようになるコツをお伝えしたいと思います。
                 
                ■ビジネスメールに不可欠なのは読む・書く最低限の英語力のみ
                日本国内でも同様ですが、国際ビジネスのやり取りの大半はメールです。電話で会話する必要性はごく少数の例外を除き、皆無と言ってもよいでしょう。
                 
                メールのやり取りで必要な英語力は「読む」力です。ただ、「読む」といってもしょせんメールですので、相手は論文のように複雑難解な文章を書いてくるわけではありません。「簡潔に」「要点を絞って」書くのが世界的な常識です。
                 
                最近はビジネスメールもスマホで送る人が増えてきていますのでより短く、定型的になっています。ですからビジネスメール読解には最低限の英語力と、業界の専門用語さえわかれば読解は決して難しくありません。
                 
                返信も同様です。こちらもメールの定型に則って最低限の英語さえ書ければ、必要じゅうぶんなメールのやり取りはできます。
                 
                ■商談や展示会では聞く力がポイント
                外国人とのビジネスで最大の難関は、商談や展示会など実際に対面して会話をする場面でしょう。「言葉が通じなかったらどうしよう?」とずいぶん前から戦々恐々としている方も多いと思います。
                 
                しかし商談は、基本的には自分の最も得意なビジネスの分野のことを話す機会です。このような場面で一番重要なのは専門知識。必要な用語さえ英語で知っていれば、相手もプロですから、多少文法や発音が間違っていても通じてしまうことがほとんどです。
                 
                また品質や価格など細かい交渉が必要な件については「後ほどメールで返信する」と伝えておけば、口頭で答える必要もありません。相手が話していることをきちんと聞き取ることさえできれば、話す能力はそれほど重要ではないのです。
                 
                ■ことわざやイディオムは覚える必要なし。
                ある統計によると、世界人口70億人のうち、英語ネイティブはわずか3.9億人。しかし、英語が話せる人は17.5億人もいるそうです。世界で英語を話す人は4人に1人になりますが、生まれつき英語を話している人はさらに少なく、そのうち4人に1人未満。逆に言えば、英語を話す人のうち、4人に3人は日本人の私たちと同じく、ふだんは自分の国の言葉を話している人たちなのです。
                 
                当然、アメリカやイギリスなどをメイン・マーケットとしない限り、英語ネイティブと話す機会のほうが圧倒的に少なくなります。逆にいえば、英語を外国語として話す人とビジネスをする機会のほうが多いということです。
                 
                その際、留意したいのが、イディオムやことわざなど。大学入試や英検の問題によく出てきますし、英語の上達本やNHKの「ビジネス英会話」などでも、「こういう言い回しを知らないとネイティブと話が通じない」的な紹介のされ方をよくされているので、ビジネス英語に不可欠だと思ってしまっている人もいるのでは。
                 
                が、そもそも日本語でも、ビジネスシーンでことわざや四字熟語を使うことはあるでしょうか? 「ここは歯に衣着せず製品の感想をおっしゃってください」とか「捲土重来で売り上げのV字回復を目指したいものです」なとどという会話を、少なくとも私は商談でしたことはありません(「歯に衣着せず」は「率直に」、「捲土重来」は「もう一度」で十分です)。ましてや、外国人同士が慣れない言葉でイディオムやことわざを多用しているというのは、オタク同士でもない限りないと考えていいでしょう。
                 
                米英のインテリと議論したいのなら別かもしれませんが、実践の場で使われる頻度の低いイディオムやことわざは、必死に覚えてもただの宝の持ち腐れ。最初から覚える必要はないと思います。(ただし、in terms of や for the time beingなど、ビジネスでよく使われる最低限の言い回しは必須です)
                 
                ■「文法間違い」「日本語訛り」は気にしない。
                「正しい文法」「ネイティブのようなきれいな発音」を目指して勉強している方もいらっしゃいますが、これらもビジネス英語にはほとんど必要ありません。
                 
                ビジネスの場で三人称単数の動詞に「s」がついていなくても訂正する人は誰もいませんし、日本語訛りなどかわいいもの。シンガポールでは世界中からやって来た人々が、それぞれのお国柄で訛った英語を堂々と話しています。また、英語ネイティブでもロンドンのホックニー訛りなどは、聞き取れない人々がたくさんいます。相手がどうしても聞き取れないようであれば、一語一語スペルを読み上げればわかってもらえます。
                 
                文法や発音を気にする時間があるのなら、その分、商品のマーケティングや開発に時間をかけたほうがよほど売り上げが上がるはずです。
                 
                NHKラジオ講座「基礎英語3」修了でビジネス英語はじゅうぶん。
                上記を総合して私がお薦めしたいのは、NHKラジオ講座「基礎英語3」の学習です。
                 
                「基礎英語3」は、中学3年生レベルの文法と実践のコミュニケーションスキルのコンビネーションを勉強すると謳っていますが、テキストを見る限り、ビジネス現場で実際に使われるのとほぼ同程度の英語レベルです。これを115分、1年間続ければ自然に英語の構造が頭に入ってくるはずです。
                 
                最初から「3」が難しいというのであれば、「基礎英語1」や「基礎英語2」から入ることもできます。ただし、こちらは中1、中2の文法レベルですので、CDつきテキストでさらっと流せばいいでしょう。
                 
                「基礎英語3」だけで済むようでしたらamazonKindle版で1か月のテキスト代が333円から。途中で投げ出さずに続ければ、1日たった15分、年間わずか3,996円で実戦で使えるビジネス英語が確実に身につけられるはずです。TOEIC700点程度も楽勝でしょう。
                 
                ■英語を自己満足で終わらせないために
                海外で国内と同じようにビジネスをしようと思ったら、英語は絶対に必要です。しかし、同時に、ビジネス英語では私たちの母国語である日本語と同レベルの英語力を決して求められることはありません。
                 
                反対に、ビジネスの内容、つまり商品やサービスには国内とはまったく違った、場合によっては日本以上のクオリティが求められることがしばしばあります。海外ビジネスの成否はひとえにこの顧客ニーズを満たせるかどうかにかかっていますので、ビジネス英語取得にかける時間とコストは最低限に抑え、本来のビジネスに力を注ぎたいものです。
                 
                | 後藤百合子 | グローバルビジネスと人材 | 14:00 | - | - |
                「ぬるいスープ」でシンガポールを席巻した日本ラーメン〜海外市場で日本商品を売るポイント
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                  JUGEMテーマ:海外進出
                  ■シンガポール進出の日本ファッションブランドは死屍累々
                  ここ数年、シンガポールではユニクロをはじめ日本の大手ファッションブランドが大挙してシンガポールに上陸しました。
                   
                  現在のシンガポールは1人あたりGDPが日本を大きく上回り、居住人口は500万人超ですが、その約3倍の観光・ビジネス客の需要が見込め、市場としては「東南アジアのショーウィンドウ」的な役割を果たしています。これを狙って、日本の「カワイイ」ファッションをアピールしようと、さまざまなブランドが進出。マスコミでも大きく報道されました。
                   
                  しかし、2014年にはフラン・フラン撤退、昨年はローリーズ・ファーム撤退、日本とシンガポールのファッション界の架け橋として、業界関係者の大きな期待を背負って2010年にオープンしたばかりのパルコも業績不振で閉店に追い込まれました。
                   
                  唯一健闘しているのは無印良品くらいでしょうか(それも生活雑貨のみ)。まさにシンガポール進出の日本ファッションブランドは、死屍累々といった感があります。国内ではいくら飛ぶ鳥を落とす勢いのファッションブランドでも、そのまま輸出したのでは売れないということがはっきりしたのではないかと思います。
                   
                  ■「ぬるいスープ」でシンガポール市場を席巻した日本ラーメン
                  それとは好対照に、今、シンガポールで一大ブームになっているのが、日本のラーメン店です。
                   
                  以前は、日本のラーメン店といえば中国でも有名な「味千ラーメン」くらいでしたが、「けいすけ」「まる玉」「面屋武蔵」など、日本でも人気のお店が続々とチェーン展開。雨後の筍のように日本ラーメン店が増えており、こちらの水準からしたら決してお手頃とはいえないお値段にもかかわらず、どこも行列ができるほどの人気です。
                   
                  どうして日本ラーメンがここまでの人気を博せたのでしょうか?
                   
                  私も何店か行ってみましたが、味はほとんど日本と変わらず。一番の違いは「スープがぬるい」でした。
                   
                  常夏の国シンガポールでは「熱々のスープをすする」という習慣がありません。そこで、日本であれば禁じ手の「ぬるいスープ」に路線変更をしたのだと思います。「ぬるいスープ」はどこの店でもたいして変わらないようで、現地在住日本人には不評ですが、この戦略がなければ、日本ラーメンのここまでの繁栄はなかったのではないかと思います。
                   
                  ■売れなかったブランドから学んだこと
                  私はシンガポールでは、日本の若いデザイナーさんたちのアクセサリーを中心に、小売店に商品を販売するディストリビューター業を営んでいます。これまで10ブランド以上を紹介してきましたが、実際に売れたのはほんの数ブランド。
                   
                  残念ながら売れなかったブランドの一つは、絹やコットンの手編みニットを使ったアクセサリーでした。とても繊細で美しく、素敵なのですが、いろいろ手を尽くしてもだめ。後で聞いたところによると、シンガポールでは、アクセサリーをつけたままシャワーを浴びて、そのときにアクセサリーも洗ってしまう女性が大半だそう。ということは、服と同じくアクセサリーも「洗える」ことが必須。このブランドが売れなかった理由は「繊細すぎて洗えない」だったことがわかりました。
                   
                  このように、日本では考えられないニーズがあるのが海外市場です。そこを見極められなければいくら「日本で売れている」商品を投入しても成果は出ません。
                   
                  ■小さく投資して徐々に現地化させていく。
                  いっぽう、昨年から販売していたあるブランドの商品に、先月からやっと動きがで始めました。導入から9か月、売上ゼロではないものの他ブランドの商品と比べると動きが鈍く「このままだったら近々ドロップするかも」と小売店から脅かされた矢先のこと。さっそく商品を提供してくれているデザイナーさんにも報告し「これからも一緒にガンバロー!」と喜び合いました。
                   
                  このブランド、最初は少量のアイテムを投入し、小売店と相談しつつ、デザイナーさんとアイディアを出し合いながら、少しずつデザインやパッケージ、価格帯(安ければいいというものでもありません)を変え、改良を続けてきました。その結果、「これは要らない」と小売店から返されるような商品がなくなり、うまく回転するようになったのです。
                   
                  もし最初から大々的に展開しようと思ったら、それに見合うだけの資金や人間も投入しなければいけません。しかし、少しずつマーケットを見ながら、そのマーケットの特性に合わせて商品を変えていくことができれば、上述の日本ラーメンのように大ブレークも夢ではないのです。
                   
                  ■メイド・イン・ジャパンを世界市場で販売するために大切な3つのポイント
                  上記をまとめると、日本商品を海外市場で売るためには、
                   
                  ・最初は小規模で展開
                  ・消費者や小売店の意見によく耳を傾ける
                  ・市場ニーズに合わせて少しずつ商品を改良
                   
                  の3点が絶対に必要なのではないかと思います。
                   
                  日本に帰国するたびに、「こんなに良い商品がたくさんあるのに、輸出できないのはもったいないなー」とため息をついてしまいますが、よい商品には万国共通、必ず消費者のニーズがあります。そのニーズをどのように実際の商品に落とし込んでいくかが、これからの日本商品の海外販売の成否の要になるのではないかと思っています。
                  | 後藤百合子 | グローバルビジネスと人材 | 07:33 | - | - |
                  インバウンド、アウトバウンド双方向でより活性化する社会
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                    JUGEMテーマ:国際社会
                    昨年暮れに夫の元同僚女性のホームパーティーに招かれました。夫婦5組と子供たくさんの賑やかなパーティーでしたが、移民社会シンガポールの縮図をかいま見るような経験でした。
                     
                    10人中、生まれたときからシンガポール人は4人だけ
                    ゲストとホストの関係は、ホストと元同僚夫婦が私たちを含めて2組、残りの2組は妻がホストと英国留学時代の友人という顔ぶれです。ホストの女性と2人の友人たちはマレーシア出身で全員シンガポールに帰化。ホスト女性の夫は生まれつきのシンガポール人ですが、他の2人の夫はマレーシア人と香港人。外見だけでは見分けがつかないものの国籍はさまざまで、シンガポール人は7人のみ。さらに生まれつきのシンガポール人は半分以下の4人しかいないという構成でした。
                     
                    私を含めた残り6人は国籍を取得した、しないの差はあれ全員移民です。ホストは企業内弁護士で、ゲストは男女ともに全員弁護士や会計士、IT企業幹部などいわゆる「高度人材」労働者。シンガポール社会がいかに移民によって支えられているかを改めて感じさせられました。
                     
                    ■夫婦別の国籍保持は保険、という考え方
                    さらに興味深かったのは、マレーシアからシンガポールに帰化した女性2人の夫がともに帰化せず、もともとの国籍を維持しているということ。なぜ妻だけしか帰化しなかったのか理由を聞いてみると「どちらかがシンガポール国籍をもっていれば教育や医療などの国民特権は享受でき、また万が一シンガポールに何かあれば一家で自国に戻ることができる」というのです。
                     
                    どこの国でもそうですが、配偶者が国籍をもっていればシンガポールでも永住権は比較的容易に取得できるので、1人は永住権さえあれば十分。そして、夫婦を別々の国籍にしておくのは「有事のときの保険」という側面をもっているというのです。
                     
                    ■返還前にあらゆるパスポートや永住権を取りまくった香港人
                    国籍が保険という考え方で思い出したのは、1997年の中国返還前に香港人に大流行した外国パスポート取得ブームです。(もともと香港はイギリス植民地で「国」という概念がないため「外国籍取得」ではなく「外国パスポート取得」という形がスタンダードでした)
                     
                    最も難易度が高かったのは英国パスポート。香港政府の高級官僚や学者など主として政府系の香港人やその家族などごく限られた人が取得しました。
                     
                    逆に最もポピュラーで取得した人が多かったのはカナダパスポート。記憶が定かではありませんが、確かカナダで不動産を取得して一定期間カナダに住めば取得できる、さらに他パスポートも保持OK(いわゆる二重国籍)というメリットがあり、私の知り合いだけでも十数人がカナダパスポートをもっていました。(当時香港で知り合った日本人の中にも、カナダパスポートをもち日本国籍も保持している方がいました)
                     
                    その他にもオーストラリア、南アフリカ、シンガポールなどに実際に移住して永住権を取得した人も多く存在しました。956年頃の香港の新聞にはこれらの国の永住権取得のための代行業者の広告が頻繁に掲載されていたのをよく覚えています。(そのほとんどは返還後しばらくして香港に戻ってきたようですが)
                     
                    中国の内戦や文革などを生き延び、難民となって香港に定住した人が多数派の香港人にとっては、返還前のこれからどういう体制になるかわからない時期に、外国パスポートや永住権を取得することは、大金を払ってもかけておく必要がある「保険」だったのです。
                     
                    ■利便性も国籍取得の一大要因
                    いっぽう、日本をみてみると、新たに日本国籍を取得していわゆる「帰化」するのは、もともと日本で生まれ育った在日韓国・朝鮮の方々を除くと、圧倒的に中国籍の方が多くなっています
                     
                    帰化の要件に日本語力もあるので漢字が読み書きできる中国の方が強いという側面は否定できませんが、例えば、日本の配偶者がいれば日本に住むには永住権だけで十分。なのになぜ国籍まで取得する必要があるのかわからずある方に聞いてみたところ、「日本パスポートのほうが便利だから」という答えが返ってきました。(彼女は夫が日本人で、本人は日本の会社の取締役。やはり「高度人材」です)
                     
                    中国パスポートでは前もってビザを取得しないと入国できない国々がかなり多く、外国に旅行したくてもなかなか気軽にできないのに加え、急な出張となればなおさら日本人と比べて差がついてしまいます。そこで帰化したとのこと。ただし、中国の場合は別の国の国籍を取った後、気が変わり、再度中国籍に戻るのもそれほど難しくないようです。
                     
                    余談ですが、利便性では日本パスポートよりシンガポールパスポートのほうが勝っています。日本パスポートではカンボジア、ミャンマーなど一部のASEAN国への旅行にはビザの事前申請が必要ですが、シンガポールパスポートは不要。インドネシアは到着時にビザ申請可能ですが日本パスポートは有料、シンガポールパスポートであれば無料です。
                     
                    ■永住権で自由に国境を越える
                    パーティーで出会った夫婦の話に戻りますが、5組の夫婦中、たった1組しかいなかったシンガポール生まれ、シンガポール育ちの生粋のシンガポール人夫婦は、パーティーの翌週にはオーストラリアに移住する予定で準備に忙しいと話していました。
                     
                    夫妻とも高校までシンガポールで教育を受けてオーストラリアの大学を卒業。その時点からオーストラリアに永住権を申請し取得してあったそうです。移住の目的は「一人息子の教育」。シンガポールの教育は世界でもトップクラスで有名ですが、幼稚園から塾に通うという徹底した早期詰め込み教育のため、海外でのゆとり教育を目的に移住する人が少なからずいます。このご夫婦も外資系企業に勤務のため社内での海外転勤がさほど難しくなく、早くから準備をして移住に踏み切ったそうです。そして、息子が18歳の兵役年齢に達したら再び一家でシンガポールに戻るつもりとも話していました。
                     
                    このようにシンガポールでは人口の約30%が外国人居住者なのにもかかわらず、留学や転勤、移住などで海外生活する人が約20万人と国民の6%もいます。人口割合でいえば日本の6倍となっており(2013年の在外日本人は約126万人)、どれほどシンガポール人が自由に国境を越えているかもわかると思います。
                     
                    ■人口流動が社会を活性化させる
                    昨年12/24の日経新聞電子版で、シンガポール在住のアメリカ人投資家ジム・ロジャーズ氏が、日本経済について「長期的にはかなり悲観的だ。債務が膨らみ、人口が減り、通貨の価値が落ちていく。大惨事ではないか。日本は世界で最も好きな国々の一つだ。でも、私が仮に20歳以下の日本人なら国を出ていくだろう」と語っています
                     
                    この言葉をきっかけに移住を決意する人もいないとは思いますが、私は逆説的な意味で日本を出ていく若者がもっともっと増えればよいと思います。それは一度出ていった人の多くが、また生まれ育った国に戻り、重要な働きをしてくれるからです。
                     
                    シンガポール建国の父、リー・クアン・ユー元首相とリー・シェン・ロン首相はともにイギリス留学を経験し、海外のさまざまな事例を研究しながら独自の政治システムを創り上げてきました。また、中国が現在までの奇跡的な発展を遂げたのも、小平元国家主席を始め、若い時代に海外留学を経験してきた文革以降の指導者たちの功績が非常に大きかったのは周知の事実です。
                     
                    日本では小泉純一郎元首相、現内閣では安倍首相、麻生財務相ともに米英留学経験者で、麻生大臣にいたってはブラジルの会社での駐在経験もあります。小泉改革やアベノミクスなど、評価はどうあれ、これまでの自民党とは一線を画した政策を打ち出してくることができたのは、やはり海外生活によって別の角度から物事をみる力を養われてきたからではないでしょうか? 

                    その意味で、外国人留学生・労働者・移民受け入れのインバウンドも、留学・企業駐在・移住のアウトバウンドも、バランスよく両方向で推進していくことにより日本社会が活性化し、現在迎えている大変な難局も乗り切っていくことができるのではないかと考えます。

                     
                     
                    | 後藤百合子 | グローバルビジネスと人材 | 15:00 | - | - |
                    英語が話せなくてもグローバル人材になれる!?
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                      ■過熱する早期バイリンガル教育
                      2011年から始まった小学校での外国語教育必修科目制度ですが、2014年からは文科省主催で「英語教育の在り方に関する有職者会議」が開催され、さらに低年齢から英語を勉強させようという機運が盛り上がっているようです。

                      政府は「グローバル人材の育成が急務」とスローガンを掲げ、楽天やユニクロをはじめ有名企業が「社内英語公用語化」を標ぼうするなど、いまや「英語が話せなければ就職もできないのでは!?」という危機感が子供や親の間に蔓延しています。

                      その結果、まだ歩き始めたばかりの幼児を英語塾に通わせたり、英語幼稚園が増えたり、英語で他の教科を教える英語イマージョン教育の私立小学校が人気になっているそうです。

                      しかし、このような方法で本当に「バイリンガル」で「グローバル人材」になるような子供が育つのでしょうか?

                      ■シンガポールのバイリンガル事情
                      私が現在住んでいるシンガポールは、言わずとしれたバイリンガルのお国柄です。
                      国民の英語力はダントツで、アジアでのTOEFLスコアはトップ。(ちなみに日本は27位でベトナムの下、ラオスの上で、韓国・中国にも大きく引き離されています)

                      2015年に建国50周年を迎えますが、建国当初から国民を形成する各民族の母国語である中国語、マレー語、タミル語に加え、英語を公用語として採用してきました。現在50歳代以下の国民はほとんどがバイリンガルで、英語のレベルが非常に高いのが特徴です。

                      しかしシンガポール人と付き合えば付き合うほど、バイリンガルといってもどちらかの言語に能力が偏っている人がほとんどであることに気づきます。

                      一般的に契約書やビジネス文書などはすべて英語で書かれているため、オフィスワーカーには英語能力が高い人のほうが圧倒的に多いのですが、小売店やレストランなどでみかけるのは、どちらかというと英語が苦手で新聞や雑誌も中国語やマレー語で読み、テレビもそれぞれの言葉のほうがラク、という人々です。

                      しかし、英語に強い人々の母国語能力にも問題はあります。

                      学生時代は英語と並び母国語も非常に大事な科目ですので、小学校低学年から夜まで塾に通わせたり、週末は母国語を話す祖父母のところに子供を行かせて英語を話させないようにするなど、涙ぐましい努力をして母国語を子供に身につけさせますが、大学卒業以降は多くの人が買い物など以外は母国語を使う機会を失います。英語ですべて事足りてしまうのです。

                      ■語学学習は筋トレと同じ。使わなければ衰える。
                      では、彼らの母国語能力はどうなるか?

                      よいサンプルが身近にいました。華人系シンガポール人の我が夫です。今年51歳になる夫は高校まで中国語(北京語)を学校で学び、実家では現在も両親と中国語(福建語)で会話しています。買い物やレストランのオーダーなどでは北京語を使うことも多く、中国や台湾に行っても特に日常会話に困ることはありません。

                      問題は読み書きです。迷わずさっと書ける漢字は自分の名前くらい。新聞や雑誌もほぼ読めません。大学入試のためにあれほど勉強したはずの漢字をほとんど忘れてしまっているのは、使う必要がないからでしょう。

                      このように、言語能力というのは筋肉と同じで常に使っていなければ衰えます。ですので、高い言語能力を維持するためには筋トレのように常に反復練習が欠かせず、逆に、日々の生活の中で使う必要がなければ、最初どんなに高い能力をもっていても、どんどん忘れて使えなくなっていってしまうのです。

                      ■外国人が身近にたくさんいれば、グローバル人材にならざるを得ない
                      一皮剥げばこのように中途半端なバイリンガルが多いシンガポールですが、それでは「グローバル人材」は育っていないのでしょうか?

                      答えは「イエス、育っている」です。

                      シンガポール人の多くは人生の一期間を留学や仕事などで海外で過ごし、外国人と話しても臆することなく、自然にビジネスをしたりお付き合いをしたりすることができます。2011年には、その年に結婚したシンガポール人の相手のほぼ40%が外国人、子供の約3分の1は、シンガポール人と外国人との間に生まれています。 

                      どうしてこうなったのでしょうか?それはシンガポールに住む外国人の数が非常に多いからです。

                      人口約540万人のうち、シンガポール人の数は330万人程度。残りはすべて外国人(永住者も含む)ですから、およそ3人に1人は外国人です。

                      シンガポールの合計特殊出生率は日本より低い1.2で世界でも最低レベル。優秀な人材や労働力を輸入し、半分外国人であろうがとにかく子供を産んでもらわないと国が衰退してしまうため、「外国人をどんどん輸入する」という政策を続けてきました。

                      シンガポール人と外国人の共通言語はほぼ英語です。つまり、英語さえ普通に話すことができれば、母国語はグローバル人材(外国人と積極的にコミュニケーションしたりビジネスをしたりできる能力をもつ人材)にとって不要といってもいいでしょう。

                      ■日本もシンガポールのようにグローバルな環境になるのか?
                      ではシンガポールと同じく人口減少に悩み、「グローバル人材育成」を目指す日本政府は近い将来、シンガポールのように外国人を大量に受け入れ、国民が常に英語で話さなければならない環境を作ろうとしているのでしょうか?

                      私は、一時的に外国人労働者を入れるだけでも大反対されるような国で、居住者の3分の1が外国人になるなどということは、まずありえないと思います。そして、そういう環境がなければ、英語を使う必然性がないのですから、やはり英語を学んでも英語力は錆びついてしまう人が大半になるでしょう。

                      ■英語か日本語か、メイン言語をまず選ぶ。
                      以上をまとめると、

                      1. バイリンガルといっても得意な言語は必ず1つになる。
                      2. 中途半端に勉強しても、使わない言葉は忘れてしまう。
                      3. 日本には常に英語で話さなければならない環境がなく、これからもおそらくない。

                      ということが言えると思います。

                      何か国語も自在に使い分けることができる天才は別ですが、大多数の人々には2か国語を同じくらい流暢に、同時に使いわけることは無理です。ですから、日本にずっと住むのでしたら、自分や子供の言語を英語にするのか、日本語にするのかをまず決め、英語学習計画を組み立てる必要があるでしょう。

                      まず、英語をメイン言語にするのであれば、学校はすべての教科を英語で教える学校(インターナショナルスクールかイマージョン教育を行う学校)に行き、家庭でもテレビも本もすべて英語、家族の会話もすべて英語にするくらい徹底させることが必要です。そうでないとネイティブ並みの英語力は身につきません。しかし、この場合は、高いレベルの日本語を期待してはいけません。日常会話ができるくらいで良しとするべきです。デメリットとして、多額な費用がかかることも挙げられます。

                      大学や大学院に留学して帰国してからも英語中心の生活にするというのでしたら、就職先は外資系など外国人比率が高く、常に英語を話さなければいけないという環境が必要でしょう。(日本で英語公用語化を掲げる会社でも、実際に英語しか使っていないかといえばほとんどがそうでないと聞きます)。

                      これができない場合は日本語がメインになりますので、英語を忘れないように常日頃トレーニングを欠かさない訓練が必要です。

                      最後の選択は、基本的な英語学習はこれまで通りの学校の英語学習のみにして日本語力を磨き、就職や仕事で必要になったときに集中的に英語力を磨く、というパターンです。私としては、これが一番のお薦めです。大人になってからでも、語学力というのは数か月間集中して勉強することによって、驚くほど向上するからです。

                      ■語学学習に遅すぎることはない。
                      私が香港で中国語を勉強したとき、同級生に20代のスウエーデン人女性や30代のインド人シスターたちがおり、彼女たちはこれまで漢字の読み方さえ知らなかったのに、1年ほどで人民日報が読めるくらいに上達していました。

                      スウェーデン女性は家族経営のビジネスを助けるため、シスターたちは中国での宣教が目的で勉強していたのですが、本気になれば難しい言語でも語学力は短期で身につくものだなと実感させられました。(同じ漢字文化の日本人にとって中国語はそれほど難しい言語ではありませんが、漢字をゼロから覚えた彼女たちにとっては相当ハードだったはずです)

                      そんな彼女達に共通していたのは、中国語を学ぶ目的がはっきりしていたということです。

                      ビジネスや宣教は真面目な目的ですが、大好きなスターの映画を字幕なしで観たい、海外のコンサートチケットを自分で取りたいなども立派な目的だと思います。韓流ブームのときは、中年から老年の年代の女性たちが懸命に朝鮮語を勉強し、かなり話せたり読めたりするようになっていたのは記憶に新しいと思います。

                      つまり、わざわざ子供のときから本格的な英語学習を始めずとも、大学で英語ネイティブスピーカーの学生に交じって苦労して英語で勉強しなくても、簡単な日常会話ができる程度の英語力をつけておき、大人になって本当に必要になったときに短期間に集中して勉強すれば、ビジネスやボランティア活動などでじゅうぶんコミュニケーションするくらいの英語を身につけるのは難しくない、と私は感じているのです。

                      よく言われることですが、言葉はあくまでも言葉、手段にすぎません。「グローバル人材」や「バイリンガル」という言葉が勝手に一人歩きして何か英語さえ勉強していれば将来が安心、というような風潮には非常に危機感を感じます。

                      それより「言葉はいつでも勉強できる」ことを理解し、その前にまず母国語での教養をしっかりと磨いておくことが必要なのではないでしょうか?ここに本文を記入してください。
                      | 後藤百合子 | グローバルビジネスと人材 | 13:27 | - | - |
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